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「オチがない話をする人はつまらない」のか? ティモンディ・前田裕太が“ツッコミ”として反論

「オチがない話をする人はつまらない」のか? ティモンディ・前田裕太が“ツッコミ”として反論

ティモンディ・前田裕太が、会話における「オチの必要性」について考えた。

この内容をお届けしたのは、2月12日(水)放送のJ-WAVE『GURU GURU!』(水曜日ナビゲーター:ティモンディ・前田裕太、福留光帆)。世間の常識や多数派の声、あたりまえの事実をあえて逆の視点と発想で考えていく"逆転ラジオ"。リスナーからさまざまな意見を募り、発想と柔軟性を育てる教養バラエティプログラムだ。

この日は、体調不良でお休みをしていた福留が復帰予定だったが、体調がまだ万全でないため、出演を見送ることになった。そのため、前田がひとりでナビゲーターを担当。ここでは、そのトークの一部をテキストでお届けする。

2025年2月19日28時ごろまで

関西人だからオチを求められるけど…

今回のテーマは「オチなんてつけません!」。ラジオのトークにも、ちょっとした雑談にも何かと求められがちな「話のオチ」。でも、エピソードなんてそう簡単にオチないこともよくあること。そこで、普段の会話でオチが必要かどうかをリスナーとともに考えていく。

前田:「いや、オチないんかい!」とか、よく聞きますよね。でも、なんでオチ前提じゃなきゃいけないんだよって、そういう話ですよね。僕の相方・高岸(宏行)はオチとか関係なく話したりするやつで、僕はもっぱら「オチなんて別にいらないでしょ」というか、「聞いている側が作るものだろ」くらいの気持ちでやってますよ。そもそも、オチって普段の会話で使う言葉じゃないじゃん。落語とかいわゆる伝統芸能の技術のひとつみたいなものですから。みんな「なんじゃその話」っていうのがあってもいいし、それが基本なんだよな。

早速、前田は番組に寄せられたリスナーからのメッセージをどんどん紹介していく。

リスナー:東京で就職してすぐのタイミングで、大阪出身であることを理由にオチのある話をたくさん求められました。私はエピソードトークが得意ではないので、そんな振りで困らされたことが何回もあります。関西人なら全員オチのある話ができると思っている人が多いらしく、そんなステレオタイプに困ってしまいます。

前田:関西人だから面白い話ができるって、「女性だから」とか「男性らしく」みたいなのと一緒よ。だから、これは「関西ハラスメント」です。オチがあるとか、新喜劇で育っているから、バンッて指のピストルで撃ったら(やられたって)撃たれた振りをしてくれるでしょ、とか。あれはよくないね。そういうのは許したらダメです。

困ったらデカい声を出す!?

別のリスナーからは、オチに関してのある方法を教えてくれた。

リスナー:オチに困ったときは、とりあえずデカい声を出しておけばいいと思います。デカい声を出せば、だいたいのことはごまかせます。

前田:(レイザーラモンHGさんのように)「フォー!」とかね(笑)。たしかに、デカい声を出しちゃうとそっちのほうが求められて話が頭に入ってこないみたいな。前段階の言葉がどうでもよくなっちゃうんだよな。だって、HGさんの「フォー!」の前の会話ってみんな覚えてる? 「新宿フォー!」とか、いまいる地名を言ってるだけだからね。でも、別にみんなそれでいいじゃん。それは「フォー!」を聞きたくなってるんだよね。デカい声はいいけど、普通の会話は難しくなるよな。でも、もしめちゃくちゃスベったあとに「フォー!」って言ったら……いや、心配されるわな(笑)。

続いて、「話のオチはいらない」というリスナーからのメッセージを紹介した。

リスナー:どうでもいい話をダラダラ話しているときはすごく気が楽で、「この雰囲気は好きだな」と思います。受験生で勉強に追われる毎日、オチがない話が生きがいです。

前田:そもそも、会話に最終的な着地とか話の構成とかって、普通に生きてて考える必要なんてないのよ。無駄話こそが人生みたいなところがあるじゃん。だって、今までの水曜のこの番組を思い出してほしいんだけど、無駄話しかないじゃん。何もためになってる話なんてしてないから(笑)。その瞬間で忘れるようなことしかしゃべってないじゃない。だから、基本的にはそういう話でいいのよ。壇上に立ってしゃべるとか、そういうときに台本を作るくらいになると考えなきゃいけないけど、基本的にはこういう何にもない話で埋めていかなきゃ疲れちゃいますからね。

芸人の世界は助け合うからオチが成立する

「飲み会で失敗した」というリスナーからは、こんなメッセージが届いた。

リスナー:以前、飲み会で面白い話をしようと思って、めちゃくちゃ考えながら話をしていたら途中で何の話をしてたのか迷子になり、微妙な空気になってしまいました。そして違うとき、今度は迷子にならないように無理やりオチを付けてみたら「それ、ウソだろ」とあっさりツッコまれて、寒い空気になりました。最初から「オチなんてないんだけど」って言えばいちばんいいことを悟りました。

