haruka nakamuraが、音楽を担当した映画『ルックバック』への想いなどを語った。
nakamuraが番組へコメントを寄せたのは、12月10日(火)に放送されたJ-WAVE『GRAND MARQUEE』(ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann<セレイナ・アン>)。
nakamura:僕は故郷が青森で、帰省して幼なじみのバンド仲間がやっているカレー屋に行ったときに、藤本先生の『チェンソーマン』が全巻揃って置いてありました。そのとき僕はまだ読んだことがなくて、カレー屋の友だちに勧められて読み始めたら止まらなくなってしまって。あっという間に読み終えて「すごい作品だな」と思って、ほかの作品も読んでみようと思っていたらこの映画の音楽制作のお話がきました。それはその青森のカレー屋さんで『チェンソーマン』に出会ってから、まだ1週間ほどのことでした。『ルックバック』はとても強烈な印象で同じ創作者としても胸を打たれましたし、主人公たちに共感することもとても多かったです。読みながら漫画の中から音楽が聴こえてくるというか、同じ東北の北国の風景から主人公たちの情感、情景から音楽が聴こえてくるような漫画でした。まさに『ルックバック』は本当に、はっきりと聴こえてくるような物語でした。
この話を聞いた、タカノ&セレイナは……。
セレイナ:『チェンソーマン』を読んだ1週間後に『ルックバック』のお話がきたと。
タカノ:むちゃくちゃ運命的なタイミングですよね。でも本当にこの『ルックバック』が、漫画の中から音楽が聴こえてくるような物語だったと。北国の風景、というところでnakamuraさんのバックグラウンドともクロスオーバーする感じも印象的でした。
nakamura:今作はフィルムスコアリングといって映像に音楽を合わせていく制作方法だったので、出来上がっていくアニメーションに合わせて音を何度も修正したりテンポを合わせたりしながら作っていきました。最初はまだ絵コンテの状態で、押山(清高)監督からは「物語から受けたストレートな、素直なエモーショナルな部分を大切にしてほしい」というリクエストを受けていました。音楽も物語のテンポやリズムに合わせて並走していくような作り方で、今回、音楽制作として参加してくれた、僕のマネージャーも務めているone cushionの山口響子さんと二人三脚の共同作業で、とても細かくコンマ単位での修正を繰り返しました。確かに苦労しましたが、押山監督の画がどんどん完成に近づいていくたびに、想像を超えるようなものが返ってきて、やはり素晴らしい監督の作品に応えるためにとことん向き合って作りたいなと、静かに燃えながらキャッチボールをしていました。
nakamuraは監督とのやり取りや、作品を読んだことで生まれた曲についても語った。
nakamura:押山監督から言われていたことは、やはりエモーショナルなところなのですが、冒頭のシーンは漫画にはない映画のオリジナルなシーンだったので、そこについては細かくイメージを伝えてもらいました。空から降りてくるシーンで、映画の物語にうまく入っていけるような曲を話し合いながらイメージして作りました。原作を読んだときから藤野が雨の中でうれしくて踊り出してしまって、駆け抜けていくシーンというのは、音楽がやはり聴こえてきていて。サントラでは『Rainy Dance』という曲名になりましたが、あのシーンは漫画を読んでいたときから鳴っていた音が、そのままの純度で録音できたのではないかなと思っています。
タカノ:あのシーンを思い出すだけで泣けてきます。
セレイナ:いま『Rainy Dance』が(スタジオに)流れています。
タカノ:あそこは藤野が京本と会って、雨の中をスキップしながら帰っていくシーンです。ピアノや弦楽器のハーモニーみたいなのが重なりながら盛り上がっていき、そのあと藤野が部屋に着いて机にかじりつくシーンで音数が減っていって、一気に静かになっていくという。それがnakamuraさんの言っていたフィルムスコアリングという、映像に音楽を合わせていく手法で制作されたというのに納得感がありました。
nakamura:「光へと向かっていく希望のようなものを讃美歌的なアプローチで作っていただけないか」というお話を伺っていました。僕は音楽活動のなかで“光”というのをテーマとしてやってきました。それはもともとNujabesさんという自分の師匠のような方が亡くなったことがきっかけで『光』という曲が生まれて、それからずっと普遍的なテーマとして光というものを自分の真ん中に置いて作ってきました。その頃によくアンサンブルメンバーに聖歌隊も入ってもらい演奏していましたが、聖歌隊にいたuraraという子が今回メインボーカルで歌ってくれています。もともと僕が讃美歌が好きなのもありました。教会にもよく行くし、祈りの場の静寂というものがとても好きです。今回の主題歌では光や讃美歌的な音楽が求められていたので、監督とも話し合い、歌詞は特定の歌詞ではないものとして、祈りのおまじないのようなイメージで僕が仮歌を歌ったものをuraraが聴きとってくれて、歌ってもらいました。歌詞はありませんが、光のイメージをストレートに素直に呼び起こしたような感覚です。
