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ロシアW杯で採用された「リアルタイムデータ活用」でサッカーはどう変わる?

ロシアW杯で採用された「リアルタイムデータ活用」でサッカーはどう変わる?

J-WAVEで放送中の『GOLD RUSH』(ナビゲーター:渡部 建)のワンコーナー「CURIOUSCOPE」。6月29日(金)のオンエアでは、現代サッカーとリアルタイムデータ活用について、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特任准教授の永野智久さんにお話を伺いました。

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■リアルタイムデータ活用によってわかること

熱戦が繰り広げられている「2018 FIFAワールドカップ ロシア」は、リアルタイムデータの活用が初めて認められた大会です。これについて、“リアルタイム”という言葉が重要になってくると永野さんは言います。

永野:これまでサッカーでは、多くのデータが収集され、活用されてきました。そのデータは試合中の選手のプレーや特定のシーンの映像など、いろいろな形式があります。しかし、それを活用するタイミングは、試合中のハーフタイムのみ使うことが(グレーな部分ではあるが)、許されていました。

今大会では、試合中にベンチとスタンドにいるコーチの情報など、FIFA(国際サッカー連盟)が用意したシステムを使い、いろいろな情報をリアルタイムでやりとりすることが正式に認められました。

渡部:リアルタイムデータの活用によって、どのような変化がありますか?
永野:「どういう試合をするか」というゲームプランが監督にあり、そのゲームプラン通りに試合が進んでいるかどうか、たとえば「どの選手がどれくらい走っていてどれくらい疲れているか」や「どこでパスが行われていて、どれだけミスしているのか」などのデータを、逐一モニタリングしつつ、相手がどのような状態なのかのデータも見て、スタンドにいる分析スタッフが有益な情報に変えて、それを監督に届けています。

リアルタイムデータ活用が顕著に現れた例として、サッカードイツ代表が挙げられると永野さん。ブラジルで行われた前回大会でドイツ代表はIT企業と組み、独自のシステムを用意しました。そのシステムを駆使して優勝したという実績があります。また、FIFAが用意したデータを試験的に活用した試合である「FIFAコンフェデレーションズカップ2017」の決勝戦でも、ドイツ代表は勝利しました。

渡部:この2大会で優勝したドイツ代表は今大会も盤石だと。
永野:しかし蓋を開けてみると、今大会でドイツ代表はグループリーグ敗退となりました。リアルタイムデータをすぐに活かせるかというと、まだそれだけではなかなか試合に勝つまでにはたどり着かない状況です。


■サッカーの勢力図が変化する?

サッカー日本代表やJリーグでは、リアルタイムデータをまだまだ活用しきれていないと永野さんは指摘します。今大会で活用されているようなシステムを、Jリーグは2015年に導入しましたが、まだ導入期間が短いので、今後そのシステムで得られるデータを扱う人や活用方法をどう活かすかが課題だと説明しました。

渡部:今後リアルタイムデータ活用によって、ノーマークだった国が強くなったり、今まで強豪と言われるチームが負けたりと、サッカーの勢力図が変化することもありますか。
永野:そうですね。日本はデータへの感度が高く、データを扱う人のスキルが高いので、日本のサッカー界の伸びしろや可能性は十分に感じられます。だた、それをスポーツでどう使うかが重要になります。リアルタイムデータを使って働く人に対し、給料などいろいろな部分でレベルを上げていかないと、スキルがあってもなかなかスポーツ分野へ人材が入ってこないのではないか、と危惧されています。
渡部:2020年に東京オリンピック・パラリンピックもあるので、日本は技術力を上げてほしいですよね。

今後、リアルタイムデータの活用はスポーツ界にどのような影響を与えていくのでしょうか。

永野:いろいろな分野の方たちに協力をしてもらい、有益な情報を作り出していく流れができれば、一気にリアルタイムデータの分析が広がるかなと考えます。
渡部:いろいろなデータが出ると、育成も変わってきますかね。
永野:まさに、育成が重要だと思います。データの扱いやフィードバックに慣れ、選手自身がデータを吸収して振り返り、その後の練習に活かすなどのサイクルが生まれることによって選手は育っていきます。日本の教育水準は高いので、そういった部分がスポーツにどんどん投下されていくと思います。

リアルタイムデータの活用によって、サッカーのみならず、スポーツ全体に新しい魅力が生まれるかもしれません。

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【番組情報】
番組名:『GOLD RUSH』
放送日時:金曜 16時30分ー20時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/goldrush/

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