音楽プロデューサー・Yaffleと亀田誠治が、「2007年のロンドン」をテーマに音楽談議を展開した。
Yaffleが登場したのはJ-WAVEで放送中の『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』(ナビゲーター:亀田誠治)。その時代、その場所で、どんな音楽を聴きたいか──時代を越えて、国境を越えて、ナビゲーターの亀田誠治が旅好き・音楽好きのゲストと共に音楽談議を繰り広げる、空想型ドライブプログラムだ。ここでは2月19日(日)にオンエアした内容をテキストで紹介する。
Yaffleニューアルバム『After the chaos』を2月17日にリリースした。
Yaffle:ちょうどこのころのUKロックは、あとから調べたらガレージロックリバイバルムーブメントだったっていうことで。リアルタイムのときは、そんなに「ムーブメント」だとは思ってなかったんですけど、めちゃくちゃシンプルなコードで、原点回帰というか、初期衝動的な4ピースとか3ピースとかがうわっと出たときで。その手前はポップパンクとか、アメリカのちゃんといろいろ音を入れて敷き詰めている音楽が流行っていて。たぶん2000年頭くらいから、その逆張りとしてすごくシンプルなやつが出てきたときに、僕は初めて洋楽に出会いました。初めはぐわっとそういうのを聴きだして、自分でああだこうだ考えていて、それがどういう土地とご時世柄で生まれたのかがすごく気になるなと思いました。
Yaffleは空想ドライブミュージックの1曲目にThe Strokesの『Hard To Explain』をセレクトした。
亀田:ギターの音の素晴らしさよ。シビれるね。
Yaffle:どうやったらこうなるんですかね(笑)。あえてめちゃくちゃチープっぽくしてるじゃないですか。でもそれをやろうとすると本当にチープになっちゃいますよね。
亀田:これマネしてこの音を狙おうとすると本当に残念になるよね(笑)。
Yaffle:デビューのときにThe Strokesってめちゃくちゃあおられてたのかな。
亀田:登場感もすごかったし、この曲って2001年のデビューアルバム(『Is This It』)からのシングルカットですよね。そもそも2007年ってYaffleさんはいくつだったんですか。
Yaffle:15、16歳とかで、高校入ったくらいですね。
亀田:それはこの音楽はシビれるかもしれないですね。
Yaffle:インパクトがありましたね。
亀田:実際The Strokesはどこで出会ったんですか。
Yaffle:もともとColdplayが『X&Y』ってアルバムを出した後に来日公演を組んでいて、深夜にテレビを付けてたら来日公演ですごくCMを打っていて。それでPVとかが流れながらナレーションベースみたいなので「今世紀最高のバンドが来日」ってずっと言ってて、まだ2005、2006年くらいだったから「もう今世紀最高が出ちゃったんだ」と思いつつその売り文句が気になって(笑)。母親もLed ZeppelinとかQUEENとか世代だったので。
亀田:なるほど。
Yaffle:わりとUSよりUKの音楽が好きだった母親だったので、結構喜んじゃって。いろいろイギリスの音楽を教えられながら、リアルタイムの音楽でどんなのがはやっているんだろうとか軽音楽部の友だちとかに訊いて、今はこういうバンドが熱いって情報交換をしながら、そういう音楽に触れていったって感じですね。
亀田:Franz Ferdinandはライブもセクシーでしたしね。ライブは観たことあります?
