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“死んでいる人”を演じる難しさ─稲葉 友×松居大悟監督が語る、映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』

“死んでいる人”を演じる難しさ─稲葉 友×松居大悟監督が語る、映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』

俳優の稲葉 友と映画監督の松居大悟がJ-WAVEで対談。 稲葉が主演を務める映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』について語り合った。

稲葉が登場したのは、6月14日(水)に放送されたJ-WAVEの番組『JUMP OVER』(ナビゲーター:松居大悟)。その内容をテキストで紹介する。

音声のトークは、6月21日28時ごろまで再生可能

稲葉は声と顔が一致しない?

稲葉はJ-WAVEで金曜に放送の番組『ALL GOOD FRIDAY』でナビゲーターを担当。また松居が監督を務めたテレビドラマ『平成ばしる』(朝日テレビ)や、松居が作・演出によるバイノーラルラジオドラマ『ファミリーサマービュー』などにも出演し、2人は親交を深めてきた。
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松居:稲葉の最近の印象的な出来事は、普通に仕事終わりに夜歩いてて、稲葉だと思ったら、大人数人と帰ってて。駅のところで大人たちが「じゃあね」っていうときに、稲葉が「ごちそうさまでした!」って言って90度くらいのお辞儀をして、そのまま大人たちが角をまわるまでずっと頭を下げてて(笑)。

稲葉:見られたくないな。

松居:いい人だなって(笑)。

稲葉:ちゃんとね。礼節として。

松居:稲葉らしいなって。

稲葉:そう学んだから。お見送りっていうのは見えなくなるまでだって親戚のおじさんに言われたから、ちゃんとやってたらお酒を片手に持った松居大悟がいて。

松居:あはは(笑)。

稲葉:感情がぐちゃぐちゃで、めちゃくちゃ気が抜けたもん。しかも松居さんはお母さんとご飯食べたあとだったみたいな話してて、ちょっと一緒に歩いちゃったもん。

松居:そうだよね(笑)。(会うのが)仕事でっていうよりも、バッタリが多いからね。

共にJ-WAVEでナビゲーターを務める2人。稲葉は撮影現場などでよくラジオの話題を振られるという。

稲葉:ラジオってすごいなって思います。特に4時間半の生放送をやってるっていう特性上、全部とかじゃなくて放送のどこかを聴いてくれてて。ここ1、2年は入る現場で「ラジオよく聴いてます」って言われないことが本当にない。

松居:へえ。

稲葉:誰か1人か2人くらい「毎週聴いてます」とか「たまに車で聴いてます」とか。

松居:もうラジオの人だと思われてるんじゃない?

稲葉:その節はあるな。

松居:あはは(笑)。

稲葉:あと、どこかで仕事をした人でも、俳優・稲葉 友っていうのと『ALL GOOD FRIDAY』のナビゲーター・稲葉 友が合致しないんだって。

松居:芝居はちょっと抑えめだったりすると、ラジオとは違うから。

稲葉:全然違うみたいで。しゃべりだけの印象だと、30代中盤くらいでヒゲとメガネでちょっとふくよかなおじさんくらいな認識をされてる。その印象で画像見たら全然顔が違うじゃないかって言われることが多いですね。

松居:声と顔が一致しないんだ。

稲葉:そう。それはどうなんだろうと思いながら、でもラジオを聴いてくれてるって味方な感じするしね。

松居:そうだね。

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松居大悟「祈りのような映画」

稲葉と橋本 淳がダブル主演を務める映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』が6月16日(金)に公開した。
松居:どういう映画なんですか?

