音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
松重 豊に訊く「役者は芝居中、何を考えているのか」 松居大悟と対談

松重 豊に訊く「役者は芝居中、何を考えているのか」 松居大悟と対談

劇団ゴジゲンの主宰で映画監督の松居大悟がナビゲートする、J-WAVEで放送中の『JUMP OVER』。ラジオ、映画、演劇、音楽などの枠を越えた企画を発信し続けている。

11月4日(水)のオンエアでは、ゲストに俳優の松重 豊が登場。松重がラジオや音楽、芝居から著書『空洞のなかみ』(毎日新聞出版)のことまで、たっぷり語った。

暇なときは「音楽しか聴いてない」

松重と松居はお互い福岡県出身で、ドラマ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)や『平成ばしる』(テレビ朝日系)では一緒に作品をつくるなど、親交が深い。

そんな松重は現在、火曜深夜にラジオ『深夜の音楽食堂』(FMヨコハマ)を担当している。

松居:リスナーから「ラジオは好きですか?」と質問がきています。
松重:子どもの頃、深夜はラジオしかなかったから。深夜放送をずっと聴いていた世代なんですよね。ラジオは「そばにいてほしいもの」という思いがずっとある。今、コロナでいろんな人がラジオを身近に感じてくれたと思うし、耳元で本人がしゃべってるって感覚があるので、ラジオは消えないでほしい大事なメディアです。
松居:ラジオでDJとか選曲とかするのは、もともとやりたかったことなんですか?
松重:とにかく僕は音楽にしか興味がなくて。暇なときは音楽しか聴いてない。ラジオで音楽番組をやって、ゲストで若いミュージシャンに来てもらって話したいっていう、それだけなんです。若いミュージシャンはいろんな音楽を聴いてるから、それが面白くてラジオがやめられないんですよ。

最近はサブスクリプションで新しい音楽を浴びるように聴き、いいと思った曲をストックしているのだとか。撮影現場で共演者と音楽の話で盛り上がることも。

松重:趣味が偏っていると思っていたんですけど、「これ誰もいいと思わないだろうな」という曲を、現場で一緒だった星野 源くんが「マジっすか!」と。こんなに音楽の趣味が合うんだと思って、星野くんのラジオに出演したり、気になった音楽を話したりしてるんですよね。
松居:音楽のジャンルは問わず聴かれてると。
松重:全く問わず、ですね。どちらかというと、変態音楽というか「こんなの誰が聴くの?」って曲も聴いています。

『バイプレイヤーズ』の出演者は、音楽が好きだったそうだ。

松重:大杉(漣)さんはギターを弾くし、(田口)トモロヲさんは幻のパンクバンド・ばちかぶりのメンバーですよ。光石(研)さんもイケイケな曲がものすごく好きで、クレイジーケンバンドがバンと出る前に横山 剣さんとコラボしたりしているので、みんな音楽に対してのアンテナがすごいんですよ。わりと俳優部でもそういうアンテナを張っている方が仲良くなれるというか。
松居:エンケン(遠藤憲一)さんは?
松重:遠藤さんはちょっとわからない(笑)。

カメラが回っていないときに、役者がする“ごっこ”とは?

松重は10月に『空洞のなかみ』を上梓。この一冊は、演者の心象風景を描いた連作短編小説12編とエッセイ25編で構成されている。

松居:発売前に重版が決まったそうですね。
松重:コロナの時期に何もやることがなくなっちゃった中で、こうやっていろんな人が書いてるんだろうから、なるべく早く出してほしいと要望しました。あと、今までラジオとかに来てくれたミュージシャンが、フェスやライブハウスが厳しい状況なので、「朗読とか一緒にやってくれない?」って話して、それをYouTubeで配信したりしてと、いろいろやったから、おかげさまで発売前に重版ってかたちになりました。

「向井秀徳さんの伴奏で、朗読する編」

松重:向井秀徳さん、Kan Sanoさんなど、僕が心酔しているミュージシャンの方たちの伴奏で、『空洞のなかみ』の短編小説12編を朗読していっています。2020年の正月には自分が本を出すことも、YouTubeチャンネルをやることも全く考えてもいなかったので、これはちょっと大事件ですよね。

松居は『空洞のなかみ』を読み、役者の景色のリアリティーを感じたという。

松重:フィクションで勝手に書いたやつもあるんだけど、そこそこ同じような経験をしたよな、ってことはありますよね。
松居:僕は監督目線だけど、松重さんが書く演者側の景色がすごく面白くて。撮影で「今、何待ち?」とかも、こっちは理由がわかってるんですけど、演者側に伝えられていなかったときに、役者さんのことを考えられてなかったりするので。
松重:『バイプレイヤーズ』のときもそうだけど、光石さんとか遠藤さんとか俺らって何でもない時間に“ごっこ”してるじゃん。取り調べごっこじゃないけどさ。そういうのって役者の習性っていうか、お互い役を振り合いながら楽しむって、僕らの中でのグルーヴ感があってやることが多いんですけど、そういうことって一番大事だと思うんですよ。「今、光石さん芝居に入ってるの?」とか、俺に話しかけたんだかわからないときがあるけど、ものすごくリアルに話しているから、嘘と真の区別がつかないみたいな。

松居は「役者が喧嘩しるって心配したら、喧嘩ごっこだったとかあった」と同調する。

松居:でも、みんな上手というか、嘘か本当かわからないから、心配しちゃって(笑)。
松重:そこが役者の遊び方の面白さなので、それを現実に「自分の役ってなんだったっけ?」って振りをして、大間違いだったオチにすることを積み重ねていくと、自分が思い込んでいる役も、果たして信じた通りのものなのかって。実際、役者ってわからないじゃないですか。自分の役からしか本も読まないし。そうすると、本当はこの役は全然違う角度から見たらものすごく悪人なのに、善人に演じてしまったってこともあるし。だから、「自分の思い込みを疑え」っていうのは僕が書いていてずっと思っていたことではありました。

「本当に怒ってるんですか?」リアルな瞬間に近づきたい

松居は「芝居をしているときは無心なのか、それとも俯瞰しているのか?」と松重に質問する。

松重:どうしてもセリフを追わないといけない。相手役のきっかけを待たないといけないっていう職業的なものは入ってくるけど、本当はセリフも全部頭の中に入っていれば「あれ、今俺は何してるんだっけ」って。
松居:無意識に言葉が出るって感じですか。
松重:そう。僕らが一番やりたいのはドキュメンタリーだから。それをのぞき見ている監督がいて、「二人は本当に怒ってるんですか?」って、そういう絵が撮れればそれが一番じゃないですか。
松居:そうですね。
松重:映画館で観るお客さんも「夫婦喧嘩がすごいけど、本当の夫婦じゃないよね。よかった」って瞬間がくると、面白い映画だなって思えるから、そういう瞬間に近づきたい。だから、役でああしよう、こうしようって考えずにいれたらいいなって思っています。

『バイプレイヤーズ』シリーズの撮影時、台本も段取りも合わせずカメラだけセッティングして、役者が会った瞬間から撮り出したこともあったという。

松重:ドラマって何が起こるかわからないノンフィクションがそこで行われていて、それにお客さんがドキドキする。腕のいい監督によって切り取られてひとつの作品に向かっていくことが、新しい感じがするんですけどね。そういうことを松居大悟監督はできると思うので、非常に期待しています。

【続き】『孤独のグルメ』は食べるシーンも多いけど…松重 豊に聞く「体形維持」の話

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2020年11月11日28時59分まで

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