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「食べる芝居」は、むき出しになる…上白石萌歌×松居大悟が語る

「食べる芝居」は、むき出しになる…上白石萌歌×松居大悟が語る

劇団ゴジゲン主宰で映画監督の松居大悟と上白石萌歌が対談。食へのこだわりや松居が監督を務める長編映画『ちょっと思い出しただけ』の話題で盛り上がった。

松居が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『#LOVEFAV』(ナビゲーター:上白石萌歌)。音楽やアート、読書が好きな女優・上白石萌歌が、リスナー、ゲスト、そして世の中の人がLOVEなものやFAVORITEなものをお届けしている。ここでは1月22日(土)のオンエアをテキストで紹介する。

松居のサインをもらうためサイン会の列に並んだ上白石

松居は1985生まれ福岡県出身。劇団ゴジゲンを主宰し、脚本家、演出家、映画監督として活躍している。監督作品には『アフロ田中』、『アズミ・ハルコは行方不明』、『アイスと雨音』、『くれなずめ』などがある。

まずはふたりの出会いについて語り合った。

松居:出会いは、『アイスと雨音』が本多劇場で上映されたときですね。
上白石:特別上映されたとき。映画がよすぎてそのままパンフレットを買ってサインをもらいに行って。
松居:サイン会の列に……。
上白石:並びました(笑)。
松居:(出演者の)森田 想と親交があったんですよね?
上白石:仲がよくて、そのつながりで観に行って。あまりの衝撃と感動に、次の日に同じ本多劇場でやっていた舞台『みみばしる』も観に行くという(笑)。
松居:2連チャン本多劇場。ありがとうございます。
上白石:特に『アイスと雨音』はDVDも買ったぐらい本当に好きで。74分ぐらいのワンカットですよね。松居さんの選ぶ音楽や言葉のひとつひとつがすごく刺さって。なんでなんだろう? 浄化される、自分の感情のすごく深いところまで作品につつかれる感じがして、すごく不思議だなと思っています。
松居:うれしいですね、ありがとうございます。
上白石:松居さんが普段聴いてらっしゃる音楽や青春時代の過ごし方とリンクするところがあるんですかね。
松居:音楽の趣味がすごく合ってる気はしますね。小山田壮平くんやスピッツもそうだし。その人にしか歌えない言葉で歌っているのが合ってるのかな。
上白石:松居さんの作品はそれからも観にいっていて、それこそ森田 想ちゃんと『くれなずめ』を観に行きました。もう普段から摂取してます(笑)。
松居:ありがとうございます(笑)。

とんかつを食べると3日間は幸せになれる

上白石から「今、何LOVEですか?」と質問された松居は「とんかつ」と回答した。

上白石:とんかつはみんな好きですよね。
松居:その「好き」具合が全然違う(笑)。単純に「明日とんかつを食べよう」と思ったら、そのときからテンションがずっと上がるんです。
上白石:あはは(笑)。いいですね。
松居:とんかつを食べたら次の日ぐらいまで「昨日食べたとんかつおいしかったな」って思える。だからとんかつで3日間ぐらい幸せになれるんです。
上白石:じゃあ2日おきぐらいに食べたらずっと調子がいいんじゃないですか?
松居:ずっと調子いいと思う。
上白石:いつごろから好きなんですか?
松居:この2年ぐらいですかね。あまり人とごはんを食べないほうがいいな、みたいなムードになってから、でも「外でちゃんと肉を食べたい」となって。せっかくなら家で食べられないものを食べたくてとんかつを食べたんです。「林SPF」という豚の種類知ってますか?
上白石:わからないです。
松居:ちょっと赤みが残っているぐらいがちょうどよくて、口に入れた瞬間に溶ける感じ。それを食べると本当に「幸せ指数が上がってるな」と思うんです。

食事シーンのこだわり

並々ならぬ“とんかつ愛”を語った松居。映画の食事シーンにもこだわりがあるのだという。

松居:テストからけっこう食べられる人がいるじゃないですか。僕はあんまり食べさせないようにしています。単純に食べてモグモグしながらセリフを言ったりするときは、役である前に人間である感じがするじゃないですか。演技が演技でなくなるときを撮るのがすごく好きなんです。だから走るシーンも好きです。走ったり食べたり、ああいう人間の原始的な状況になってくると、「この役はこう走るべき」「この役はこう食べるべき」の前に、「私はこう食べる」と、自分自身がちょっとこぼれ出るのでグッときます。それをちゃんと撮りたいと思うから、テストはフリにしておいて、本番で「ちょっと違う食べ方して」と言ったりしますね。
上白石:食べるって本能ですもんね。作れないというか、隠し切れない。それがむき出しになる部分がすごい。
松居:むき出しになるのと、「役としてはこう食べる」のせめぎあいがすごく好きです。
上白石:えー、変態ですね(笑)。
松居:あはは(笑)。だからそういうのは撮りながら楽しいですね。

クリープハイプの楽曲から生まれた長編映画『ちょっと思い出しただけ』

番組では松居がセレクトしたクリープハイプ『ナイトオンザプラネット』をオンエア。同曲は2月11日(金)から公開となる映画『ちょっと思い出しただけ』の主題歌だ。2020年の春、緊急事態宣言に入ってすぐ、クリープハイプの尾崎世界観(Vo/Gt)から「久しぶりに松居くんとやりたい曲ができた」と同曲が送られてきたことがきっかけで、映画ができたという。

映画『ちょっと思い出しただけ』90秒予告【2022年2月11日(金・祝)】公開

松居:尾崎くんは「ミュージックビデオにしよう」的なニュアンスだったと思うんですけど、「これはミュージックビデオじゃ語り切れない気がする」と思って。これが最後に流れる長編映画を作りたいと思って「ちょっとこの曲を預からせてください」と言って。台本を1年ぐらいかけて書いて、2021年に撮影して映画『ちょっと思い出しただけ』が生まれました。普段の映画は、映画があってアーティストさんが主題歌を書き下ろすんだけど、その逆バージョン。別に歌詞に寄り添ったわけではなく、歌が最後に流れるように考えた、みたいなイメージです。
上白石:映画を拝見して、この曲が最後に流れたときに「こんなに曲と作品がマッチすることある?」ってビックリしました。曲が先だったんですね。すっごく好きな映画でした。ラブストーリーを書かれるのは初めてなんですよね? それがまた意外で。松居さんの作品をいろいろ観てきたなかでも、すごくストレートな作品だなと思いました。松居さん自身が普段監督されたり、演じられたりするから、この作品って照らす側と照らされる側のどっちも書かれている感じがして、すごく説得力がありました。

物語の主人公はダンサーを諦めて照明部になった佐伯照生(池松壮亮)とタクシー運転手の葉(伊藤沙莉)。映画ではふたりの6年間が描かれている。上白石は「ふたりはどちらかというと人を照らす側だけど、そのふたりが一緒にいることでお互いを照らし合っている感じがする」と感想を述べる。

上白石:私もこの6年間を映画のなかで一緒に過ごしたような気持ちになりました。すごく苦いし甘いし温かい、グレープフルーツみたいな映画だなと思いました。
松居:はちみつをかけたときのグレープフルーツね。
上白石:そう。すごい大作だと思いました。すごくいい映画でした。

J-WAVEで放送中の『#LOVEFAV』では、SNSやネットを活用しながら、上白石萌歌やリスナー、ゲスト、そして世の中の人がLOVEなものや、これから好きになりそうなものをお届け。放送は毎週土曜日22時から。

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2022年1月29日28時59分まで

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毎週土曜
22:00-22:54