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寛一郎×吉岡里帆、役者という仕事に必要な「集中」と「余白」を語る

寛一郎×吉岡里帆、役者という仕事に必要な「集中」と「余白」を語る

俳優・寛一郎と吉岡里帆がJ-WAVEで対談。寛一郎の初挑戦となる舞台や、父・佐藤浩市とのエピソードを吉岡が掘り下げた。

ふたりのトークが繰り広げられたのは、J-WAVEで放送中の番組『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。3月19日(日)のオンエア内容をテキストで紹介する。

寛一郎と対面して感じた印象は?

寛一郎は2017年、映画『心が叫びたがってるんだ。』で俳優デビュー。以降、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『菊とギロチン』をはじめ、数々の映画やドラマに出演している。吉岡里帆とは、2020年に公開した映画『泣く子はいねぇが』で共演した間柄だ。

吉岡:お久しぶりですね。

寛一郎:映画の舞台挨拶が最後でしたね。

吉岡:『泣く子はいねぇが』で一緒のシーンはなかったですが、印象的だったエピソードはありますか?

寛一郎:仲野太賀さんとはタッグって感じだったんですけど、吉岡さんとは顔合わせで会いましたよね。作品を観たあと、フラットな気持ちで「吉岡さん、すげぇな」と思いました。

吉岡:いえいえ(笑)。寛一郎君の作品は『チワワちゃん』を観ていて、お父さん(佐藤浩市)とも共演したことがあったんですね。『チワワちゃん』を観たって話になった流れで、お父さんのほうから「どうだった?」ってキラキラした目で聞かれたんです(笑)。こういうところがおもしろかったって話をしたんですけど、息子思いなお父さんだなと私には思えたんですね。それを経てご本人に会ったんですけど、もっと尖った方だと思っていたんですよ。だけど実際お会いしたら、オリジナリティとピュアさと、ぶっきらぼうに見えるんだけど、すごく人懐っこくてかわいいところがあると感じましたね。

寛一郎:隠してたんですけどね(笑)。ありがとうございます。

初舞台で難易度の高い戯曲にチャレンジ

3月19日(日)、寛一郎の初舞台にして初主演となる舞台『カスパー』の公演がスタートした。吉岡は「どうしてこんなに難易度が高い舞台を初主演でこの人はチャレンジできるんだ。すごい」と驚いた様子。

寛一郎:ハードルが高いのはわかっているんですけど、カスパーの本に惚れちゃったんですよね。あと先考えずにって感じです(笑)。

吉岡:こちらの舞台はノーベル文学賞作家のペーター・ハントケが作、演出がウィル・タケットでして、実話を基にした戯曲になっています。『カスパー・ハウザーの謎』という映画が映像作品としてあるんですけども、戯曲自体はそれよりも前の段階なんですよね。キャラクターは16歳まで牢獄で監禁されていた少年が外の世界に出てきて、言葉を覚えていく……という物語です。

寛一郎:16歳でいきなり言語、社会、公共のものと初めて触れ合うお話なんですけど、言語が本当はどういう意味で使われているのか再認識できる脚本だなと思い、やりたいなと思ったんですよね。

吉岡:原作は難しい戯曲と言われていますし、別名「言葉の拷問劇」ともいわれています。台詞がすごい量あるそうですが、(脚本を)読んだときに引きませんでした?

寛一郎:最初は間違えちゃって読み物として読んじゃったんですけど、すごくおもしろかったんですよね。やるってなったあとに「これは覚えるの無理だな」と思いました(笑)。

吉岡:あはは(笑)。インタビューをお伺いしていましたが、覚えは早いほうなんですね?

寛一郎:うん。そういうことを言っちゃったけど(笑)。

吉岡:稽古を経て、言葉の馴染みかたはどうですか?

寛一郎:僕らは普段、物事を理路整然と順序だてて語ってくれたほうが頭に入りやすいじゃないですか。(カスパーは)けっこう言葉が散らかっているんですよ。だから入りにくいんですけど、途中から彼が喋れるようになってきて、それからの台詞は早かったですね。

吉岡:なるほど。戯曲の冒頭に出てくるカスパーの台詞だと思うんですけど、「僕はそういうような、前に別人だったことがあるような人になりたい」を繰り返すと紹介されていますね。

寛一郎:その文章しか知らなくって、何に対してもそれを言うんですよね。「痛い」ってことに対してもその言葉で片付けてしまうんです。

吉岡:読み解こうとするとすごく難しいじゃないですか。絶対に観に行こうと思っている舞台なんですけど、実は寛一郎君がゲストに来てくれる前から気になっていたんです。こんなおもしろそうなのを寛一郎君がやるんだって思いました。あと、舞台のポスターがめっちゃカッコいい。

寛一郎:ありがとうございます!

