みなさんのまわりで喫煙する場所が減っていませんか? 実は受動喫煙対策も含まれる改正健康増進法が2018年7月に成立し、2020年4月に全面施行されるため、喫煙スペースの減少が徐々に進んでいます。なぜ、日本は受動喫煙対策に力を入れ出したのか。タバコの研究をして22年の産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室教授の大和 浩さんにお話を訊きました。
【3月4日(月)『JAM THE WORLD』の「KODANSHA CASE FILE」(ナビゲーター:グローバー)】
http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20190304193205
■受動喫煙対策は3段階で進められる
2003年に健康増進法が施行され、その第25条によって受動喫煙を防止することが国の法律になりましたが、それらは努力義務にとどまる内容でした。それを義務化し内容を厳しく改正したものが、今回の改正健康増進法です。
改正健康増進法では、3つの基本的な考え方が示されました。
大和:1つは望まない受動喫煙をなくすこと。2つ目は受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮すること。そのため、病院と学校は原則として敷地内が禁煙となります。そして3つ目は、施設の類型、場所ごとに対策を実施すること。いま、ランチタイムは禁煙、夕方は喫煙可なレストランなどが多いのですが、この改正法には“場所ごとに”と明示されているため、施行されると禁煙タイムはできなくなるんです。つまり、昼間は禁煙、夜は喫煙という業態がなくなります。これらによって、日本国内の喫煙はかなりのスピードで減っていくだろうと予想されます。
また、改正健康増進法は3段階に分けて進められます。
この法律は昨年7月に国会を通過して交付され、すでに1月から屋外と家庭で施行されています。2段階目として今年7月には第一種施設として病院、学校、行政機関が原則として敷地内禁煙に、そして来年4月に、3段階目となる一般企業やレストランなどで受動喫煙防止の規定がはじまります。
■「タバコのないオリンピック」の実現へ
大和:これらを実施するタイミングは、今年9月に日本で開催されるラグビーワールドカップ2019、そして来年の東京オリンピック・パラリンピックオリンピックに間に合わせるためであり、それらに向けて段階的に施行しています。
そもそも改正健康増進法は、WHO(世界保健機関)とIOC(国際オリンピック委員会)が「タバコのないオリンピックを実現する」という合意文書を取り交わしているため、来年のオリンピックまでには必ず間に合わせなければなりません。
大和:受動喫煙は他人の健康を害するため、全世界的に屋内は禁煙化が進んでいますが、日本だけがほとんど進んでいませんでした。そのため、オリンピックの禁煙化を進めるWHOとIOCの取り決めがよいきっかけとなり、「来年のオリンピックに間に合うように、可能であれば、ラグビーワールドカップ2019にもある程度は間に合うように」ということで、この法律が進んでいます。
改正健康増進法が全国で全面施行されるのは、来年の4月。着席面積が100平方メートル以上の飲食店は、全面禁煙にするか、喫煙専用室を作るかのどちらかとなり、客席での喫煙は原則禁止となります。一方、100平方メートル以下の小規模店では、全面喫煙か、喫煙専用スペースを作るか、全面禁煙か、の3つからいずれかを選択する必要があります。
受動喫煙問題と対策の動きについて、私たちも引き続き注目していきましょう。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld
【3月4日(月)『JAM THE WORLD』の「KODANSHA CASE FILE」(ナビゲーター:グローバー)】
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■受動喫煙対策は3段階で進められる
2003年に健康増進法が施行され、その第25条によって受動喫煙を防止することが国の法律になりましたが、それらは努力義務にとどまる内容でした。それを義務化し内容を厳しく改正したものが、今回の改正健康増進法です。
改正健康増進法では、3つの基本的な考え方が示されました。
大和:1つは望まない受動喫煙をなくすこと。2つ目は受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮すること。そのため、病院と学校は原則として敷地内が禁煙となります。そして3つ目は、施設の類型、場所ごとに対策を実施すること。いま、ランチタイムは禁煙、夕方は喫煙可なレストランなどが多いのですが、この改正法には“場所ごとに”と明示されているため、施行されると禁煙タイムはできなくなるんです。つまり、昼間は禁煙、夜は喫煙という業態がなくなります。これらによって、日本国内の喫煙はかなりのスピードで減っていくだろうと予想されます。
また、改正健康増進法は3段階に分けて進められます。
この法律は昨年7月に国会を通過して交付され、すでに1月から屋外と家庭で施行されています。2段階目として今年7月には第一種施設として病院、学校、行政機関が原則として敷地内禁煙に、そして来年4月に、3段階目となる一般企業やレストランなどで受動喫煙防止の規定がはじまります。
■「タバコのないオリンピック」の実現へ
大和:これらを実施するタイミングは、今年9月に日本で開催されるラグビーワールドカップ2019、そして来年の東京オリンピック・パラリンピックオリンピックに間に合わせるためであり、それらに向けて段階的に施行しています。
そもそも改正健康増進法は、WHO(世界保健機関)とIOC(国際オリンピック委員会)が「タバコのないオリンピックを実現する」という合意文書を取り交わしているため、来年のオリンピックまでには必ず間に合わせなければなりません。
大和:受動喫煙は他人の健康を害するため、全世界的に屋内は禁煙化が進んでいますが、日本だけがほとんど進んでいませんでした。そのため、オリンピックの禁煙化を進めるWHOとIOCの取り決めがよいきっかけとなり、「来年のオリンピックに間に合うように、可能であれば、ラグビーワールドカップ2019にもある程度は間に合うように」ということで、この法律が進んでいます。
改正健康増進法が全国で全面施行されるのは、来年の4月。着席面積が100平方メートル以上の飲食店は、全面禁煙にするか、喫煙専用室を作るかのどちらかとなり、客席での喫煙は原則禁止となります。一方、100平方メートル以下の小規模店では、全面喫煙か、喫煙専用スペースを作るか、全面禁煙か、の3つからいずれかを選択する必要があります。
受動喫煙問題と対策の動きについて、私たちも引き続き注目していきましょう。
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