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『タッチ』の南ちゃんを演じる難しさとは? 声優・日髙のり子が振り返る

『タッチ』の南ちゃんを演じる難しさとは? 声優・日髙のり子が振り返る

声優・日髙のり子が、ドラマの仕事で感じた俳優と声優の違いや、いちばん難しかった役を語った。

日髙が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『ORIENT STAR TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。ここでは9月4日(土)のオンエアをテキストで紹介する。

声にどこまで感情を乗せるか…俳優と声優の大きな違い

1980年に歌手デビューし、ラジオ番組のパーソナリティやテレビの司会・レポーターなどを経験したのちに、声優としての活動をスタート。映画『となりのトトロ』の草壁サツキやテレビアニメ『タッチ』の浅倉 南、『らんま1/2』の天道あかねなどのヒロイン役から、『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズのドミネーターまで、イメージにとらわれない幅広い役で活躍中。2020年には歌手デビュー40周年を迎え、さらに未来へと歩み続けている。

もともと日髙は児童劇団で芝居をしたり、学生が出るドラマに出たりしていたが、きっかけがあり18歳で歌手デビューを果たした。

市川:現在はどのステップにいると感じていますか?
日髙:10代とか20代のときには今の歳にはきっとお仕事も落ち着いて、隠居かなと思ってたんですけど(笑)、びっくりするくらいまだ自分にムチ打って頑張らなきゃならないというか。今年に入ってからドラマのお仕事を2本もいただいて、言ってみれば劇団時代に女優を目指していた頃と同じ気持ちを今の年齢で体験している感じがあって、原点回帰時期に入ってるんですね。あとはラストチャレンジっていう(笑)。なんとなく今はそんな頑張りどきなのかなって。

ドラマの仕事は、古い記憶を引っ張り出し、現在の状況と照らし合わせつつ、全身を見られている緊張感があるという。身が引き締まる思いだと日髙は語り、女優は「また新人に戻ったような不思議な感覚」と表現した。

市川:声だけの仕事と実写の仕事の違いってどんなものがありますか?
日髙:心のなかは同じなんですけど、監督に言われてハッとしたのが、「全ての言葉に感情をのせようと思わないでください」という言葉。人ってきっともっと何気なくしゃべっていたりするけれど、アニメーションをやっていると表情で感情を表しても伝わらないから「それを全部声にのせてください」っていうところからスタートしたので情報が言葉にのりすぎる感じがあって。声優になってから身に付いたスキルが、女優だとちょっと邪魔なのかもって思った瞬間でした。
市川:声の情報量がちょっと多いんですね。
日髙:そう。だから声優と話すと抑揚がすごくあるとか、電話で声を聞いていても感情がすぐわかるとか言われるんだけど、ドラマは顔が映っているからそんなにそれはいらないんだなって。でも自分としてはナチュラルなことだったので、逆に意識して普段の会話を思い出すような、ちょっと不思議な感覚になりましたね。

日髙は、声優の仕事は天職だと感じているという。歌手デビューもしたけれど、アイドルとしては決して成功したわけではなく、それが評価としてつながったことは今まであまりなかったと振り返る。

日髙:でも声優になってからは、とんとん拍子でいろんな役をやらせてもらって、夢中でチャレンジしているうちにここまで来た感じがあって、それが自分でもとっても楽しかったし、多くの方に喜んでもらえたので、天職かなって思います。

『タッチ』の浅倉 南とシンクロした瞬間

日髙は、これまでの声優の仕事で、いちばん難しかった役は『タッチ』の浅倉 南だと明かす。当時、原作漫画が人気だったため、関わったスタッフ一人ひとりのなかに浅倉 南像があり、日髙が声を当てると「違う」と言われたそうだ。

