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吉岡里帆が『VOGUE JAPAN』新編集長に聞く。革新的な取り組みの背景にある思い

吉岡里帆が『VOGUE JAPAN』新編集長に聞く。革新的な取り組みの背景にある思い

『VOGUE JAPAN』編集長のティファニー・ゴドイさんが、『VOGUE』に込めた思いや、自身のライフスタイルについて語った。

ゴドイさんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。2月12日(日)のオンエア内容をテキストで紹介する。

2022年より『VOGUE JAPAN』の新編集長に

ティファニー・ゴドイさんは25年前に来日し、ファッションエディター、コンサルタントとしてさまざまなメディアで活躍。その活動が高く評価され、2022年1月に『VOGUE JAPAN』(コンデナスト・ジャパン)の編集長に就任した。

吉岡:まさかラジオに来ていただけるだなんて。すごく光栄です。そして、今日のメイク、お洋服、髪型全部のバランスが本当にカッコいいです!

ティファニー:ありがとうございます。

吉岡:まずは、130年前にアメリカで創刊し、現在29の国と地域で販売されているファッション誌『VOGUE』のお話を。世界中のファッションを愛する人みんなが憧れる雑誌かと思います。ティファニー・ゴドイさんは『VOGUE JAPAN』で編集長を務めていらっしゃいます。現在の『VOGUE JAPAN』はどんなコンセプトなのでしょうか?

ティファニー:日本は美しさ、イノベーション、テクノロジーが進んだ国だと思います。ウォークマン、携帯の絵文字といった初めてのものを創っていたから、『VOGUE』のなかにもその“DNA”を入れています。

吉岡:就任されてから『VOGUE』の誌面もですし、Instagram、YouTubeといったあらゆるコンテンツで革新的なことがおこなわれているんだなと感じています。2020年にアナ・ウィンターさん(アメリカ版『VOGUE』編集長)が各国のリニューアルを考えていらっしゃって、海外版は順番を追ってだと思うんですけども、日本版に着手されたのが最後だったそうで。

ティファニー:そうですね。日本はいつも特別(笑)。

吉岡:アナログとデジタル両方を行き来するものを日本版で作ってほしいという要望を、1年も満たないあいだに革新されているのがすごいなと思います。

吉岡は、『VOGUE JAPAN』の2023年2月号のテーマである「ファッション・ビッグ・データ」という表記が気になったようだ。

吉岡:大き目のカタカナで書いてあるんですよね。今までの『VOGUE JAPAN』って、けっこう英字で書いてある印象なんですけども、これもティファニーさんの(アイディア)?

ティファニー:はい。みんな昔は海外に憧れていたと思うんですけども、時代がすごく変わってきて。海外から日本を見るとすごくカッコいいなと私は思いますし、InstagramとかYouTubeでは若いインフルエンサーの子が90年代の日本のコンテンツをアップしているんですね。日本人が日本に対してプライド、カッコよさを感じてほしくて日本語ファーストにしました。(日本語ファーストは)『VOGUE JAPAN』のアイデンティティの1つだと思うから、パッと見て伝わる印象にしたいと考えました。アジアは5年前とは全然違っていて、アジアのアーティストをみんなが見たくなるような形になってきているから、アジアファースト、日本ファーストの考え方をなるべく持ちたいと思っています。

デジタルの世界にもファッションモデルを

『VOGUE JAPAN』のデジタルアイコンとして生み出されたオリジナルアバターのS六S(シックス)は、2022年10月号より登場。QRコードを読み取り本誌にかざすと、シックスがARで飛び出す仕掛けが話題を呼んだ。

吉岡:S六Sはピンク髪の、スタイリングもとっても今っぽいおしゃれな女の子です。アイディアとして出てきたときはどう思われましたか?

ティファニー:グローバルから見ると、日本は漫画やアニメのキャラクターのファンが多いから、メタバースから出てきたスタイリッシュな読者モデルアンバサダーを作ったら一緒に遊べるかなと思いました。

吉岡:面白い。

ティファニー:やっぱり、(デジタルと紙の)インタラクティブさが(大切)。携帯で紙をスキャンすると出てくるといった、紙とデジタルが繋がる機能を大事にしました。

流行の最先端に立てる理由

あらゆる情報が溢れている現在社会において、ファッション誌はどのような形で「届けたいもの」を選び出しているのだろう?

吉岡:どれだけ大変なことなんだろうって想像できない世界なんですよね。どういったルールでセレクトしているのでしょうか?

ティファニー:物と情報が多いからこそ、逆に私たちはみんなの役に立てると思っているんですね。展示会をまわるときはちゃんとプレスの方と話しているのですが、コンパクトで正しい情報を持った人たちなんですよ。あとは、『VOGUE』すべての編集長とよく話しているから世界中の流行を知ることができます。

情報を取り入れているうえで、各国の経済や世界情勢を考慮することは欠かせないとゴドイは語る。

吉岡:お洋服一着選ぶときでも、何をベースに選べばいいのか悩むラジオの視聴者さんは多いと思うんですね。こういう基準を持てばいいんじゃないという、ティファニーさん流のアドバイスをいただきたいです。

ティファニー:こんまり(近藤麻理恵)さんの考え方がいいと思う。自分が持っていてハッピーになるもの(を取り入れ、残していく)。あとは、ずっと使えるもの、自分らしいもの。それを意識すればカッコいいと思います。

オフの時間はどう過ごす?

ファッション誌の編集部で働く女性の姿を描いた映画『プラダを着た悪魔』が大好きな吉岡は、雑誌編集者が多忙でプライベートな時間がなさそうと感じているようだ。

吉岡:雑誌1冊ができあがるまでって、ありとあらゆる仕事が詰まっていると思うんですね。ティファニーさんはどうやって自分の自由な時間を持ったり息抜きをしているのですか?

ティファニー:雑誌とかウェブサイトは1人で作っていないし、絶対自分のプラン通りでいかないしいろんなハプニングがある(笑)。タフな気持ちがすごく必要だし、ゴールまで行く力、ファイトが必要ですね(笑)。1人で作れないからこそ、チームワークが本当に大事。だから、けっこう私はフラットにみんなからアイディアを聞いたりする。それと同じぐらい、オフの時間も大事です。

吉岡:どういうときにオフを感じますか?

ティファニー:この仕事をやっている人たちって、自分の趣味を仕事にしている部分もあると思うんですね。なので、美しいものを見たり、文化を作っている人たちと一緒にごはんを食べたりする。オフタイムは朝起きたらメディテーション(瞑想)をして、運動する。

吉岡:すごい! やっぱりそういう時間をとられているんですね。

ティファニー:あと、友達と話すことはすごく大事です。

『VOGUE』に夢中だった少女時代

ティファニーさんは子ども時代、とてもシャイな性格だったという。

吉岡:こんなにチャーミングで明るくてコミュニケーション力抜群のティファニーさんなのに!

ティファニー:静かでした。

吉岡:(シャイなのは)ご両親の影響? それとも、ご自身オリジナルのものなのでしょうか?

ティファニー:なんでだろうな(笑)。

ティファニーさんは幼い頃からアートが好きだったそうだ。

ティファニー:映画とかが大好きだった。

吉岡:どういう映画がお好きだったのですか?

ゴドイ:どうしてだか、若いときからイタリア映画を観ていて、かなりアート系とかインテリ系が好きだった。だから、日本に来たときにこんなに文化が違うんだと感じた。あと、お父さんがアルゼンチン人だから、他の遠い国に興味を持っていましたね。

吉岡:10代の頃はお金を貯めて雑誌を集めていたそうですね。やっぱり、ファッション雑誌がお好きだったんですね。

ティファニー:そう。アメリカのショッピングモールの本屋で『VOGUE UK』を見つけて、知ってるブランドなのに、掲載されている服のデザインが(アメリカで販売されているものと)全然違っているのが不思議だと思って。もっと見たいと思って買って、家族には「絶対誰も触らないで」と(笑)。

吉岡:本を、綺麗に大事に(笑)。雑誌を大事にしていた女の子が、まさか将来編集長になるだなんて。

日本に来てお風呂が好きになった

ティファニーさんは「快適に暮らすために心掛けていること」として「バスタイム」を挙げた。

ティファニー:私、お風呂が大好き。最初日本に来たときは全然好きじゃなかったの。時間の無駄だと思ってた(笑)。

吉岡:何をまったりお風呂に浸かっているんだと(笑)。

ティファニー:うん(笑)。でも、今の私はとっても大好きで、いろんなバスソルトを入れて、キャンドルをつけて、たまに映画を観たり音楽を聴いたりします。

吉岡:海外のホテルってシャワー用だから浴槽が浅いじゃないですか。私、あれがすごく寂しいです。ちょっと深くしたら気持ちいいのにっていつも思います(笑)。日本の浴槽、根付いたら売れると思うんですけどね。

ティファニー:海外だと、今は日本のトイレがすごくおしゃれ(だと思われています)。

吉岡:機能もいっぱいついていますしね。

ティファニー:そうそう(笑)。

こだわり抜いた家具を置きたい

続けてティファニーさんは、東京とパリにある住まいについて語った。

ティファニー:パリの家はちょっとごちゃごちゃ。東京の家はまだ家具を探しているから、今は何もないんです。

吉岡:すっきりした感じなんですね。

ティファニー:たまに使いにくい(笑)。

吉岡:たまに(笑)。どういうところが使いにくいんですか?

ティファニー:寝る場所はすごくいいんだけど、Zoomをやるときに座る場所がない(笑)。

吉岡:今の時代、Zoomを使うことは多そうですよねえ。

吉岡の「暮らしのなかでほしいものはありますか?」という問いかけに、ゴドイは「家具」と即答した。

吉岡:家具早く買ってください(笑)。

ティファニー:今はイタリアのヴィンテージソファを見ていて、いいものがなかなか探せない。

吉岡:時間をかけて選ぶのは大事ですよね。変なの買ったらテンション下がっちゃいますもんね。

ティファニー:そう! 選ぶときは何が大事か(考える)。

吉岡:ベストなものを見つけ出す。

ティファニー:カッコつける(笑)。

吉岡:ティファニーさんが魅力的すぎて、あっという間に終わってしまいました。ありがとうございました。

ティファニー:ありがとうございます。すごく話しやすかったです。

吉岡:そう言ってもらえたらすごく嬉しいです。

『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、より良いライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。

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