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スキマスイッチは“共作”─例えば片方が歌詞に悩んだときはどうする?

スキマスイッチは“共作”─例えば片方が歌詞に悩んだときはどうする?

スキマスイッチの常田真太郎が、デビュー20周年の心境や過去の大変だった時期、今後やりたいことを語った。

常田が登場したのは、6月16日(土)放送のJ-WAVEの番組『ORIENT STAR TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰、槙野智章)。様々なジャンルで個性的に輝き、自分らしく活躍する人をゲストに迎え、現在から未来のビジョンを伺う番組。ポッドキャストでも配信している。

音声の再生は2024年6月22日28時ごろまで

20年、あっという間な気もするけど…

常田は高校卒業後、多数のバンドにキーボードとして参加。インディーズのレコーディングエンジニアなどもおこないながら、大橋卓弥との出会いをきっかけに1999年にスキマスイッチを結成。2003年にメジャーデビューし、20周年を迎えた。

市川:20周年イヤーですが、もう20年なのか、まだ20年なのか、今の心境は?

常田:記憶としては昔のことのほうが思い出しやすくて。そうなるとあっという間かなっていう気もするんですけど、やってきたことを年代で見てみるとすごくやってきているなって。

市川:どんなことが印象に残っていますか。

常田:ベスト盤(20周年記念ベストアルバム『POPMAN'S WORLD -Second-』)を出させてもらったので、それを受けてのツアーもしたんですけど、2023年末に日本武道館でベスト盤も含めた総決算って感じでライブをさせてもらって。そこで20周年にこんなことやるよって最後に連続で発表したんですね。例えばスキマフェスやトリビュート盤が出ます、夏にアルバムが出ますとか。それをどういう順番でどのタイミングで発表したらみんなが「おおー!」って言ってくれるかなって、何回もシミュレーションして。それをドンドンって出したときに、歓声が徐々に上がってくるわけですよ。終わったときには騒然としていて、ザワザワで、やってよかったなって。そう思った5分後くらいに「これ、全部やるのか」ってすごいプレッシャーでした。

市川:言ったからには(やらないといけないから)。

1曲の中でも2人の歌詞が入る曲もある

ここで、槙野が普段のスキマスイッチの楽曲制作について質問する。

槙野:スキマスイッチの歌は、常田さんがまず曲を作ることから始まるんですか?

常田:うちは珍しくて、(大橋)卓弥も僕も作詞・作曲ができるので、お互いにネタを持ち寄って、「これいいね」「歌詞はどっちが書く?」とか。先に曲を作るので。

市川:曲によってバラバラなんですね。

常田:バラバラですね。さらにそれも明かしてなくて。作詞作曲は2人の名義にして。実は個性は分かれているんだけど、聴く人に予想してもらったりして。

槙野:例えば1曲の中でも2人の歌詞が入ったりしているんですか?

常田:もちろん。共作なので。1人が「この歌詞が出なくてずっと考えているんだよね」ってなったらもう1人が「こうじゃない?」って言って「それ採用」って。そういうスタイルですね。あとアレンジっていう伴奏を作る作業も2人でやっていて。実作業は僕なんですけど、アイデアは卓弥も言ってくれて、それを僕が全部音にして確認しています。うちはプロデューサーがいないので。

楽曲制作で2人が衝突するのは日常茶飯事だという。

常田:やっぱり2人組は、正解って結局なくなっちゃうので。好き嫌いになっちゃうから。その部分で「なんでこれについてこんなこと言うんだろう」って思うこともあるし、向こうも思っているし。僕はA、卓弥はB、という感じでもめたら、「Cを作ろうよ」って言って新しいものを生み出してずっときていますね。

市川:アルバムというものにこだわりはありますか?

常田:もっと言うとCDに(こだわりを持っていますね)。僕らはCDで育って、大事なものを手に持ってほしいという感覚があるので、なるべくCDとしてパッケージしています。曲間があって、このタイミングで次の曲がきてほしいってあるじゃないですか。この次の曲はこれがいいとか。個人的にはそういう風に聴いてきた人なので。もっと言うとリピートしたときのタイミングなんかも2人でどういうのがいいかなって最後の作業のときは話していますね。

