「性的いたずら」ではなく「性犯罪」で「性暴力」だ―社会に広めるべき認識

性暴力の被害者を生み出さないために、「セクシュアル・コンセント」（性的同意）の重要性を議論した、J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』（ナビゲーター：グローバー）のワンコーナー「UP CLOSE」。11月14日（水）のオンエアでは、水曜日のニュース・スーパーバイザーを務めるフォトジャーナリスト・安田菜津紀が登場。一般社団法人「ちゃぶ台返し女子アクション」代表理事の大澤祥子さんをゲストにお迎えしました。


■「セクシュアル・コンセント」（性的同意）とは何か？

今年9月、元ミスター東大候補で東京大学経済学部3年の24歳の男が、30代の女性に対する強制性交などの容疑で逮捕。また、10月には慶應義塾大学のミスターコンテストに出場した経済学部2年、22歳の男が別の大学の19歳の女子学生に性的暴行を加えたとして逮捕されています。

こうした性暴力の加害者、そして被害者を作らない、性によって傷つくことのない社会を作ろうと、大澤さんは「セクシュアル・コンセント」を広める活動しています。

この「セクシュアル・コンセント」とは、一体どのようなものなのでしょうか。

大澤：日本語では「性的同意」と訳されています。「セクシュアル・コンセント」とは全ての性的な行為において必要な、積極的な参加の意思表示と私たちは定義しています。
安田：全ての性的な行為、とはどういったことを指すのでしょうか。
大澤：「自分の体は自分のもの」という考えがあるので、性行為はもちろん、体を触ったり性的な言葉をかけたりと、自分の性的な境界や身体的な境界を侵害する全ての行為がそこに入ってきます。

アメリカやヨーロッパ圏では6、7年前くらいから大学生による性暴力が大きな社会問題となり、同意のない性的な行為が当たり前になっているのではないかと懸念され、「セクシュアル・コンセント」という考えを広く啓発していく動きが出ているそうです。


■同意がない性的行為は「性暴力」であり「性犯罪」

「セクシュアル・コンセント」は、大切なポイントが3つあります。

・強制性がないこと

大澤：“いつでもNOと言える環境”でのYESであるか、ということが大切です。NOと言ったことにより、自分の身が危険にさらされたり、自分が不利益を被ったりする状況においてのYESは、本当のYESではありません。

・対等性

大澤：真に対等な関係であるかも、非常に重要です。たとえば相手が目上の人や上司、先輩、コーチなどで、拒むことによって自分が何か不利な状況におかれる状態では、パワーとコントロールが働いてしまいます。本当に対等な関係であることに対して配慮がなされて、いつでも断れる状況が大事です。

・非継続性

大澤：ひとつのことに同意したからと言って、他のことに同意したことにはならない。たとえば2人でお酒を飲みに行ったり家に行ったりした場合でも、それは性行為をすることに同意したことにはならないということです。それは時間的なことにも言えて「昨日、性行為をしたから今日もいいんじゃないか」ということではなく、状況ごとや段階ごとで同意する権利と拒否する権利があるので、しっかりとその事柄に対しての同意であるかどうかが大切です。

では、「セクシュアル・コンセント」が広く認知されることによって、社会はどう変化するのでしょうか。

大澤：当たり前のことですが、「同意がない性的行為は性暴力であり性犯罪だ」という考えがしっかり認識されていくと考えています。性被害は「ただのいたずらだ」「たいしたことはない」と矮小化されてしまう傾向がありますが、「性を傷つけることは暴力であり犯罪なんだ」としっかりと共通認識として成り立たせることが非常に重要だと思います。

大澤さんは今後の取り組みについて「『セクシュアル・コンセント』を当たり前の文化にしたい」と話します。

大澤：自分たちのコミュニティにおいて変化を起こせる人をどんどん増やしていきたい。この問題に対して声をあげている人を増やし、その人たちと一緒に文化そのものを変え、法律や教育制度への変化に反映したいと考えています。

「セクシュアル・コンセント」を深く学びたい方は、ぜひ「ちゃぶ台返し女子アクション」のホームページをご覧ください。

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【番組情報】
番組名：『JAM THE WORLD』
放送日時：月・火・水・木曜 19時－21時
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld