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「好きなこと」を仕事にするって、どう? MOROHA・アフロ×かが屋・加賀 翔が思いを吐露

「好きなこと」を仕事にするって、どう? MOROHA・アフロ×かが屋・加賀 翔が思いを吐露

「好きなことを仕事にしたい!」をテーマにMOROHA・アフロと、かが屋・加賀 翔がトークを展開した。

アフロがゲストで登場したのは、J-WAVEの番組『GURU GURU!』(月曜ナビゲーター:かが屋・加賀 翔)。この番組は、世間の常識や多数派の声、あたりまえの事実をあえて逆の視点と発想でグルグル考えていく“逆転ラジオ”だ。ここでは10月21日(月)にオンエアした内容をテキストで紹介する。

二人がいまの仕事をするまで

今回のテーマは「好きなことを仕事にしたい!」。「好きを仕事に」という言葉もよく聞くが、好きなことを仕事にするにはどうしたらいいのか? 好きを仕事にしたい人(している人)、したくない人(してない人)、自分に向いているのはどちらなのか。

加賀:今、アフロさんは好きなことを仕事にできていますか?

アフロ:そもそも好きとはっていうところもあるよね。機嫌よく働けていることを好きと言うのであれば(今の仕事は)好きだよね。でも、変わっていくよね。最初は音楽が好きだったけどやり始めていくと音楽で喜んでもらうことが好きになるとかして。だからいろんな角度で増えていくというか。

加賀:今、自分がやりたいジャンルをやれていますか?

アフロ:やれてるね。

加賀:スゲえ! 僕はそれでいうと、お笑いを仕事にすると思っていなくて。高校を中退してそこから手元に音楽をやるセットが揃う時期があったんです。友だちのお父さんがバンドを辞めるからとアンプをもらったり、知り合いのおじさんがギターをくれたり、バイト先の八百屋の人がもともとプロのミュージシャンを目指している人で、「全部教えてやるよ」って1960年~2000年代までのCDを50枚貸してくれたり。

アフロ:それ伝説のミュージシャンが生まれる『BECK』の1巻じゃん(笑)。

加賀:でも2年間ギターを弾いたけど1個も歌いたいものが生まれなかったんです。そこでたまたま友だちにお笑いをやろうって誘われて今ここなんです。だから好きなことを仕事にしているってすごいなって思います。

アフロは、好きな仕事をやっているとはいえ、いつも機嫌がよいわけではないが、機嫌がよくない日を減らすために好きな人を増やしているという。

アフロ:例えば、自分の創作じゃなくてリクエストをもらう仕事もあるじゃない。こうしてほしいとか、ああしてほしいとか。それが自分の本意じゃかったりすると機嫌が悪くなるけど、その仕事相手のことを好きになるとけっこう機嫌よくやれるの。「あいつのためならしょうがないな」って。好きな人が増えていくと機嫌が悪い時間が減っていくっていうのは経験則としてあるかも。

加賀:びっくりしたのが、MOROHAさんの現場に行ったときにアフロさん以外の人が大きな楽屋みたいなところでめっちゃ盛り上がってしゃべってたんですよ。ピリピリしていたらこんな空気は出せないと思ったんです。この人、好かれてるな。

適性は、やってみないとわからない

2人はリスナーから届いたメッセージから、今回のテーマを掘り下げていくことに。

リスナー:どちらかというと「好きを仕事にする」のは反対派です。趣味を仕事にした結果、もともとは好きだったものが仕事に結びつきすぎて心から楽しめなくなった話などを聞いたことがあるためです。どちらかというと自分の得意なこと、適性のあることを仕事にしたほうがいいと思っています。好きなことを仕事にして結果的に成功している人たちも、好きなうえで適性があったからだと思います。

加賀:確かそうだと思います。好きといっても、結局別の能力があって初めて続けられるので、好きなだけでは絶対に続けられない。

アフロ:でもさ、最高の人生、全部が都合のよくなる人生、そんな世の中じゃないことってわかっているんだけど、最高の理想は好きなこととだけをやってお金をもらうって一番いいわけじゃん。だから、これは現実を踏まえたうえでの意見だよね。やっぱり好きなことを仕事にできる人はバカみたいな夢を信じているんだよね。それを信じられるっていうのは1つの好きなことをやるうえでの才能なんだろうなって。

加賀:僕はどちらかというとリスナー側なんですよ。バカみたいになれないというか、夢を追いかけられるかどうかって言われると難しい。僕は、後悔しながら終わってもそれはそれで悪くない人生なのかなって。

加賀の話を聞いたアフロは、これまでの経験から「適性」について話し始める。

アフロ:ラッパーの適性って何だと思う? 俺は文章力とかリリックだと思ってたんだけど、俺がやってきた実感としては違っていて、声が大きいことなんじゃないかと思って。

加賀:いやいや(笑)。

アフロ:MOROHAのアフロをやるうえでの適性は声が大きいことだったんだよ。なぜかって、今、Xとか全盛の世の中で俺よりヤバい詩人が死ぬほどいるの。俺はそのなかに入れば石ころなんだけど、唯一大きい声が人前で出せる才能があったのね。俺はあんまりすごいそれがすごい才能だと思っていなかったんだけど、これがあるおかげで飯が食えているのよ。だから、適性って言葉を使うけど、適性とは何かっていうのはやってみないとわからないんだよね。

