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aikoが「自分って全然あかん」と落ち込んだ時期に書いた曲は? 『今の二人をお互いが見てる』を全曲解説

aikoが「自分って全然あかん」と落ち込んだ時期に書いた曲は? 『今の二人をお互いが見てる』を全曲解説

aikoがニューアルバム『今の二人をお互いが見てる』の全曲解説した。

aikoがコメントで登場したのはJ-WAVEで放送された番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。オンエアは3月28日(火)。

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アルバム収録曲を本人が解説!

aikoは3月29日にニューアルバム『今の二人をお互いが見てる』をリリース。このアルバムの収録曲について、全曲aikoが解説した。



(1)荒れた唇は恋を失くす

aiko:最近いろいろあって、普通に生活してたら直面しないというか。家から出られないとか、何か気をつけなきゃいけない、見えないものにすごいドキドキしながら生活していて、自分の中でのテーマは「変わらずして変わる」なんですけど、これを作ってるときは新しいものにちゃんと挑んでいきたいっていう気持ちが強かったのかもしれないですね。願望のほうが強かったのかな。

(2)ねがう夜

aiko:何か変えたかったんでしょうね、これ作ってるとき。いろんなメロディーにしたかったし、Aでもメロディーが2つあって、Bメロで転調してサビがあって、大サビでまた変わってみたいな。転調したメロディーが出てくるけど、すぐにピアノで弾けなくて。転調してキーが変わるからコードが難しくて弾けなくて。メロディーが浮かんでくるけどコードが付いてこなくて、作っていて面白かったです。

(3)あかときリロード

aiko:自分がいろんな気持ちを更新したりリセットしたりする時間って、この時間(あかとき=夜半から明け方までの時刻)だなと思って。夜中から朝方にかけて。時代は変わっても昔も今も恋する気持ちはきっと昭和、江戸時代とかわからないですけど、誰かを思う気持ちは変わらないんじゃないかなって思って、昔の言葉と今の言葉を対等にしたかったんです。だから『あかときリロード』って。好きとか相手が嫌いなのかなとか、そういうのを超えた心で繋がっているっていう、それを信じたい気持ちで書いた曲ですね。

(4)ぶどうじゅーす

aiko:下が紫で上が氷が溶けて透明になってて、小さい水滴じゃなくて大きい水滴にガラスのまわりになってて、下にちょっと水滴が落ちてテーブルが濡れてるのを見て、「こんなに時間が経ってたんだ」って。何か緊張したり一緒にいたいって感覚で過ごしてたらジュースを飲むのも忘れて、こんなに時間が経ってたんだなって思って、そこから書き出したんですけど、でもそれがいつか人生になってこんなに時間が経ってたねって言いたいなって思って。最初はブドウジュースの1時間とか2時間の時間の経過だったけど、曲が終わったあとに、もう何年も経ってたねっていうふうにしたいなと思って。そういうふうに時間を過ごしていければいいなと思いました。

(5)さらば!

aiko:このときは本当にたぶん自分の気持ちが下を向いてて。ダメなときっていうか、『となりのトトロ』のメイちゃんとサツキがケンカして、メイちゃんが畳で寝転がってるシーンみたいなときだったんですよ。自分って全然あかん、何やってもあかん、もう無理と思って、そのときにワーッと書いたんです。ダメなときはダメだもんなっていう。好きな人を思ってるときって気持ちが高揚していつもより早くお掃除しようとかネイル塗ろうとか、そういう楽しい1人遊びが増えたりするんですけど、恋をしててちょっと気持ちが落ち込んでダメなときは何もかもしたくなくなるなって思って、そういうダメなときだけど、「せやけど好きだからな」っていう曲なんですよね。

(6)食べた愛

aiko:本当に会えないというか、全然会えてない、元気かな、本当に何してるんだろうなっていうふうに思って書いて、「しばらく会えてない友だちにも重なるな」って作り終わったあとに感じました。実はレコーディングのときにこっそり、最初に冗談で、スタッフの人に「食べたい、食べたい、食べたい……食べたい」って言ったら、「はい、じゃあ、歌ってきて」「はい、終わり終わり」って言って(笑)。冗談をすごく関西ノリで「はい、次!」って言われて「何でよ?」って何回も食い下がったんですけど「はい、歌ってきてください。大丈夫です」っていうコントがあって。そのまま普通にレコーディングも楽しくやって。そのあとに、それは全然言ってなかったんですけど、ファンの方がツイッターで「食べたいにも見える」って言って、カルビーのポテトチップスのCMソングだったから「だから食べたいなんかな」って書いてて。あながち間違ってないでって。