前田:「オチなんてないんだけど」って言う必要もないんだよな、そもそも。オチがあるときに言ったほうがいいんじゃない? 「これ、オチがあるんだけど」って(笑)。話し始めるときに「話の終わりに『フォー!』って言うんだけど」って、予告「フォー!」(笑)。そしたら「フォー! きた!」ってなるから(笑)。

前田は、芸人の先輩がオチなかった際によく使われる回避方法を紹介する。

前田:話したあとにオチがなくて自分で「はっ?」って言うのは、よく聞く。相手のせいにするみたいな。僕がもし、話をしてウケると思ってエピソードトークをしてスベったときは「そうそう」とか言って、「この空気にするために話しましたよ!」みたいな。でも、芸人の世界は僕も含め、みんな助け合うからね。助け合いがまったくない世界だと、ちょっとプレッシャーがかかるかな。

オードリーの春日俊彰は一時期、話にオチがなかった場合に「〜という話」でエピソードを締めていた、とリスナーからの情報が届いた。

前田:「〜という話」って、たぶん本当にオチがなかったんだとしたら、受け手にすごく信頼がある話の終わり方だよな。だって僕ひとりでこの終わらせ方をしたら、本当に終わるだけというか。「えっ、続きないの?」みたいな雰囲気になるというか……という話……いやいや、この終わり方は難しい。やっぱり受け手にまかせる割合が多い言葉は日常生活の話で、オチの話をしなきゃっていうのはプレッシャーがあるよね。

「オチがない話をするやつはつまらない」と言う人は

リスナーから、オチに関しての鋭いツッコミも入った。

リスナー:オチのない話をする人って、とにかく話が長くないですか? 終わりのないエピソードトークを延々と話す職場の同僚がいます。結果、誰か他の人に話しかけられて話が中断して終わったり、誰かが落としどころを見つけて話を無理やり終わらせています。

前田:長い話って、聞いてる人の負荷は高くなるよね。本でも一行が長い文章は目がチカチカしてくるし。たぶん、普段から人の話を聞いてない……そう言うと悪口だけど(笑)、話がめちゃくちゃ長い人の話は、音としては耳にしてるけど、どういう話なのかとか聞いてない人なんだろうな。だから、その人の話は聞かなくてもいいです。人の話を聞いてないから(笑)。音として認識して、返しは「たしかに」でいいのよ。話が長ければ「たしかに」に適応する文章があるから、「たしかに」で流せばいいと思いますね。

最後に、前田はリスナーからのこんなメッセージを紹介した。

リスナー:学生時代の友人が「オチがない話をするやつはつまらない」と言ったので、それがずっと胸につかえていて、オチのない話をするときは“相手の時間を無駄に奪う悪しき行為”くらいの気持ちで生きてきました。しかし、彼女ができて一緒に暮らし、考えが変わりました。彼女との話はだいたいオチはなく、意味もなく、他愛もないものですが、そんな話題でも話したいと思える相手、自分に話してくれる相手がいることに幸せを感じています。

前田:そうなんだよね。だって、毎回オチがある話を求められてもしょうがないよね。って、今日はずっと言ってるけど。あと「オチがない話をするやつはつまらない」って言ってくるやつは自分で話を広げたり、自分でオチをつけてあげることができない人だと思う。そういう技術がないことを誇らしく言ってるだけですから、みんな放っておいたらいいんじゃないかな。

たくさんのメッセージを紹介してきた前田は、番組を振り返り「最初からオチなんてなくてもいいし、オチがなきゃダメだって言っているやつの腕がない」と話す。

前田:自分を芸人のように思ってる人が多いんだろうな。たとえば「天丼」とか「ボケ弱っ」みたいな。「面白くな」って言うツッコミって、面白くできなかったお前の責任だぞって、ツッコミの僕からすると思うね。ボケの人を拾って笑いが起きなかったら、こっちの責任でもあるっていうのが芸人・前田裕太としての意見でもあるから、僕の責任じゃないよって顔をするのはちょっと違うね。アンタッチャブルのザキヤマ(山崎弘也)さんの「からの?」はある種、ボケ側が拾いにいってる発明ではあるんだよね。ツッコミの人がだいたいは拾わなきゃいけないから。でも、普段「からの?」って言われたらウザいけど(笑)。あと、フットボールアワーの後藤(輝基)さんとか麒麟の川島(明)さんとかがキレキレなツッコミをしてるけど、あれはツッコまざるを得ない性を持った人たちの特殊技能だから、そんな人たちと同じ発想になれると思うほうがおこがましい、って「オチがないの?」って言う人にはぶつけてください。

J-WAVE『GURU GURU!』は、毎週月曜〜木曜の22時からオンエア。

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番組情報
GURU GURU!
月・火・水・木曜
22:00-24:00