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活動終了のCHAI、“NEOかわいい”という言葉に「メンバーも全員救われた」 今の心境をマナが語る

活動終了のCHAI、“NEOかわいい”という言葉に「メンバーも全員救われた」 今の心境をマナが語る

CHAIが、3月12日をもってバンド活動終了した。J-WAVE『SONAR MUSIC』では、「NEOかわいい」を大切に音楽シーンを駆け抜けた彼女たちを特集。結成当初からCHAIを取材するライターの小田部 仁さんが、あらためて魅力を語った。またメンバーのマナも電話で登場。現在の心境を語った。

CHAIを特集したのは、活動終了の1日前である3月11日(月)に放送されたJ-WAVE『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。

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再生は3月18日(月)28時ごろまで

CHAIは、最初から世界を見据えていた

2012年に結成したCHAIは、2017年にメジャーデビューを果たす。メンバーはカナ(Vo./Gt.、)マナ(Vo./Key.)、ユウキ(Ba./Cho.)、ユナ(Dr./Cho.)の4人。

小田部さんから見たCHAIは、2010年代中盤くらいから登場した東京のインディーロックや、脈々と受け継がれた東京の音楽シーンとは違うところを見据えている印象があったという。

小田部:だから、仲の良い人たちはいっぱいいたと思うんですけど、音楽的に同じようなビジョンを持っていた人たちは、あんまりいなかったんじゃないかなと思っています。しかも、2017年に早速(アメリカで開催される大型フェス)「SXSW」とかに出てるんですよ。アメリカツアーも実施してるから、最初から世界を見据えていたんだなって思います。

【2018年の記事】CHAIも出演! 世界最大級の「SXSW」ってどんなフェス?

当時、元Yogee New Wavesの粕谷哲司に「今、いちばんカッコいいバンドはもしかしたらCHAIかも。『N.E.O.』って曲が本当にカッコいい」とおすすめされ、聴いてみたら「めちゃくちゃカッコよかった」と驚いたという。

小田部:グルーヴも力強いし、楽曲のポップネスもすごいし、ミュージックビデオもすごいし。

あっこゴリラ:かわいいし、キャッチーさに最初は目を引かれるんだけど、それでなめてかかったらやられるって感じで、「なんだこのグループ!」みたいな。

小田部:しかもメッセージが力強くて。当時CHAIは、あんまりフェミニズム的なメッセージがあるバンドだとは自分たちでは言っていなかったんですけど、これは完全にガールパワーだとか、セルフラブとかボディポジティブとか、当時の日本ではあまり聞くことがなかった概念とか捉え方を歌ってるエンパワーソングだと感じて、「こんなことできるバンドがいるんだ」と興奮しました。

「NEOかわいい」というキラーフレーズ

小田部さんはCHAIの「メッセージの力強さ」についてさらに言及する。

小田部:「他者を愛するためにはまず自分を愛することが大事なんだよ」という、今を生きる上で本当に大切なテーマを「NEOかわいい」というキラーフレーズに言い換えて、自分たちの表現に昇華していた。そういうことができてたバンドって、いまだにCHAIしかいないんじゃないかなって思いますね。

あっこゴリラ:CHAIフォロワー的なバンドが出てきてるから、これからもっと増えると思う。

小田部:彼女たちが出てきたことによって、「こういうことを歌っていいんだな」「これ歌になるんだ」って(気づいた)子たちがいっぱいいると思います。

あっこゴリラ:あと、音楽的な部分でも、いわゆる日本におけるロックバンドとは違いましたよね。

小田部:全然違いましたよね。湿り気がゼロで、カラッカラに渇いてる。デビュー当初はインスピレーション面は(フランスのエレクトロニックデュオ)ジャスティスとアイドル音楽って言ってて、それくらいだったんですけど、どんどん海外の音楽を吸収していくようになって、『PINK』以降のアルバムは、海外のインディーミュージックシーンとリンクするような音になっていきました。

あっこゴリラ:確かに。

小田部:しかもバンドサウンドすら手放して、プロデューサーとかいろんなトラックメーカーと作りだして、超カッコよくなりましたね。

CHAIはメンバー構成のバランスもパーフェクトだったと絶賛。「マナ、カナはフロントパーソンとしてパーフェクトで、世界を見渡してもあんな双子はいない」と語り、続けて「そこにユウキちゃんとユナちゃんもいて、めちゃいいバランス」と、あっこゴリラと盛り上がった。

あっこゴリラ:CHAIはSUPERORGANISMとも仲良いんだよね。

小田部:僕はボーカリストのオロノと友だちで、彼女に「日本のおもしろいバンドいない?」って訊かれてCHAIを紹介したことがきっかけで、CHAIとSUPERORGANISMがツアーをすることになったんですよね。

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あっこゴリラ:そのツアーを見ててどうでした?

