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ロンドンで「日本のチキンカツカレー」が流行っているワケ カレー研究家・水野仁輔が語る

ロンドンで「日本のチキンカツカレー」が流行っているワケ カレー研究家・水野仁輔が語る

J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。9月19日(土)のオンエアでは、カレー研究家・水野仁輔さんがゲストに登場。カレーの研究をはじめたきっかけや、イギリスと日本それぞれのカレーに対する考え方について語った。

水野は自宅にレシピ付きのスパイスセットが届くサービスAIR SPICEの代表。カレーに関する著書も多数があり、近著に『いまはなき名店に学ぶ! まぼろしカレー』(山と渓谷社)、『スパイスカレーを作る-自分好みのカレーが作れるメソッド&テクニック- 』(パイインターナショナル )など。

日本人が営むインドカレー屋で、目覚めた!

水野さんは1999年に出張料理集団「東京カリ~番長」を結成し、カレーのライブクッキングを全国各地で実施。世界のスパイス料理やカレーのルーツを探求する活動もおこなっており、カレーの世界を開拓し続けている。水野さんがカレー好きになった経緯を語った。

葉加瀬:日本のカレー文化って、すごい勢いで変化していますよね。水野さんがカレーの研究を始めた頃と今では、カレーに対する向き合い方も変わってきたんじゃないでしょうか。
水野:20年以上カレーの研究をしていて、大きく変わりましたね。
葉加瀬:そもそも、どうしてカレーが好きになったんですか?
水野:僕の地元は静岡県の浜松市なんですね。自分が小学校1年生のとき、両親が浜松のカレー屋さんに連れて行ってくれたんですよ。そこのカレー屋さんがとてもおいしくて、カレー屋通いがやめられなくなりました。そこは日本人が営むインド料理店でした。日本人のフィルターがとおっているから、子どもにも食べやすいインドカレーだったんですね。中学生になってからは、自分のお小遣いでひとりでも行くようになりました。「ボンベイ」という名前のお店で、水曜日は学校の授業をサボってゆっくりカレーランチを楽しんでいました。
葉加瀬:あはは(笑)。

食べ歩くと作りたくなる…スパイスを使いカレーを研究

水野さんは、高校までボンベイのカレーを食べ続けたが、高校卒業のタイミングで上京することになり、ボンベイのカレーを食べることができなくなってしまった。その反動で、東京でカレーの研究に没頭するようになったという。

葉加瀬:最初は食べ歩きですか?
水野:食べ歩きをしながら、インド料理店でアルバイトをして作り方を覚えました。
葉加瀬:厨房に入ったわけだ(笑)。
水野:食べ歩くと自分でも作りたくなってくるんですよ。大学生になってからは、自分でスパイスを買って独自のカレーを作りました。作ると食べさせたくなるので、友だちを呼んでカレーパーティをします。カレーを作る、友だちを呼ぶ、パーティするを繰り返していくうちに、46歳になりました(笑)。

イギリスで日本のチキンカツカレーがブーム。なぜ?

現在、イギリス・ロンドンでは日本のチキンカツカレーがブームになっているそうだ。それには、イギリス人がもともと好む食文化が関係している。

葉加瀬:ロンドンでチキンカツカレーを目にすることがすごく多いですよ。
水野:5、6年前、ロンドンに取材で滞在していた時期があって、そのときにスーパーでカツカレーのパックが売っていたんですよね。
葉加瀬:米とルーとパン粉が入っているやつね。
水野:なんじゃこりゃと思いました。家庭でカツカレーを作るってことですよね。
葉加瀬:イギリス人は、フィッシュアンドチップスからわかるように、揚げ物が大好きなんですよ。それに、チキンティッカマサラ(イギリスのインド料理店が考案)の文化もあるから、カレーソースも大好き。ということは当然、日本のチキンカツカレーも大好きになるんですよね。
水野:そうですよね。好きなものを集めたわけですから。でも、日本のカレールーってとろみがありますよね? あれ、イギリス人は好きになるのでしょうか?
葉加瀬:大好きだと思いますよ。シチュー文化があるわけですしね。
水野:1800年代のイギリスのカレーは「ブリティッシュカレー」と言って、小麦粉を使った独自のカレーを作っていたっていう史実があるんですよね。
葉加瀬:それって日本のカレーとほとんど同じようなものだよね。
水野:そうですね。ブリティッシュカレーは明治維新の頃に日本にやってきたのですが、イギリスではブリティッシュカレーが廃れてしまったようなんですよ。3カ月間ブリティッシュカレーを探し求めましたが、けっきょく見つけることができませんでした。でもアイルランドには残っているんです。
葉加瀬:そうなんだ! たしかに、アイルランドのシチューにスパイスを入れたら小麦粉を使ったカレーになるね。
水野:そうなんですよ。アイルランド、スコットランド、ウェールズなどでもブリティッシュカレーは食べられていたのですが、もうイギリス国内やロンドンではなくなってしまったみたいなんですね。

“もともとの味”を大事にするイギリス、アレンジをする日本

葉加瀬が「インドカレーがいろんなところで食べられるから、ブリティッシュカレーは廃れちゃうのかな。あくまでも僕の考えですけれど、イギリスの大英博物館のスタンスがイギリス人の精神そのものなんですよ」と自身の見解を述べると、水野さんは「僕もまったく同じ考えです!」と同意する。

水野:イギリス人は世界中の「いいもの」を集めたいんですよね。
葉加瀬:そうそう。集めたものを、そのままの形で大事にするんですよね。インド料理屋ではインド人が、チャイナタウンでは中国人が自国の料理を作っているわけですから。
水野:僕の考えですと、イギリス人が自国でカレーを作ったのにそれが廃れてしまった理由は、外に行けばおいしいカレーがあったから、なんですよ。
葉加瀬:僕もそうだと思いますよ。
水野:ところが日本の場合ですと、外来のおいしいものを口にすると「これは面白いな」ってアレンジしちゃうんですよね。
葉加瀬:正直に言いますよ。港区にあるイタリアンは、ミラノにあるイタリアンよりもおいしいです。
水野:あはは(笑)。正しいかどうかは別として、自分たちでよりよいものを作っていこうっていうマニアックな精神が日本人に宿っていますよね。
葉加瀬:コンビニにある飲み物だけに注目してみても、お茶だけで何本あるか。毎日ああでもないこうでもないと研究を重ねた結果、今の日本のカレーがあるんですよね。
水野:そうなんですよね。カレーづくりに終わりはありません。葉加瀬さんの周りの音楽関係者もカレーにハマっているとお聞きしましたけれど、危険ですよ。みなさんプロだからそんなことないと思いますけど、ハマればハマるほど演奏が疎かになりますよ(笑)。
葉加瀬:カレー研究家ばかりになってしまう(笑)。我々の仲間を引き抜かないでくださいよ(笑)。

『ANA WORLD AIR CURRENT』では、スタジオを飛行機の機内に見立て、葉加瀬とゲストが「旅」をテーマに語り合う。放送は毎週土曜日の19時から。

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番組情報
ANA WORLD AIR CURRENT
毎週土曜
19:00-20:00
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