デビュー25周年を迎えた平井 堅を特集した、J-WAVEで放送中の番組『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』(ナビゲーター:グローバー)。俳優・松下奈緒と音楽家・川口大輔がゲスト出演し、魅力を語り合った。オンエアは5月15日(土)、22日(土)。
ここでは15日(土)のオンエアの一部をテキストで紹介。ふたりが平井の音楽と出会った経緯や、川口が選ぶ「ボーカル力に思わず唸るナンバーTOP 3」は?
松下:思春期真っ只中、平井さんの歌で育ちました。
グローバー:初めての出会いは覚えていますか?
松下:朝、通学の準備で本当にバタバタしているなか、「もう行かなきゃ」って靴を履きかけたときにラジオから流れてきた『楽園』を初めて聴いて、手が止まって。「なんなんだ、この曲、この歌声は」と思い、ラジオのスピーカーの前に戻りました。
グローバー:そのとき、どんな気持ちになったんですか?
松下:胸を鷲掴みにされるというか。もちろん男性の声なんですけど、きれいなファルセットで、「この高音は何なんだろうか」というのと、グルーヴ感が洋楽のようで「私が思っていた邦楽と違う」と感じました。調べたら平井 堅さんで、写真を見ると「日本の方かな?」と一瞬思うぐらい端正なお顔立ちで、いろいろ衝撃を受けた出会いでした。
続いて平井と楽曲制作もしてきた川口に出会いを尋ねた。川口も松下同様、ラジオで平井の『why』を聴いたことがきっかけだったという。
川口:僕はずっとラテンの音楽、ブラジルの音楽をやっていて、日本の音楽はあんまり聴いてなかったんです。別に嫌で聴いていなかったわけではなくて、ラテンに夢中すぎて単純に聴く時間がなかった。そんなあるとき、ラジオで聴いてビックリしたんです。
グローバー:何にビックリしたんですか?
川口:歌い方ですね。僕はブラックミュージックもすごく好きでよく聴いていたんですけど、それまでのブラックミュージックはソウルフルやゴスペル的な力強い歌い方で、リズムも煽りが強い歌を歌うのがメインストリームでした。そんななか、こういう歌い方の曲でシングルを出すというのを、僕はそれまで見たことがなかったんです。両手を振ってライブでガンガン歌うようなものをシングルと呼ぶのかと思っていたけど、それをイチから覆されて「なるほど」という感じがありました。
グローバー:作り手として刺激を受けたと。
川口:刺激どころか「こういうものをインストールしていいんですね」って。インストール許可証みたいな感じがありました。おそらく音楽をやっていた人は横並びでみんなが同じようなことを思ったんじゃないかな。
松下:いろいろな平井さんを20年間観て聴かせていただいてきましたが、これまた新しい平井さんだなと思って、「これはなにが始まるの?」という印象を受けました。「一体この曲にはどんなメッセージが?」ってすごく興味津々になる一曲でした。でも最後はちゃんとメロディアスになっていて、最初の印象と聴き終えたときの印象がこうも違うのかと思って。
川口:平井さんイチの大問題作。単純に一聴目でこんなにヒントをいただけない曲はないなと。「こういうつもりで聴いていいんだ」ということを最初から全部否定された状態でこの曲を聴き始めました。
川口は「これはもしかしたらミュージックビデオの中にヒントがあるのでは?」とMVを観たがMVは「さらなる問題作だった」と感想を述べる。
川口:芸能のお仕事は本人がやりたいことでもあるけど、周りから見た「何か」を演じる部分があって、そのなかで正解はきっとなくて、それをストラグル(葛藤)しているような。俺も「もっと演じちゃってもいいんだな」「もっと素直でいいんだな」ということを繰り返してきたので、平井さんはそれをおっしゃりたかったのかなという結論に、ヒントのないなかで思ってみました。
松下:「ずっとなにかを模索している、答えというものはまだ見つかってない?」という感じがありましたよね。25年経って「こうなんです」ということではなく。
川口:おっしゃる通りで、「こうなんです」を否定したんだなと思ったんです。
