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LiLiCo、いまだに「あした仕事がなくなるかも」という緊張感をもって─長年続くラジオや仕事への心構えは?

LiLiCo、いまだに「あした仕事がなくなるかも」という緊張感をもって─長年続くラジオや仕事への心構えは?

今年で放送8周年目に突入する、J-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』(毎週金曜11:30-16:00)。4時間半の生放送を俳優の稲葉 友と共にナビゲーターとしてハイテンションで駆け抜けるのが、タレントのLiLiCoだ。街中や仕事場で本番組の広がりを実感するというLiLiCoが、ナビゲーターとしての心構えや「けっこうなマイナス思考」という自らの意外な素顔を語る。

番組恒例の挨拶は、ラジオ局以外でも

──『ALL GOOD FRIDAY』が今年で放送8年目に突入します。

ちょっと前だったら「(王様の)ブランチ観てます!」と声をかけられることが多かったけれど、今では「Hej! Hej!」と声をかけられることが増えてきました。番組で私が必ず言うこの挨拶は、放送開始にあたっての打ち合わせの際に提案させてもらったもので、「Hej」とはスウェーデン語で「こんにちは!」という意味です。スウェーデン語は難しいので、みんなが簡単に言えるような挨拶はないかと思いついたのが「Hej」。「Hej! Hej!」にしたのは響き的にも日本人に馴染みやすいだろうし、かわいらしいと思ったからです。一般の方のみならず、俳優さんやスタッフさんから「Hej! Hej!」と声をかけられたときは、一回目の放送から続けてきてよかったと思いました。

──業界関係者の支持率も高いようですね。

他のラジオ局で番組をやっている方が「実は帰りの車中で『ALL GOOD FRIDAY』を聞いています!」と教えてくれたり、木梨憲武さんがTBSラジオ『土曜朝6時 木梨の会。』で「Hej! Hej!」と言ってくれたり。ミュージシャンの方から「番組に出させてください!」と直訴されたこともあります。結局のところ、世界は人と人の繋がりなわけですから、放送局の垣根を超えたコラボができたら嬉しいですよね。

「顔を知らない関係者」にも思いやりをもって

──第1回目の放送は2016年10月7日ですが、当時の心境は覚えていますか?

第1回目の放送は緊張したのでよく覚えています。生放送はテレビで慣れていたものの、稲葉友くんとどのような化学反応が起こって、電波に乗ったときにどのようにリスナーのみなさんに受け取ってもらえるのか不安がありました。ラジオではリアルタイムで送られてくるメールに目を通しながら喋るという技術が求められますが、私は2つのことを同時にすることができない(笑)。知り合いから「普段のLiLiCoの方がおもしろかった」と言われたらどうしようとか、ネガティブな想像をしていました。この緊張感は番組開始から8年経った現在でも持ち続けています。

──放送開始当初からの変わらぬ心構えはありますか?

番組が開始して「そして私のパートナーはこの方!」と言うまでは絶対に噛んではいけないと思っています。そこでずっこけたら放送終了までずっこけちゃう気がします。番組を支えてくださるスポンサーのコーナーも同じで、ありがたいことに“うち”は提供が多いんです。そこには私が顔を知らない営業の方々など関係者の努力もあるわけで、だからこそ丁寧にやらないといけないと思っています。

あとは、知らない日本語には手を出さないという意識も生放送ならではかもしれません。もしそれが放送禁止用語だったら大変! 以前、「これはエグイ下ネタかも……」と警戒していた言葉が、ただの相撲の技の名前だったということもありました(笑)。

相棒・稲葉 友からは「学ぶことも多い」

──『ALL GOOD FRIDAY』での相棒、稲葉 友さんとも息ぴったりですね。

稲葉くんのことは一回目の放送から超うまい人だと思っていましたが、歳を重ねる中でボキャブラリーもどんどん豊富になっていて、私と違って食レポもお見事。あの年齢であそこまで頭の回転が速いナビゲーターはいないと思います。しかもイケメン! 稲葉くんに会って、今の日本の若者も捨てたもんじゃないと思わされるくらい、たくさんの気づきをいただきました。22歳年下ではありますが、稲葉くんから学ぶことも多いし、稲葉くんも私のことを第二の母のように思ってくれているように感じます。放送1年が経過したとき、稲葉くんに「親友が一人増えた気持ち」と伝えたら、感動して泣きそうになっていました。8年という短くない時間を共に過ごして、稲葉くんとの信頼以上のものを得ることができたのは『ALL GOOD FRIDAY』のおかげです。

