俳優の豊田エリーが、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の稽古で印象的だったエピソードなどを語った。
豊田が登場したのは、J-WAVE『ORIENT STAR TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰、槙野智章)。オンエアは9月21日(土)。
市川:今年の夏は毎日舞台?
豊田:稽古が5月から始まって、2カ月稽古期間がありました。7月から初日を迎えて、ただロングラン公演なので、1年目、2年目の方々はやっていて、私は3年目からの参加です。初めて参加する人たちとずっとやってきている人たちが合流したような形なので、そういう経験も初めてでした。ダブルキャストやトリプルキャストでやっているので、組み合わせが変わると毎日の空気も全然変わって。それも完全に初体験です。
槙野:観に行きました。僕はエリーさんの前の向井 理さんたちのときに行きました。
豊田:初年度のときのですね。すごくおもしろいですよね。
槙野:おもしろいどころか興奮します。
市川:もともと『ハリー・ポッター』シリーズは?
豊田:大好きです。
市川:そうすると思い入れというか、ハーマイオニー役が決まったときはどうでしたか?
豊田:うれしかったですね。家族に伝えるときに、ほかの仕事とは違う感覚がありました。子ども時代の憧れの役だったので、まさかそれが日本で舞台化されて自分が演じることができる日がくるなんて、ずっと思っていなかったので、すごくうれしくて。
槙野:2カ月前から舞台の稽古をすると言っていましたが、台詞はどうやって覚えましたか?
豊田:ひたすら、私は棒読みで録音して、ずっと運転中に聴いたり、自分で自分の声に重ねてしゃべったりというのをやっています。
続いて豊田は、稽古で印象的だったことを語った。
市川:今まで1年、2年やっている方々もいて、海外でもいろいろな場所でやっていますよね。
豊田:今回も演出家さんチームは海外から来ていて。インターナショナルチームの演出を受けるので、通訳の方も隣にずっといました。そのシステムも初めてで、海外チームの方々はすごく愛情深いなと思いました。ダメ出しもすごくこちらの自己肯定感を高めながら言ってくれるというか。「今のもすごくいいんだけど」みたいな(笑)。
市川:ちゃんと褒めてくれるんですね。
豊田:最初に「ナイス」「ラブリー」と言ってから「でもちょっとこうしてみて」みたいな感じなので、こちらも気分が下がらずに(稽古ができます)。
槙野:「今のでもいいんだ、でももうちょっとこうしたいな」みたいな感じになるのですね。俳優さんたち的には「これができていない」とはっきり言ってくれたほうがいいのか、今みたいなスタイルのほうがいいのか、どちらですか?
豊田:人にもよります。かつてはたぶん、ちょっと厳しい愛のムチがいいという方も多かったと思います。ですが今回体験してみたら、演出家さんの俳優へのリスペクトをすごく感じました。演出家さんの立場は日本だとわりと絶対的に上という構造ができちゃっているのですが、全員の関係がフラットです。こちらからも言える対等な関係で稽古が進んでいきました。
市川:一緒に作っている感じがありますね。
豊田:決まりごとも多くて、「このときにこの場所にいる」といったことが厳密に決まっている作品ですが、「このセリフを言うときの感情はどう思う?」とかはすごく自由です。そういったニュアンスはすごく「こうして」ではなくて、「ここはどう思う?」とまず訊いてくれます。「確かにそこのことを考えていなかったな」といったことが、こちらもいろいろな発見をしながら作っていける感じがあります。
豊田:小学校のときに演劇クラブに入っていて。映像を撮って給食の時間に全クラスに流すという拷問みたいなことがありました(笑)。
市川:だいぶ恥ずかしい(笑)。
豊田:すごく恥ずかしくて、給食を食べられなくなって廊下に出ていました。その恥ずかしい気持ちがありながら、お芝居の映像を撮っているのはすごく楽しかったんです。学芸会も率先して「主役をやりたい!」みたいなタイプで。でもクラスの人気者タイプではないので、急に学芸会になるとしゃしゃり出てくるみたいな(笑)。
市川:めちゃくちゃ向いているということですよね。
豊田:好きではありました。
槙野:影響された作品や人は?
