作家の燃え殻が、自身のパワースポットでもありトラウマがある場所だという三軒茶屋について語った。
燃え殻がトークを展開したのはJ-WAVEで放送中の番組『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)。オンエアは9月27日(火)。
朗読を終えた燃え殻は三軒茶屋について「自分にとって、人生にとっていろいろあった不思議な場所。ある意味パワースポットで、ある意味トラウマになるような出来事がたくさんあった場所」と表現しつつ、ものを書くっていう仕事を始めるきっかけも三軒茶屋だったと口にした。
燃え殻:その日は深夜12時をまわったくらいのときだったんですけど、とある尊敬していて大好きな作家の方と2人で、三軒茶屋にあるメニューにサワーしかない店で飲んでいて。その作家の方が「小説書いてみない?」って酔いながらも大真面目に言ってくれました。自分は人生で数えるほどしか小説を読んできていなかったし、さらに作文なんかも苦手だったり、読書感想文も出さずにサボったりとかしている人生だったので、「ちょっとそれは難しいかもしれません」と答えてしまって。そのときに、その作家の方が「じゃあ、会うのは今日で最後だな」みたいなことを一拍置いてから告げられ、僕はあらゆる作家の中でその作家さんがいちばん好きで、いちばん尊敬していたので、これは絶対に書かなきゃいけない状態になったと悟り、腹をくくり、そこから手探りで『ボクたちはみんな大人になれなかった』というタイトルを付けて、小説を書き上げることになりました。
当時を振り返り、燃え殻は「その作家の方が無理やり僕をこの世界に引きずり込んでくれたのが三軒茶屋だった」と語った。
燃え殻:原稿を書ききったのは、その夜から1年くらい経ったときだったんですけど、そのときはその作家の方にお礼とできましたというような報告をしたことを覚えています。今でもあの作品があれでよかったのか、本当に自分が書くべきだったのかと考えることもあるんですけど、あの夜に何度も何度も気持ちを戻して考えるんですけど、ただもう走り始めてしまったので、全てが動き出してしまったというか。あれはあれでよかったと思えるまでやってみるしかないのかなと、そこからは自分で考えるようにしましたね。そういう意味で、僕にとって三軒茶屋は人生のパワースポットというか、分岐点というか、社会に出て本当の意味のスタート地点みたいな場所ですね。
燃え殻:僕がまだテレビのバックヤードで働いていたときなんですけど、三軒茶屋の辺りには仲が良かったADの方が何人か住んでいて。その中のひとりの彼がテレビ朝日の番組を多く手掛ける制作会社の一員でした。年齢も僕と一緒で、よく三軒茶屋の「餃子の王将」だったりとか、安い居酒屋みたいなところに行って、朝まで飲んだりとか。仕事が終わるのがめちゃめちゃな時間だったので、めちゃめちゃな時間から飲んで、朝とか昼に解散するなんてこともあって。
そんなことをしているある日、燃え殻は突然、その彼から深刻な悩みを告白されたという。
燃え殻:その告白された場所もやっぱり安い居酒屋で。いつになく彼が深刻な顔をしていたので、なんと声を掛けていいのかわからなかったんですけど、彼から「ある病気が見つかった」と言われ、その場で何も答えられなかったのを覚えていますね。僕も彼もまだ若かったので、彼の病気はあっという間に進行してしまって。その後、三軒茶屋に行くこともなく、彼と最後に会ったのは神谷町にある慈恵医大病院という大きい病院でした。そこにお見舞いに行って「鳥取に行きたい温泉があるんだ」って彼が言って、それが彼と話した最後になってしまうんですけど。その後、彼がいなくなって三軒茶屋にしばらく行けなくなった時期がありましたね。なんとなく彼の気配が残っている気がして、すぐにはちょっとダメで。
燃え殻は、今は彼と行った三軒茶屋の安い居酒屋などに立ち寄るようになったと口にした。
燃え殻:彼の気配が残っている気がするんですけど、彼の気配が残ってたりとか、匂いが残ってたりとか、同じ夜を過ごしたあのめちゃめちゃな時期を思い出しながら、やっと飲めるようになってきました。
燃え殻:ときどき行くいいお店があるんですけど、カフェ「ニコラ(nicolas)」というお店で。ビンテージモダンな店内で、整然と置かれた書籍類がばあっと壁に向かって並んで、僕の本も置いてくれてるんですけど、そこの店主の作るパスタとかデザートがとってもおいしくて。
「ニコラ(nicolas)」公式ホームページ
燃え殻:ワインも種類があって、それを紹介してくれる店主の奥さんがキリッとして美しいんですけど。店主とは筋肉少女帯が好きだったりとか、中島らもさんが好きだっていう共通点があって、僕はちょっとご飯を食べに行ったりとかしたときに、よく店主と、らもさんの昔の話だったり、大槻(ケンヂ)さんの最近のライブの話だったりをウダウダして帰りますね。最近は行けてないんですけど。
「もし三軒茶屋に行くことがあったらカフェ『ニコラ』に立ち寄ってみてください」と燃え殻はリスナーに呼びかけた。
燃え殻:このカフェのある建物の3階には「twililight」という今年できた本屋さんがあって、オシャレなお店です。そちらもぜひ行ってみてください。
「twililight」公式ホームページ
小説家・燃え殻による、東京の真夜中に綴るトークラジオ『BEFORE DAWN』の放送は毎週火曜日の26時から。
燃え殻がトークを展開したのはJ-WAVEで放送中の番組『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)。オンエアは9月27日(火)。
三軒茶屋は、書く仕事のきっかけになった街