【関連記事】稲葉友にとってLiLiCoは「親友」週イチのラジオが“帰る場所”として息抜きに

──LiLiCoさんのお話からは、番組に対する愛が感じられます。

ついつい『ALL GOOD FRIDAY』のことを“うち”と表現してしまいますが、それは稲葉くん、スタッフ、そしてリスナーのみんなを含めてファミリーだと思っているからです。みなさんから届くメールに対して共感したり、考えさせられたりして、私自身が「素の私」というものを出せる場所がここなんだと思います。

LiLiCoの「ポジティブさ」はどこから生まれる?

──リスナーからは、番組について「元気がもらえる!」という感想も多いです。LiLiCoさんのトークは明るさの中に繊細さや心配りもあり、そこが聞いていると元気になるポイントなのではと感じています。ご自身の元気の源はなんでしょうか? 

このキャラクター性からどんなインタビューでも必ず聞かれるのが、元気の秘訣(笑)。でも実は私はけっこうなマイナス思考で「間違えちゃダメ」「みんな私のことが嫌いだ」と常に思っています。でも、それがうまくいったりすると「あら、楽しい~!」になる。ネガティブなぶんだけポジティブの幅も大きいんですけど、だからこそ表面的な明るさではない。単にテンションが高いみたいな、とってつけたようなポジティブではないんです。だから心に響くと言ってくださる方が多いのかな。結局のところ幸せとは自分の中にあるわけですから、朝目覚めることができたということに対して感謝を込める日々を送れば、おのずと明るくいい人生になるのではないかと思います。

──マイナス思考という素顔には驚きです。

ちなみにスウェーデンにいる家族の中では、私が一番静かなんです。とにかくお父さんと弟がお喋りで、普通だったら久々に帰国した私の話を聞けばいいものを、二人で電車の旅に行った話をずっと聞かせてくる。言葉を挟む隙もないので、私はその話を聞く一方(笑)。同窓会に行っても誰も覚えていないくらい昔の私は存在感が薄くて、苗字を言っても「誰だっけ?」となるはずです。私自身が日本で活躍するLiLiCoにビックリしています。疲れて帰って来たときにテレビをつけたらたまたま私が出ていて、テレビの中の自分から元気をもらうなんてこともあります。「この人、元気でおもしろいわ~。あ、私かいな!」みたいな(笑)。

──(笑)。本来の人間性が謙虚なんでしょうね。

「私は芸能人です! すごいでしょ!」と調子に乗ったこともなくて、いまだに「あした仕事がなくなるかも」と思いながら生きていますから。生放送の場で放送禁止用語を言ってしまったら、そこですべて終わり。それが本当に怖い。芸能人に限らず、どちらかだと思います。お金をたくさん稼いで「すごいだろ?」系の人と、どんなに偉くなろうとも「いやいや、私なんて……」系の人。「自分はおもしろいし、出演するだけでOKだろ」なんて態度で仕事に臨む人はすぐ消えると、芸能界で過ごしてきて感じます。

──今後、J-WAVEで挑戦したいことはありますか?

深夜の番組をやってみたいです。昼間はいつもの元気なLiLiCoですが、深夜ではまだ誰にも見せていないしっとりとした私、すなわち“しっとLiLiCo”としてジャズを流す番組を深夜2時くらいにやってみたい。15分、いや10分でもいい……自分でお金を出して枠を買っちゃおうかしら(笑)。自宅で食事する際はジャズをBGMにするくらい好きなので、いつか叶えてみたいです。

【後編】LiLiCo「この弱さは受け継いではいけない」 国際女性デーで個人賞を受賞、その強さが生まれた経験とは

LiLiCo&稲葉 友がナビゲートする『ALL GOOD FRIDAY』公式サイトはコチラ

(取材・文=石井隼人)

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