市川:人気原作ならではの大変さですよね。
日髙:しかも、声優デビューして9カ月くらいしか経ってなくて。心の中で(浅倉)南ちゃんの感情をつかんだと思っても、それが声にのらない時期でもあってすごく難しかったですね。南ちゃんとは2年の付き合いがあり最初のほうはそうやって苦労したんですけど、途中で南ちゃんと私がシンクロする感じがあって、おこがましいけどそれからは第2の私みたいな感じでした。
市川:そのシンクロした瞬間って覚えてますか?
日髙:最初の頃は中学生の南ちゃんだったから、中学生の頃の自分の出来事とかそのときの気持ちを引っ張り出して南ちゃんに重ねてたんです。重なったときはいいけど、重ならないときはヒドいっていう、すごくムラのある演技でした。だんだん声優としていろんなスキルが身に付いていって、やり方がわかってきたときに、自分の出す思いと声が一致する瞬間があって。でもそれが百発百中ではないんですよね(笑)。
市川:徐々にできてきたんですね。
日髙:だけど、少しずつ当たる回数が増えていって、これだっていうのをつかみ始めて、南ちゃんも高校生になり大人になって、最終回近くは本当に自分なのか南ちゃんなのかわからなくなるくらいの感じがありました。貴重な体験でしたね。

浅倉 南ほど国民的な役をすると、そのイメージが日髙に付きすぎて、その後の仕事に大きな影響を与えたという。日髙は「南ちゃんの役をしたからこのあとは安泰かしら」と思っていたが、声優の先輩から「ひとつ大当たりしてしまうと、そこからが大変だよ」と言われたそうだ。

日髙:同じような役しか振ってもらえなかったり、でもこの役で南ちゃんになっちゃうと困るなって役を振られなかったり。だから「もしかして私、ピンチなの?」と思って(笑)。だからそれをどうやったら変えられるかなと考えて、これは一気に男の子の役にチャレンジするしかないかなって思いました。
市川:それがテレビアニメ『ピーターパンの冒険』のピーターパン役につながるんですね。
日髙:そうなんです。本当に自分が危機を感じたときがあって、『らんま1/2』のアフレコをしているときに、少年が右から左に駆け抜けるようなシーンだと、声優さんをキャスティングするんじゃなくて、そのスタジオにいる誰かに振ってやってもらう感じでした。小さい男の子はたいてい女の子が演じていたんですけど、その日、女の子は私しかいなくて。音響監督さんが「このセリフは誰にやってもらおうかな。……いや、来週やります」って。私は少年の声ができないと思われてる感じて、これはいかんぞと思って、その瞬間に少年役にチャレンジしなきゃっていう思いがわきました。

活動40周年を経て「チャレンジを続けていきたい」

10月23日(土)、日髙のり子40周年記念ライブフェス 第2弾となる、日髙がオーガナイズするミュージックライブフェス「Non Fes Halloween Party」がチームスマイル豊洲PITで開催。日髙はもちろん、高橋洋子、angela(atsuko & KATSU)、山口勝平、林原めぐみ、佐久間レイ、紡木吏佐、進藤あまね、アルスマグナなど声優やアニソンボーカリスト陣と共に、臨場感溢れるパフォーマンスが繰り広げられる。

また、2022年は山寺宏一と関 俊彦との声優ユニット「バナナフリッターズ」の還暦ライブを計画中とのこと。

市川:活動40周年を経て、これからどんな未来を歩もうと思われていますか?
日髙:歌手デビュー40周年でライブ活動を始めてから、「Non Fes」のようなフェスも計画できるようになって、自分自身が思っていた以上にいろんな広がりが見えているように感じます。体力の続く限り、みなさんに喜んでいただけるようなチャレンジを続けていきたいと思っています。
市川:今後やってみたいことはありますか?
日髙:このくらいの年齢になると誰もが原点回帰をしたくなるらしいんです。私はドラマに出たときに「最初はここを目指してたんだよな」って思って。声の仕事も好きだけど、自分自身の姿で舞台に立ったり演技をしたりすることもやっておかなきゃなっていう気持ちも浮かんでいて、だからそういう意味では映像や舞台も機会があったらまたチャレンジしたいと思っています。

日髙のり子の最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。

『ORIENT STAR TIME AND TIDE』では、革新的な活動によって各界をけん引している人物をゲストに迎えて、現在の活動はもちろん、これから先どのようなビジョンに向かって進んでいくのかをじっくりと伺っていく。放送は毎週土曜日の21時から。

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番組情報
ORIENT STAR TIME AND TIDE
毎週土曜
21:00-21:54