番組では『Light song』をオンエアした。
nakamura:今作はセリフが少なくて、点描シーンというか、情景と風景と共に音楽があるシーンが多くて。そういう意味でも映像と音楽が1つになって表現している作品なのかなと思います。僕はアニメーション映画の音楽を作るのは初めてでしたが、その作品が『ルックバック』でありがたかったなと思っています。
タカノ:本当に感情を揺さぶるような、素晴らしい音楽ですよね。歌詞が特定のものがなかったというのがすごく驚きでした。
セレイナ:なにかしらの言葉かなと思って聴いていました。でもそれが祈りとかおまじないのような効果をもたらしていて、実在しない言葉で歌っていることが不思議だけど素敵です。
タカノ:また、nakamuraさんは師匠であるNujabesさんが亡くなって以降、光をテーマにされていたということです。いろいろと勝手に僕の中で点と点がつながって、すごく大きな絵になっているというか。まさに映像と音楽が作品として1つになっています。
セレイナ:相乗効果ですね。
タカノ:それぞれが寄り添っているような、そんな音楽、アニメでした。
haruka nakamuraの最新情報は、公式サイトまで。
東京カルチャーの「イマ」をギュッと凝縮した『GRAND MARQUEE』の放送は月曜〜木曜の16時から。
nakamuraが番組へコメントを寄せたのは、12月10日(火)に放送されたJ-WAVE『GRAND MARQUEE』(ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann<セレイナ・アン>)。
2024年12月17日28時頃まで再生可能
『チェンソーマン』を読んで…運命的なタイミング
映画『ルックバック』の音楽と主題歌を手掛けたnakamuraは青森県出身。2008年に1stアルバム『grace』でデビューし、Nujabesと共に音楽制作を行うなど、幅広く活躍。自身の作品に加え、ドラマ、映画、CMの音楽も数多く手掛けている。漫画家の藤本タツキが『ルックバック』の執筆中にnakamuraの音楽を聴いていたことがコラボレーションのきっかけになったというが、nakamuraにも藤本作品との運命的な出会いがあったという。nakamura:僕は故郷が青森で、帰省して幼なじみのバンド仲間がやっているカレー屋に行ったときに、藤本先生の『チェンソーマン』が全巻揃って置いてありました。そのとき僕はまだ読んだことがなくて、カレー屋の友だちに勧められて読み始めたら止まらなくなってしまって。あっという間に読み終えて「すごい作品だな」と思って、ほかの作品も読んでみようと思っていたらこの映画の音楽制作のお話がきました。それはその青森のカレー屋さんで『チェンソーマン』に出会ってから、まだ1週間ほどのことでした。『ルックバック』はとても強烈な印象で同じ創作者としても胸を打たれましたし、主人公たちに共感することもとても多かったです。読みながら漫画の中から音楽が聴こえてくるというか、同じ東北の北国の風景から主人公たちの情感、情景から音楽が聴こえてくるような漫画でした。まさに『ルックバック』は本当に、はっきりと聴こえてくるような物語でした。
この話を聞いた、タカノ&セレイナは……。
セレイナ:『チェンソーマン』を読んだ1週間後に『ルックバック』のお話がきたと。
タカノ:むちゃくちゃ運命的なタイミングですよね。でも本当にこの『ルックバック』が、漫画の中から音楽が聴こえてくるような物語だったと。北国の風景、というところでnakamuraさんのバックグラウンドともクロスオーバーする感じも印象的でした。
監督とのキャッチボールで生まれた楽曲たち
続いてnakamuraは映画『ルックバック』の音楽制作の過程について語った。nakamura:今作はフィルムスコアリングといって映像に音楽を合わせていく制作方法だったので、出来上がっていくアニメーションに合わせて音を何度も修正したりテンポを合わせたりしながら作っていきました。最初はまだ絵コンテの状態で、押山(清高)監督からは「物語から受けたストレートな、素直なエモーショナルな部分を大切にしてほしい」というリクエストを受けていました。音楽も物語のテンポやリズムに合わせて並走していくような作り方で、今回、音楽制作として参加してくれた、僕のマネージャーも務めているone cushionの山口響子さんと二人三脚の共同作業で、とても細かくコンマ単位での修正を繰り返しました。確かに苦労しましたが、押山監督の画がどんどん完成に近づいていくたびに、想像を超えるようなものが返ってきて、やはり素晴らしい監督の作品に応えるためにとことん向き合って作りたいなと、静かに燃えながらキャッチボールをしていました。