吉岡:カスパーのことを調べていると、自分のことを認識できていないところもあるのかなという印象も受けました。野生児という扱いを受けていて、動物的だし社会の一部という認識もない。自分のアイデンティティみたいなのもわかっていないというか、そもそもそういった概念がないのかなと思っていて。(ポスターは)それを体現しているというか、鏡を見てゲシュタルト崩壊をしたときの顔なんですよね。自分を見ているのに自分がわからない表情のポスターだから、びっくりしました。

寛一郎:初めて言われました。本を読んでずっとゲシュタルト崩壊しっぱなしの毎日なので、そういう顔になっちゃった(笑)。

舞台『カスパー』の詳細は公式ホームページまで
https://tspnet.co.jp/whats-ons/kaspar-2023/

集中する時間をあらかじめ決めておく

ふたりは役者という職業を通じて、「集中力」について語り合った。

寛一郎:吉岡さんは、集中力はあるほうですか?

吉岡:私は集中してやるぞって時間を決めています。朝、24時間のうちで集中する時間を決めるんです。

寛一郎:なるほど!

吉岡:そうやって決めていないと変なところで集中が切れるんですよね。

寛一郎:自分の集中力とペースがよくわかっているってことですね。

吉岡:ね。だんだんですけどね。30歳になったので、そのあたりは頑張っています(笑)。寛一郎君はずっと役に染まったまま、その世界観でいられますか? 私は不可能なタイプなんですよ。

寛一郎:僕も無理だと思います。

吉岡:噂では、ずっとそのままでいられる人もいると聞くじゃないですか。

寛一郎:僕の父親はそういうタイプなんですよね。今、自分も同じ仕事をやってみてそれはできないし、それをする意味はあるのかなと思うところもあります。

吉岡:現代っ子って感じがしますね。

寛一郎:塩梅がすごく難しいし、人によるところがありますよね。

吉岡:意外とパーソナルな部分を知らないので、今日はそこも聞いていこうかなと思っています!

父の仕事姿を身近で見ていた幼少期

番組では、寛一郎のパーソナルな部分にも迫ることに。幼少期は駄菓子をよく買う子どもだったという話題を経て、父・佐藤浩市の撮影現場に遊びに行っていたという思い出が明かされた。

吉岡:めっちゃいいですね。すごい英才教育じゃないですか。

寛一郎:友だちと遊びたいし、別に僕は行きたくはないですよ(笑)。だけど、撮影現場って緊張と緩和がすごくあるじゃないですか。それを体感できたのはすごくいい経験だし、現場に行くことで父親が何をしているのを知れたんですよね。今考えると、すごくいい環境にいたなと思います。

現在、父と話すときは仕事の話がメインになるのだそう。

吉岡:たわいもない話はあまりしない?

寛一郎:家族としての会話はほとんどなかったんですよ。仕事をし始めるようになってからやっと話せるようになったケースですね。

吉岡:じゃあ、お互いの作品を観て感想を話すことはありますか?

寛一郎:あります。最近のは観ていないんですけど、父親の作品はほとんど観ています。

吉岡:好きとか嫌いとかも言う?

寛一郎:うん(笑)。

吉岡:そうなんだ。自分は両親が同じ仕事をしていないので、まったく何も知らないまま入ったタイプなんですね。子どもの頃から見て(現場を)知ってるってどんな感じなのかなって。

寛一郎:僕は逆にそれ以外を知らないから、普通の家族ってどういう話をするんだろうなって思いますけどね。

吉岡:ちょっと歌舞伎一家みたいなところもありそうですね。

寛一郎:ね。何かを継承するという意味では近い部分があるなと思います。

脳の余白を確保することは大切

寛一郎はライフスタイルにまつわることで好きなことについて、「寝る時間とお風呂の時間」と答えた。

吉岡:健康志向?

寛一郎:そういうのではないんですけど、台詞を覚えたり仕事が行き詰まっていたりすると、脳に余白を作りたいときってあるじゃないですか。

吉岡:あります。

寛一郎:家ではないですけど、サウナで整うときは何も考えられないんですよね。そういう時間は好きだし大事かなと思います。

吉岡:私、余白を作るのが下手なんですよねえ。

寛一郎:もし、何も考えたくないときはどうするんですか?

吉岡:父親が瞑想をすすめてくれたんです。瞑想法ってベーシックなものだと6種類ぐらいあるから、「試して自分に合うものを見つけないと。仕事柄絶対にいるよ」みたいに言われています(笑)。

寛一郎:素晴らしいお父さんですね。

吉岡:やり方を教えてもらって1個1個やるんですけど、やるとそれに捉われすぎちゃうんです。たとえば、1個のものを見続けてそれだけを考えて瞑想する方法でも、考え過ぎて頭が燃えそうになるんですよ(笑)。あと、歩きながらとか食べながらできる瞑想もあると聞いてやるんですけど、歩いていたら歩くのが楽しいし、食べていたら食べ物に集中しちゃう。ダメなんです(笑)。今後、瞑想を取り入れたいんですけどね。

寛一郎:僕も瞑想ができれば一番いいなと思います。僕も考えちゃうからできないんですよ。

吉岡:「何も考えないぞ」を考えちゃう(笑)。

寛一郎:そうなんですよね(笑)。

『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、より良いライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。

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2023年3月26日28時59分まで

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毎週日曜
18:00-18:54