加賀:武器を武器と気づけるかどうかって話ですかね。

アフロ:そう。武器だと思っていたものが武器じゃなかったりするから、やってないのに適性って言葉を使うのは、もうちょっと奥深い話だよっていうのが正直あるかも。

他者と比較してしまうとしんどい

実際に、好きなことを仕事にしているリスナーからは、こんなメッセージが届いた。

リスナー:就活中にどのような仕事が自分に合うのか考えているときに「好きなことを仕事にしてみたら?」というアドバイスをもらい、手芸や細やかな作業が好きだった私はものづくり関係の仕事に就きました。現在、繁忙期で大変ではありますが、好きを仕事にしたおかげで飽きることが全くありません。毎日同じ仕事ですが、苦しいより楽しいが勝ちます。

加賀:まぶしい。こういうのに飢えてます(笑)。

アフロ:幸せだね。これは見つかった時点で勝ちみたいなところがあるよね。勝ち負けではないけど。

加賀:打ち込むタイプの仕事、1対1になれる仕事って見つけられたら無敵だなと思いますね。

アフロ:思うね。

加賀:例えば、これが絵とかで他者の評価に大きく左右される場合だと、「なんで私は……」ってなっていきがちですからね。

アフロ:まわりと比較したりしますか?

加賀:しますよ。それがエンジンになることもあります。だけどそうじゃないことも多々あります。後輩のすさまじさを目の当たりにしたときに立てなくなったりとか。(お笑い芸人の)吉住さんがめちゃくちゃおもしろいと思って、単独ライブは毎回観に行って最高だったなって帰るんですけど、僕が月末にピンのネタライブが月末に控えていて、その状態で初めて吉住さんのライブを観たら「ふざけんなよ!」って思ったんです。

アフロ:いざ同じ土俵に立つとなるとね。

好きなことにとことん向き合って挫折した人間は…

番組では、好きなことを仕事にしたいけれど、いろいろな理由でその一歩が踏み出せないリスナーと電話を繋ぎ、加賀とアフロがアドバイスをする場面も。そのなかで、加賀がお笑い芸人を真剣に目指すようになったエピソードを明かした。

加賀:僕は高校を中退して、お笑いに誘ってくれた同級生と一緒に大阪の吉本興業の養成所に入るってことだったんですけど、その同級生がバックレちゃったんですよ。僕は(入学金も)振り込んで引っ越し先も決めていたので、僕1人で大阪に行かなくちゃいけなくなったんです。それで半年後くらいに心が折れちゃって親に「やめる」って言ったんです。でも親に「やめるな」って言われて。「高校もやめて養成所もやめたやつは、この先に何をやってもうまくいかないよ」って。

アフロ:なるほど。

加賀:そこで僕は発破をかけられたんです。逃げ道を断たれたことで仕方なくやる。ここで火が着いてやっと自覚を持ってお笑いをやるしかなくなった。でもそこから2年間はバイトだけして何もやらなかったんですけど(笑)。でもお笑いをやめずにすんだのはそのおかげですね。

アフロ:お母さんが偉大だなと思うのは、好きなことを燃え尽きるくらいまでやらなかったやつに、その後の人生に何があるんだろうって。そういうことじゃないかな。好きなことにとことん向き合って挫折した人間って、その後の人生でたくましく生きていける素養がすでにあると思う。ミュージシャンとかも諦め方がカッコいいやつっているからね。ちゃんとやり切った人。その人はミュージシャンをやめて飲食業で今の俺より全然稼いでたりとかする(笑)。

加賀:僕の同期でもそういう人がいますね。

アフロ:わりとそういう例を知っているから、好きなことがあってやりたい気持ちがあって、それに挑める環境があるのであれば成功するかどうかはわからないけど、とことん灰になるまでやる。逆にやりたいことがあったのに別の安定したものを選んだときに、ずっと「あっちの道に行っていたらどうだったんだろうな」って思いながら仕事をするほうが、俺はリスクに感じちゃうタイプの人間だったかな。

一方、「好きな仕事をできなかった」というリスナーから、こんなメッセージが届いた。

リスナー:バンドをやっていてバイトや借金をして挑戦しましたが、結果が出ずに30歳くらいで諦めて普通のサラリーマンになりました。ただ、若かったりまだ情熱があったら好きなことを仕事にするべきだと思います。たとえお金にならなくても、今はYouTubeやSNSなど自己表現やアピールできる手段が増えているし、兼業など新しい働き方もある。仮に私のように諦めても、挑戦したことに後悔はないはずです。お二人のように好きなことを仕事にできる人を私は尊敬して羨ましいと思っています。

アフロ:力強いね。

加賀:経験して、(仕事に)できなかったっていう。

アフロ:それでエールを送ってくれるってすごいよね。そういう人間になれるのが。

加賀:この分厚さ。やって諦めて、まだ応援しているっていう(好きなことを仕事にする人に対して)「ふざけんな」って一行で終わる人もいると思うから。

アフロ:憧れちゃいますね。俺たちがこの先に夢ついえて、その後にこの言葉を言えるかって問われる感じもするね。普通は呪っちゃいそうだもん。

加賀:好きな仕事で食えてていいよねって。

アフロ:それをしないでこういうメッセージを送れる人になれる挑戦だったっていうことだよね。

加賀:カッコいい。

アフロ:すごいっすわ。

MOROHAは11月14日(木)に東京・新代田のLIVE HOUSE FEVERで、自主企画「GIG and Take」を開催。入場希望者は「自身で制作した作品」もしくは「自作ではないが人生に影響を与えてくれた作品」を持参することが条件という、物々交換的なイベントとなる。

MOROHAの最新情報は、公式サイトまで。

J-WAVE『GURUGURU』は、毎週月曜~木曜の22時-24時にオンエア。

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