燃え殻は自身の著書『それでも日々はつづくから』(新潮社)に収録されている、エッセイ「愛には人の数だけ種類がある」を朗読した。このエッセイには東京・三軒茶屋で数年ぶりに再会した女性が登場する。朗読を終えた燃え殻は三軒茶屋について「自分にとって、人生にとっていろいろあった不思議な場所。ある意味パワースポットで、ある意味トラウマになるような出来事がたくさんあった場所」と表現しつつ、ものを書くっていう仕事を始めるきっかけも三軒茶屋だったと口にした。
燃え殻:その日は深夜12時をまわったくらいのときだったんですけど、とある尊敬していて大好きな作家の方と2人で、三軒茶屋にあるメニューにサワーしかない店で飲んでいて。その作家の方が「小説書いてみない?」って酔いながらも大真面目に言ってくれました。自分は人生で数えるほどしか小説を読んできていなかったし、さらに作文なんかも苦手だったり、読書感想文も出さずにサボったりとかしている人生だったので、「ちょっとそれは難しいかもしれません」と答えてしまって。そのときに、その作家の方が「じゃあ、会うのは今日で最後だな」みたいなことを一拍置いてから告げられ、僕はあらゆる作家の中でその作家さんがいちばん好きで、いちばん尊敬していたので、これは絶対に書かなきゃいけない状態になったと悟り、腹をくくり、そこから手探りで『ボクたちはみんな大人になれなかった』というタイトルを付けて、小説を書き上げることになりました。
当時を振り返り、燃え殻は「その作家の方が無理やり僕をこの世界に引きずり込んでくれたのが三軒茶屋だった」と語った。
燃え殻:原稿を書ききったのは、その夜から1年くらい経ったときだったんですけど、そのときはその作家の方にお礼とできましたというような報告をしたことを覚えています。今でもあの作品があれでよかったのか、本当に自分が書くべきだったのかと考えることもあるんですけど、あの夜に何度も何度も気持ちを戻して考えるんですけど、ただもう走り始めてしまったので、全てが動き出してしまったというか。あれはあれでよかったと思えるまでやってみるしかないのかなと、そこからは自分で考えるようにしましたね。そういう意味で、僕にとって三軒茶屋は人生のパワースポットというか、分岐点というか、社会に出て本当の意味のスタート地点みたいな場所ですね。
なんと声を掛けていいのかわからなかった
三軒茶屋はパワースポットでもあると紹介した燃え殻だが、この街はトラウマになるような場所でもあると話を始める。燃え殻:僕がまだテレビのバックヤードで働いていたときなんですけど、三軒茶屋の辺りには仲が良かったADの方が何人か住んでいて。その中のひとりの彼がテレビ朝日の番組を多く手掛ける制作会社の一員でした。年齢も僕と一緒で、よく三軒茶屋の「餃子の王将」だったりとか、安い居酒屋みたいなところに行って、朝まで飲んだりとか。仕事が終わるのがめちゃめちゃな時間だったので、めちゃめちゃな時間から飲んで、朝とか昼に解散するなんてこともあって。
そんなことをしているある日、燃え殻は突然、その彼から深刻な悩みを告白されたという。
燃え殻:その告白された場所もやっぱり安い居酒屋で。いつになく彼が深刻な顔をしていたので、なんと声を掛けていいのかわからなかったんですけど、彼から「ある病気が見つかった」と言われ、その場で何も答えられなかったのを覚えていますね。僕も彼もまだ若かったので、彼の病気はあっという間に進行してしまって。その後、三軒茶屋に行くこともなく、彼と最後に会ったのは神谷町にある慈恵医大病院という大きい病院でした。そこにお見舞いに行って「鳥取に行きたい温泉があるんだ」って彼が言って、それが彼と話した最後になってしまうんですけど。その後、彼がいなくなって三軒茶屋にしばらく行けなくなった時期がありましたね。なんとなく彼の気配が残っている気がして、すぐにはちょっとダメで。
燃え殻は、今は彼と行った三軒茶屋の安い居酒屋などに立ち寄るようになったと口にした。
燃え殻:彼の気配が残っている気がするんですけど、彼の気配が残ってたりとか、匂いが残ってたりとか、同じ夜を過ごしたあのめちゃめちゃな時期を思い出しながら、やっと飲めるようになってきました。
燃え殻が立ち寄る三軒茶屋の店
番組では燃え殻が三軒茶屋の店を紹介する場面もあった。燃え殻:ときどき行くいいお店があるんですけど、カフェ「ニコラ(nicolas)」というお店で。ビンテージモダンな店内で、整然と置かれた書籍類がばあっと壁に向かって並んで、僕の本も置いてくれてるんですけど、そこの店主の作るパスタとかデザートがとってもおいしくて。
「ニコラ(nicolas)」公式ホームページ
燃え殻:ワインも種類があって、それを紹介してくれる店主の奥さんがキリッとして美しいんですけど。店主とは筋肉少女帯が好きだったりとか、中島らもさんが好きだっていう共通点があって、僕はちょっとご飯を食べに行ったりとかしたときに、よく店主と、らもさんの昔の話だったり、大槻(ケンヂ)さんの最近のライブの話だったりをウダウダして帰りますね。最近は行けてないんですけど。
「もし三軒茶屋に行くことがあったらカフェ『ニコラ』に立ち寄ってみてください」と燃え殻はリスナーに呼びかけた。
燃え殻:このカフェのある建物の3階には「twililight」という今年できた本屋さんがあって、オシャレなお店です。そちらもぜひ行ってみてください。
「twililight」公式ホームページ
小説家・燃え殻による、東京の真夜中に綴るトークラジオ『BEFORE DAWN』の放送は毎週火曜日の26時から。
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