映画監督の犬童一心さんが、言葉から得た学びについて語った。
犬童監督が登場したのは『STEP ONE』のワンコーナー「LISTEN AND LEARN」(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)。ここでは8月15日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
【radikoで聴く】
15日(月)OA分: https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220815093431
16日(火)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220816093452
17日(水)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220817093611
18日(木)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220818093643
※それぞれ再生期限はオンエアの一週間後まで。
そんな犬童監督が、学びを得た少女漫画のあるセリフについて教えてくれた。その言葉とは「まあ生まれてきてごらんなさい。最高に素晴らしいことが待ってるから。」というものだ。
犬童:これは大島弓子さんの名作、『バナナブレッドのプディング』のラストシーンの言葉です。物語の主人公は女子高生の三浦衣良。その妊娠中の姉・沙良が、夢のなかでこれから生まれてくるお腹のなかの子どもに「男と女、どちらが生きやすいか」と質問されます。姉は「どちらも生きやすいということはない」という答え、そのあとにこの言葉をいいます。この「最高に素晴らしいこと」が何を指しているかというと、思い通りにならない、上手くいかない、でもどこか人とつながり信じようとして右往左往している毎日のことなのです。この漫画の主人公、衣良は女子高生で、自己紹介のときに「イライラの衣良」と自分でいうのですが、そういってしまうほど生き方がとんでもなく下手で、上手くいかないことの連続なんですね。そんな日々のなかにもあるし、だからこそ出会える輝きみたいなものを作者である大島さんは見つけ出していきます。
犬童:大島さんの作品はいつもそうなんですけど、上手くいかないことのなかにある輝きを描いていくんですね。「最高に素晴らしいことが待ってるから」という言葉を口にすると、すでにそこに自分がいるんだということに気づきます。うまくいかなかったり思い通りにならなかったりしても、そのなかに輝きがあって、素晴らしい瞬間に日々出会っていて、「最高に素晴らしいこと待ってるから」という言葉のなかに自分はいるから、少しは頑張らなきゃなと自然に思えてきます。大島弓子さんが世の中を見るときの根本的な思想というか哲学が、いちばんコンパクトにこの言葉に出ていて、(自身が)作品を作るときにも、この言葉をよく思い出します。
犬童監督の話を聞いたサッシャ&ノイハウスは……。
サッシャ:深いですね~。
ノイハウス:本当ですね。上手くいかないことって本当は毎日あって、でも振り返ると意外とそんなに悪いときじゃなかったなとか、そこから生まれたつながりって大事だったなとかありますよね。
サッシャ:あと、生まれてくる前って同じ毎日が続いていると思うんですよ。変化がないってことは、毎日晴れだと雨のありがたみがわからないのと同じで、つらいときもあるからいいときの喜びも感じられる。同じことの連続だったら素晴らしさにも気づけない。
ノイハウス:よくも悪くもないような日々が続いてしまうと物足りないというか。
サッシャ:生まれてこないとこの世の大変さとか、そこから得られる喜びもないのかなって問いかけられているような気がします。生んでくれてありがとう、そして生まれてこられてよかったなっていう、肩の重みがちょっと抜けるような言葉だと思います。
『バナナブレッドのプディング』は1977~78年に『月刊セブンティーン』で連載。連載から40年以上経った現在も、熱狂的なファンを持つ名作だ。
この日、犬童監督はおすすめの曲として、荒井由実の『やさしさに包まれたなら』を選曲した。
犬童:高校生のとき初めて作った8ミリ映画のなかでかけたのが、この曲です。高校生の日常に不満を持ったり、うまくいってないなと思っている男の子が、自分で映画を作るんです。でも映画を作りたいんだけど何を撮っていいかわからない、ということを映画にしている作品なんですよ。だからテーマを探していく、世の中でいちばん敏感に感じているのは何なのかということを探していく映画というか。そのなかのいちばん楽しいシーン、季節とか日常がキラキラして見えるみたいなシーンで、この曲をかけました。この曲を聴くと、一気に17歳のときの自分に戻ることができます。
犬童監督の新作映画『ハウ』は8月19日(金)より全国の映画館で公開。保護された優しい犬・ハウと、田中圭演じるちょっと弱気な少年・赤西民夫(田中 圭)の心温まる物語となっている。感動のストーリーを、ぜひ映画館で見届けては。
J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「LISTEN AND LEARN」では、さまざまな業界のトップランナーが、これまでの経験から得た学びをシェアする。放送は月曜~木曜の9時35分ごろから。
犬童監督が登場したのは『STEP ONE』のワンコーナー「LISTEN AND LEARN」(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)。ここでは8月15日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
【radikoで聴く】
15日(月)OA分: https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220815093431
16日(火)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220816093452
17日(水)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220817093611
18日(木)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220818093643
※それぞれ再生期限はオンエアの一週間後まで。
名作『バナナブレッドのプディング』のセリフ
映画『のぼうの城』『ゼロの焦点』など数々のヒット映画を手がけてきた犬童監督。日本アカデミー賞では最優秀監督賞、最優秀作品賞、最優秀脚本賞をそれぞれ複数回授賞するという、日本を代表する映画監督の1人だ。そんな犬童監督が、学びを得た少女漫画のあるセリフについて教えてくれた。その言葉とは「まあ生まれてきてごらんなさい。最高に素晴らしいことが待ってるから。」というものだ。
犬童:これは大島弓子さんの名作、『バナナブレッドのプディング』のラストシーンの言葉です。物語の主人公は女子高生の三浦衣良。その妊娠中の姉・沙良が、夢のなかでこれから生まれてくるお腹のなかの子どもに「男と女、どちらが生きやすいか」と質問されます。姉は「どちらも生きやすいということはない」という答え、そのあとにこの言葉をいいます。この「最高に素晴らしいこと」が何を指しているかというと、思い通りにならない、上手くいかない、でもどこか人とつながり信じようとして右往左往している毎日のことなのです。この漫画の主人公、衣良は女子高生で、自己紹介のときに「イライラの衣良」と自分でいうのですが、そういってしまうほど生き方がとんでもなく下手で、上手くいかないことの連続なんですね。そんな日々のなかにもあるし、だからこそ出会える輝きみたいなものを作者である大島さんは見つけ出していきます。
作品づくりでも思い出す、大島弓子の思想
さらに犬童監督は、このセリフに隠された作者・大島弓子の思想や作品のテーマについて語る。犬童:大島さんの作品はいつもそうなんですけど、上手くいかないことのなかにある輝きを描いていくんですね。「最高に素晴らしいことが待ってるから」という言葉を口にすると、すでにそこに自分がいるんだということに気づきます。うまくいかなかったり思い通りにならなかったりしても、そのなかに輝きがあって、素晴らしい瞬間に日々出会っていて、「最高に素晴らしいこと待ってるから」という言葉のなかに自分はいるから、少しは頑張らなきゃなと自然に思えてきます。大島弓子さんが世の中を見るときの根本的な思想というか哲学が、いちばんコンパクトにこの言葉に出ていて、(自身が)作品を作るときにも、この言葉をよく思い出します。
犬童監督の話を聞いたサッシャ&ノイハウスは……。
サッシャ:深いですね~。
ノイハウス:本当ですね。上手くいかないことって本当は毎日あって、でも振り返ると意外とそんなに悪いときじゃなかったなとか、そこから生まれたつながりって大事だったなとかありますよね。
サッシャ:あと、生まれてくる前って同じ毎日が続いていると思うんですよ。変化がないってことは、毎日晴れだと雨のありがたみがわからないのと同じで、つらいときもあるからいいときの喜びも感じられる。同じことの連続だったら素晴らしさにも気づけない。
ノイハウス:よくも悪くもないような日々が続いてしまうと物足りないというか。
サッシャ:生まれてこないとこの世の大変さとか、そこから得られる喜びもないのかなって問いかけられているような気がします。生んでくれてありがとう、そして生まれてこられてよかったなっていう、肩の重みがちょっと抜けるような言葉だと思います。
『バナナブレッドのプディング』は1977~78年に『月刊セブンティーン』で連載。連載から40年以上経った現在も、熱狂的なファンを持つ名作だ。
この日、犬童監督はおすすめの曲として、荒井由実の『やさしさに包まれたなら』を選曲した。
犬童監督の新作映画『ハウ』は8月19日(金)より全国の映画館で公開。保護された優しい犬・ハウと、田中圭演じるちょっと弱気な少年・赤西民夫(田中 圭)の心温まる物語となっている。感動のストーリーを、ぜひ映画館で見届けては。
J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「LISTEN AND LEARN」では、さまざまな業界のトップランナーが、これまでの経験から得た学びをシェアする。放送は月曜~木曜の9時35分ごろから。
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2022年8月22日28時59分まで
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番組情報
- STEP ONE
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月・火・水・木曜9:00-13:00
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サッシャ、ノイハウス萌菜