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平野紗季子が「絶対に素通りしない」と語るコンビニの棚は?

平野紗季子が「絶対に素通りしない」と語るコンビニの棚は?

エッセイストでフードディレクターの平野紗季子が、自身の仕事や“食”との出会いについて語った。

平野が登場したのは、J-WAVE『JUST A LITTLE LOVIN'』(ナビゲーター:中田絢千)のコーナー「LIVING ON THE EARTH」。豊かさ・幸せにつながるオピニオンを週替わりのゲストに伺うコーナーだ。ここでは8月25日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。

【radikoで聴く】
26日(火)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20250826050958
27日(水)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20250827051026
28日(木)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20250828051026
※それぞれ再生期限はオンエアの1週間後まで

フードディレクターは大好きな食に関わる“何でも屋”

J-WAVEのポッドキャストで配信中の『味な副音声 ~voice of food~』でもお馴染みの平野紗季子。エッセイストとして『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)や『ショートケーキは背中から』(新潮社)などを発表しており、2025年には『おいしくってありがとう 味な副音声の本』(河出書房新社)も出版した。

ナビゲーター・中田の10年来の友人でもある平野に、まずはどのような仕事をしているのかを訊いた。

平野:エッセイストとしては、食体験に関して自分で感じたことをエッセイに書いて出版したり、ポッドキャストをJ-WAVEでやらせていただいたり、食べることにまつわるストーリーテリングをやっています。フードディレクターとしては、バターサンドのブランド「(NO) RAISIN SANDWICH」(ノーレーズンサンドイッチ)を経営したり、企業の食事業のディレクションをしたりしています。

中田:もう、「何でも屋さん」じゃない?

平野:そうなんです(笑)。「食べ物のことは何でもやります!」という感じですね。

中田:でも、思い出してみたら、私が知り合ったころはこの肩書きではなかったですよね?

平野:“ブロガー”だったかも……?

中田:そう。あとは「生粋のごはん好き」みたいな(笑)。

平野:特に肩書きがあるものを目指していたわけではなくて、ただ食べることが好きだから「何かしらのかたちで表現したりすることで、社会の一部になれたらな」という感じでした。

中田:その原点は、やはり小学校のころからつけていた食日記?

平野:そうですね。私、食べるのが好き過ぎて、でも食べ物って消えちゃうじゃないですか。だから「どうやって残せるのかな?」と思って、小学生のころから食べ物の日記をつけ続けていて、それを20年ちょっと続けているという感じです。

ホームページ、ブログカルチャーで育ったことがエッセイに生きる

小学生のころ、給食の「タラのクリームグラタン」がおいしかったことがきっかけで食日記をつけ始めたという平野さん。食材や器、お店の看板やその場の空気、そこに関わる人たちまで、すべてを文章に閉じ込めて残す彼女のエッセイは、多くの人を魅了している。

中田:(個人的な)食日記から、自分の食体験記を世の中に大きく出すエッセイになって、前と比べて何か変わったことはありますか?

平野:最初に出した『生まれた時からアルデンテ』という学生時代に書いた本は、基本的に自分のブログで書いたものが転用されていて。私は子どものころからずっとブログを書いていた世代というか、たぶん、小学生でホームページを作るカルチャーみたいなのがちょうど入ってきた第1世代で、自分のホームページでも日記を書いていたので、「みんなのために書くもの」と、「自分のために書くもの」の境目があまりなかったかもしれないですね。なので、最初に書いた本はめちゃめちゃ辛辣で、もういまでは書けないような……(笑)。

中田:私、『生まれた時からアルデンテ』のなかで、暑い夏になると必ず思い出すワンフレーズがあって、棒つきアイスの話なんですけど。

平野:書いてましたね。

中田:「棒つきアイスほど、クライマックスに集中しなきゃいけない食べ物はない」というのが、「格言じゃん!」と思ったんですよね。

平野:本当に思ったことを書いているだけで、棒つきアイスはポクポク食べていると最初はいいけれど、だんだん溶けて脆弱になってくるじゃないですか。だいたい、最後のひと口が落ちそうになりません?

中田:なる!

平野:それがプロダクト的にはマイナスだけど、「食べなきゃ!」ということにすごく意識を持っていってくれるから、図らずも、最後まで棒つきアイスに夢中にさせる力がもたらされているみたいな。そういうのに、勝手に感動しているんです(笑)。

中田:いま、お話を聞いていて思ったのが「ポクポク」というオノマトペも独特ですよね(笑)。

平野:あはは(笑)! でも、特に小豆のアイスバーとかは最初のひと口が「ポク」っとしませんか?

中田:しますね。芋ともまた違うけどポクっとするのと、あのアイスが折れる感じっていうんですか?

平野:そうそう。あのポクポクが大好き。

コンビニのポテチは“流れ星”?

新たな食や食体験に出会うために、平野さんは日々どのようにアンテナを張っているのだろうか。中田の質問に次のように答える。

平野:「自分はこれが好き」とか、「趣味がこうだから、そういうお店に行きたい」という枠組みみたいなものをあまり持たないようにしているかも。たとえば、新幹線のコンコースで買える駅弁とかも、「どんなのがあるんだろう?」と、すごく血眼になって見ている(笑)。コンビニの棚もすごく見ているし、コンビニのポテチの棚は絶対、素通りできないし……。

中田:コンビニのポテチは、季節によってけっこうラインナップが変わりますよね。

平野:めっちゃ早いんですよ! ポテチは流れ星なんです。

中田:流れ星! また名言が出ました。

平野:本当に、季節ものは瞬きしているあいだに終わっちゃうから。

中田:流れ星は、きちんとキャッチする派ですか?

平野:どんどんキャッチしちゃう。それで見つけたものとかもけっこうあるかも。だから、アンテナという意味では常に張り巡らせています。

中田:それは意識的というよりも、自然かつ素直に入ってくる感じですか?

平野:そうですね。逆に、意識的にはできないかもしれない(笑)。

“好き”のパワーで常に食との出会いを求めている平野さんだが、中田はさらに「『本当に気力がない』『無理だ』という日に、決まって食べるものはありますか?」と訊く。

平野:コンビニの鍋焼きうどんは、本当に気力がないときにけっこうお世話になっています。

中田:私、鍋焼きじゃないけど冷凍うどんは同じ感じでお世話になるかも。火にかけたりレンジでチンしたりするだけで食べられて、心強いですよね。

平野:そうそう。あれは本当に癒やされます。

ナビゲーターの中田は、平野との話を振り返りながらコメントし、コーナーを締めくくった。

中田:初日から“平野紗季子節”というのでしょうか、あのワードセンスと描写力、本当にすごかったです。ご自身の“好き”をまっすぐに追いかけて、そのときめきを文章にして届ける紗季子さん。食べるという一瞬のきらめきを胸の内に留めておくのではなくて、書き留めたり誰かと共有したりする日々の繰り返しが、紗季子さんの“好き”から生まれる言葉をより強く、深く、ときに私たちがハっとするものにしているのではないかなと、あらためて感じました。

平野紗季子の最新情報はInstagramの公式アカウント(@sakikohirano)まで。

『JUST A LITTLE LOVIN'』のコーナー「LIVING ON THE EARTH」では、豊かさや幸せについて考えるヒントを、ゲストを迎えてお届けする。放送は毎週月~木曜の5時15分ごろから。

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2025年9月1日28時59分まで

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番組情報
JUST A LITTLE LOVIN'
月・火・水・木曜
5:00-6:00