槙野:そんなに考えているんですね。

スキマスイッチは約2年7カ月ぶりとなる記念すべき10枚目のオリジナルアルバム『A museMentally』を7月10日(水)にリリースする。

常田:今回はCDだけの曲も入っています。配信では入れずに。

槙野:今の若い子たちはCDを手に取ったことがないのかな。

市川:アルバムをまるごと聴くっていう習慣がないかもしれないですね。1曲1曲を聴いていて。

常田:この3曲目があるから8曲目が生きてくるとか考えて作っていますからね。

多忙を極めて生まれた問題点

常田はデビュー20周年を振り返り、その中でもいちばん大変だったときを明かした。

常田:デビューしたあとの3年目。2006年に3枚目のアルバム『夕風ブレンド』が出るんですけど、そのあたりのスケジュールは本当にすごくて。曲で言うと『ガラナ』とかを作った頃なんですけど、1週間に同時に3曲仕上げないといけないとか。その前の年に『全力少年』でみんなに聴いてもらえるようになって、それを受けてからの活動になるので、そういうお話もいただく中で、やっぱりツアーもやらなきゃいけない。発売したときは聴いてもらいたいので全国もまわる。それが1年間で重なってくるので、すごかったですね。

槙野:いい意味で忙しいってことですよね。

常田:そうそう。うれしい悲鳴というか。ただマネージャーからスケジュールが送られてきたときに最後の一行に「死なないようにしようね」って(笑)。「本当にキツかったら言ってくれ」って書いてあって。

槙野:当時、ザッとどんなスケジュールだったんですか?

常田:だいたいこの業界の仕事は昼からなんですけど、撮影とかが入ってくると9時や10時から開始で、そこで取材と撮影をその日に5、6本して、16時くらいからレコーディングでスタジオに戻って新曲とかを作ったりする時間があります。それがない場合は取材がもっと長引いたりテレビの仕事が入ったりして、24時くらいに自宅に帰ってきたら朝5、6時まで歌詞を書いたりしていましたね。ごはんは移動中の車の中で(笑)。全国をまわるときは1日に3都市とか回っていたので、今自分はどこにいるんだろうって。

過密スケジュールが続き、結果「これはもたない」ということで、お互いソロ活動という方法で少し風通しをよくしたと常田は話す。

常田:(当時)2人の仲も悪くて、しゃべらなくなっちゃうんですよね。メールベースでのやりとりとか、スタジオにいるけど違う部屋にいるとか。僕はアレンジをやっていて、卓弥は歌詞を書いているとか。そうなってくると意思の疎通も取れなくなってくるので、お互いソロ活動をして、1年経ったらもう1回ということで2009年にもう1回活動を開始するんですけど、そこからは逆に、事務所には申し訳ないけど時間を作ってもらって制作するようになりました。ゆっくりと。

槙野:そうすると空気もよくなってきたんですか?

常田:いいものができていると自分たちは思っていて。何より体温のある作品があるかなって気が。集中力は前のほうがあるかもしれないけど。だから質が違うと言えばそうかもしれないですね。どちらも好きですけど。

コロナ禍で中止になったアジアツアーをやってみたい

スキマスイッチは、20周年を経て年末には恒例のライブ『スキマスイッチ “POPMAN'S Year-end Party! 2024”』を12月22日(日)に日本武道館で開催する。

常田:毎年12月には武道館でやらせてもらっていて、もう3回やらせてもらったんですけど、いろいろと形態を変えつつ、定番化するものもあってもいいよねってことで新しく始めてみようかなと思っているのが忘年会。「Year-end Party」はズバリ「忘年会」。1年の総決算としてワイワイしようじゃないかって。それがコンセプトですね。いわゆる代表曲と言ってもらえるような曲を基本的にはたくさんやって、敷居を低く誰でも楽しめるようなライブをしたいなと思っています。

市川:今後やってみたいことは?

常田:コロナ禍のときに中止になったアジアツアーをやってみたいなって。実現させたいなって。

市川:どの国に?

常田:台湾や、インドネシアのジャカルタで過去にライブをやったこともあったんですけど、すごく盛り上がったんですよ。その恩返しじゃないですけど。そのときはフリーライブではありつつも、日本の文化を伝えようという、日本とインドネシアの交流をテーマにしたようなイベントだったので、次回は単独で行ってみなさんに長い時間楽しんでもらいたいなって思いますね。

スキマスイッチの最新情報は、公式サイトまで。

ゲストの過去・現在・未来に市川紗椰と槙野智章が迫る――。J-WAVE『ORIENT STAR TIME AND TIDE』の放送は毎週土曜日の21時から。

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番組情報
ORIENT STAR TIME AND TIDE
毎週土曜
21:00-21:54