市民がニュースをキャッチするために、かつては新聞が大きな役割を果たしてきた。しかし現在、最も見られているメディアは『Yahoo!ニュース』だ。2019年11月時点の発表で、月間のページビュー数は約700億だという。ネット上で、一人勝ちといえる状況だ。
「ヤフーニュース」は、なぜ、ここまでの巨大になったのか? そして、ネットニュースの未来はどうなっていくのか? 元「Yahoo!ニュース トピックス」編集長で、現在は東京都市大学メディア情報学部教授の奥村倫弘に、ジャーナリスト・津田大介が話を聞いた。
【11月25日(月)『JAM THE WORLD』の「UP CLOSE」
■Yahoo!は「何でもある」ことがウケた
奥村は読売新聞の記者を経て、1998年にヤフー株式会社に入社。会社が立ち上がって二年ほどしか経っていなかった。その頃から『Yahoo!ニュース』にかかわり、「Yahoo!ニュース トピックス」(通称・ヤフトピ)編集長も務めた奥村は、育ての親とも言われている。
1998年〜2000年頃は多くのニュースメディアが登場。その中でもYahoo!が他社と比べて優れていた点は「スピードが速かったこと」だと話す。
奥村:アメリカにあったサービスをいち早く日本に持ってきました。それは会社のスピードを重視した姿勢が大きかったと思います。また、私自身もそうですけど、自分がほしいものを作っていく遊び心のようなものがあり、やらされているのではなく自分で作って行く気概が当時すごく強かったですね。
奥村がヤフトピの影響力が強くなったことを感じ始めたのは2003年頃だったという。ヤフトピに載ったWEBサイトにアクセスが集中してページが表示できなくなることは、“ヤフトピ砲”とも呼ばれた。
津田:その頃にはGoogleが日本にも進出していましたよね。Googleのウェブサイトはカテゴリー検索ではなく単語検索での仕様でしたけど、それと比較してヤフーはどのような位置付けだったのでしょうか。
奥村:ヤフーは“ポータル”という言葉がピッタリで「ここに来ると何でも揃う」というサービスでした。当時はまだインターネットを始めて間もないユーザーも多かったと思うので、そういう人たちにとって、ヤフーは検索もあるし、ニュースもある、メールもあるしショッピングもオークションもある。そういう利便性が当時はウケたと思います。
■インターネットニュースは足りないものがたくさんある
2013年、奥村はニュースをじっくりとわかりやすく解説するウェブメディア『THE PAGE』を立ち上げた。
奥村:その頃インターネットニュースは何でもあるように見えて、足りないものがたくさんあり、その足りないものを埋めるものが必要だと感じていました。
津田:ニュースの深い部分を知るような調査報道や解説は新聞には載っているけど、ネットニュースには提供されなかったりすることもありますからね。
奥村:そうなんです。そういったニュース解説や動画ニュースなどで、当時インターネットにはなかったニュースを作っていこうと思い立ち上げました。
津田は「ある時期から『THE PAGE』をはじめ、ニュースメディアは単に各新聞社などのニュースを仕入れて掲載するだけではなく、各ウェブサイトが独自の記事を作り始めた」と言及。それはどのような流れから起きたのか。
奥村:今、インターネットには多くのニュースメディアがありますよね。でも、それぞれのサービスが同じ記事の仕入れ先だと変わらない内容になってしまい差別化が図れなくなります。そこで何か違うものを生み出していくために、オリジナルのコンテンツを提供していきたいという目論見があったと思います。
■今後は音声がニュースのカギを握る?
奥村は「今後のネットニュースはテキストや動画ではなく音声に流れていく」と予想する。
奥村:テキストや動画のネットニュースがなくなるわけではないけど、音声をベースとしたニュースメディアが増えてくるのではないかと。今、結構な数の学生が「朝はラジオを聴いている」と話しています。それに加え、日本の広告市場はラジオが底打ちしているので、そこに新しい広告を載せていこうという動きも出てきています。僕たちの生活を振り返ると目から情報はすごく多くてどこを見ても広告だらけだけど、耳から入る情報はそれがまだ少ない。だから、耳からニュースが入ってくることは今後可能性としてあり得ますよね。
音声は“ながら力”も強いと続ける。
奥村:「食べながら」とか「電車に乗りながら」とか。そういった耳の時間はまだ埋まっていないので、そこはこれから盛んになっていくと思います。
津田は「ネットニュースの話から、ラジオの可能性の話になるとは思わなかった」と驚いた様子。これからのニュースのあり方を考える時間となった。
J-WAVE『JAM THE WORLD』のコーナー「UP CLOSE」では、社会の問題に切り込む。放送時間は月曜~木曜の20時15分頃から。お聴き逃しなく。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
(※同番組は普段、グローバーがお届けしているが、この日はお休みのため、月曜担当ニュースアドバイザーである津田大介が番組全体のナビゲーターを務めた)
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
「ヤフーニュース」は、なぜ、ここまでの巨大になったのか? そして、ネットニュースの未来はどうなっていくのか? 元「Yahoo!ニュース トピックス」編集長で、現在は東京都市大学メディア情報学部教授の奥村倫弘に、ジャーナリスト・津田大介が話を聞いた。
【11月25日(月)『JAM THE WORLD』の「UP CLOSE」
■Yahoo!は「何でもある」ことがウケた
奥村は読売新聞の記者を経て、1998年にヤフー株式会社に入社。会社が立ち上がって二年ほどしか経っていなかった。その頃から『Yahoo!ニュース』にかかわり、「Yahoo!ニュース トピックス」(通称・ヤフトピ)編集長も務めた奥村は、育ての親とも言われている。
1998年〜2000年頃は多くのニュースメディアが登場。その中でもYahoo!が他社と比べて優れていた点は「スピードが速かったこと」だと話す。
奥村:アメリカにあったサービスをいち早く日本に持ってきました。それは会社のスピードを重視した姿勢が大きかったと思います。また、私自身もそうですけど、自分がほしいものを作っていく遊び心のようなものがあり、やらされているのではなく自分で作って行く気概が当時すごく強かったですね。
奥村がヤフトピの影響力が強くなったことを感じ始めたのは2003年頃だったという。ヤフトピに載ったWEBサイトにアクセスが集中してページが表示できなくなることは、“ヤフトピ砲”とも呼ばれた。
津田:その頃にはGoogleが日本にも進出していましたよね。Googleのウェブサイトはカテゴリー検索ではなく単語検索での仕様でしたけど、それと比較してヤフーはどのような位置付けだったのでしょうか。
奥村:ヤフーは“ポータル”という言葉がピッタリで「ここに来ると何でも揃う」というサービスでした。当時はまだインターネットを始めて間もないユーザーも多かったと思うので、そういう人たちにとって、ヤフーは検索もあるし、ニュースもある、メールもあるしショッピングもオークションもある。そういう利便性が当時はウケたと思います。
■インターネットニュースは足りないものがたくさんある
2013年、奥村はニュースをじっくりとわかりやすく解説するウェブメディア『THE PAGE』を立ち上げた。
奥村:その頃インターネットニュースは何でもあるように見えて、足りないものがたくさんあり、その足りないものを埋めるものが必要だと感じていました。
津田:ニュースの深い部分を知るような調査報道や解説は新聞には載っているけど、ネットニュースには提供されなかったりすることもありますからね。
奥村:そうなんです。そういったニュース解説や動画ニュースなどで、当時インターネットにはなかったニュースを作っていこうと思い立ち上げました。
津田は「ある時期から『THE PAGE』をはじめ、ニュースメディアは単に各新聞社などのニュースを仕入れて掲載するだけではなく、各ウェブサイトが独自の記事を作り始めた」と言及。それはどのような流れから起きたのか。
奥村:今、インターネットには多くのニュースメディアがありますよね。でも、それぞれのサービスが同じ記事の仕入れ先だと変わらない内容になってしまい差別化が図れなくなります。そこで何か違うものを生み出していくために、オリジナルのコンテンツを提供していきたいという目論見があったと思います。
■今後は音声がニュースのカギを握る?
奥村は「今後のネットニュースはテキストや動画ではなく音声に流れていく」と予想する。
奥村:テキストや動画のネットニュースがなくなるわけではないけど、音声をベースとしたニュースメディアが増えてくるのではないかと。今、結構な数の学生が「朝はラジオを聴いている」と話しています。それに加え、日本の広告市場はラジオが底打ちしているので、そこに新しい広告を載せていこうという動きも出てきています。僕たちの生活を振り返ると目から情報はすごく多くてどこを見ても広告だらけだけど、耳から入る情報はそれがまだ少ない。だから、耳からニュースが入ってくることは今後可能性としてあり得ますよね。
音声は“ながら力”も強いと続ける。
奥村:「食べながら」とか「電車に乗りながら」とか。そういった耳の時間はまだ埋まっていないので、そこはこれから盛んになっていくと思います。
津田は「ネットニュースの話から、ラジオの可能性の話になるとは思わなかった」と驚いた様子。これからのニュースのあり方を考える時間となった。
J-WAVE『JAM THE WORLD』のコーナー「UP CLOSE」では、社会の問題に切り込む。放送時間は月曜~木曜の20時15分頃から。お聴き逃しなく。
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番組名:『JAM THE WORLD』
(※同番組は普段、グローバーがお届けしているが、この日はお休みのため、月曜担当ニュースアドバイザーである津田大介が番組全体のナビゲーターを務めた)
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
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