豊田:私は、はとこがいるのですが、親戚のまりゑちゃんという方が舞台俳優をずっとやっていて。子役で『アニー』や『ピーターパン』、『レ・ミゼラブル』などミュージカルをずっとやられていて、それを観ていたのは大きいです。
槙野:身近にいたんだ。
豊田:なので小学生のころから、大きい劇場で観ている風景を原体験として覚えています。そこへの憧れは大きかったかもしれないです。
市川:今後チャレンジしてみたいことはありますか?
豊田:今回の舞台『ハリー・ポッター』でも思いましたが、海外の演出家さんの演出を受けたのが初めてで、すごく楽しかったんです。今後も海外の作品に参加したいという憧れは生まれました。
市川:長期でロンドンに行かれていたんですよね。
豊田:今回の稽古が入る前に(予定を)空けて、2カ月ロンドンに行きました。そこでワークショップを受けて。そのときも、現地のワークショップを受けたら自己肯定感がすごく上がる感覚がありました。
市川:褒めて伸ばす感じの指導が多いのですか?
豊田:否定されないというか。まず初日に「ここは安全な場所だから、誰もあなたを否定しない」という話を講師の方がしてくれました。みんなとの仲間意識が初日で生まれる、いいワークショップでした。だからその感覚がいいなと思って。そういう経験をして、それをまた日本の稽古場に活かしていけたら……。安全な場所に、今もいい現場ばかりですが、誰も否定されない空間になったらいいなと思いますね。
槙野:ロンドンはそういうやり方なのですか?
豊田:ワークショップでそういう「安全な場所」というのは、そのときが初めてではありませんでした。今年の始めだったかな。パリの劇団のワークショップを日本でやっていたのを受けたことがありましたが、そのときも最初にその話がありました。海外だと(そういう考えが)ベースとしてあるのかもしれません。だからこそさらけ出せるというか。
市川:失敗しても大丈夫という空気があるのはすごく大事ですよね。
豊田:本当にそうですよね。
市川:豊田さんはルーツがイギリスですよね。
豊田:父親がイギリス人ですが、ずっと日本育ちということが自分のなかで引っかかっていて。2カ月の滞在がこれまでで最長でした。もしイギリスで育っていたら、みたいなパラレルワールドを体験しているような期間でもありました。向こうで「ずっと住んでいました」みたいな顔をして歩いて(笑)。スーパーの店員さんと顔なじみになったり、そういう何気ない日常が一番楽しかったです。
市川:今後プライベートでやってみたいことはありますか? チャレンジしたいこととか。
豊田:いっぱいあります。やりたいことだらけです。一番遠いけど、夢は映画館を作りたいです。
市川:どういう映画館ですか?
豊田:小さい単館系です。「シネコヤ」という好きな映画館が神奈川にあります。そこは写真館を映画館に改装していて。1階は本棚とカフェスペースになっていて、2階にスクリーンがあるのですが、すごく素敵です。椅子も映画館の椅子ではなくて、ソファーやかわいいアンティークの椅子で、たぶん店主さんの好きなものが並んでいます。かかっている映画も、ちょっと前に大きな映画館でやっていたようなものを1カ月後にかけていたりして、すごく素敵な空間だなと思いました。映画館で映画を観るのが大好きですが、ちょっと(館数が)減っていて。その文化、劇場の暗闇のなかみんなで観るという。演劇もそうですよね。今は配信でなんでも観られてしまうけど、だからこそ集まって静かに暗闇のなかで観る場所を自分で作ってみたいなと思います。(本を)読んで感想を言いあう「ブッククラブ」があるじゃないですか。あれの映画版もやりたいなと思って。集まる場所ができたらいいなという、ほのかな夢があります。
ゲストの過去・現在・未来に市川紗椰と槙野智章が迫る、J-WAVE『ORIENT STAR TIME AND TIDE』の放送は毎週土曜日の21時から。
豊田が登場したのは、J-WAVE『ORIENT STAR TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰、槙野智章)。オンエアは9月21日(土)。
舞台『ハリー・ポッター』に出演
豊田は中学生のときからモデルとして活動をスタートさせ、ファッション誌だけではなく、コマーシャルなどにも出演。2006年に映画初出演を飾ってからは、ドラマや舞台などに活動の場を広げ、2024年7月からは、ロングラン公演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハーマイオニー・グレンジャー役を務めている。市川:今年の夏は毎日舞台?
