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LiLiCo「この弱さは受け継いではいけない」 国際女性デーで個人賞を受賞、その強さが生まれた経験とは

LiLiCo「この弱さは受け継いではいけない」 国際女性デーで個人賞を受賞、その強さが生まれた経験とは

毎年3月8日は「国際女性デー」。女性の活躍や、勇気のある行動を称える日だ。日本でも『国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA 2024』と題して、キャンペーンやイベントが毎年実施されている。

その中でも注目のプログラム『国際女性デー表彰式|HAPPY WOMAN AWARD』は、女性のエンパワーメントおよびSDGs推進に貢献し、持続可能な社会づくりに向けた挑戦や活動を行い、今後も期待できる個人や企業を表彰するもの。2024年はタレント・LiLiCoが個人部門「HAPPY WOMAN賞」を受賞し、3月8日はウェスティンホテル東京での表彰式に登壇。当日はLiLiCo&稲葉 友がナビゲートするJ-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』を会場から生放送した。

なぜ、LiLiCoはパワフルでいられるのか? インタビュー前編では、ラジオへの想いや仕事への心構えを聞いた。後編では、彼女の“経験から生まれた強さ”に迫る。

【前編】LiLiCo、いまだに「あした仕事がなくなるかも」という緊張感をもって─長年続くラジオや仕事への心構えは?

「気持ちの面で問題提起することができたら」

──「HAPPY WOMAN賞」は、社会に貢献し、さらなる活躍が期待される女性に贈られる賞です。どんなお気持ちですか。

「国際女性デー」が広く知られるようになって、女性の活動にスポットが当たるのはとても嬉しいことです。ただし、男性も女性も、それぞれにできることとできないことがありますよね。女性は子どもを産めるけれど、そのためには男性が絶対に必要なわけですから、男女平等でなければいけないのは当然です。法律の面でも教育の面でも日本は遅れていると思う部分があるけれど、私はこの国にお邪魔している立場。日本人は日本人ならではの文化とやり方があるのだろうと理解しています。私が何かしたことで法律が変わるわけではありませんが、気持ちの面で問題提起することができたらと思います。

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授賞式の様子/写真提供:HAPPY WOMAN実行委員会

“か弱さ”を受け継がない─そう思った母の姿

──そのようなガッツは、どこから湧き出てくるのでしょうか?

両親からの影響も大きいですね。私の母は日本人の機械設計士。当時の日本の会社は、どんなにいい大学を出ても男たちのためにお茶くみをしなければならないような環境で、それが嫌でスウェーデンに来たと言っていました。かといって、スウェーデンも男女平等ではないわけで、しかも母は外国人。仕事をするうえで、うまくいかないことも多かったと思います。その影響もあってか、小さい頃の私は母に似てネガティブ。生きていても楽しくありませんでした。

でも、どんどん小さくなっていく母を見て、子どもながらに「なんてか弱いのだろうか」と思って、この弱さは受け継いではいけないと考えるようになりました。母は亡くなるまで私に対して接し方の厳しい人でしたが、今では母が生まれた時代と当時の状況が母をそのようにさせたのだろうと理解しています。人は失敗からしか物事を学びません。成功している人の背中を見て憧れるよりも、失敗した人の背中を見て「どうしてそうなったのだろうか?」と反面教師にして考える方が得るものが多い。私が女性にパワーを与えたり、声を発する勇気を与えたりしたいと思うようになったのは、そんな母の人生も影響している部分があります。

「私をいじめていた人は今、何をしているのか?」

──LiLiCoさんは女性の働きづらさを感じることはありますか?

「出る杭は打たれる」という言葉があるように、私もけっこう打たれた時期はありました。喋らないと喋らないで文句を言われるし、いざ喋るとトゥーマッチだと言われるし。じゃあどうしたらいいのよ!?と。若い頃は男たちからなんだかんだと悪口を言われたけれど、そんなときは「おまえら、いつか見てろよ」で乗り越えてきました(笑)。

スウェーデン時代は日本にルーツを持つことが珍しいこともあって、いじめを受けていました。でも大人になった今では、日本でバリバリと仕事をこなし、好きな人と一緒にいる。それで、大きな……いや、そんなに大きくはないけれど(笑)、自分が住みたいと思う家にも住めている。では、私をいじめていた人は今何をしているのか? その人は同窓会に来ていなかったんです。参加費すら払えなかった。なるほどね、と。そこで答えが出ました。人に嫌なことをすると自分に返ってくるんだと。

──“人に嫌なことをする”と言うと、近年はネットにおける誹謗中傷も問題になっています。LiLiCoさんは、エゴサーチをされたりしますか?

怖いですよね。以前はお酒に酔っぱらって気持ちが大きくなるとエゴサしがちでしたが、今は一切しなくなりました。私のことを何も知らないような人たちがあることないことを書き込んでいたとして、それを読んで落ち込むなんて意味がないと思って。書き込んでいる人たちから仕事をもらえるわけでもないわけですから。エゴサしている暇があるなら、その時間を大好きな仕事に割いて大好きな人たちを大切にする時間にしたほうがいいと今は思っています。

「あえてCDを買わない」ほど好きな楽曲

──J-WAVEは音楽に力を入れるラジオ局ということで、LiLiCoさんの気持ちを上げてくれる曲を教えてください。

MONKEY MAJIKの『Open Happiness』。疲れて落ち込んでいたときにCMソングとして流れたのを耳にした瞬間に、なんていい歌詞なのかと。メロディーラインも好き。Open Happinessとはつまり、自分が持っているもの。何を楽しいと思うのか、それは自分の幸せ度合いによるわけです。結局のところHappinessは自分の中にしかない。そう思わされる素敵な一曲です。私は海外の曲を聴くことが多いですが、『Open Happiness』は特別な曲です。アップテンポの曲もいいけれどクール&ザ・ギャングのバラード『Cherish』も最高。この曲は好きすぎるがゆえにレコードやCDは買いません。ラジオや街を歩いているときにふっと聴こえてくる、そんな瞬間を待っているからです。

──2024年の抱負を教えてください。

仕事柄、年明けは仕事にゆとりがあるんです。それは単に制作サイドのスケジュールの組み方の問題なんですけど、浮き沈みの激しい業界なので、「私、売れなくなったのかも……」と不安になってしまうこともありました。でも、今年は昨年末の段階で2月まで仕事の予定が入って来ていたので、「幸先が良いぞ」と思っています。

活動も日本だけじゃなく、母国であるスウェーデンの番組にも出演したんです。昨年、松崎しげるさんと『これを愛と呼ぶのか?』というデュエット曲をリリースしたんですけど、この曲はスウェーデンの国民的歌手であるラッセ・ホルムさんとモニカ・トーネルさんの楽曲『E’ de’ det här du kallar kärlek』のカバーなんです。これが向こうでも話題になって、スウェーデンの朝の人気情報番組に呼んでいただきました。リモート出演だったんですけど、『ALL GOOD FRIDAY』のおかげで生放送のコメントにも慣れていたから時間ピッタリに終わらせることができて、「帰国の際にはスタジオ出演してほしい」という連絡もいただきました。今年はスウェーデンで活躍する私の姿を父に見せるのもいいのかなと……。2024年も映画という軸を大切にしながら、休みなしでバリバリ仕事を続けていきたいです。

LiLiCo&稲葉 友とナビゲートする、J-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』は毎週金曜11:30-16:00にオンエア。 (取材・文=石井隼人)

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