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タクシー運転手、「手取り月収5万」まで下がった人も…危機を乗り越える、新たな取り組みとは

タクシー運転手、「手取り月収5万」まで下がった人も…危機を乗り越える、新たな取り組みとは

新型コロナウイルスによって、タクシー業界も解雇や収入減少などの打撃を受けている。J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ・増井なぎさ)では、モビリティジャーナリストの森口将之に、タクシー業界の現状や新しい取り組み、今後の展望を訊いた。4月15日(水)のオンエア。


■収入減少、解雇…タクシー業界に大打撃

バーやナイトクラブが営業を自粛する今、終電後にタクシーを利用する人がいなくなった。さらに、「高い運賃を払ってでも急いでいるから乗る」という人も、収入が不安定な状況のために減少しているという。

森口:その結果、手取りの月収が5万円のタクシー運転手がいるそうです。タクシーは、一番収入の変動を受けやすい交通機関かなと思っています。
サッシャ:歩合だから、利用者がいないと収入が入ってこないんですね。

東京都のタクシー会社「ロイヤルリムジン」は、グループ会社の従業員のおよそ600人を全員解雇すると発表。ニュースでも大きな波紋を呼んだ。

森口:航空会社でも、一時休ませるといった発表をされていますよね。今の人数をそのまま働いてもらうのは厳しいなかで、「ロイヤルリムジン」は解雇を選んだと。タクシー業者によってもいろいろ違いがありまして、空港輸送や観光輸送に重点を置いていた会社はダメージがより大きいです。
サッシャ:「ロイヤルリムジン」の場合、少ない収入で雇い続けるよりも失業手当をもらったほうがいいんじゃないかっていう判断もあるのでしょうか?
森口:そうですね。この状況がどこまで続くかわかりませんが、収束したら「ロイヤルリムジン」側は再雇用する意思はあるそうですね。もちろん、そのあいだに別の仕事に就いてもらっても構わないという選択肢もありますから。「ロイヤルリムジン」は、そういった選択を世間に示したってことですね。


■タクシー業界の新たな取り組み、そして今後の展望

感染予防対策として、飛沫感染を防ぐため、運転席と客席の間に透明なボードなどを設置しているタクシー。売り上げを少しでも保つため、新しい取り組みを始めたタクシー会社もある。「買い物代行」だ。日用品などの買い物を頼むことができる。高齢者や持病のある人など、スーパーに行くことを極力控えたい人にとって強い味方になる。地方のタクシー会社では以前からおこなわれていたが、都内でもスタートしたという。

そのほかにも、タクシー業界を盛り上げる3つの取り組みがある。

森口:1つは相乗り解禁、2つ目は定額サービスの開始、3つ目は変動制迎車です。この3つは、2019年に時期をずらして実証実験をやっています。地方のバスで乗客が全然いない場合は、タクシーの相乗りのほうが効率的ですよね。また、高齢者の通院など、タクシーを日常的に使う場合は定額制がいいと思います。変動制迎車は、需要と供給の関係で導入してもいいのかなと思っています。
サッシャ:変動制迎車というのは、道路が空いている時間帯の制迎料金が安くなるということでしょうか?
森口:そうです。あえて空いている時間帯を狙って、タクシーに乗る人は出てくると思います。
サッシャ:なるほど。利用者の時間帯がばらけることで、混雑する時間帯が減りそうですね。
森口:そうですね。需要を平準化することで、安定した収入に繋がると思います。

より利用しやすくするよう工夫を凝らしているタクシー業界。今後の展望について、海外事例も挙げながら解説した。Mobility as a Service(略称・MaaS)という新しい移動の概念も登場してきており、人々の移動を最適にするアプリも普及している。

森口:AからBへ行く方法を検索すると、鉄道もタクシーも選択肢として出てきます。お金がかかっても早く行きたいときはタクシー、安く行きたいときは公共交通を選ぶということができるんです。そういった、交通全般を複合的に見て繋げていくという取り組みがスタートしています。日本でも一部、実証実験が始まっています。そうした流れの中で、タクシーを選択することが増えてくるかもしれないですよね。
サッシャ:「MaaS」は検索ができるだけでなく、一括支払いもできるんですか?
森口:海外では支払いもできますし、サブスクリプションに対応しているとこもあります。月いくら払うと公共交通が乗り放題、タクシーも何キロまで可能、とか。一定のお金を払うだけで自由に乗り物を選択できるという。自転車もあります。天候や気分にあわせて乗り物を使いわけられるというサービスなんです。

鉄道とタクシーは敵同士という考え方ではなく、一緒に人々の移動を支えていくという方向性が大事だと、森口は語った。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースをその裏側から光を当て、様々な視点から紹介する。放送は月曜~木曜の10時10分頃から。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年4月22日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/stepone

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