稲葉:主人公はふたりです。橋本 淳くん演じる“ちばしん”という男は引きこもりをしていて、30歳過ぎても家から出られない。静岡の実家にこもっていたら、ある日、僕が演じた幼なじみの“ながちん”という男が急に来て、昔借りてたゲームのカセットを持って来て「東京のほうに俺の死体があるから一緒に見に行ってほしいんだ」って。

松居:そこまでものすごくリアリティの映画で、いきなりそのセリフを出してきて。

稲葉:俺、死んでるから一緒に死体を見に行ってほしいって言ってるけど、でもいるし、触れるし。「何言ってるの」って思いながらも、ちばしんは巻き込まれて静岡から東京までのロードムービーになってます。

松居:僕、観たんですけれど、こういうのヤバいんですよね。僕が前に監督した『くれなずめ』って映画は、また話のテイストが若干違ってダラダラ過ごすだけだけど、この映画は祈りのような映画なんですよ。こういう話でロードムービーになると出てくる人っていうのが大事になってくるんですけど、そこで出てくる人がひとり残らずいいんだよな。

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稲葉:珍しいんですけど、この映画は総勢35人出てるんですよね。

松居:演劇やってる人だったら絶対知ってるって人が出てるんだけど、知らないやつもよかったりするんだよね。

稲葉:あはは(笑)。

松居:顔の強い知らないやつが出てきて、すごいよかったりするんですよ。そのロードムービーの道中の会話とか昔の同級生の会話で「このふたりはきっと前にこういう青春時代を過ごしてたのかな」って感じてきたりとかするのがよかったんだよな。

稲葉は「まさに祈りを感じる映画」と松居に同調する。

稲葉:届きますように、じゃないけど、そういう祈りがこもってるめちゃくちゃ優しくてあたたかい映画になってるから、いろんな人に観てほしいですね。

松居:これ、ふらっと観に行って絶対に損しないんですよ。これ本当に幸せな気持ちになるから。お芝居のテイストもみんな違うし。

稲葉:本当にいろんな味がしますね。

松居:全く飽きないというか。一緒に旅してる感じもあるからとてもよかったな。

“死んでいる人”を演じる難しさ

映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』で自称幽霊を演じた稲葉は、演じるうえでの難しさを松居と語り合う。

松居:死んでる役って『くれなずめ』のときに成田(凌)くんと話していて難しいのが、感傷に流されないようにしなきゃいけないじゃない。

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稲葉:それはめちゃくちゃありました。

松居:だって死んでるから、感傷に流されるとどこまでもいけるし、そうなると映画全体のトーンが落ちちゃうから。そこは結構難しかった?

稲葉:やっぱり考えましたね。どうしても最初に考えなきゃいけないところな気がするし、生きてる人にとって、死んでいるってめちゃくちゃ大きいじゃないですか。キャラクターの中に死っていう要素が介入してると。どうしようと思ったけど、死んでるってことを大きな球として持ってると、それこそどこまででも暗くなれてしまうから。

松居:それで、ちばしんはいけるのよ。

稲葉:そう。だからポケットにその事実(死)が入ってるくらい。生きてると思って生きてないというか、死んでるってことをずっと自覚しながらこのときを過ごすと、ちばしんとながちんの掛け合いはやりたいようには絶対にできないなって思ったから、死んでるっていう事実は認識してる、それは手元にあるけど、それでもなお達成した目的というか、ここまで行ってこれを伝えたいっていう思いがあったりするから、そういう風にしかけましたね。

松居:だからそれがいいというか。ちばしんが作り出したながちんじゃない。ながちんという完全に自意識がある、死んでるんだけど生きている感じだから他にないタイプだなって。

今作の監督を務めたのは、劇団「なかないで、毒きのこちゃん」主宰の猪股和磨。自身の戯曲『7丁目のながふじくん』を映画化した作品となる。

稲葉:もともと舞台でこの話をやられて、それもオリジナルなんですけど。

松居:ながちんみたいな存在への祈りで書いたのかな。

稲葉:どちらかというと、監督の幼なじみでちばしんのように引きこりになってて、監督が会おうとしたけど会いたくないって言われてしまったりで、何もできなかったみたいな話があって。それこそ、監督にはちばしんとながちんって親友がいるんですって。それをいろいろミックスしたりとか、それこそ祈りに近い映画としてそのお友だちに届いたらとかもあるのかなって。

詳細は、映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』公式サイトまで。稲葉は、6月21日(水)の同番組にも引き続きゲスト出演する。オンエアから一週間はradikoで再生可能。

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毎週水曜
26:00-27:00