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「ジャクソン5」ティト・ジャクソンのお葬式に招かれて─西寺郷太が明かす、楽曲『Away』の制作秘話

「ジャクソン5」ティト・ジャクソンのお葬式に招かれて─西寺郷太が明かす、楽曲『Away』の制作秘話

2月に『J-POP丸かじり』(ソウ・スウィート・パブリッシング)を刊行した西寺郷太が、同書やソロアルバム『HEARTBREAK』への想いを語った。

西寺が登場したのは、3月19日(水)放送のJ-WAVE『GRAND MARQUEE』(ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann<セレイナ・アン>)のコーナー「RADIO ENSEMBLE」。アーティストがスタジオに生出演し、トークとともにおすすめの楽曲をセレクトするコーナーだ。

レジェンドと若い世代を繋ぐ「橋渡し」

西寺の新刊『J-POP丸かじり』は、自身初のJ-POP考察&対談集だ。西寺が歌謡曲やJ-POPをテーマにあちこちで語ってきた数々の原稿や対談を集め、再編集したもの。約500ページという大ボリュームだ。

【本書で語られるアーティスト】

嵐/いしだあゆみ/宇多田ヒカル/EXILE/X JAPAN(X)/A.B.C-Z/大瀧詠一/OKAMOTO’S/オリジナル・ラヴ/吉川晃司/氣志團/King & Prince/KREVA/小林明子/米米CLUB/Suchmos/佐野元春/少年隊/Snow Man/SMAP/田原俊彦/CHAGE and ASKA/近田春夫/中島美嘉/長渕剛/Negicco/Vaundy/BUCK-TICK/BTS/PIZZICATO ONE /V6/BOØWY/松田聖子/モーニング娘。/ライムスター/ラストアイドル/RIP SLYME/LUNA SEA /レキシ/渡辺美里、ほか多数 !!!!

【対談に登場するアーティスト】

小西康陽/宇多丸(ライムスター)/戸塚祥太(A.B.C-Z)/ASKA/綾小路 翔(氣志團)/近田春夫/佐野元春

セレイナ:新著『J-POP丸かじり』について、私は思いのたけを郷太さんにお伝えしなければいけません。私のバックグラウンド的には、洋楽をわりと聴いて育ってきまして。大人になってからJ-POPというか、日本の音楽を少しずつ聴くようになったタイプです。この『J-POP丸かじり』で書かれている解説。言語化された楽曲たち。これまで知らなかったことにもたくさん出会えたし、これまで知っていたものがさらに解像度が上がりました。私のなかでJ-POPの教科書みたいな存在になりました!

西寺:いいこと言ってくれます(笑)。ありがたいです。

タカノ:本当にそうですよ。学校に各校1冊、置いたほうがいいと思う。

セレイナ:郷太さんの偏愛みたいなものも詰まっています。この角度がすごくクセになると言いますか。

西寺:筒美京平さんだったり、湯川れい子さん、船山基紀さんだったり、今日も、森 浩美さんという作家でSMAPの『ダイナマイト』『SHAKE』、田原俊彦の『抱きしめてTONIGHT』の作詞家の方と会ってお話して飲みます。世代的にちょうど僕は真ん中というか、アラフィフというか51歳なんです。若い人とも会話するし、年上のいわゆるレジェンドのような方とも話を聞かせてもらえる、真ん中にいる立場です。それを若い人たちにも伝えたいな、という役割みたいなものを感じて、いろいろな方の話を聞いています。僕も先輩の話を聞きたいというのもあるので、ちょうどそれを橋渡しというか、バトンをつないでいるみたいな感じがあって、この本をまとめました。

セレイナ:この1冊は私の同世代の子たちにもめちゃ読んでいただきたいです。

ティト・ジャクソンのお葬式に招かれて─オマージュを捧げるような楽曲を

西寺は4月16日(水)に4枚目のソロアルバム『HEARTBREAK』をリリースする。番組では、収録曲の『Away』を初オンエアすることに。同曲では作曲にSANABAGUN.の大樋祐大、英語歌詞にYouTubeチャンネル「Kevin's English Room」の掛山ケビ志郎(アーティスト名:magora)が関わっている。

セレイナ:ニューアルバム『HEARTBREAK』から『Away』をお送りしました。

タカノ:いいですね。夕方に合います。

西寺:ありがとうございます。

タカノ:ゆったりした感じがあるんですけど、ハイハットやベースラインが16分というか、あの感じもすごくいいなと。

西寺:祐大くんはキーボーディストなんですが、ベースもドラムもできるんです。お父さんがジャズドラマーで、ベースは打ち込みのベースと生のベースを両方とも彼が弾いています。だから、ちょっと不思議な音像になっているような気がします。

タカノ:アレンジもすごく面白いです。この曲ができた経緯や、制作のプロセスを教えてください。

西寺:もともと、このソロアルバムを作るとなったときに、ちょうどそのあたりでティト・ジャクソンさんという、ジャクソン5のメンバーでありジャクソンズのメンバーでもあった、マイケル・ジャクソンのお兄さんで、ずっとギタリストとしてメンバーにいた方がお亡くなりになったんです。

ジャクソン家と親交があった西寺は「タイミングが合ったらお葬式に来てほしい」という連絡を受けたそう。

西寺:悲しいんですけど、すごく光栄というか。(お葬式は)日程が決まっていなかったんです。「何カ月かのあいだにやります」みたいな。僕らもライブとかがあったので「もちろん、伺えるようでしたら伺います」と返事をしたら、たまたまその週にライブがなくて。1週間ぐらい前に「(お葬式が)ある」と言われて、ジャクソン家のお母さんのキャサリンさんやジャッキー、マーローンの兄弟の家に招いてもらい、お葬式に行きました。

タカノ:アメリカですか?

