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岡田准一、現代美術家・磯辺行久の作品制作の過程に迫る

岡田准一、現代美術家・磯辺行久の作品制作の過程に迫る

J-WAVEで放送中の番組『GROWING REED』(ナビゲーター:岡田准一)。8月19日(日)のオンエアでは、現代美術家の磯辺行久さんをゲストにお迎えし、現在、新潟県十日町市津南町で開催中の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の見どころなどをお訊きしました。

磯辺さんは、戦後日本の前衛美術界で活躍。1965年にニューヨークで学んだ環境芸術をきっかけに、環境計画家としての活動もスタート。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(以下、大地の芸術祭)では毎回、環境をテーマに据えた芸術活動を行っています。



1935年生まれの磯辺さん。2000年から始まり、今年で7回目を迎える「大地の芸術祭」ですが、その原型となる企画から携っています。そもそも環境に根ざしたアートを考え始めたのは、1965年にニューヨークに行ったことがきっかけだったと振り返ります。

岡田:その頃、ワッペンの作品などを作られていたのですか?
磯辺:もうニューヨークに行った段階では、そういった作業はしておりません。ニューヨークに行く前がワッペンの時代でした。私がニューヨークに行ったということは非常に大きな転機になりました。従来やってきたアートから、その後の環境に関わるアートへ大きく転換していく。その時期がちょうど60年、65年、70年にかけての10年間であったというわけです。

磯辺さんがニューヨークへ渡ったときはアートで食べていくのが難しく、生活していくために新しい技術を習得するべくペンシルバニア大学に入学しました。そこで、自然科学を勉強することになったそうです。

磯辺:そういう経緯があったので、アートとはまったく違う経験をそれから数年間することになります。それがその後の作品、あるいはアート活動に大きな影響を及ぼしているだろうと思います。

そんな磯辺さんの従来から今日に至るまでの作品が、現在開催中の「大地の芸術祭」で観ることができます。会場は新潟県十日町市津南町にある倉庫美術館という、廃校になった小学校を再利用した美術館です。

岡田:どういうふうに作品と向き合い、制作されましたか?
磯辺:最初に越後妻有の大地について勉強をしたわけです。越後妻有の大地はどういう成り立ちなのか、ということを調査しました。
岡田:どういうふうに掴まれたのでしょうか?
磯辺:越後妻有の大地というのは、日本で一番大きな川、信濃川が作った大地なんだということがわかったわけです。そして信濃川というのは長い年月をかけて今日の形になっていますけど、その中で様々に変化をしている。

その中で地域の人々がどのような生活をしていたのか、そして地質や地形図を調べることで、さまざまなことがわかってきたと話します。

岡田:信濃川は今より25メートル高い位置を流れていたそうですね。
磯辺:それと同時に、今よりも東に800メートル寄っておったと。つまり川の流れがその時代によって大きく変わっているわけです。
岡田:すごいですね。そういうことも地域のことも考えて調べて、アートを作られるのですね。

信濃川のかつての流れと、今の川の在り方がどう変わっているのかをポールで示した作品が、2000年に作った第一回目の作品『川はどこへいった』です。



磯辺:作品をご覧になるとわかりますけども、今の流れはかなり直線化しておりますが、80年前の信濃川はいろいろ形が変わって動いています。その川の形を表したのが『川はどこへいった』という作品です。

3メートルのポールが田んぼに5メートル間隔で打ち込まれているのですが、そこはかつて信濃川が流れていたところでした。

岡田:人の営みと地球の変化でどんどん変わって、地球の時間の長さも感じられる作品になっているのですね。
磯辺:そのポールに旗がついているんです。その旗を見ていただくとわかるんですが、朝晩、山風と海風によって川の流れが変わってるわけですね。それはどういうことかというと、風というのは地形に沿って流れますから、山風と海風は自然の元の地形に沿って風が流れているということです。
岡田:なるほど。
磯辺:川が変わってしまっても、風は元の流れを覚えていたということがわかったわけです。風というのは地形に沿って流れる。つまり元の川の形の通りに今でも流れている、ということがわかる。というのがこの作品の、ひとつ観ていただきたいポイントです。

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は9月17日(月)まで開催しています。気になる方はぜひ足を運んでみてください。

その他番組では、磯辺さんの過去の代表作品、ワッペンシリーズについてもお訊きしました。radikoでチェックしてみてください。

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【番組情報】
番組名:『GROWING REED』
放送日時:毎週日曜 24時-25時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/growingreed/

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