nakamuraは監督とのやり取りや、作品を読んだことで生まれた曲についても語った。
nakamura:押山監督から言われていたことは、やはりエモーショナルなところなのですが、冒頭のシーンは漫画にはない映画のオリジナルなシーンだったので、そこについては細かくイメージを伝えてもらいました。空から降りてくるシーンで、映画の物語にうまく入っていけるような曲を話し合いながらイメージして作りました。原作を読んだときから藤野が雨の中でうれしくて踊り出してしまって、駆け抜けていくシーンというのは、音楽がやはり聴こえてきていて。サントラでは『Rainy Dance』という曲名になりましたが、あのシーンは漫画を読んでいたときから鳴っていた音が、そのままの純度で録音できたのではないかなと思っています。
タカノ:あのシーンを思い出すだけで泣けてきます。
セレイナ:いま『Rainy Dance』が(スタジオに)流れています。
タカノ:あそこは藤野が京本と会って、雨の中をスキップしながら帰っていくシーンです。ピアノや弦楽器のハーモニーみたいなのが重なりながら盛り上がっていき、そのあと藤野が部屋に着いて机にかじりつくシーンで音数が減っていって、一気に静かになっていくという。それがnakamuraさんの言っていたフィルムスコアリングという、映像に音楽を合わせていく手法で制作されたというのに納得感がありました。
「光のイメージ」の背景にある、Nujabesのこと
最後にnakamuraは映画『ルックバック』の主題歌『Light song』への想いについて語った。nakamura:「光へと向かっていく希望のようなものを讃美歌的なアプローチで作っていただけないか」というお話を伺っていました。僕は音楽活動のなかで“光”というのをテーマとしてやってきました。それはもともとNujabesさんという自分の師匠のような方が亡くなったことがきっかけで『光』という曲が生まれて、それからずっと普遍的なテーマとして光というものを自分の真ん中に置いて作ってきました。その頃によくアンサンブルメンバーに聖歌隊も入ってもらい演奏していましたが、聖歌隊にいたuraraという子が今回メインボーカルで歌ってくれています。もともと僕が讃美歌が好きなのもありました。教会にもよく行くし、祈りの場の静寂というものがとても好きです。今回の主題歌では光や讃美歌的な音楽が求められていたので、監督とも話し合い、歌詞は特定の歌詞ではないものとして、祈りのおまじないのようなイメージで僕が仮歌を歌ったものをuraraが聴きとってくれて、歌ってもらいました。歌詞はありませんが、光のイメージをストレートに素直に呼び起こしたような感覚です。
番組では『Light song』をオンエアした。
nakamura:今作はセリフが少なくて、点描シーンというか、情景と風景と共に音楽があるシーンが多くて。そういう意味でも映像と音楽が1つになって表現している作品なのかなと思います。僕はアニメーション映画の音楽を作るのは初めてでしたが、その作品が『ルックバック』でありがたかったなと思っています。
タカノ:本当に感情を揺さぶるような、素晴らしい音楽ですよね。歌詞が特定のものがなかったというのがすごく驚きでした。
セレイナ:なにかしらの言葉かなと思って聴いていました。でもそれが祈りとかおまじないのような効果をもたらしていて、実在しない言葉で歌っていることが不思議だけど素敵です。
タカノ:また、nakamuraさんは師匠であるNujabesさんが亡くなって以降、光をテーマにされていたということです。いろいろと勝手に僕の中で点と点がつながって、すごく大きな絵になっているというか。まさに映像と音楽が作品として1つになっています。
セレイナ:相乗効果ですね。
タカノ:それぞれが寄り添っているような、そんな音楽、アニメでした。
haruka nakamuraの最新情報は、公式サイトまで。
東京カルチャーの「イマ」をギュッと凝縮した『GRAND MARQUEE』の放送は月曜〜木曜の16時から。
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2024年12月17日28時59分まで
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番組情報
- GRAND MARQUEE
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月・火・水・木曜16:00-18:50
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タカノシンヤ、Celeina Ann