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日本では新品の洋服が「1年で10億枚」も破棄されている…アパレル業界の仕組み

画像素材:PIXTA

日本では新品の洋服が「1年で10億枚」も破棄されている…アパレル業界の仕組み

日本では大量の洋服が破棄されている。その数は、毎年およそ100万トン。新品の服だけで1年間に10億枚にもなるという。

なぜこれほど多くの服が捨てられてしまうのか? 服の大量廃棄は社会にどんな影響を及ぼしているのか? 朝日新聞オピニオン編集部の記者で、共著に『大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実』を持つ藤田さつきに訊いた。

【9月4日(水)のオンエア:『JAM THE WORLD』の「UP CLOSE」(ナビゲーター:グローバー/水曜担当ニュースアドバイザー:安田菜津紀)】



■服が安くなる一方で、売れ残る服が増えている

アパレルの店頭には多くの服が並び、アイテムがどんどん入れ替わる。売れ残った大量の服はどこに行き、どうなっているのか? 疑問を出発点として、藤田が取材を開始した。新品の服の廃棄量などは公的なデータはないが、取材を通して徐々にその背景が分かってきたという。

藤田:国内の市場への服の供給量(輸入量+生産量)は1990年のバブル時代に比べ、今は2倍以上に増えている一方で、消費量は横ばいであるという統計があります。
安田:供給が増えた分だけ服が売れ残っている可能性があると。
藤田:その通りです。さらに、服の購入単価が25年間ほどで6割ほどに下がっているというデータもあります。つまり、服がどんどん安くなる一方で、売れ残る服がどんどん増えていることがわかりました。

アパレルの専門家への取材では「およそ供給量の4分の1くらいが廃棄されているのではないか」という声も。総合的に判断して、藤田は「1年間に10億枚の服が捨てられている」という数を導き出した。


■消費者の関心を最新の商品に向けさせるために...

需要と供給のバランスが崩れている背景には複合的な理由があるとしながらも、藤田さんは理由のひとつとして、取材の中である経営コンサルの専門家が挙げた「アパレル業界の商品の陳腐化」を紹介した。

藤田:例えば、家電などでも新しいモデルが出て、古いモデルが安くなる流れがあり、特にアパレルはシーズンごとに速いサイクルでトレンドが変わります。「あなたが着ている服はもう古い」と、消費者を最新の商品に誘導するんです。古い服が残っているとそこに誘導できないため、それを徹底するために大量の在庫の処分が行われてきました。

高級ブランドがブランド価値を保つために安売りしづらい事情から売れ残った服を廃棄したり、節税をするために廃棄したりと、在庫は処分したほうがアパレル企業にとって得策なようだ。


■新品で売れ残った服はどこへ?

売れ残った服はどのような道を歩むのか。その疑問を解明するために藤田さんは取材を進めるも、その内容をなかなか明かさないアパレル企業が多かったと振り返る。

藤田:いくつかの産廃業者に取材をしたところ、産廃業者はアパレル企業に守秘義務を結ばされていて、どれだけの服を受け入れてどのようにしているか、そして企業名やブランド名も含め一切外に出していません。そこが公の統計に表れない理由のひとつでもあります。

その後も取材を続け、新品で売れ残り産業廃棄物となった服は、おおむね産廃業者によって焼却されることが多いことが分かった

藤田:RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)と言って、石油由来のプラスチックや化学繊維で作られた服はよく燃えるので、固形燃料にして焼却されている。リサイクルではないかもしれないが、ただ捨てるよりは固形燃料としての利用価値が生まれるので、最近はそういったやり方が広まっているようです。ただ、焼却には変わりないので環境負荷もかかりますし、RPFを作るためにコストがかかります。産廃業者もお金を払ってRPF化してもらって受け入れるようなかたちなので、経済効率は良くないですね。

昔は木綿や天然の繊維で作られた服が多く、そういった素材の服は中古で着回していき、着られなくなると雑巾などとして利用され、最終的には燃料にしていた。しかし、現在は高機能でさまざまな化学繊維を使用した服が多く、それをリサイクルすることが難しい。

藤田:一部、そのまま中古の服として海外に輸出する道もありますが、そうすることによって、輸出先の国の産業に影響を与える可能性が生まれるため、一概にリサイクルと言っても難しい問題があると感じています。


■消費者は、買うことで意思を示せる

最近では、「透明性」をキーワードにして服作りに取り組むアパレル企業も現れている。

藤田:現状では遠い生産現場と消費者の距離を近づけることで、どこの工場でどんな人たちがどんな労働環境で服を作っているのか、どんな思いやこだわりを持って作っているのか、材料費や加工賃、輸送費はどれくらいか、そういったことをネットなどで明らかにする企業も少しずつ出始めています。日本では10YCなどいくつかの企業があり、そういった流れはアメリカのEverlaneがはしりです。そういった透明性を通して、消費者が服作りをしている人の人権やこだわりに思いを馳せて服を選んでほしいという考えがあります。

服の大量廃棄を生まないために、私たち消費者側は何ができるだろうか。

藤田:大量廃棄は、劣悪な労働環境やジェンダーの問題などとも繋がっています。それぞれが大きな問題で、解決は難しいものです。しかし、消費者は消費という行動を通して、問題に影響を与えることができます。不買運動ではなく、買うことで社会を良い方向へ変えていく。一人ひとりの消費者がそういった動きをすることで、大きな流れが生まれると思います。

安田は「より社会に優しい商品を意識的に選ぶためには、知ることが不可欠。消費を通して社会に働きかけることが重要」とコメントした。

J-WAVE『JAM THE WORLD』のコーナー「UP CLOSE」では、社会の問題に切り込む。放送時間は月曜~木曜の20時20分頃から。ぜひチェックしてほしい

【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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