小田部:ライブの盛り上がりが凄まじすぎて。みんなSUPERORGANISMを観に来てるんですけど、CHAIの音が出た瞬間に出音の太さと厚みがスゴすぎて、現地でもめちゃくちゃ盛り上がってました。

ここで、小田部さんが思い入れのあるCHAIの1曲として『アイム・ミー』をオンエアした。

CHAI・マナが語る、いちばんの思い出

番組後半には電話でマナが登場。放送翌日に活動終了する今の心境を訊かれると「4人は明るい未来に向かっていく気持ちなので、すごいワクワクと悲しさが同じくらいの感じ」とマナは答えた。

あっこゴリラ:あらためて、マナの口から活動終了への思いを聞きたい。

マナ:詳しい内容とかそれぞれのメンバーの思いはライブ後に言おうということで、CHAIとしては「NEOかわいいをフォーエバー(=かいさん)」しますって言っときます。

あっこゴリラ: NEOかわいいはフォーエバーだよね。バンド活動は終われど、作品はいっぱい残ってるから。

マナ:そうなの。

あっこゴリラ:マナ的にCHAI時代の今思ういちばんの思い出は?

マナ:最初、東京に上京したときに4人で暮らしてて。2DKに。あの時代がいちばん思い出深いかな。すごい狭い4.5畳のリビングに狭い机にIKEAで買ったボロボロのイスで、4人でご飯食べてて。それがいちばんの思い出だね。

【2018年の記事】CHAIが暮らす家にある「おいしいもの」とは?

あっこゴリラ:いい話。積み重ねてるんだよ。

マナ:みんなそうだよ(笑)。

これまで『SONAR MUSIC』に多く出演してきたCHAI。4人をよく知るあっこゴリラは「このタイミングで解散ってもったいないって思うけど、それを選択するところもすごく素直で本音なんだろうな」と感じたという。

マナ:基本的にうそをついて何かやるって4人とも無理なタイプだから、もちろん誰かが言い出したきっかけでこうなったんだけど、それもやっぱり本音だったし、すごい4人で助け合ってきたからこその感覚だったから、本当に本音。

次はみんなを愛すことをいちばんにしたい

マナはこれまでの活動を振り返り、「最初はNEOかわいいって何ってところから始まって、途中CHAIが広まったときにNEOかわいいって言葉だけをみんな知っていてCHAIを知らない人もけっこういた」と明かす。

【2018年の記事】“NEOかわいい”ブームの予感!オンナバンド・CHAIが圧巻のステージ

マナ:その後に、みんながNEOかわいいを理解してくれて。実はそこにルールがあるんじゃないかとか、そういう風に思ってた方もいたみたいで。でも今はライブでお客さんからNEOかわいいって言ってくれるようになったので、広まったって思った。最初は全然普通じゃなかったから。なんでそんなに自虐するんだって言われてた。

あっこゴリラ:逆にね。

マナ:目が小さいとか鼻が低いとか歌詞に入ってるから。でも実際にそうで、それが歌いたかったから音楽をやってるし。だけどそれが今は普通になってるからうれしい。

小田部:それが広まってきた今、CHAIは今後どういうことが生きて行く上で大切になると考えてますか?

マナ:NEOかわいいの中にはいろんな思いとか気持ちとかがあって、それを付けたんだけど、今となってはこの言葉が家族みたいな感じだから、この言葉があったおかげで私自身も救われたしCHAIのメンバーも全員救われたし、だから次はみんなを愛すことをいちばんにしたい。セルフラブもすごく大事だけど、それよりもみんなを思って愛したいって思うようになりました。

最後にマナのセレクトで『N.E.O.』をオンエアした。



J-WAVE『SONAR MUSIC』は、月~木の22:00-24:00にオンエア。

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