映画監督の高城 剛が初めてメガホンをとった映画『ガヨとカルマンテスの日々』について語った。
高城が登場したのは、11月25日(金)に放送されたJ-WAVEの番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)のワンコーナー「ROAD TO INNOVATION」。
川田:世間話のように話していたことがいくつかあるんです。それはNetflixについて。4年前と言えば、Netflixはもうイケイケですが、高城さんは「いや、ディズニー・チャンネルのほうがすごいんじゃない?」って言ったんです。
高城:実際そうじゃないですか?
川田:そうなっているんです(笑)。そして欧米の貧困とエネルギー問題。これはもう戦争の火種にもなっているようなことですから、見事に当たってしまって。
高城:でもこれからだと思いますよ。
川田:あとは仮想通貨とかデジタル通貨の話をされていました。いまは「ペイペイ」や「マイナポイント」が国内にありまして、それと連携したりして、仮想通貨ではなく電子決済という意味で進んでいると思います。そのときに指摘してくれたことがその通りになっているなと。
高城:ということは今日、これから4年後を推察する会ということですか?
川田:2018年の時点で高城さんは30年後の未来を言ってくれたので、だいぶバッファはあるんですけどね(笑)。
高城:じゃあ今日は50年後の未来を話しましょうか。
川田:もう50年後が見えてますか。
高城:見えてないけど「こうなったら楽しいだろうな」ということをお話するだけです。その楽しくなる前に、大変なことがたぶんいっぱいあるので、それを現実的に考えていかないといけないですよね。
川田:4年前に「もう画面のなかにイノベーションはないよ」と言われて。
高城:そう思いますよ。というか「イノベーション」という言葉自体がちょっともう恥ずかしいんじゃないですか。
川田:それ4年前にも言われました(笑)。
4年前の出演時から「イノベーションは古い」と発言していた高城だが、現在進行形でイノベーションがあるものを1つ挙げた。
高城:これは15年ぐらい前から言っているんだけど、僕は最後のイノベーションは人間の身体だと思うんです。僕は自分で自分の遺伝子を公開するという本を出しました。たとえば野菜って健康的だと言われているよね? でも僕は野菜がまったく合わないんです。野菜を食べれば食べるほど不健康になって調子が悪くなる。そういう人が遺伝子を解析することによってわかるようになったんです。次世代シーケンサーによって各人の遺伝子が非常に安価にわかるようになりました。それを理解することで、じゃあ自分はなにを食べたらいいのか、どういう仕事が向いているのか、どこに住んだほうがいいのか、こういうこともわかるんですよ。これはすごいイノベーションじゃないですか?
<あらすじ>
米国国家財政破綻後の世界。カリブ海に浮かぶ小国で、為政者とマスコミによってテロ容疑を着せられたマルラは、余儀なく逃亡生活を送り、精神安定剤(カルマンテス)を片時も離せない日々を送っていた。一方、ルイスは国外脱出資金捻出のため、闘鶏(ガヨ)に人生を賭け、一発逆転を夢みる。マルラは前世療法と出会い、徐々に本当の自分を取り戻すが、「分断した世界」のなかで、世界初の精神安定剤の市販化を目論む極右勢力によって治療家は惨殺。日々、社会が混沌するなか、マルラとルイスは「ある決意」をする。
(NEXTRAVELERより)
川田:映像の世界に高城さんが帰ってきたのがうれしいです。
高城:飽きっぽいからいろいろなところを回って、たまに戻ってくるんですよね。コロナでいろいろなことができなくなって。僕は沖縄に半年間ぐらいいて、まったく働かなかったんです。本を読んだり映画を観ていて「映画を自分でも撮ってみようかな」と思って撮り始めました。
川田:そんなノリなんですか!? でももともと映像を撮ってたじゃないですか。
高城:コマーシャルとか連ドラも撮っていたこともあるけど、それは自分の作品というよりは仕事だから。
川田:わけあって映像の世界から離れたのかと思ってたので。
高城:いや全然。回ってくるんですよ。順番で言うと映像、音楽、字を書くというのが大体順番に回ってきています。ちょうどそのときに、映像の順番だったんでしょうね。コロナになっちゃったから「どうしようかな、なにもできないな」と思って。そのときに入っていた映像の仕事が全部なくなっちゃったんですよね。それで毎日、本を読んで映画を観ていて。「これはちょっと面白いからやってみよう」と思って、自分がそのときに読んだ面白い本を原作に……芥川龍之介だったんですけど、それを原作にして映画を作ってみました。だからその半年で1000本ぐらい映画を観ましたよ。
川田:8Kのカメラは比較的、以前と比べると撮りやすくなった?
