音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
パリコレはオンライン開催でどう変化? 「ホワイトマウンテニアリング」は32台のカメラを使用

White Mountaineeringのデザイナー・相澤陽介(左)、ライゾマティクスの真鍋大度(右)

パリコレはオンライン開催でどう変化? 「ホワイトマウンテニアリング」は32台のカメラを使用

ライゾマティクスの真鍋大度とWhite Mountaineering(ホワイトマウンテニアリング)のデザイナー・相澤陽介が、ファッションとテクノロジーが生み出す新時代の「コレクション」について語り合った。

真鍋と相澤がトークを展開したのは、10月4日(日)放送のJ-WAVEのPodcast連動プログラム『INNOVATION WORLD ERA』のワンコーナー「FROM THE NEXT ERA」。真鍋は同番組の第1週目のマンスリーナビゲーターを務める。

アウトドアウェアのテクノロジーを抽出してファッションに落とし込む

以前からホワイトマウンテニアリングの洋服を気に入っていたという真鍋。ライゾマティクスのユニフォームを相澤に依頼するなど、ふたりの交友は深い。

ホワイトマウンテニアリングは2006年に相澤が立ち上げたファッションブランド。アウトドアウェアが持つテクノロジーを抽出して、ファッションに落とし込むことをブランドコンセプトにしている。

相澤:僕の長年の趣味でもあるバックカントリーのスノーボード(のウェア)とか、スポーツのウェアとかもそうですけど、シンプルに進化していくジャンルです。トレンドという意味ではなく、使いやすさだったり素材の進化だったりを考えると、アウトドアウェアやスポーツウェアのカテゴリーは一番顕著に変わっていく。今年よりも来年の方が使いやすければいいわけだし、今問題になっている耐久性なども含めて、日々素材やパターンの観点から研究が行われているジャンルだと思います。だから、そのテクノロジーを日常着に落とし込んでいくことが僕の一番大きなテーマです。
真鍋:テクノロジーは医療やスポーツやアウトドアの現場では重要だと思うけど、日常着にはどういう形で取り込んでいますか?
相澤:日常でも動きというものは常にあります。たとえば自転車に乗るときのポーズとか車を運転するときのポーズ、突然雨が降る場合もあるだろうし、「洋服を着るところにどこまでストレスなく過ごせるか」はすごく大事な機能だと思います。アウトドアウェアをそのまま街で着てしまうと、過剰な部分や少しコスプレのようになってしまう部分がある。だから、そこにファッションの比重を増やすことによって、日常で着ていくものとして使い勝手がよく、フィットしていくことが大事だと思っています。

真鍋は普段からホワイトマウンテニアリングの洋服を愛用しており、海外に向かう飛行機でその使い勝手を実感したこともあったという。

真鍋:飛行機に長く乗るとき、ホワイトマウンテニアリングのパンツをはいていると、履き心地の良さに加えて、ポケットが少し深くて小銭が落ちないところとか「気が利いているな」と感じました。ホワイトマウンテニアリングじゃない別のパンツをはいているときに、その使い勝手に気づくことが多いんですけど(笑)。
相澤:洋服を作るとき、外側は誰でも気にするところだと思うんです。僕はいかに内側の構造ができているかを一番重要視しています。新型コロナの影響が出る前は海外出張も多かったし、車に乗る機会も多いから立ったり座ったりすることが多いんですけど、そのなかでストレスになる部分をひとつずつ削っていく作業が、アウトドアウェアの最も重要な要素のひとつだと思います。常に「気に入って買っていただいた洋服を、長く使ってもらう」ということを大事にしています。

パリコレはオンライン開催。もう一度構築的な洋服を作りたかった

ホワイトマウンテニアリングも参加した今年7月のパリコレは、新型コロナウイルスの影響により初のオンライン開催となった。

真鍋:全てオンラインになったパリコレは、そもそも成立していたんですかね。
相澤:ビッグメゾンがほとんどイメージムービーだったことが予想と違いました。でも、それって現実的なことでもあって、ヨーロッパからロックダウンが広がっていきましたよね。ビッグメゾンはイタリア製の洋服が多いので、現実的にフルコレクションのサンプルを作れないこともあったのだと思います。ホワイトマウンテニアリングは日本製が多いので、ひとつの作品を作り上げられる物量を現実的に用意できたので、それは環境の問題も大きいですね。

今回のパリコレでは、相澤の依頼によりライゾマティクスがホワイトマウンテニアリングのコレクション映像を手掛けた。

White Mountaineering | 2021 Spring-Summer collection

真鍋:今回どんなことをするかとディスカッションするなかで、パターンのプロセスを見せることがアイデアのひとつになりましたよね。
相澤:見せるというよりも、もう一度構築的な洋服を作りたいという気持ちが強かったので、人が着るということを見つめ直すためにパターンメイキングを作り直そうと思いました。僕はいつも黒い服を着ていて、そういった自分が着る観点と洋服の再構築を考えていくうち、結果的にパターンメイキングに重点を置いていました。