松下:「平井さんがこれからやっていきたいと思ってることはなんだろう」という楽しみのほうが多いから、常に模索するという。迷うんじゃなくて、いろいろな可能性を常に探してらっしゃるんだなと感じました。どこに向かっていくのか、私たちにもわからないところが、またアーティストとしての魅力になっていくのかな。
川口:曲のなかでしか絶対に教えてくれないですよね。
松下:しかもその曲の答えも聴く側が自分で考えなきゃいけないじゃないですか。
川口:今回は特にそれでした。
【関連記事】平井 堅が語る『1995』に込めた思い
3位:『グロテスク feat. 安室奈美恵』
川口:すごくグルーヴィーに歌っているんですけど、ちょっと引っかかりみたいなものを声のなかに作っているんですね。そう思って聴くと歌詞がとんでもなく引っかかりのみでできているんです。さらにこれはコラボ曲で、声色の合わせ方がすごい。
松下:安室さんが入ったときに、スッってなだらかな一本に聴こえる。
2位:『GREEN CHRISTMAS』
川口:これはレイドバックで歌う中に「ポップスでこういうことができるんだ」という、最初にも言いましたが、インストールですね。
グローバー:この時期、特にアメリカのブラックミュージックの中でどれだけリズムをうしろに引っ張って「気持ちいいポイントを探すか合戦」みたいなのが繰り広げられてましたよね。
川口:ミュージック・ソウルチャイルドやディアンジェロですね。
グローバー:素晴らしい楽曲がたくさん生まれた中で、平井 堅が見せてくれた「これをインストールしよう」というすごさはどこだったんですか?
川口:平井さんの声って世界のどこにも存在しない声だと思うので「その声でそれをやるんだ」という、30個ぐらいのビックリがぎゅっと詰まってます。
1位:『Tomorrow』
川口:基本的にスケール感のある音楽が大好きなんですね。入り口は小さくてもなんでもよくて、その向こうに見えるスケール感。この曲は平井さんが歌い出した瞬間に、歌声が感情全部を許してくれるというか「この歌声に身を任せれば大丈夫なんだ」と教えていただいた曲です。
松下:私もどこかで語りたいなと思っていた曲です。カバー曲と言ってしまえばそうなんですけれども、この曲に関しては平井さんの曲みたいでした。イントロからトップギアなんですよね。歌声もストリングスも全てが。
川口:これは総合芸術という感じがします。
同番組では、翌週も平井 堅を特集した。radikoで2020年5月29日(土)まで聴くことができる。
【radikoで聴く】https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20210522170000
ここでは15日(土)のオンエアの一部をテキストで紹介。ふたりが平井の音楽と出会った経緯や、川口が選ぶ「ボーカル力に思わず唸るナンバーTOP 3」は?
平井 堅の楽曲との出会いはラジオ
松下は、ふとした瞬間に流れてきた平井の楽曲を聴いた高校生のころから約20年間、ずっとファンだという。松下:思春期真っ只中、平井さんの歌で育ちました。
グローバー:初めての出会いは覚えていますか?
松下:朝、通学の準備で本当にバタバタしているなか、「もう行かなきゃ」って靴を履きかけたときにラジオから流れてきた『楽園』を初めて聴いて、手が止まって。「なんなんだ、この曲、この歌声は」と思い、ラジオのスピーカーの前に戻りました。
平井 堅 『楽園』MUSIC VIDEO
松下:胸を鷲掴みにされるというか。もちろん男性の声なんですけど、きれいなファルセットで、「この高音は何なんだろうか」というのと、グルーヴ感が洋楽のようで「私が思っていた邦楽と違う」と感じました。調べたら平井 堅さんで、写真を見ると「日本の方かな?」と一瞬思うぐらい端正なお顔立ちで、いろいろ衝撃を受けた出会いでした。
続いて平井と楽曲制作もしてきた川口に出会いを尋ねた。川口も松下同様、ラジオで平井の『why』を聴いたことがきっかけだったという。
平井 堅 『why』MUSIC VIDEO
グローバー:何にビックリしたんですか?