Yaffle:あります。名古屋まで行って観ましたね。お客さんがみんなマッチョでしたね(笑)。帰り道、俺フットボールしに行ったのかなって思いました(笑)。この編成もシンプルですよね。
亀田:ちなみにロンドンには行ったことがありますか。
Yaffle:何度かあります。仕事とかプライベートでも。
亀田:ここでライブ観たとかありますか。
Yaffle:ロンドンから離れちゃうんですけど、ポーツマスでThe Flaming Lipsとかが出てた中規模くらいのフェスに行ってすごく面白かったですね。
亀田:現地で観るライブって本当にシビれるものがありますよね。
Yaffle:雰囲気に飲まれちゃって。
亀田:僕はロンドンのウェンブリースタジアムでColdplayを観ましたね。10万人くらい入る会場で、コロナ前でとにかく歓声がすごくて、みんながシングアロングして。ウェンブリースタジアムってちょっと不便で地下鉄しか行けないんだけど、帰りとか駅で並ぶわけ。パンパンなんだけどそこでもみんなが歌ってるの。鳥肌。こんなにみんな音楽好きなんだって。
Yaffle:サマソニの帰りの電車みたいな感じですね(笑)。
Yaffleは3曲目にArctic Monkeysの『Fake Tales Of San Francisco』を紹介。「僕の中でUKロックリバイバルムーブメントの最後の巨人で、デビュー当時からインパクトがあった」とコメントした。
Yaffle:このギターとベースがこのムーブメントっぽいんですよね。
亀田:Arctic Monkeysは2000年代のイギリスロックを代表するバンドですよね。
Yaffle:この曲は2006年のデビューアルバム(『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』)に収録されていて、途中からまた路線変わってカッコよかったですよね。リハーサルスタジオが見えて、ガレージでみんなでやってたのかなって。Arctic Monkeysのデビューのときとかうまくパッケージされたなって思ったんですよ。いかにもガレージでやってるような感覚、エモい感じがちゃんと音源に落とし込まれているなと思ったので、プロデューサーが関係しているのかなって。
亀田:意外と緻密にやってるかもしれないですよね。
Yaffle:この頃って、時代的にイラク戦争の後でブレア政権だったので、ブッシュに乗っかったという感じで、そういうのが題材のバンドが結構多かったイメージがあって。反政府というか。それってパンクの源流ですよね。サッチャーとかのコンサバティブな政策に反対するのと同じノリで、いわゆる産業ロックというよりはこういうのがウケたっていうのは、そういうご時世もあったのかなって思います。
亀田:特にロンドン発信の音楽ってどの時代もそこのメッセージが強めですよね。時代を変えていく力にもなるし、問題提起をみんながしっかりやるけれど、演奏や歌い手がめちゃくちゃセクシーだったりとか、エンターテインメントとして響くんですよね。
Yaffle:アメリカもそういうノリでGreen Dayとかやってましたけど、同じ感情でも違うアプローチになるから面白いなと思います。
亀田:同時代だし、すごくいい例えですよね。例えばGreen Dayに『Minority』ってめちゃくちゃメッセージの強い曲があるけど、めちゃくちゃポップですよね。言葉を選ばずに言うと商業的というか、ポップソングとして聴けるものとは、このRadioheadの曲はトーンが全く違いますよね。
亀田:このアルバムはドイツ・グラモフォンからリリースなんですね。名門ですよ。
Yaffle:クラシックを買おうとしたら必ずありますよね。まさかこんな縁があるとは。このアルバムはクラシックな楽器編成でモダンなことをやってみようと思って。
亀田:藤井 風さんとかもそうだし、今の時代のど真ん中にあるさまざまな曲を作られているYaffleさんがこういう優しみというか透明度のあるものを自分で作られていて。しかも現地で作ったとか、ドイツのグラモフォンというクラシックの名門レーベルからリリースするとかすごいですね。あと2023年という時代が本当に音楽の祝祭年のような感じがして、超ワクワクしてきた。
