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『残酷な天使のテーゼ』は「簡単には歌い始められません」 高橋洋子が心がけを明かす

『残酷な天使のテーゼ』は「簡単には歌い始められません」 高橋洋子が心がけを明かす

シンガーの高橋洋子が、デビューまでの道のりや今後の展望などについて語った。

高橋が登場したのは、3月30日(土)放送のJ-WAVEの番組『ORIENT STAR TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。

再生は2024年4月6日28時ごろまで

30年間歌い続けてきた『残酷な天使のテーゼ』

高橋は幼いころから音楽に囲まれた環境で育ち、1987年に久保田利伸のコンサートツアーでサポートメンバーとして参加し、キャリアをスタートさせた。その後、松任谷由実などさまざまなアーティストのライブやレコーディングに参加し、1991年にソロデビューを果たすとレコード大賞新人賞をはじめ、さまざまな音楽賞を獲得。1995年、のちに社会現象まで巻き起こしたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌『残酷な天使のテーゼ』を歌い、ロングヒットを記録。以降も映画主題歌や関連楽曲などを多数担当している。

市川:2021年3月、ついに『エヴァンゲリオン』シリーズが完結しました。約30年関わっている方からすると、どういった気持ちになるんでしょうか。

高橋:「つい」なのか「もう」なのか「やっと」なのか、全方向にいろいろな想いがあります。

市川:主題歌『残酷な天使のテーゼ』を歌い続けてきたことに対してはどういう想いですか?

高橋:まさか30年もこの歌を歌い続けることができるとは思ってもいませんでした。社会現象は何度も波があり、そのたびに「え、これなんの波?」って思いながら波にもまれて、たどり着いた先が今という感じです。

市川:もともとの放送じゃなくて再放送で1回すごくブレイクして、そこからまた第二世代があったり映画が出たり。

高橋:「これはどうなっているんだ」みたいな論争が毎回あるという。

市川:確かに。

『残酷な天使のテーゼ』はカラオケで歌う人も多い楽曲でもある。

市川:「あんな難しい曲、みんなよく歌えるな」と思いませんか? たぶん日本人の歌唱力の底上げにものすごく貢献していると思います。

高橋:みなさんに伺うと、達成感があると。でもよくよく聞くと難しいとも思っていない。「カラオケはこれだよね」みたいな感じの方にとってはすごく「アゲソング」なのかなと。仕事にしている私としては毎回「あそこに気をつけなきゃ」というのはあります。

市川:洋子さんのレベルでもあの曲は難しいのでしょうか?

高橋:私のレベルはたいしたことはないんですが、ただ「音程や活舌に気を付ける」とか、特に当時の印象のままなるべく歌おうとすると、簡単には歌い始められません。

市川:当時のイメージのままというのは、こだわっているところなのでしょうか?

高橋:結局アニソンは、アニメがあってそれについているソングじゃないですか。だから「どうも高橋洋子です」という私のアイデンティティはいらないわけですよね。

市川:作品があってストーリーがあって、そこに関わる主人公や登場人物があってということですよね。

高橋:そっちがメインですから。だから私自身がイメージを壊すようなことはできないかなと思っています。今のほうが昔より練習していて。やっぱり声も歳をとりますから、今は当時の歌の真似をしています。

市川:へー!

高橋:寄せていく。それでも声が歳をとっていますけど、なるべくそのイメージを崩さないように歌うのは心がけていますね。

市川:努力というか、哲学ですよね。作品へのリスペクトもありつつ。

高橋:すごいリスペクトですよ。

市川は「洋子さんの思う「『エヴァ』らしさとは?」と問いかける。

高橋:哲学的で、常にそうだったり、そうじゃなかったりするんです。1995年に『エヴァンゲリオン』シリーズがスタートして。だから30年前ですよね。その当時は、哲学的なものがアニメで出るというのは、なかったわけではないでしょうけど、こんな風にヒットしたものは先駆者的なものだと思います。しかも主人公が強くないんです。

市川:確かにそうですね。

高橋:それまでは、たとえば主題歌もヒーローの名前が入っていたりします。だけど主題歌にも一切『エヴァンゲリオン』という文字は入っていない。そして主人公は強くない。でもそれってもしかしたら、いつもみんなが映し出す自分の中にある一部なんじゃないかなと。観返すたびに姿、形を変える作品。自分が進化した分、どこを観るのか、響くのか。哲学的なものって深いから、そういう風に形を変えるんだと思うんです。極論から言うと、その人を映し出す鏡のような作品でもあるのかなと。

