音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
「ステルス値上げ」に“拒否感を抱きやすい年齢層”とは? 専門家が語る

(画像素材:PIXTA)

「ステルス値上げ」に“拒否感を抱きやすい年齢層”とは? 専門家が語る

相次ぐ値上げラッシュの背景や、ステルス値上げに敏感な年齢層、賢く買い物する方法について、“商品価格”の専門家であるプライシングスタジオ株式会社代表の高橋嘉尋さんが語った。

高橋さんが登場したのは『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)。ここでは9月14日(水)のオンエア内容をテキストで紹介する。

原材料の高騰が値上げの原因に

高橋さんが代表を務めるプライシングスタジオ株式会社は、2019年設立。これまでは堪や経験で商品・サービスの値段が決められることが多かったが、プライシングスタジオ株式会社では確かな根拠を元に企業が商品価格を決定できるようコンサルティング事業を行っている。

さまざまな商品の価格を見てきた高橋さんは、ここ最近の相次ぐ値上げラッシュをどう見ているのだろうか?

高橋:原材料がすごく高騰しているので、仕方がない状況かなとは思っております。元々、日本企業は価格を下げることで競合優位性を得ようとする傾向があり、2010年頃、『東洋経済』という週刊誌が「あなたの企業は過度の価格競争に直面しているのか」という質問に対して「はい」と回答した日本企業は84%もいました。グローバルの平均だと46%という数字が出ていまして、まさに価格競争をしてきた文化が日本にはありますから、こういった原価が上がっているときは仕方がない状況になると思います。

サッシャ:改めてなぜ値上げになっているのか、原因はどこにあるのでしょう。

高橋:世界的に原材料が高騰しているという背景やロシアによるウクライナの侵攻、そして急速な円安といったさまざまな要因が背景にあると考えています。なかにはそこまで原材料に影響がないんだけど、この流れに便乗して値上げしようという企業もたまに見かけたりはしますね。

ノイハウス:それは消費者としては、なかなか気づけないですけどね。今までもちろん値上げが起こったことはあるんですが、最近の値上げの特徴は何かありますか。

高橋:最近でいうと、値上げは一巡してきたのかなと思っています。というのも、ほとんどの会社さんが一度値上げをされているので、軒並み値上げは終わったのかなというタイミングなんですけど、1回目の値上げでそこまで大きな値上げをしなかった会社さんが多いです。消費者がけっこう敏感なので、大きな値上げをできなかったのが事実だと思うんですけど、(値上げ率が)小さかったと。原価はまだまだ上がり続けている状況で、半年前と比べても上がっているみたいなところがあるので、また利益が苦しくなってきて2回目、3回目の値上げに乗り出す企業が増えてきた印象があります。

「実質値上げ」に関する各世代の反応は…

値上げをしたほうがいいのか、内容量を減らしたほうがいいのか。プライシングスタジオ株式会社は、値上げに関するアンケートを実施。値段はそのままで商品の内容量を減らす「ステルス値上げ(実質値上げ)」と、同じ内容量で値段を上げる「実際の値上げ」、どちらがより消費者に受け入れられるのだろうか。

高橋さんらが調査した結果、特定の世代は「ステルス値上げ」に対して拒否感を抱きやすい傾向があるという。

高橋:世代に応じてステルス値上げを不快に感じる人は一定数いるものの「仕方がない」と思う層もけっこうありました。しかし、26~35歳の「ミレニアル世代」と呼ばれている人たちに関しては、不快に感じる人が6割を超える結果になり、世代によってけっこう受け入れられ方が違うことがわかっていきています。

サッシャ:若い人のほうが、不快に思うということですか。

高橋:25歳以下のほうが割と仕方ないと思う、また36歳以上の方も仕方ないと思うんですけど、26~35歳をピンポイントで抜くと「不快に感じる」人が多い。

ノイハウス:不思議ですね。

サッシャ:22歳くらいまでは大学生だったりして、その後自分の独立した財布になってみて、駆け出しだと給料も高くないからより(実際の値上げに)敏感なのかな。

高橋:そういう人たちからすれば値段を上げられるより、中身が減っているほうがいいって感じるのかもしれませんね。逆に26~35歳だと、1人の利用から家族で利用するっていうニーズも出てくるので、(商品の中身が)減っていると逆に困っちゃうことがあるのかと思います。

「賢い」買い物をするための2つのポイント

この先について高橋さんは「値上げはまだまだ続く」と見ているそう。その理由についてこう語った。

高橋:今回の値上げはコロナ禍が長引いているところもあれば、ウクライナ侵攻による原油高、原材料高騰に起因しているんですけど、抜本的な解決はまだされていません。しかも、今年最初のほうに多くの企業が値上げしたんですけど、値上げ幅が小さいのでやっぱり原材料高騰分をしっかり吸収し切れていないところもあって、再値上げを検討している企業が多いことからも、(値上げは)続いていくんじゃないかなと思っています。

サッシャ:サービスによるとは思いますが、再値上げの検討については実質値上げか値上げ、どっちの傾向が強くなるんですか。

高橋:企業によってまちまちなのかなとは思っていますけど、さすがに値上げをしないとどうしようもないという状況になると思うので、直接価格を上げる企業がこれからは増えていくんじゃないかな。

さまざまな要因で値上げに踏み切らざるを得ない企業側の事情もある一方、値上げをすればそれまでの消費者が離れてしまうリスクもある。企業側はどのように対処するのがいいのだろうか?

高橋:「値段だけに着目しない」というところが、ベストアンサーかなと思っています。たとえばコカコーラさんは、スーパーで500ミリボトルがなくなって、350ミリと700ミリの2つになったんですけど、消費者から「500ミリだと1人で飲むには多すぎ、2人で飲むと少なすぎる」という意見があったので350ミリと700ミリを作りました。結果的に、消費者からしたら受け入れやすい容量になりましたと。しかし値段のところ注目すると350ミリのほうがミリリットルあたりの単価は上がっているんですよ。ですからお財布から出る金額でいうと実はそんなに変わらなくても、販売側からすると量あたりの単価を上げることに成功していて、かつ消費者のベネフィットもある。このように「容器・容量・価格」の3つを見直していくことによって値上げに対応していくと、消費者にも受け入れられることもあるので、単純に価格だけに注目せずにいろいろ考えていくことが必要だと考えています。

ノイハウス:一般の消費者として、賢く買い物するためのアドバイスはありますでしょうか。

高橋:皆さんも、自分の好きな商品がこの先も提供されたり自分の好きなブランドの新商品が出たり、よりよく改善されたりするのはうれしいと思うんですよね。しかし利益が生まれないとそういうことも生まれないので、好きな商品やブランドは値上げをあまり気にせず買って欲しいと思います。そういう行動が、企業が価値のある商品を作ることにつながります。一方、「賢く」という観点でみると、見比べると割と販売価格は違ったりするので、特段こだわりのない商品は、ネットで比較して安いものを選んで買っていくというのが、賢い買い方かなと思います。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」では、毎回ニューノーマル時代のさまざまなエッジにフォーカスする。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン
番組情報
STEP ONE
月・火・水・木曜
9:00-13:00