真鍋は今回のコレクション映像を、32台のカメラを使い全方位で撮影。モデルのデータを3D状態にして、どの角度からも洋服が見せられる映像を制作した。

真鍋:リアルでもなくバーチャルでもない、その中間あたりのいい落としどころがないかと探って作りました。
相澤:個人的にも面白かったですし、国内だけでなく僕たちのパートナーのPR会社とかも含めて、「この完成度はずば抜けていたんじゃないか」と言ってくれました。また、いろんな人に「デジタルファッションショーが提案できるひとつのブランドだったのではないか」とも言われ、すごくうれしい評価をもらえたと感じました。
真鍋:うれしいですね。
相澤:もともとフィジカルでのランウェイにこだわってやってきたので、無観客のランウェイは絶対に違ったんです。ひとつの画面で見ていくので「フィジカルのイメージがない状況でどこまで伝わるか」はライゾマティクスにお願いするときのひとつのテーマでした。その部分が評価されたことは非常に面白かったですね。
真鍋:個人的には、相澤さんにこの話をいただいたときに、オーディオビジュアルの作品として強度のあるものにしたいと思っていました。それほどファッションに興味がない人が見たとしても、「すごいものを見たし聴けたな」という感じになればいいなと思っていて、それが結構できたかなと感じています。

相澤の子どもはこれまでコレクションに興味を示さなかったが、今回のコレクション映像は面白がっていたという。

相澤:新しい発見でしたね。真鍋さんには全てデジタルだからこそできる表現を作ってもらったと思っています。

ファッションショーが一種の格闘技のようになっていた

ホワイトマウンテニアリングは、来年1月に次回のコレクションを控えている。

真鍋:その頃にはお客さんを入れて開催されるようになりますかね。
相澤:今までみたいなことは難しいと思います。これから、これまで50年くらい変わっていなかったファッションのスケジュールや目的が変わっていくような気がします。世界では毎月のようにメンズ・レディースともファッションウィークが行われるなか、バイヤーや消費者がファッションの世界で乖離しているような状態がありました。それをどうコンパクトにしていくかを業界全体で取り組んでいるところだと思います。
真鍋:コレクションに行くと、ブランドのヒエラルキーがあるなと感じていたけど、7月のパリコレがオンライン開催になったことで、すごくフラットになった気がします。オンライン開催だと、どのブランドもフラットに見られるので、権威主義みたいな部分に対してはいい面もあったと思います。
相澤:僕もそれが、これからいろいろなことをやっていこうと思えたひとつの要因になりました。

相澤は「ファッションショーがどんどん権威主義に偏っていってしまい、ジャーナリズムも本当の消費者からどんどん離れて、一種の格闘技みたいになってしまった」と表現する。

相澤:誰に向かって作っているのか、がわかりづらくなっていたと思います。
真鍋:その流れを変えていきたいと思っているブランドも増えているんですか?
相澤:ドリス・ヴァン・ノッテンは「ファッションのサイクル時代を変えたい」というようなメッセージを出しているし、アルマーニも同じようことを言っています。これからブランド側は、もう少しシンプルになってくんじゃないかなと思っています。

先日、相澤が手掛けたヤマトグループの新しいユニフォームが発表された。素材や機能にもこだわりデザインされたこのユニフォームにも注目してほしい。

ヤマトグループ 新制服リニューアル| イメージムービー【ヤマトグループ公式】

番組では他にも、コロナ禍で変化したデザイナーの仕事、これからのリアルとオンライン店舗のあり方について相澤が語る場面もあった。番組は、J-WAVEのポッドキャストサービス「SPINEAR」でも聴くことができる。

・SPINEAR
https://spinear.com/shows/innovation-world-era/episodes/from-the-next-era-2020-10-04/

『INNOVATION WORLD ERA』では、各界のイノベーターが週替りでナビゲート。第1週目はライゾマティクスの真鍋大度、第2週目はASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文、第3週目は女優で創作あーちすとの「のん」、第4週目はクリエイティブディレクター・小橋賢児。放送は毎週日曜日23時から。

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン
radikoで聴く
2020年10月11日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
INNOVATION WORLD ERA
毎週日曜
23:00-23:54
  • 誹謗中傷や名誉毀損、他人に不快感を与える投稿をしないように十分に注意してください。
  • コメント投稿いただくにはログイン/会員登録(無料)が必要です。
  • J-me会員の方は登録不要です。
  • コメントの削除を希望する場合は右上の「通報」ボタンから要望をお伝えください。
  • 必ずニックネーム(3文字以上)を指定してください。

コメント投稿いただくには
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン