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「見えない部分を作るのがプロデューサーの仕事」映画『国宝』を手がけた映画プロデューサー・村田千恵子が自身の仕事を語る

「見えない部分を作るのがプロデューサーの仕事」映画『国宝』を手がけた映画プロデューサー・村田千恵子が自身の仕事を語る

ミリアゴンスタジオの執行役員・村田千恵子が、映画プロデューサーという仕事や、映画『国宝』の製作を決意したきっかけなどを語った。

村田が登場したのは、6月15日(月)放送のJ-WAVE『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)内、あらゆる世界の本質にインサイトしていくコーナー「RESONAC MORNING INSIGHT」だ。

意外と知られていない? 映画プロデューサーのお仕事

村田千恵子は日本の大学を卒業後、アメリカに留学して映画製作を学ぶ。その後、サンダンス映画事務局での勤務を経て、外資系スタジオで邦画製作に従事し、アニプレックスに入社。実写作品を数多くプロデュースし、現在はミリアゴンスタジオの執行役員として、実写作品の企画プロデュース部門を統括している。

そんな村田は、「Short Shorts Film Festival & Asia 2026」で審査員も務めた。ナビゲーターで同映画祭の代表である別所に感想を求められ、彼女は「めっちゃ楽しかったです!」とコメントする。

村田:以前はけっこう映画祭に行かせていただいていたんですけど、しばらく行ってなくて。今回60本近くの作品を観せていただいて、本当にびっくりしました。すごくインディーな作品もあれば、豪華な俳優さんが出ている作品もあって、本当にバラエティーが豊富で面白かったです。また、審査会議ではみんなが共通して「いい」と言う作品もありましたが、それぞれがいいと思う作品が本当に違っていて、「映画はみんなが同じ作品を好きなわけではないんだな」ということをあらためて知れたのが、すごく勉強になりました。

別所:審査をしていただいて、ありがとうございました。今、受賞作品がオンラインでご覧いただけますので、ぜひみなさんも審査結果を確認してほしいなと思います。さて、村田さんは映画プロデューサーという肩書きですが、実際にどんなことをされているのか、あらためて教えていただけますか?

村田:はい。私自身、アメリカの大学で映画の勉強をしたのですが、プロデューサーの仕事が何かよくわかっていませんでした。いろいろな人に訊いても人によって違うし、組む監督などによっても(仕事内容が)本当に違うんですけど、私が教えられたなかでいちばんしっくりきている説明がふたつあります。ひとつは、画面に映るものは監督が作って、画面の外のものをプロデューサーが作るという説明です。ですから、「画面に見えない部分を作るのが、プロデューサーだよ」ということですね。もうひとつは、“プロデュース”という言葉のとおり、いちばん最初の生み出すところをやる。そして、「監督をクビにできるのはプロデューサーだけだよ」と言われたこともあります(笑)。

別所:たしかにね(笑)。プロデューサーが監督をアサインして、というところがあるわけですからね。僕も俳優の端くれなので監督をいっぱい知っていますし、当たり前といえば当たり前ですが、クリエイティブなほうはどんどん広がっちゃって、お金や時間のことを考えなかったりしますもんね。

村田:そうですね。あと、監督はもちろんいろいろな才能があるんですけど、「この才能は伸ばすべきだけど、ここはちょっと抑えるべきだ」みたいなことは、たぶん外の人が采配をしないとわからなかったりもすると思うので、そういうところをやっていく仕事かなと自分なりには思ってます。

映画『国宝』の製作に至った理由は…

別所:監督や脚本家のクリエイティブな想いもいろいろあると思いますが、映画プロデューサーとして作品を多くの人に届けるために、ビジネス面でどんなことをお考えですか?

村田:もちろん、お客さんのために作るのが映画だと思っていますが、クリエイターの方はみんながみんな、お客さんのために作っているわけでもないし、それが悪いことでもありません。“自己表現”もすごく大事なことですし、特に映画だといろいろなクリエイターの方がいます。監督、脚本家は有名ですが、美術監督だったり撮影監督、録音技師など、それぞれがものすごい才能を持ったプロフェッショナルな方々なので、その人たちが才能を発揮できて、かつお客さんがそれをきちんと楽しめるというバランスを取るのは、すごく難しいなとは思ってます。

別所:アクセルを踏んだり、ブレーキを踏んだりといろいろあると思います。

そんな村田が企画・プロデュースを手がけた映画『国宝』は、2025年6月に公開され大ヒット。2026年6月6日(土)からは、Prime Videoにて見放題独占配信されている。

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吉田修一原作の同作品を映画化しようと思ったきっかけは、何だったのだろうか。

村田:監督である李 相日さんから「歌舞伎を映画にしたい」という話はすごく昔から聞いていました。しかし、歌舞伎の世界の映画化は制作費もすごくかかるし、作ったところでお客さんに届かなければ意味がないし、ビジネスとしても成立しません。そんななか、吉田修一さんが書かれた原作が本当に面白くて、「これだけ面白い作品なら、映画にしてもお客さんに届くんじゃないかな」と思ったところがいちばん大きかったですね。

別所:“歌舞伎”という伝統の世界は、ロケをするのにもお金がかかりますし、映画化が難しいと思われやすいじゃないですか。そのようななかで、どのあたりがいちばんのハードルで、どこが面白いと思いましたか?

村田:単純にお話の内容が面白かったのと、私が(映画化の)お話を聞いた段階で、すでに吉沢 亮さんが「やりたい」とおっしゃってくださっていて、「吉沢さんがこの役をやるのを見たい」と思ったし、「見れるならやってみたい」という気持ちはありました。難しかったのは、歌舞伎を描くのに誰に何の許可を取っていいのかがよくわからなかったところですかね(笑)。

別所:たしかに! 松竹さんに行く感じなの?

村田:そうですね。でも、いつ行けばいいのか、松竹さんの誰に訊けばいいのかも何にもわからなかったので……。

別所:どうされたんですか?

村田:吉田修一さんが原作を書くにあたって、いろいろリサーチをされていた中村鴈治郎さんという歌舞伎役者さんがいらっしゃって、鴈治郎さんとそのおうちの方々にいろいろ教えていただいたりご紹介いただいたりして、順番にお話をしていったという感じでした。

別所:そして、映画化が実を結ぶわけですね。

作品作りで大切なのは“想い”の強さ

2007年に設立し、村田が執行役員を務めるミリアゴンスタジオ。社名の“ミリアゴン”は、限りなく円に近い“百万角形”を意味する言葉だそう。立ち上げに至った経緯や想いを、村田は次のように語る。

村田:映画監督の佐藤信介さんが名付け親なんですけど、佐藤さんが所属しているエージェントだったオリガミクスパートナーズという会社と一緒に、ミリアゴンスタジオを立ち上げました。「クリエイターの方々が自分のやりたいことや企画を、自らどんどん立ち上げることができるスタジオを作っていきたいな」という思いと、最近は配信ドラマも増えてきて「映画だけ撮る監督」「テレビドラマだけ書く脚本家」ではなく、どちらも行き来するようになってきたので、「両方を自由に企画できる会社ができたらいいな」ということで、親会社のアニプレックスのほうで「作りましょう」という話になりました。

別所:おっしゃるとおり、垣根がわからなくなりましたね。「何が映画的でシネマチックなのか」とか、配信されているものも連続モノが増えてきたし……。

村田:そうですね。本当にシネマチックというのは今どんどんわからなくなってきているなというところではあります。日本のテレビドラマはフレーム数が映画と違ってけっこうわかりやすかったんですけど、最近は地上波でも映画ルックに撮るテレビドラマも増えてきているので、そういう意味でも垣根がなくなってきたなと思います。

ミリアゴンスタジオはカンテレとタッグを組み、現在放送中のテレビドラマ『銀河の一票』を共同制作。現在、カンテレドーガ、FOD、Netflixにて配信中。

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新たな試みに挑んだきっかけは、何だったのだろうか。

村田:今回は初めての取り組みで、カンテレさんが「新しいことをやろう」と言ってくださったので参加させていただきました。プロデューサーの佐野亜裕美さんが、本当にクリエイティブの面白い方で、オリジナルの企画でずっとテレビドラマを作られてきているんですけど、佐野さんの今回のドラマの企画を聞いて、すごく面白い作品なので「どうやったら何を一緒にできるかな」というところからスタートしました。

別所:素晴らしい。うちのディレクターも「必ず観てる」と言ってます。

村田:ありがとうございます! 私も脚本の初稿を読ませていただいたときから号泣して、本当にいい脚本だなと思いました。

別所:さらに6月11日からは、Netflixにてドラマ『喧嘩独学』が独占配信を開始し、現在30カ国以上でトップ10入りしています。プロデュースをされるなかで、「ここだ!」という部分はありますか?

村田:『喧嘩独学』に関しても、うちの社員プロデューサーが自分で企画を立ててNetflixさんに持ち込ませていただいたのですが、プロデューサーは「面白い」と思ったら、その企画を何年も守り続けて付き合っていくわけじゃないですか。その想いの強さが、いちばん大事なのかなとは感じています。

「喧嘩独学」予告編|Netflix

『喧嘩独学』は現在、Netflixにて配信中 。

『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のコーナー「RESONAC MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の8時35分ごろから。

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