DISH//が昨年12月、結成10周年を迎えた。今年はそれを記念したリテイクプロジェクト「再青」を進行中だ。『LIVE TOUR -DISH//-2022「今」』の実施や、デジタルシングル「しわくちゃな雲を抱いて」のリリースに加え、J-WAVEでも深夜番組『THE KINGS PLACE』にレギュラー出演するなど、話題に事欠かない。
日々進化し続けるバンドについて、メンバーの橘柊生(DJ/Key)と矢部昌暉(Gt/Cho)はどう思っているのだろうか。バンド結成当初を振り返って見えてくる、「今」のDISH//とは? 9月17日(土)に出演する「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO~Best Music & Market」への意気込みも訊いた。
(J-WAVE NEWS編集部)
橘柊生(DJ/Key):自分たちのライブに集まってくれるお客さんの数がすごいですね。昔はフェスに出させてもらっても、お客さんが前2列くらいだったんです。でも、今は後ろのほうまでいてくれて、みんなが手を上げて楽しんでくれていて、ありがたいです。
矢部昌暉(Gt/Cho):ワンマンのお客さんもどんどん増えてきてはいるのですが、改めてDISH//という名前を知ってもらえているんだなという実感が湧きますね。柊生が言ったように、昔は本当に2列くらいしかお客さんがいなくて。後ろのほうには、人がいたとしても休憩しているのがわかるくらいだったんですが、今は後ろまでお客さんがいてくれて。
──見られ方としても“ボーイズグループ”から“ロックバンド”に変化してきているように感じます。ご自身たちではそのあたりどう捉えていますか?
矢部:以前と比べたら、確かにロックバンドとして見てもらえるようになってきているのかなと。でも、まだ曲先行というか、「この曲DISH//だったんだ」という反応がたくさんあるので、僕らが満足できるほど浸透はしていないのかなと思います。フェスも去年くらいからたくさん出させてもらえるようになったので、これからかなと。焦らず1回1回良いライブをしていければと思っています。
橘:やっぱりバラードのイメージがついているので、ロック色の強い曲を演奏すると「そういう曲もあるんだ」という反応があったりしますね。
矢部:でも「こういう曲もあるんだ」と思わせられるのは、今だけの強みなのかなとも思うので、そこは活かしていきたいですね。
──フェスでは、普段共演しないアーティストと一緒になることも多いと思います。その中で感じたことや受けた刺激はありますか?
橘:いろいろなアーティストのライブを見られるのが楽しいですね。でも袖で見るよりもお客さんのいる場所のほうが圧倒的に良い音なので、フェスキッズのように自分もいろいろ回りたいなと。フェス飯とかも食べたいし! フェスを楽しんでいるお客さんを見ながら「夏の思い出作ってるんだろうな。楽しそうだな、いいな〜」と思ってます(笑)。
矢部:フェスって、現地でのリハーサル時間が普通のライブと比べて短いことも多くて。僕らはまだフェス慣れしていないから、リハーサルの時間いっぱい調整に使ってしまうんです。でも、ほかのアーティストさんは「あっちのステージの音が止んだらやります」と言っていたりして、余裕があってカッコいいなと思います。この間出演したフェスでは、MY FIRST STORYの皆さんがリハーサルで僕らの「猫」をやってくださったんですよ。リハの時間もお客さんを楽しませられる先輩方は本当にすごいなと思いました。
橘:昔の音源は自分たちが演奏していない音でもあるので、「再青」プロジェクトでそれを自分たちの音に変えられるのがうれしいです。曲自体も昔とは全く違いますね。同世代のアーティストに比べて、僕らは歴も長いですし、ライブの本数も曲数も多いほうだと思います。当時と比べて、楽曲がようやく今のDISH//の年齢に合ったサウンドになってきているなと思います。
──特に今の年齢に合っていると感じる曲はありますか?
橘:「Loop.」かな。リリースした当初(2016年)は全然グルーヴ感が出せなかったんですが、ライブを経た今はいい感じに育って。今は全員寝起きで演奏しても、パンっと揃うんじゃないかな(笑)。すごく“今のDISH//の音”になっていると思います。
矢部:自分たちの演奏で音源が出せるということは、バンドだったら当たり前のことなのかもしれないですけど、僕らにとってはすごくうれしいことなんです。もともと楽器が弾けないときにグループを結成して、“エアーダンスロックバンド”として活動が始まった。その後、少しずつ楽器が弾けるようになって、自分たちだけで演奏できるようになって、最近はやっと自分たちが作った曲がシングルの表題曲になって、タイアップ曲としてオンエアしてもらえるようになってきた。結成当時から「バンド」というものを目標にやってきたので、ようやくスタートラインに立てるようになったなという印象です。
──“エアーダンスロックバンド”だったグループが、自分たちで演奏した音源を出せるようになるというのは努力の賜物ですよね。
矢部:結成当初は「何を無茶なこと言ってるんだ」と思ってましたけどね(笑)。でも、どんどん担当楽器のことを好きになって、グループのことを好きになって、成長して、今があるので。まだまだこれからです!
──同世代にしては経験が長いというお話もありました。DISH//はバンドとしてのスタートは遅いかもしれないですが、そのぶん他のバンドにはないものもたくさん持っていると思います。ご自身たちでは、そういう面での強みは何だと思っていますか?