Yaffle:祝祭年っていいですね。このタイミングじゃないと作れないものを作りたいなって思って。さっきのガレージロックの話じゃないけど、2020、2021、2022年と激動の期間だったので、その影響を自覚的に出したいと思って作りました。
Yaffleの最新情報は、オフィシャルTwitterまで。
Yaffleが登場したのはJ-WAVEで放送中の『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』(ナビゲーター:亀田誠治)。その時代、その場所で、どんな音楽を聴きたいか──時代を越えて、国境を越えて、ナビゲーターの亀田誠治が旅好き・音楽好きのゲストと共に音楽談議を繰り広げる、空想型ドライブプログラムだ。ここでは2月19日(日)にオンエアした内容をテキストで紹介する。
Yaffleニューアルバム『After the chaos』を2月17日にリリースした。
「2007年のロンドン」を空想ドライブ
Yaffleは藤井 風をはじめ多くの人気アーティストのプロデュースを手掛け、自らもアーティストとして活躍。そんなYaffleは空想ドライブミュージックのテーマとして「2007年のロンドン」を選んだ。Yaffle:ちょうどこのころのUKロックは、あとから調べたらガレージロックリバイバルムーブメントだったっていうことで。リアルタイムのときは、そんなに「ムーブメント」だとは思ってなかったんですけど、めちゃくちゃシンプルなコードで、原点回帰というか、初期衝動的な4ピースとか3ピースとかがうわっと出たときで。その手前はポップパンクとか、アメリカのちゃんといろいろ音を入れて敷き詰めている音楽が流行っていて。たぶん2000年頭くらいから、その逆張りとしてすごくシンプルなやつが出てきたときに、僕は初めて洋楽に出会いました。初めはぐわっとそういうのを聴きだして、自分でああだこうだ考えていて、それがどういう土地とご時世柄で生まれたのかがすごく気になるなと思いました。
Yaffleは空想ドライブミュージックの1曲目にThe Strokesの『Hard To Explain』をセレクトした。
亀田:ギターの音の素晴らしさよ。シビれるね。
Yaffle:どうやったらこうなるんですかね(笑)。あえてめちゃくちゃチープっぽくしてるじゃないですか。でもそれをやろうとすると本当にチープになっちゃいますよね。
亀田:これマネしてこの音を狙おうとすると本当に残念になるよね(笑)。
Yaffle:デビューのときにThe Strokesってめちゃくちゃあおられてたのかな。
亀田:登場感もすごかったし、この曲って2001年のデビューアルバム(『Is This It』)からのシングルカットですよね。そもそも2007年ってYaffleさんはいくつだったんですか。
Yaffle:15、16歳とかで、高校入ったくらいですね。
亀田:それはこの音楽はシビれるかもしれないですね。
Yaffle:インパクトがありましたね。
亀田:実際The Strokesはどこで出会ったんですか。
Yaffle:もともとColdplayが『X&Y』ってアルバムを出した後に来日公演を組んでいて、深夜にテレビを付けてたら来日公演ですごくCMを打っていて。それでPVとかが流れながらナレーションベースみたいなので「今世紀最高のバンドが来日」ってずっと言ってて、まだ2005、2006年くらいだったから「もう今世紀最高が出ちゃったんだ」と思いつつその売り文句が気になって(笑)。母親もLed ZeppelinとかQUEENとか世代だったので。
亀田:なるほど。
Yaffle:わりとUSよりUKの音楽が好きだった母親だったので、結構喜んじゃって。いろいろイギリスの音楽を教えられながら、リアルタイムの音楽でどんなのがはやっているんだろうとか軽音楽部の友だちとかに訊いて、今はこういうバンドが熱いって情報交換をしながら、そういう音楽に触れていったって感じですね。
お客さんがみんなマッチョだった
Yaffleは2曲目にFranz Ferdinandの『Take Me Out』を紹介した。亀田:Franz Ferdinandはライブもセクシーでしたしね。ライブは観たことあります?