(7)果てしない二人

aiko:この(曲が主題歌になった)映画『もっと超越した所へ。』の、まだ何にも音が入ってない、みなさんのセリフしかはいってない状態のものを観て、どんどんのめり込んでいって、最後すごい映画だったって。最初観たときどういう展開になるんだろうって思ったのに、観る前と観たあとにこんなに気分が違う映画って初めてなんじゃないかな、邦画で。この映画に引っ張られるキーワードになるものというよりは、めちゃくちゃ底抜けに楽しい曲が作りたいと思って、曲にしたいなと思っていたデモがあったんですね。これは絶対いちばんいいと思ってそれをかたちにして聴いていただいたんですよね。そしたらいいよって言っていただけました。1番はこのままありましたね。それで2番は映画を観たあとにいろんな2人がいたなって。自分がその人とどういうふうに過ごしてきたのか、私も超越のメンバーっていう設定で、自分もあの中に入った感じで好きな人を考えながら歌詞を書きました。

(8)のぼせ

aiko:レコーディングのときに「難しいですか?」って(アレンジに参加してくれた)トオミヨウさんに言われました。最初の歌い出しのところの前がゆっくりになってるんで、入るタイミングとかそういうのもちょっと、呼吸とかそういうものでバランスを見ながらバランスを取りながら歌ったりしました。作ったときに絶対にカルテットがいいと思って、トオミさんに「カルテットでやりたい」って言って、最後にクラリネットも足してやってみようって。そうしたらたまたまクラリネットを演奏してくださったのがツアーでいつもお世話になっている方なんですけど、何かわからないんですけど、(連絡していた)1カ月スケジュールがズレてたんですよ。みんなでその方が「来ないなぁ」って思ってたんですけど、1カ月勘違いで連絡したらたまたまジムに行く前で、急いで来てくれて。急いで現場で音源を聴いてもらってすごく緊張しながら演奏してくださったんですけど、本当にプロ中のプロなんで、緊張がまたさらにいい演奏になったというか。だからスポーティーな格好で来てくれたので、すごく特別なレコーディングでしたね。私は「頑張れ!」って(笑)。ただのヤジ(笑)。

(9)アップルパイ

aiko:高校のときの同級生が言っていた、間違った言葉が歌詞に出てくるんです。私はこの言葉を学校の友だちから習って、そういう意味だと思っていまだにたまに使ってたんですけど、違うっていうことを歌い終わったあとにトオミさんがミックスダウンっていう作業をしてる最中に「aikoさんこれって……」って言われて。うちの学校では道に迷うと「ツモる」って言ってたんですよ。みんな免許取り立てで、やっと車が乗れるっていうのでみんなで神戸行ってみようとか、どっか行ってみようとかしたときに、ナビがまだそんなにない頃なんで、気付いたら誰かの家の門に到着するみたいな瞬間に、ドンツキに行ってしまうってことで「ツモった」って。「終わった」ってことで「ツモった」って使ってたんですけど、マージャンではあがるっていう意味だから、これもしかしたらうまくいったっていうふうに思うかもしれないって思って。私の中では終わってしまったっていう意味なんで、ここで訂正したいと思います(笑)。みんなはこの中の歌詞の「ツモる」は道に迷うとか「やばい、終わっちゃった」っていう意味で捉えてくれると(うれしいです)。

(10)ワンツースリー

aiko:2番の歌詞で、「明日も悲しいし」ってときは「悲しいし捨ててしまえ」って後ろではコーラスをしてるので、そうしようよってコーラスでは歌ってるんですよね。この曲のコーラスの付け方は普段私がやったことがなかったんですけど、『メロンソーダ』(FM802 春のキャンのペーンソング)っていうのをやったあのときにKANちゃんがつけてくたコーラスが、本当にKANちゃんの世界というか。今までのKANさんのアルバムやシングルのなかでやってるコーラスワークを、自分の『メロンソーダ』でやることができて、私もああいうふうに少しずつ変わっていたらいいなっていうので、こういうちょっと後追いで違う歌詞を入れてみたりとか。レコーディングしてコーラス1回入れたんですけど、もう1回入れ直して、明日マスタリングしないと絶対に間に合わないっていう前日にやりたいなと思って。ちょっとレコーディングしてから日にちが経って客観的に聴いてみたらもっと入れたいとなりました。