豊田:稽古が5月から始まって、2カ月稽古期間がありました。7月から初日を迎えて、ただロングラン公演なので、1年目、2年目の方々はやっていて、私は3年目からの参加です。初めて参加する人たちとずっとやってきている人たちが合流したような形なので、そういう経験も初めてでした。ダブルキャストやトリプルキャストでやっているので、組み合わせが変わると毎日の空気も全然変わって。それも完全に初体験です。
槙野:観に行きました。僕はエリーさんの前の向井 理さんたちのときに行きました。
豊田:初年度のときのですね。すごくおもしろいですよね。
槙野:おもしろいどころか興奮します。
市川:もともと『ハリー・ポッター』シリーズは?
豊田:大好きです。
市川:そうすると思い入れというか、ハーマイオニー役が決まったときはどうでしたか?
豊田:うれしかったですね。家族に伝えるときに、ほかの仕事とは違う感覚がありました。子ども時代の憧れの役だったので、まさかそれが日本で舞台化されて自分が演じることができる日がくるなんて、ずっと思っていなかったので、すごくうれしくて。
槙野:2カ月前から舞台の稽古をすると言っていましたが、台詞はどうやって覚えましたか?
豊田:ひたすら、私は棒読みで録音して、ずっと運転中に聴いたり、自分で自分の声に重ねてしゃべったりというのをやっています。
続いて豊田は、稽古で印象的だったことを語った。
市川:今まで1年、2年やっている方々もいて、海外でもいろいろな場所でやっていますよね。
豊田:今回も演出家さんチームは海外から来ていて。インターナショナルチームの演出を受けるので、通訳の方も隣にずっといました。そのシステムも初めてで、海外チームの方々はすごく愛情深いなと思いました。ダメ出しもすごくこちらの自己肯定感を高めながら言ってくれるというか。「今のもすごくいいんだけど」みたいな(笑)。
市川:ちゃんと褒めてくれるんですね。
豊田:最初に「ナイス」「ラブリー」と言ってから「でもちょっとこうしてみて」みたいな感じなので、こちらも気分が下がらずに(稽古ができます)。
槙野:「今のでもいいんだ、でももうちょっとこうしたいな」みたいな感じになるのですね。俳優さんたち的には「これができていない」とはっきり言ってくれたほうがいいのか、今みたいなスタイルのほうがいいのか、どちらですか?
豊田:人にもよります。かつてはたぶん、ちょっと厳しい愛のムチがいいという方も多かったと思います。ですが今回体験してみたら、演出家さんの俳優へのリスペクトをすごく感じました。演出家さんの立場は日本だとわりと絶対的に上という構造ができちゃっているのですが、全員の関係がフラットです。こちらからも言える対等な関係で稽古が進んでいきました。
市川:一緒に作っている感じがありますね。
豊田:決まりごとも多くて、「このときにこの場所にいる」といったことが厳密に決まっている作品ですが、「このセリフを言うときの感情はどう思う?」とかはすごく自由です。そういったニュアンスはすごく「こうして」ではなくて、「ここはどう思う?」とまず訊いてくれます。「確かにそこのことを考えていなかったな」といったことが、こちらもいろいろな発見をしながら作っていける感じがあります。
子どものころから演劇が好き
続いて豊田の過去について尋ねることに。豊田は「一番がむしゃらだったとき」は21歳で、出産して子育てをしているときだったと回想した。子どものころはあまり友人が多いタイプではなかったという豊田だが、そのころから演劇への情熱は持っていたという。豊田:小学校のときに演劇クラブに入っていて。映像を撮って給食の時間に全クラスに流すという拷問みたいなことがありました(笑)。
市川:だいぶ恥ずかしい(笑)。
豊田:すごく恥ずかしくて、給食を食べられなくなって廊下に出ていました。その恥ずかしい気持ちがありながら、お芝居の映像を撮っているのはすごく楽しかったんです。学芸会も率先して「主役をやりたい!」みたいなタイプで。でもクラスの人気者タイプではないので、急に学芸会になるとしゃしゃり出てくるみたいな(笑)。
市川:めちゃくちゃ向いているということですよね。
豊田:好きではありました。
槙野:影響された作品や人は?
