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菊地凛子、代表作『バベル』出演時に監督からもらった坂本龍一のCDとは?

菊地凛子、代表作『バベル』出演時に監督からもらった坂本龍一のCDとは?

J-WAVEでは2024年の毎週末、ラジオ番組『LA LANTERNE D'HERMÈS』をオンエアしている。

この番組は、エルメスの年間プロジェクト「ランタンエルメス」をラジオやPodcastなど通じて盛り上げるためにスタートした。「ランタンエルメス」は、エルメスの年間テーマである「フォーブルの魂」のスピリットを受け継ぐ銀座メゾンエルメスがメディアとなり、毎月のテーマに沿った新鮮なプログラムを展開している。

2月には、銀座メゾンエルメスで公開収録も実施。2月のテーマは「JUKEBOX」で、銀座メゾンエルメスに特製のジュークボックスも展示された。 ここでは、ゲストに菊地凛子が登場したパートをテキストで公開する。ナビゲーターはクリス智子。

・ポッドキャストページ

菊地凛子が見た、エルメスの職人の凄さ

エルメスの年間テーマ「フォーブルの魂」は、パリ、フォーブル=サントノーレ24番地にあるエルメス第1号店に由来している。

そのスピリットを受け継ぐ銀座メゾンエルメスは、エルメスが日本の顧客を迎えるべく2001年に竣工された。ランタンの灯りのようなガラスブロックを使った設計は、建築家のレンゾ・ピアノが手がけている。クリス智子は菊地に、ジュークボックスが入った銀座メゾンエルメスの感想について聞いた。

菊地:銀座メゾンエルメスには、よくプライベートでも来ているんですが、ジュークボックスも何度か見る機会がありました。今日もこうして置いてありますが、改めてすごく素敵だなと思います。大好きな空間です。エルメスの職人さんが手塩にかけて作ったものを見るだけで、日頃の疲れが取れるというか、血の通った素敵な作品は美しくてキラキラ輝くのだと、訪れるたびに実感します。

LPレコードを聴くためのジュークボックスは、センサーがついている箇所をタッチするだけで反応し、まるでスマホのように稼働する。エルメスの特別な工房「エルメス オリゾン」で、エルメスならではの技術を駆使して制作されたものだ。ボディの下の方は黄色いガラスが装飾されているが、これはイタリア・ベネチアのムラーノ島で作られた。菊地は過去「エルメス オリゾン」に訪れたことがあるという。

菊地:コレクションアイテムを一つひとつ手作りする工房では、お客様から受けたオーダーを職人さんが一生懸命手作業していらっしゃいました。そんな中で、職人さんたちは、イヤホンで音楽を聴いて、ものすごく集中していました。その様子を見ることができたのは、非常に光栄でしたし、音楽と職人さんが繋がっていることを実感した瞬間でもありました。

自分が理想とするものをオーダーして、それが形になるって夢のような体験ですよね。職人さんたちは、世界にひとつだけのものを作ってくれるわけで。製作者の方もすごくいきいきとしているというか、先で待っているお客様がどんな風に喜んでくれるのか、きっと考えているのだろうと思います。そんな中で、職人のプライドというか、凛としたようも見ることができたのは、同じように物作りをする俳優として、胸にグッとくるものがありました。

音楽の力でシーンの意味合いが違ったものになる

イベントの中では菊地が選んだ楽曲をジュークボックスで流す一幕もあった。

菊地:俳優としてのキャリアをこじ開けてもらった、2006年公開の映画『バベル(Babel)』という海外作品があるんですけど、監督のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは、DJもされている方で、音楽にも詳しいんです。そんな中で、役をいただいたときに、12曲ほど収録された、CDをもらいました。その中の1曲が、実際に映画でも使用された坂本龍一さんの『美貌の青空(Bibo no Aozora)』でした。

「この曲は、君の役(綿谷千恵子)に合った曲だから、よく聴いておくように」と言われました。耳から伝わってくる世界の中に、自らが入っていくような体験をさせてもらいながら、役のイメージを固めていきました。映画が完成すると、『美貌の青空(Bibo no Aozora)』も作品の中で、すごく印象的な役割を果たしていました。

現場入りする前に映画監督から、役のイメージに合う音楽を渡された経験は、ほかにあるのだろうか?

菊地:なかなかないですね。ああいった体験は初めてです。アレハンドロ監督が音楽に詳しい方でしたし、日本にいらっしゃったときに「この曲が素敵で」などと話をしたので、渡してくださったんだと思います。(会場に実際、『美貌の青空(Bibo no Aozora)』が流れたのを聴いて)重厚感とアナログならでは音の響き方がとても素敵ですね。

坂本龍一の映画音楽は「原点」

2023年3月28日に、71歳でこの世を去った坂本龍一さん。YMOをはじめとしたポップミュージックでの活動に加え、数々の映画音楽を手掛けるなど、幅広い音楽性で、多くのファンを魅了した。菊地は、坂本さんの作り出す映画音楽が「自分としての原点」と語る。

菊地:「音楽って、こんな風に成り立っているんだ」と気づかせてくれたのが、映画音楽なんです。その中でも『戦場のメリークリスマス』は印象に残っています。ほかにも坂本さんが作られた曲の数々はグッとくるものばかりで、イヤホンで聴いているだけでも、ひとりの世界に没入できるような不思議な感覚に陥ります。坂本さんの映画音楽は自分としての原点ですね。

完成した映画を観て、音楽と映像の掛け合わせに驚いた経験はあるのだろうか?

菊地:このシーンにはこういう音楽が掛かるんだろうなと自分でなんとなく想像したりはするんですけど、全く違う曲が流れたりすることもあります。シーンの意味合いが違ったものになるというのも、音楽が持つ力だなと感じますね。

「ランタンエルメス」という名前にちなみ「灯り・光」を連想させる楽曲について菊地に聞いた。選んだのはペトロールズの『雨』だった。

菊地:『雨』という楽曲タイトルではあるんですけど、ワクワクするような曲調で、大好きな人に会いに行ったりとか、そういうときによく聴いていた曲です。長い道のりを走る電車の中で、これを聴いていると、胸がキュンとするというか、どこか甘い気持ちにさせてくれる曲です。

菊地は現在放送中のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』で茨田りつ子役を務めている。“ブルースの女王”を演じ、劇中で歌った『別れのブルース』も配信リリースされた。

菊地:演じるのが大変です(笑)。もともとモデルが淡谷のり子さんなので、歌唱力は到底足元に及ばないことは理解しているんですけど、少しでも淡谷さんに怒られないように(笑)、真摯に歌と向き合って、頑張りました。

歌うということは、演技をすることとまた違う世界なんですけど、改めて、歌は人の心をグッと動かすものだと感じました。耳から入ってきたものに、衝撃を受けて、その日、一日頑張れるようなこともありますし、役を演じていて、音楽の力はすごいと、改めて感じました。

J-WAVEが手がけるエルメスの番組『LA LANTERNE D'HERMÈS』は、毎週土曜と日曜の16:58、17:58にオンエア。また、「ランタンエルメス」特設サイト(←https://lanterne.hermes.com/)では、そのほかのコンテンツも展開中だ。3月は「JUMPING」をテーマにお届けしている。

(構成=中山洋平)

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番組情報
LA LANTERNE D'HERMÈS
毎週土曜・日曜
16:58-、17:58-