(11)telepathy

aiko:これ、いちばん最後に作った曲で、できたけど自分もかんたんに弾けなくて。転調して間違っちゃうからもう一度録り直してもらったりとかしてました。コーラスを作ったんですけど、いざ録ってみたら何かしっくりいかなくて、これはしっくりいくように初めてレコーディング中に同じフレーズを何回も流してもらったんですよ。それに全部ちょっと音程の違うコーラスを毎回歌って、「気持ちいい!」って思った瞬間のやつを入れたっていう(笑)。

(12)夏恋のライフ

aiko:これはテープレコーダーとかラジオボイスのような感じから始まる曲なんですけど、19歳のときに書いた曲です。私、昔のカセットテープを聴くのが苦手なんですね。昔の自分が恥ずかしいんです。音源とか映像とか恥ずかしいから聴けないのと、今をまだ更新していきたいっていう欲があって、昔の曲をスタッフの人に渡してしまうと自分の手元には残ってないようにしてるんですよ。結構。でも、それはよくないよって言われて、一応CD-Rにデモ音源を焼いてくれるんですけど、それも聴かないようにしていて。聴くのが苦手なんです。昔の曲は昔の曲のままカセットテープで取ってあるんですけど、たまたま友だちに「これ出さないの?」ってたまに口ずさんでるけどって言われて。ちょっと歌ってて言って、ボイスメモで送って来てくれて。「ああ、この曲?」って言って、確かに出したいなと思ってスタッフの方に聴いていただいて、これ好きなんだけどって言ったら「いいやん!」って言ってくれて。サビの「半袖長袖」っていうところとか、「19歳のaikoがそう思ってたんだな」って感じます。だから面白いんです。19歳のときなんて鼻垂れてましたから、何もわからなかったのにきっと今以上に何も知らなかったのに、すごく恋愛に一生懸命だったんだなって。「何言ってるんねん」って今の自分が思ったりするんですけど、好きな人のことをめちゃくちゃ苦しいくらい好きになって失恋したんだなって。

(13)玄関のあとで

aiko:ライブとかコロナ禍で過ごしてきた日々ってつらかったけど、自分のことを見つめ直したり、いろんなことを考える時間でもあったと思うので、それは恋愛も一緒で。人間みたいな、自分と好きな人、ライブとか全部自分の大切なものをもっと大切にしようってコロナ禍で感じました。この曲ができたきっかけは、本当に玄関が散らかってたんです。家の玄関ってやっぱり家の顔だから、靴をしまったりとかきれいに揃えたり、その日履く靴を置いたり、きれいにしなきゃいけないけど、忙しくてぐちゃぐちゃになってるときがあって。これを見たときに、何か散らかってるなって思って、それを揃える人がいて、それを汚す人がいて、それが生活で。でもお互いのいろんな気持ちが揃わないとここが汚れていくんだなって思って。そういう積み重ねの時間で最後になってしまったらどうしよう、と思って作ったんですよね。

生活のなかでこの曲はできたので、あらためてコロナ禍も含めて今、少しずつ変わっていっているなかで、逆に変わることがまたそこに合わせることにストレスを感じる人もいると思うし。変わろうと思ってすごく頑張って変わったらまた大変なことが起こったりとか、これからもいろんなことがあると思うけど、この期間を経て人との向き合い方とか大事な人のことを思う気持ちとか、一瞬出会えたその瞬間の奇跡の時間をどれだけ愛して大事に抱きしめようっていうふうにあらためて思い直すことができたので、去年のああいうライブもできたし、このアルバムもできたような気がしますね。だからこの曲ができた瞬間に最後に入れようって。それだけは決まってたんですよね。『荒れた唇は恋を失くす』とこの『玄関のあとで』は1曲目と最後にしようっていうのは満場一致でした。そこからいろんなパズルがあったりとかしましたね。

Spotifyでは、今回お届けできなかった未公開部分も含むアルバム全曲を本人インタビューで解説したLiner Voice+ aiko「今の二人をお互いが見てる」を公開している。



aikoの最新情報は、公式サイトまたは、オフィシャルTwitterまで。

J-WAVE『SONAR MUSIC』は、月~木の22:00-24:00にオンエア。

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2023年4月4日28時59分まで

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