高城:映画はいまもそうなんだけど、大きなシネマカメラで撮るんです。ちょうどソニーが「10bit」という新しい、きれいに撮れる画像の圧縮のレートと8Kという高解像度のカメラを数十万円単位で出したんですよ。1個買ってみたらすごくいいわけ。「じゃあこれで撮ってみよう」と思って。なぜなら小さいから。ようは大きいものが嫌いなんですよね。だから小さいものでそれをいっぱい買って撮ってみました。同時に10カメとかで回しているんです。
川田:一時期、高城さんにお会いするとドローンの話ばかりしていたときがあって。それも組み合わさってます?
高城:自作のドローンを飛ばしています。
川田:じゃあドローンの映像も入ってる?
高城:相当入ってますよ。あと無人カメラがすごく多いから。AIじゃなくて実際に無人カメラをそこに置いておくんです。カメラマンに頼むのも面白くないから、メールマガジンでスタッフを募集しました。録音技師はいません。32bitフロートという(音が)割れない、小さいレコーダーができたんです。これをピンマイク代わりにつけることによって、ほぼ(録音技師が)いなくて大丈夫というか、音割れを気にしなくていいから現場で調整する必要がないんですよね。これも10台とかその辺に並べてマルチレコーディングしているので、すごい環境で撮ってますよ。
川田:しばらく映像を撮る人になるんですか?
高城:また飽きるからなあ。2023年はコーヒーを作る予定だから、映画は撮れない。来年はコーヒーを作ることに熱心になっちゃって。サードウェーブコーヒーからイノベーションが起きてないから、新しいフォースウェーブコーヒーみたいなのを作ろうと思って。ついこのあいだもアフリカ、エチオピアとかにずっと行って、コーヒーファクトリーを回ってるの。自分でもピッキングしましたよ。来月は新興国のベトナムに行って、再来月はグアテマラに行こうと思ってます。
高城:大体2028年って社会が大きく変わる節目の年だと思います。アメリカは6年後も世界最大の強国ですけど、そのアメリカがおそらく2028年に大きく変わります。選挙に投票する過半数がミレニアルズとZ世代になるということは、彼らが考えている社会が作られ始めるスタートの年なんだよね。彼らはとてもリベラルで、簡単に言うと市場主義じゃなくて市民主義です。いまみたいな大企業中心ではなくて、もうちょっと市民にフォーカスした社会構成になると思います。これってヨーロッパで実は始まっていて、簡単に言うと地方分権だよね。「目の届く民主主義」がヨーロッパで一部始まっているんです。そういう世界にたぶんなると思います。そうするといまのGAFAみたいなものが、どんどん力がなくなって、大企業はいわゆるいまみたいな発言力を政治に持てなくなると思います。社会がまったく変わりますね。今回の僕らの映画のテーマもそうなんだけど、民主社会主義というのになる。
川田:票という意味だと若手の数が少ないじゃないですか。
高城:日本はね。アメリカは別なんですよ。日本は相変わらず保守的になるから、アメリカと日本の乖離はものすごくできると思います。
川田:ヤバいじゃないですか。
高城:でも地方分権ってすごい可能性が残されているんです。
川田:それは日本も?
高城:はい。ものすごく大きな社会変化。つまり人間じゃないなにかによってもたらされると考えたほうがいいと思うし、僕らが生きているあいだにそうやって大きな社会変化に直面する確率は、相当高いんじゃないですかね。
通りすがりの天才・川田十夢がナビゲートする『INNOVATION WORLD』のワンコーナー「ROAD TO INNOVATION」の放送は毎週金曜日20時10分ごろから。
高城が登場したのは、11月25日(金)に放送されたJ-WAVEの番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)のワンコーナー「ROAD TO INNOVATION」。
「最後のイノベーションは人間の身体だと思う」
高城が監督を務めた映画『ガヨとカルマンテスの日々』が公開中。番組には4年ぶりの登場となった。川田は高城が2018年に出演した際の発言について「答え合わせ」をする。川田:世間話のように話していたことがいくつかあるんです。それはNetflixについて。4年前と言えば、Netflixはもうイケイケですが、高城さんは「いや、ディズニー・チャンネルのほうがすごいんじゃない?」って言ったんです。
高城:実際そうじゃないですか?
川田:そうなっているんです(笑)。そして欧米の貧困とエネルギー問題。これはもう戦争の火種にもなっているようなことですから、見事に当たってしまって。
高城:でもこれからだと思いますよ。
川田:あとは仮想通貨とかデジタル通貨の話をされていました。いまは「ペイペイ」や「マイナポイント」が国内にありまして、それと連携したりして、仮想通貨ではなく電子決済という意味で進んでいると思います。そのときに指摘してくれたことがその通りになっているなと。
高城:ということは今日、これから4年後を推察する会ということですか?
川田:2018年の時点で高城さんは30年後の未来を言ってくれたので、だいぶバッファはあるんですけどね(笑)。
高城:じゃあ今日は50年後の未来を話しましょうか。
川田:もう50年後が見えてますか。
高城:見えてないけど「こうなったら楽しいだろうな」ということをお話するだけです。その楽しくなる前に、大変なことがたぶんいっぱいあるので、それを現実的に考えていかないといけないですよね。
川田:4年前に「もう画面のなかにイノベーションはないよ」と言われて。
高城:そう思いますよ。というか「イノベーション」という言葉自体がちょっともう恥ずかしいんじゃないですか。
川田:それ4年前にも言われました(笑)。
4年前の出演時から「イノベーションは古い」と発言していた高城だが、現在進行形でイノベーションがあるものを1つ挙げた。
高城:これは15年ぐらい前から言っているんだけど、僕は最後のイノベーションは人間の身体だと思うんです。僕は自分で自分の遺伝子を公開するという本を出しました。たとえば野菜って健康的だと言われているよね? でも僕は野菜がまったく合わないんです。野菜を食べれば食べるほど不健康になって調子が悪くなる。そういう人が遺伝子を解析することによってわかるようになったんです。次世代シーケンサーによって各人の遺伝子が非常に安価にわかるようになりました。それを理解することで、じゃあ自分はなにを食べたらいいのか、どういう仕事が向いているのか、どこに住んだほうがいいのか、こういうこともわかるんですよ。これはすごいイノベーションじゃないですか?
「同時に10カメ」も! 監督作が上映中
高城が監督を務めた、全編キューバで8K撮影した長編映画『ガヨとカルマンテスの日々』が11月26日からユナイテッド・シネマ アクアシティで上映されている。<あらすじ>
米国国家財政破綻後の世界。カリブ海に浮かぶ小国で、為政者とマスコミによってテロ容疑を着せられたマルラは、余儀なく逃亡生活を送り、精神安定剤(カルマンテス)を片時も離せない日々を送っていた。一方、ルイスは国外脱出資金捻出のため、闘鶏(ガヨ)に人生を賭け、一発逆転を夢みる。マルラは前世療法と出会い、徐々に本当の自分を取り戻すが、「分断した世界」のなかで、世界初の精神安定剤の市販化を目論む極右勢力によって治療家は惨殺。日々、社会が混沌するなか、マルラとルイスは「ある決意」をする。
(NEXTRAVELERより)
川田:映像の世界に高城さんが帰ってきたのがうれしいです。
高城:飽きっぽいからいろいろなところを回って、たまに戻ってくるんですよね。コロナでいろいろなことができなくなって。僕は沖縄に半年間ぐらいいて、まったく働かなかったんです。本を読んだり映画を観ていて「映画を自分でも撮ってみようかな」と思って撮り始めました。
川田:そんなノリなんですか!? でももともと映像を撮ってたじゃないですか。
高城:コマーシャルとか連ドラも撮っていたこともあるけど、それは自分の作品というよりは仕事だから。
川田:わけあって映像の世界から離れたのかと思ってたので。
高城:いや全然。回ってくるんですよ。順番で言うと映像、音楽、字を書くというのが大体順番に回ってきています。ちょうどそのときに、映像の順番だったんでしょうね。コロナになっちゃったから「どうしようかな、なにもできないな」と思って。そのときに入っていた映像の仕事が全部なくなっちゃったんですよね。それで毎日、本を読んで映画を観ていて。「これはちょっと面白いからやってみよう」と思って、自分がそのときに読んだ面白い本を原作に……芥川龍之介だったんですけど、それを原作にして映画を作ってみました。だからその半年で1000本ぐらい映画を観ましたよ。
川田:8Kのカメラは比較的、以前と比べると撮りやすくなった?