豊田:私は、はとこがいるのですが、親戚のまりゑちゃんという方が舞台俳優をずっとやっていて。子役で『アニー』や『ピーターパン』、『レ・ミゼラブル』などミュージカルをずっとやられていて、それを観ていたのは大きいです。
槙野:身近にいたんだ。
豊田:なので小学生のころから、大きい劇場で観ている風景を原体験として覚えています。そこへの憧れは大きかったかもしれないです。
海外の演出家から受けた影響
続いて豊田は自身の「未来」について語った。市川:今後チャレンジしてみたいことはありますか?
豊田:今回の舞台『ハリー・ポッター』でも思いましたが、海外の演出家さんの演出を受けたのが初めてで、すごく楽しかったんです。今後も海外の作品に参加したいという憧れは生まれました。
市川:長期でロンドンに行かれていたんですよね。
豊田:今回の稽古が入る前に(予定を)空けて、2カ月ロンドンに行きました。そこでワークショップを受けて。そのときも、現地のワークショップを受けたら自己肯定感がすごく上がる感覚がありました。
市川:褒めて伸ばす感じの指導が多いのですか?
豊田:否定されないというか。まず初日に「ここは安全な場所だから、誰もあなたを否定しない」という話を講師の方がしてくれました。みんなとの仲間意識が初日で生まれる、いいワークショップでした。だからその感覚がいいなと思って。そういう経験をして、それをまた日本の稽古場に活かしていけたら……。安全な場所に、今もいい現場ばかりですが、誰も否定されない空間になったらいいなと思いますね。
槙野:ロンドンはそういうやり方なのですか?
豊田:ワークショップでそういう「安全な場所」というのは、そのときが初めてではありませんでした。今年の始めだったかな。パリの劇団のワークショップを日本でやっていたのを受けたことがありましたが、そのときも最初にその話がありました。海外だと(そういう考えが)ベースとしてあるのかもしれません。だからこそさらけ出せるというか。
市川:失敗しても大丈夫という空気があるのはすごく大事ですよね。
豊田:本当にそうですよね。
市川:豊田さんはルーツがイギリスですよね。
豊田:父親がイギリス人ですが、ずっと日本育ちということが自分のなかで引っかかっていて。2カ月の滞在がこれまでで最長でした。もしイギリスで育っていたら、みたいなパラレルワールドを体験しているような期間でもありました。向こうで「ずっと住んでいました」みたいな顔をして歩いて(笑)。スーパーの店員さんと顔なじみになったり、そういう何気ない日常が一番楽しかったです。
市川:今後プライベートでやってみたいことはありますか? チャレンジしたいこととか。
豊田:いっぱいあります。やりたいことだらけです。一番遠いけど、夢は映画館を作りたいです。
市川:どういう映画館ですか?
豊田:小さい単館系です。「シネコヤ」という好きな映画館が神奈川にあります。そこは写真館を映画館に改装していて。1階は本棚とカフェスペースになっていて、2階にスクリーンがあるのですが、すごく素敵です。椅子も映画館の椅子ではなくて、ソファーやかわいいアンティークの椅子で、たぶん店主さんの好きなものが並んでいます。かかっている映画も、ちょっと前に大きな映画館でやっていたようなものを1カ月後にかけていたりして、すごく素敵な空間だなと思いました。映画館で映画を観るのが大好きですが、ちょっと(館数が)減っていて。その文化、劇場の暗闇のなかみんなで観るという。演劇もそうですよね。今は配信でなんでも観られてしまうけど、だからこそ集まって静かに暗闇のなかで観る場所を自分で作ってみたいなと思います。(本を)読んで感想を言いあう「ブッククラブ」があるじゃないですか。あれの映画版もやりたいなと思って。集まる場所ができたらいいなという、ほのかな夢があります。
ゲストの過去・現在・未来に市川紗椰と槙野智章が迫る、J-WAVE『ORIENT STAR TIME AND TIDE』の放送は毎週土曜日の21時から。
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- ORIENT STAR TIME AND TIDE
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