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向井太一、「本当に音楽を作るのがつらい」と悩んだ時期を経て気づいたこと

向井太一、「本当に音楽を作るのがつらい」と悩んだ時期を経て気づいたこと

J-WAVE(81.3FM)×「MUSIC FUN !」連動企画である、深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』。“すごい”音楽をつくるクリエイターが“WOW”と思ういい音楽とは? 毎月1人のクリエイターがマンスリープレゼンターとして登場し、ゲストとトークを繰り広げる。

9月のマンスリープレゼンターは、m-floの☆Taku Takahashiが担当。9月4日(金)のオンエアでは、向井太一がゲストに登場。ここでは、向井の音楽制作に迫ったトーク部分を紹介しよう。向井は7月に4th EP『Supplement』をリリースした。

『Supplement』は、悩みを描く作品を受け入れてくれたファンへの恩返し

☆Taku Takahashiと向井は一緒に音楽をプロデュースしたり、お互いの楽曲に参加したりと交流が深く、仲がいいそうだ。☆Taku Takahashiが向井について「性格がいいんだけど、闇もあるよね」と言うと、向井は笑いながら「そこが☆Takuさんと近い部分だ」と肯定した。

☆Taku:最近「曲を作るときはフィクションにハマってる」と言ってたよね。
向井:そうですね。今までしてこなかったことですね。

『Supplement』の中でノンフィクションなのは、『僕のままで』だけだ。

向井:『Supplement』のなかで唯一、自分自身のことを歌っています。
☆Taku:『僕のままで』を聴いたとき、自分のことを歌っているのか友だちを応援しようとしているのか、どっちなのか気になっていたんだよね。
向井:『Supplement』はどちらかというと、いつも応援してくれている人たちに元気を与えたいとか、日常に彩りを与えたいとかがテーマでした。2019年に出したアルバム『SAVAGE』が自分の中の悩みや葛藤を歌っているんですけど、それを受け入れてくれたファンの人たちにすごく感謝の気持ちがあって、その恩返しの意味も込めて『Supplement』を作りたいと思いました。だから前作と今作はつながりがあったんです。

『SAVAGE』を作った時期は、ミュージシャンとして悩んでいた

☆Takuに「『SAVAGE』のときは病んでた?」と問われ、向かいは「病んでましたね(笑)」と認めた。曲を作るのが大変だと感じている時期だったそうだ。

向井:本当に音楽を作るのがつらくて。今、キャリアが4年くらいなんですけど、音楽的に自分はやれているのかとか、今後やっていけるのかとか、自分自身の才能ってなんだろうかとか、アイデンティティみたいなものを見失っていました。今までやりたいことをやりたいようにやって、人と違うこととか自分自身にあるものをどんどん出していこうと思っていたんですけど、果たしてそれは人が求めているものなのかとか、ずっと続けられるのかとか、単純にプロとしての自信がまったくなくて、書きたいことも見つからず。
☆Taku:その時点で作りたい題材がなかったんだ。
向井:そうですね。とにかく音楽を作ることが怖くて、あまり音楽も聴いてなかったんです。だから、そのときは、その気持ちを歌うこと以外が頭にないから、悩みとか葛藤をそのままアルバムコンセプトにしました。

向井はプライベートが音楽活動に影響しやすいそうだ。

向井:2ndアルバム『PURE』は全部自分の実体験を曲にします。そのときくらいから自分自身にある感情を曲にしたいという気持ちがめちゃくちゃ強くなったんです。
☆Taku:それって、自分がどんな恋愛をしたとか、そういったこともそのまま書いているの?
向井:完全に(書いていますね)。出会いから、付き合いから、別れまで全部曲にしてるので(笑)。
☆Taku:思い出すような歌を歌わなきゃいけないときもあるわけだ。
向井:確かにそうですね。でも、アーティストは全部曲にできるので、自分の感情を整理するのにはすごくいいなと思いました。

「悩みも含めて音楽を作り続けていこう」と思うようになった

『僕のままで』はパーソナルなメッセージを込めた楽曲のため思い入れがあるのだそう。同曲について、☆Takuは「歩き出している感じがする」とコメントした。

向井:『SAVAGE』のときに、僕自身にとって(楽曲で描いた)悩みとかって、絶対に必要な部分だと思ったんです。どれだけヒットしても絶対にこれは消えないなって気づいたんですよ。そういうことがあるからこそ、自分の制作意欲も変わるし、いつも応援してくれている人たちとかチームのみんなに感謝を忘れずにいられる。「悩みも含めて音楽を作り続けていこう」と思わせてくれたのが『SAVAGE』でした。そんな気持ちとつながりがありつつ、全然違う方向になりましたね。
☆Taku:その体験が自分を強くしていくからね。
向井:またひとつ新しい世界というか自分自身になれたのかなって思います。

「友だちの曲を無意識に鼻歌で歌っていたら、めちゃくちゃ悔しい」

続いて「他のアーティストと自分を比べるか」という話題に。向井は比べてしまうタイプだという。

向井:僕と同世代や同時期に出たアーティストがすごく良質で、もっと若い世代でもどんどんいいアーティストが出てくるから、比べちゃいますね。
☆Taku:悔しいと思うことってあるの?
向井:思いますよ。「なにくそ」「なんでこれが売れて僕が売れないんだよ」みたいな(笑)。でもやっぱりライブとか見ると本当にみんな素晴らしいから、刺激にもなりますね。
☆Taku:俺は敗北感が大事なんだよね。
向井:めちゃくちゃわかります。
☆Taku:ちくしょう、悔しい、やられた……とか、めちゃくちゃ落ちるときとか、どうしてもかなわないわって思うときとかね。
向井:友だちの曲を無意識に鼻歌で歌っていたら、めちゃくちゃ悔しいですね。「くっそ、また歌ってしまった」みたいな(笑)。でも、まわりにいる人たちの曲も大好きです。
☆Taku:好きなんだけど、ライバルでもあるし、自分との戦いもあるし、別にケンカしているわけでもないし。競走じゃないんだけどね。でも気になっちゃうんだよね。

悔しさはありつつも、冷静に「絶対にこの人たちの曲みたいなものは作れないな」とも考えている。

向井:その人にしかないものだったりするので。
☆Taku:もともと音楽って誰かの音楽に憧れてやり始めて、俺もこういう曲が作りたいなと思うことが大事だったりする。それと同時に、その人にはなれないことに気づいて自分自身が見つかってくるのかなって思ったりするんだよね。

向井によると、TENDREとして活動する河原太朗も、「こういう曲を書きたい」という憧れを抱きながら音楽を作っていって、いつか自分らしさが見つかればいいよね、という主旨の話をしていたそうだ。

向井:どんどん新しい曲は生まれてくるけど、完全にオリジナルの曲ってなかなか難しいじゃないですか。もし自分がそういう状況になったら、この言葉を思い出そうとすごく思いました。
☆Taku:持論だけど、アーティストが他の曲に対して「○○の曲に似ているね」って言っているときって、悔しいときなんだよ。認めたくないっていうか。

☆Taku Takahashiは瑛人『香水』を例に話を続ける。

☆Taku:あの曲って、ピーヒャラ ピーヒャラ(『おどるポンポコリン』)に似てるじゃん。
向井:それ本人も言ってましたよね。
☆Taku:それを認めちゃうところがすごいよね。
向井:瑛人くんとラジオでご一緒したことがあって、めちゃくちゃピュアな人なんですよ。音楽をほとんどやったことがなくて、本人もよくわからないままめちゃくちゃヒットして「すごくうれしい」って。音楽をナチュラルに生み出して喜ぶ姿を見て、自分も(そういう気持ちを)忘れちゃいけないなって思いました。

☆Taku Takahashiがマンスリーナビゲーターを務める9月の『WOW MUSIC』。9月11日(金)は、ちゃんみなと音楽談義を繰り広げる。放送は24時30分から。

深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』はJ-WAVEと、MUSIC FUN !のコラボ。『MUSIC FUN !』のYouTubeページには、同番組のトーク動画のほか、ミュージシャンやプロデューサーによる音楽の話が数多く配信されている。

・『MUSIC FUN !』のYouTubeページ
https://www.youtube.com/c/musicfun_jp

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2020年9月11日28時59分まで

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