高城:映画はいまもそうなんだけど、大きなシネマカメラで撮るんです。ちょうどソニーが「10bit」という新しい、きれいに撮れる画像の圧縮のレートと8Kという高解像度のカメラを数十万円単位で出したんですよ。1個買ってみたらすごくいいわけ。「じゃあこれで撮ってみよう」と思って。なぜなら小さいから。ようは大きいものが嫌いなんですよね。だから小さいものでそれをいっぱい買って撮ってみました。同時に10カメとかで回しているんです。
川田:一時期、高城さんにお会いするとドローンの話ばかりしていたときがあって。それも組み合わさってます?
高城:自作のドローンを飛ばしています。
川田:じゃあドローンの映像も入ってる?
高城:相当入ってますよ。あと無人カメラがすごく多いから。AIじゃなくて実際に無人カメラをそこに置いておくんです。カメラマンに頼むのも面白くないから、メールマガジンでスタッフを募集しました。録音技師はいません。32bitフロートという(音が)割れない、小さいレコーダーができたんです。これをピンマイク代わりにつけることによって、ほぼ(録音技師が)いなくて大丈夫というか、音割れを気にしなくていいから現場で調整する必要がないんですよね。これも10台とかその辺に並べてマルチレコーディングしているので、すごい環境で撮ってますよ。
川田:しばらく映像を撮る人になるんですか?
高城:また飽きるからなあ。2023年はコーヒーを作る予定だから、映画は撮れない。来年はコーヒーを作ることに熱心になっちゃって。サードウェーブコーヒーからイノベーションが起きてないから、新しいフォースウェーブコーヒーみたいなのを作ろうと思って。ついこのあいだもアフリカ、エチオピアとかにずっと行って、コーヒーファクトリーを回ってるの。自分でもピッキングしましたよ。来月は新興国のベトナムに行って、再来月はグアテマラに行こうと思ってます。
2028年は世界が変わる節目の年
高城は最後に、近い将来に関する話をした。高城:大体2028年って社会が大きく変わる節目の年だと思います。アメリカは6年後も世界最大の強国ですけど、そのアメリカがおそらく2028年に大きく変わります。選挙に投票する過半数がミレニアルズとZ世代になるということは、彼らが考えている社会が作られ始めるスタートの年なんだよね。彼らはとてもリベラルで、簡単に言うと市場主義じゃなくて市民主義です。いまみたいな大企業中心ではなくて、もうちょっと市民にフォーカスした社会構成になると思います。これってヨーロッパで実は始まっていて、簡単に言うと地方分権だよね。「目の届く民主主義」がヨーロッパで一部始まっているんです。そういう世界にたぶんなると思います。そうするといまのGAFAみたいなものが、どんどん力がなくなって、大企業はいわゆるいまみたいな発言力を政治に持てなくなると思います。社会がまったく変わりますね。今回の僕らの映画のテーマもそうなんだけど、民主社会主義というのになる。
川田:票という意味だと若手の数が少ないじゃないですか。
高城:日本はね。アメリカは別なんですよ。日本は相変わらず保守的になるから、アメリカと日本の乖離はものすごくできると思います。
川田:ヤバいじゃないですか。
高城:でも地方分権ってすごい可能性が残されているんです。
川田:それは日本も?
高城:はい。ものすごく大きな社会変化。つまり人間じゃないなにかによってもたらされると考えたほうがいいと思うし、僕らが生きているあいだにそうやって大きな社会変化に直面する確率は、相当高いんじゃないですかね。
通りすがりの天才・川田十夢がナビゲートする『INNOVATION WORLD』のワンコーナー「ROAD TO INNOVATION」の放送は毎週金曜日20時10分ごろから。
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- INNOVATION WORLD
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川田十夢