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なぜ安室奈美恵は、第一線で活躍しつづけたのか? 音楽ジャーナリスト・宇野維正が語る

なぜ安室奈美恵は、第一線で活躍しつづけたのか? 音楽ジャーナリスト・宇野維正が語る

安室奈美恵さんが9月16日(日)、25年間の活動に幕を下ろしました。引退前の9月14日(金)、J-WAVEで放送中の『GOLD RUSH』(ナビゲーター:渡部 建)のワンコーナー「haletto GIRL'S INFO COUNTER」では、安室さんが音楽シーンに与えた影響について、音楽ジャーナリストの宇野維正さんに伺いました。安室さんの「○○力」の高さとは。


■音楽の面白さを維持できた鍵は

渡部:改めて、安室さんのすごさはどこにあると思いますか?
宇野:これだけ息の長い人気と、彼女の音楽の面白さをずっと維持できたひとつの大きな鍵は、「アムラーブーム」や小室哲哉プロデュースでトップに立って以降の自己プロデュース能力が高かったからではないでしょうか。世間を席巻するアーティストはいろいろいるけれど、キープし続けたという点で、他に例がない存在だと思います。
渡部:10代、20代、30代、40代と、4年代連続のロングセラーというのもすごいですよね。宇野さんは、安室さんの生き方をどうみてますか?
宇野:彼女は愛されているだけでなく、すごく理解されているなと。昨年の引退発表からこの1年間、いろいろなファンの声や世の中の動きを見ていると、「こんなに理解されてるんだ」とヒシヒシと感じました。普通だったら「やめないで」という声が上がると思うんですが、みんな「ありがとう」という感じじゃないですか。それは、みんなが彼女の生き方をよくわかってるからなんですよね。そこも、すごいところだと思います。


■時代の移り変わりの中で

渡部:“安室奈美恵”というアーティストが、音楽シーンに与えた影響とは?
宇野:彼女のキャリアは「one and only」。アイドル時代があり、小室プロデュース時代があり、自己プロデュース時代もあり……誰も真似できない歩みをしています。ただひとつ言えるのは、彼女が1998年に1年間休業したときに、椎名林檎さん、宇多田ヒカルさん、aikoさんがデビューして、作詞作曲をする女性シンガーの時代がはじまりました。安室さんは作詞も作曲もしないので、時代が塗り変わったかなというムードもあったんですけど、安室さんは安室さんだった。椎名林檎さんも、宇多田ヒカルさんも、aikoさんもとてつもない天才だし、それは20年経っても変わりません。
渡部:確かに。
宇野:(引退するにあたり)これだけ騒ぎになるのは、安室さんが素晴らしいからというのはもちろんありますが、ある種の「ノスタルジー消費」が主流になっている。椎名林檎さん、宇多田ヒカルさん、aikoさんも今なお素晴らしい作品を出し続けて、忠誠心の強いファンがいますが、この3人も「ノスタルジー消費」と言えると思います。西野カナさんとかも素晴らしいですけど、この壁が高くそびえたっていますね。
渡部:壁は厚いですよね。
宇野:人気のあるアーティストはいるけれど、20年以上ずっと第一線で活躍しているのは、安室さんなど一部のアーティストに限られています。これは日本の音楽シーン全体の課題です。海外は次から次へと若いアーティストが天下をとっていきますが、そういう感じのサイクルは日本ではまわってないなと思います。


■今後、音楽シーンに風穴をあけるのは…

渡部:今後は、若い世代にどんどん風穴をあけてもらうのが、音楽シーン全体を考えてもいいということですよね。
宇野:そういうことだといます。
渡部:それができるのは、どういうタイプのアーティストですかね?
宇野:ラップかK-POPしかないと思ってます。今はある程度、“海外の注目もないといけない。安室さんもアジアですごく人気があり、宇多田さんも海外にたくさんのファンがいます。そういう動きなしに、日本だけで安室さんみたいな現象が今後起こるかというと、僕はそれには懐疑的です。ただ、そういう存在が現れることを期待したいです。

安室さんの引退後、音楽シーンがどう変わっていくのか、これからも注目してみてください。

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【番組情報】
番組名:『GOLD RUSH』
放送日時:毎週金曜 16時30分ー20時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/goldrush/

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