西寺:アメリカ、LAです。そのときにアルバムを制作中でした。ちょうど最初のソロアルバムもティトがギターで参加してくれたり、そういう時期だったのでジャクソンズにインスパイアされたというか。オマージュを捧げるような楽曲を若い世代と作りたいなと。それで祐大くんに「こういう曲があるんだ」と、僕が歌って聴かせたら彼がサウンドを作ってくれました。それで半分英語の歌詞にしたいなと思ったときにmagoraに「手伝ってくれる?」と言ったら「ぜひぜひ」ということで。ファイルのやり取りをして、彼の歌った発音なんかを聴きながら「これでいいかな?」みたいな感じで完成した曲が『Away』です。『HEARTBREAK』というタイトルも、すごく悲しいことだったので。思い出の場所にもう1回、2人で行った海とかにね。

西寺は『Away』について、ソロでこそ出せた想いがあったと明かした。

西寺:ティトはすごく車が好きな人で、乗せてもらったりして仲よくしていました。だからすごく悲しい思いと、またみんなに会わせてもらえたというところもあって。アルバムを作るときのベースにあった作品です。ノーナ・リーヴスのメンバー、奥田健介も小松シゲルもすごく仲よくやっているけれど、マイケルだったりジャクソンズだったり、ジャクソンファミリーに対する想いはソロでしか、そこまでは出せないので。

セレイナ:いまお話にあった、LAの海岸でジャケ写の撮影もされています。

西寺:サンタモニカで。前はティトの車で連れて行ってもらった場所でしたが、今回は自分でレンタカーを借りて、加藤慎也くんという仲間のカメラマンが「僕も行っていいですか?」と。いろいろ終わったあと、夕方にふたりで行って撮った写真です。

セレイナ:いまのお話を伺ってからお写真を拝見すると、また沁み方が変わってきます。

西寺:小学生のときから好きだったアーティストです。仲よくなれるとも思っていなかったですし、すごく心が動かされる旅でした。

ノーナ・リーヴスとソロの違い

ノーナ・リーヴスとしても活動する西寺は、バンドとソロ活動の違いについて語った。

タカノ:先ほど、ソロだからこそのいろいろな想い入れだったり、自分のやりたいことを詰め込めるといったお話がありました。そこはバンドと明確に分けていますか?

西寺:僕の場合は、バンドはありがたいことに、先ほど話していた小松と奥田、ギターとキーボードをやるんですが、作曲もしたりとかするメンバーなんです。僕から見るとふたりとも天才みたいな連中で。だから、生ドラムで小松さん以上の人はいないと思ってやっています。ソロのときはいま(『Away』)みたいな打ち込みだったり、自分でも打ち込んだりします。ドラムを誰かに叩いてもらうなら、小松シゲルがいいなと。バンドとの大きな違いは、生ドラムか打ち込みかというところが大きいです。

タカノ:サウンド的に明確ですね。

西寺:生演奏かどうか、というのはデカいですね。特にリズムはとり方からなにから、全部変わるので。ソロのときはどちらかというと打ち込みや、僕も自分で過去にドラムをやっていたので、自分で叩いたりとかして作っていることが多いです。

タカノ:ノーナ・リーヴスはすごくキャリアが長いじゃないですか。バンドメンバーとの関係性はどういう感じになっていくんですか? 友だちっぽい感じなのか、仕事仲間っぽい雰囲気なのか。

西寺:不思議なグループなんです。大学に入った初日に声をかけたのが、同じ学年の小松です。1年後に奥田が同じ音楽サークルに入ってきて。でも、あまり変わっていないというか、ずっと友だちのままというか。

タカノ:いいですね。

西寺:ただ、ふたりでどこかに行ったりはしないですよ、お互い。だけど、今回もツアーでTRICERATOPSの林 幸治くんと一緒に4人で行っても、全然、普通で。本当に音楽仲間というか(笑)。僕もこんなに長く続くとは思っていなかったんですけどね。だから、ソロもやりたいことをそれぞれみんな、奥田もレキシをやっていたり、小松も藤井 風さんと。

タカノ:まさにいま活躍中です。

西寺:いろいろなバンドを手伝いながら、自分は自分でやれることを、ということで今回ソロを作りました。

西寺郷太の最新情報は、公式Xまで。

アーティストがスタジオに生出演し、トークと音楽をお届けするコーナー「RADIO ENSEMBLE」は、月曜〜木曜の17時10分頃からオンエア。

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2025年3月26日28時59分まで

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月・火・水・木曜
16:00-18:50