Yaffle:あります。名古屋まで行って観ましたね。お客さんがみんなマッチョでしたね(笑)。帰り道、俺フットボールしに行ったのかなって思いました(笑)。この編成もシンプルですよね。
亀田:ちなみにロンドンには行ったことがありますか。
Yaffle:何度かあります。仕事とかプライベートでも。
亀田:ここでライブ観たとかありますか。
Yaffle:ロンドンから離れちゃうんですけど、ポーツマスでThe Flaming Lipsとかが出てた中規模くらいのフェスに行ってすごく面白かったですね。
亀田:現地で観るライブって本当にシビれるものがありますよね。
Yaffle:雰囲気に飲まれちゃって。
亀田:僕はロンドンのウェンブリースタジアムでColdplayを観ましたね。10万人くらい入る会場で、コロナ前でとにかく歓声がすごくて、みんながシングアロングして。ウェンブリースタジアムってちょっと不便で地下鉄しか行けないんだけど、帰りとか駅で並ぶわけ。パンパンなんだけどそこでもみんなが歌ってるの。鳥肌。こんなにみんな音楽好きなんだって。
Yaffle:サマソニの帰りの電車みたいな感じですね(笑)。
Yaffleは3曲目にArctic Monkeysの『Fake Tales Of San Francisco』を紹介。「僕の中でUKロックリバイバルムーブメントの最後の巨人で、デビュー当時からインパクトがあった」とコメントした。
Yaffle:このギターとベースがこのムーブメントっぽいんですよね。
亀田:Arctic Monkeysは2000年代のイギリスロックを代表するバンドですよね。
Yaffle:この曲は2006年のデビューアルバム(『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』)に収録されていて、途中からまた路線変わってカッコよかったですよね。リハーサルスタジオが見えて、ガレージでみんなでやってたのかなって。Arctic Monkeysのデビューのときとかうまくパッケージされたなって思ったんですよ。いかにもガレージでやってるような感覚、エモい感じがちゃんと音源に落とし込まれているなと思ったので、プロデューサーが関係しているのかなって。
亀田:意外と緻密にやってるかもしれないですよね。
アメリカとイギリスでは、同じ感情でも違うアプローチになる
Yaffleは最後の空想ドライブミュージックにRadioheadの『Jigsaw Falling Into Place』をセレクトした。Yaffle:この頃って、時代的にイラク戦争の後でブレア政権だったので、ブッシュに乗っかったという感じで、そういうのが題材のバンドが結構多かったイメージがあって。反政府というか。それってパンクの源流ですよね。サッチャーとかのコンサバティブな政策に反対するのと同じノリで、いわゆる産業ロックというよりはこういうのがウケたっていうのは、そういうご時世もあったのかなって思います。
亀田:特にロンドン発信の音楽ってどの時代もそこのメッセージが強めですよね。時代を変えていく力にもなるし、問題提起をみんながしっかりやるけれど、演奏や歌い手がめちゃくちゃセクシーだったりとか、エンターテインメントとして響くんですよね。
Yaffle:アメリカもそういうノリでGreen Dayとかやってましたけど、同じ感情でも違うアプローチになるから面白いなと思います。
亀田:同時代だし、すごくいい例えですよね。例えばGreen Dayに『Minority』ってめちゃくちゃメッセージの強い曲があるけど、めちゃくちゃポップですよね。言葉を選ばずに言うと商業的というか、ポップソングとして聴けるものとは、このRadioheadの曲はトーンが全く違いますよね。
このタイミングじゃないと作れないものを作りたかった
Yaffleはクラシック名門レーベル、ドイツ・グラモフォンからニューアルバム『After the chaos』を2月17日にリリース。番組では収録曲の『Stay in the light ft. RAKEL (reprise)』をオンエアした。亀田:このアルバムはドイツ・グラモフォンからリリースなんですね。名門ですよ。
Yaffle:クラシックを買おうとしたら必ずありますよね。まさかこんな縁があるとは。このアルバムはクラシックな楽器編成でモダンなことをやってみようと思って。
亀田:藤井 風さんとかもそうだし、今の時代のど真ん中にあるさまざまな曲を作られているYaffleさんがこういう優しみというか透明度のあるものを自分で作られていて。しかも現地で作ったとか、ドイツのグラモフォンというクラシックの名門レーベルからリリースするとかすごいですね。あと2023年という時代が本当に音楽の祝祭年のような感じがして、超ワクワクしてきた。
Yaffle:祝祭年っていいですね。このタイミングじゃないと作れないものを作りたいなって思って。さっきのガレージロックの話じゃないけど、2020、2021、2022年と激動の期間だったので、その影響を自覚的に出したいと思って作りました。
Yaffleの最新情報は、オフィシャルTwitterまで。
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