デビューは急遽決まった

小学2年生から高校2年生まで合唱団に入り、その後アマチュアバンドでボーカルやコーラスを経験したものの、人前で歌うことには苦手意識があったという高橋。久保田利伸や松任谷由実のコーラスの仕事をしている中で、急遽デビューの話が舞い込んできたのだという。

高橋:「譜面も読めて歌を歌える人を探している。誰かいない?」ということで、急遽歌ったものでデビューみたいな感じでした。なので「デビューしたいです!」みたいな、そういうのはありませんでした。

市川:やっていて気づいたら……。

高橋:それも時間がない中でのデビューだったので、ジャケ写とかも撮る時間がないから時計の絵で(笑)。

市川:そんなことあるんですか(笑)。

高橋:テレビの主題歌だというので慌てて録りましたが、主題歌で流れないことになって、でもデビューはするという(笑)。

市川:そんなことあるんですね(笑)。『エヴァ』はそれからどのくらい?

高橋:4年後です。

市川:かなり環境が変わりますよね。

高橋:デビューした年にバブルがはじけたんですよ。そうこうしているうちに、たまたまアニメの主題歌を歌わせていただくというご縁があって、それが『エヴァンゲリオン』の主題歌でした。

「音楽療法」からの学び

しかし高橋は2000年頃に周囲の手厚いサポートに対して「このままいくと私は人としてだめになってしまうかもしれない」という恐怖に襲われ、2002年頃には事務所やレコード会社を辞めて事実上の引退状態に。その後、資格を取得してヘルパーの仕事を始めたという。

高橋:最終的にはデイサービスが一番長くて。デイサービスって歌うことも多いんですよ。

市川:音楽療法とかありますよね。

高橋:私も音楽療法の聴講生として勉強もして。それでライブとは言いませんが施設でみなさんと一緒に歌いました。でもこれは「究極のライブ」なんです。だって私が高橋洋子なんて誰も知らないですから。みんな注意が散漫になる中、いかに私に集中して一緒に歌って踊ってくれるのかと毎回大汗をかきながら……。でも「いろいろ忘れちゃったのよ」なんて寂しそうにしている方も童謡唱歌とかは歌えるんです。3番まできちっと完ぺきなんですよね。だからそうすると「できる」という肯定感が上がって元気になるんですよ。私も元気になって「これいいじゃない」みたいな感じでした。

市川:本当ですね。

高橋:ただ、そうこうしているうちに、お世話になったみなさんから「このイベントにどうしても出てほしい」と言ってもらえて。それに出ると私がやっているお給料とは比べられない額になるので考えてしまうんです。あるとき、星がすごくいっぱい出ていた夜があって、それを見ていたら「私はあの星よりも小さいんだよな」と。こんなにたくさんあって、この星よりも小さい私が「私の生きざまがどうだこうだ」と言っているんだと思ったらばかばかしくなってしまって。感謝してお仕事をいただけるんだったら、私の歌を聴きたいという人が1人でもいるなら「ありがとう!」と走って飛んで行って歌えばいいじゃない、と思って、退職願を出しました。でもそのあとも急に辞められないので、音楽療法自体は3年ぐらい続けていたのかな。それで戻ってきたという感じです。

どんな人も愛し愛されて生きていく

最後に高橋の「未来」について、今後の音楽活動への想いについて話を聞いた。

市川:これからも歌い続けていくと思いますが、そのための想いや原動力、伝えたいことはありますか?

高橋:私は『エヴァンゲリオン』シリーズという作品と出会うことで、ひとつの世界観を与えていただけたというのがあって、天からのギフトだと思っています。そこを通して出会えることって、たぶん1人で家で歌っていたらなかったことなんです。今はまだ行ったことのない国がたくさんありますし、これから観ようと思っている方もたくさんいらっしゃると思います。届いていない人や所にもっとアクセスしていきたいなという風に思っています。

市川:聴きたいと思っている人がいっぱいいて、そこに届けていくという。最後に未来に向けての夢や展望をお願いします。

高橋:どんな人も愛し愛されて生きていく。誰しもがそうなっていいことだと思います。そんな世界に向かうツールとしての音楽活動をしていけたらなと思っています。

高橋の最新情報は、公式サイトまで。

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2024年4月6日28時59分まで

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番組情報
ORIENT STAR TIME AND TIDE
毎週土曜
21:00-21:54