川口:歌い方ですね。僕はブラックミュージックもすごく好きでよく聴いていたんですけど、それまでのブラックミュージックはソウルフルやゴスペル的な力強い歌い方で、リズムも煽りが強い歌を歌うのがメインストリームでした。そんななか、こういう歌い方の曲でシングルを出すというのを、僕はそれまで見たことがなかったんです。両手を振ってライブでガンガン歌うようなものをシングルと呼ぶのかと思っていたけど、それをイチから覆されて「なるほど」という感じがありました。
グローバー:作り手として刺激を受けたと。
川口:刺激どころか「こういうものをインストールしていいんですね」って。インストール許可証みたいな感じがありました。おそらく音楽をやっていた人は横並びでみんなが同じようなことを思ったんじゃないかな。
松下と川口も驚いた、平井の新曲『1995』
5月12日にリリースされた平井のニューアルバム『あなたになりたかった』に収録されている新曲『1995』は、平井がメジャーデビューをした1995年がタイトルになっている。平井 堅 『1995』MUSIC VIDEO
川口:平井さんイチの大問題作。単純に一聴目でこんなにヒントをいただけない曲はないなと。「こういうつもりで聴いていいんだ」ということを最初から全部否定された状態でこの曲を聴き始めました。
川口は「これはもしかしたらミュージックビデオの中にヒントがあるのでは?」とMVを観たがMVは「さらなる問題作だった」と感想を述べる。
川口:芸能のお仕事は本人がやりたいことでもあるけど、周りから見た「何か」を演じる部分があって、そのなかで正解はきっとなくて、それをストラグル(葛藤)しているような。俺も「もっと演じちゃってもいいんだな」「もっと素直でいいんだな」ということを繰り返してきたので、平井さんはそれをおっしゃりたかったのかなという結論に、ヒントのないなかで思ってみました。
松下:「ずっとなにかを模索している、答えというものはまだ見つかってない?」という感じがありましたよね。25年経って「こうなんです」ということではなく。
川口:おっしゃる通りで、「こうなんです」を否定したんだなと思ったんです。
松下:「平井さんがこれからやっていきたいと思ってることはなんだろう」という楽しみのほうが多いから、常に模索するという。迷うんじゃなくて、いろいろな可能性を常に探してらっしゃるんだなと感じました。どこに向かっていくのか、私たちにもわからないところが、またアーティストとしての魅力になっていくのかな。
川口:曲のなかでしか絶対に教えてくれないですよね。
松下:しかもその曲の答えも聴く側が自分で考えなきゃいけないじゃないですか。
川口:今回は特にそれでした。
【関連記事】平井 堅が語る『1995』に込めた思い
川口が選ぶ「ボーカル力に思わず唸るナンバーTOP 3」
音楽プロデューサーとしても活躍する川口が「ボーカル力に思わず唸る平井 堅ナンバーTOP 3」をセレクト。選曲理由を解説した。3位:『グロテスク feat. 安室奈美恵』
平井 堅 『グロテスク feat. 安室奈美恵 (MUSIC VIDEO YouTube ver.)』
松下:安室さんが入ったときに、スッってなだらかな一本に聴こえる。
2位:『GREEN CHRISTMAS』
川口:これはレイドバックで歌う中に「ポップスでこういうことができるんだ」という、最初にも言いましたが、インストールですね。
グローバー:この時期、特にアメリカのブラックミュージックの中でどれだけリズムをうしろに引っ張って「気持ちいいポイントを探すか合戦」みたいなのが繰り広げられてましたよね。
川口:ミュージック・ソウルチャイルドやディアンジェロですね。
グローバー:素晴らしい楽曲がたくさん生まれた中で、平井 堅が見せてくれた「これをインストールしよう」というすごさはどこだったんですか?
川口:平井さんの声って世界のどこにも存在しない声だと思うので「その声でそれをやるんだ」という、30個ぐらいのビックリがぎゅっと詰まってます。
1位:『Tomorrow』
映画『ANNIE/アニー』主題歌“Tomorrow” Performed by 平井堅 特別映像
松下:私もどこかで語りたいなと思っていた曲です。カバー曲と言ってしまえばそうなんですけれども、この曲に関しては平井さんの曲みたいでした。イントロからトップギアなんですよね。歌声もストリングスも全てが。
川口:これは総合芸術という感じがします。
同番組では、翌週も平井 堅を特集した。radikoで2020年5月29日(土)まで聴くことができる。
【radikoで聴く】https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20210522170000
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番組情報
- MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY
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毎週土曜17:00-17:54
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グローバー