橘:バンドと俳優という二足のわらじでやっているメンバーが2人(北村匠海と矢部昌暉)いるのは、ほかにない強みなんじゃないかなと。匠海が役者をやっているからこそ伝わる歌詞があるし、ライブでも1本の作品を見ているような気持ちになれるというのはすごく強いなと思います。
矢部:スタートの仕方がほかの皆さんと違うぶん、遅れを取っていたと思います。でも、ほかのバンドでは経験できないような経験を積んでいると思います。それこそ匠海と僕が俳優の仕事をしているのもそうだし、メンバーみんな小学生から芸能界にいて、子どもの頃から社会に揉まれてきたので、考え方も多様だったりして。圧倒的に場数が多いのでとっさの対応力もあるし、がむしゃらに「この一瞬、この1秒にかける」という想いもすごく強いような気がします。
橘:ラジオ好きなメンバーが揃っていることもあって、楽しくやらせてもらっています。ね?
矢部:うん!
橘:ラジオって直近で起こったことを話せる場じゃないですか。というか、むしろそれ以外ない。だから自分の周りで起こったことを話したり、最近自分が気に入っている音楽を流したりできて楽しいですね。自分たちの新曲が出たとき、毎週流せる番組があるというのもありがたいです。
矢部:自由度も高いですしね。本当にギリギリのラインまで攻められるので(笑)。最近はテレビにも出させてもらうようになって、いろいろな仕事をさせてもらっていますが、一番自由にやっているのがこのラジオという印象です。
──番組の中での出来事やリスナーの反響で、特に印象的だったものはありますか?
橘:……印象に残ってない(笑)。いや、それがラジオだと思うんですよ。気負わずに適当にしゃべるというのがラジオの良さでもあると思っていて。「テレビと違ってきっちり台本が決まっているわけじゃないので、最近あったことを適当にしゃべるのがラジオなんだよ」と古坂大魔王さんに教わって。僕は昔からラジオをよく聞くのですが、先人たちにも「ラジオは嘘がバレるから素でしゃべらないと」と教わりました。うん、だからキンプレも特に印象に残ってないです(笑)。それくらいがいいんです。
矢部:なるほどね。「J-WAVEを聴いていたらDISH//の番組があって、『猫』以外にこんな曲もあるのを知った」みたいなコメントはSNSなどでも何度か見かけたことがあって。それは単純にうれしいリアクションでしたね。
橘:J-WAVEでラジオができているというのは、純粋にうれしいよね。
矢部:そうそう!
──橘さんはラジオ好きと公言もされています。リスナーとしては普段ラジオをどのように楽しんでいますか?
橘:知らなかったアーティストや最新の曲との出会いがある、というのが大きいですね。ラジオを聞いていて「何、この曲!」とピンとくることも多いので、車に乗っているときにラジオをかけながら「Shazam」(曲検索アプリ)をつけっぱなしにしておいたり、目的地についてから聞いていたラジオ番組のサイトを見て流れていた曲をチェックしたり。あとは渋いおじさまが一人語りするタイプのラジオが好きなんです。ところどころに豆知識が散りばめられていて、面白いんですよね。地方に行ったときに、その地方の情報が入ってくるのも面白い。
──深夜ラジオだけではなくて、日中のラジオもお好きなんですね。
橘:はい、日中も聞きますね。昼に「今日何食べようかな〜」って話をしているラジオとかすごく好き。「知らねーよ!」っていう(笑)。夜はラジオ聴きながら寝たりしますし。
──矢部さんはラジオとはどのような付き合いをしていますか?
矢部:僕は車に乗っているときにずっとラジオを聴いています。柊生と似ていますが、僕はもともと自分から音楽をディグるみたいなことがないので、ラジオで「この曲いいな」と思うことが多くて、音楽との出会いの場になっています。ラジオは出演するときも聴いているときも、テレビと違ってフリーダムな感じがあって素敵だなと思います。聞いているほうも気を張らずに聞けちゃうから。
──では『THE KINGS PLACE』で気をつけていることや意識していることはありますか
橘:うーん、メッセージをよく読むようにしているくらいかな。
矢部:柊生はそうだね。台本に「ここでメッセージを読む」と書いてあるんですけど、そこ以外でも結構読んでるよね。
橘:DISH//のことを知らない人が聞いていて飽きないのって、リスナーからのメッセージと、それに対してのやりとりだったりすると思うんですよね。僕らのことを知らない人からしたら、身内ノリの会話って面白くないじゃないですか。だったらメッセージ読んだほうが、全員が楽しめるのかなって。……と言っていますが、大して意識せずにやってます(笑)。単純にメッセージもらえるのがうれしいからですね。
矢部:僕はたぶん、仕事の中で一番何も気をつけていないのがこの仕事です(笑)。ほかの仕事だと、例えば「柊生がツッコミ役に回ってるからボケよう」とか「これは言っちゃいけない」とか考えながら話すんですけど、キンプレは何も考えずにしゃべっています。収録だし、ダメだったらカットされるだろうって(笑)。そのくらい一番素に近い状態でやっているのがキンプレです。
橘:匠海は、テレビに出てるとき自分のこと「僕」って言うらしいんですよ。
──でもラジオだと「俺」?
橘:確かそうです。
矢部:俺もそうだ。
──じゃあ、おふたりの「俺」が聞けるのもラジオだけなんですね(笑)。
矢部:たぶんそうです(笑)。
橘:「インスパイア」と聞くとラーメン二郎しか出てこない……(笑)。
矢部:あはは(笑)。僕はインスパイアと言っていいかはわからないのですが、中3か高1のときに見たONE OK ROCKのライブですね。当時、すでにDISH//は組んでいたのですが、まだ楽器が弾けなくて。練習しても全然うまくならなくて怒られてばっかりで「バンドつまんない」と思っていたんです。そんなときにONE OK ROCKのライブを見て、めちゃくちゃ衝撃を受けて。バンドや楽器が一気に好きになりました。
──橘さんはラーメン二郎以外だと……?
橘:ヒップホップカルチャーですかね。自分でラップを書いたり、DJをしたりしているので影響を受けていると思います。
──そもそもヒップホップカルチャーに触れるきっかけは何だったのでしょうか?
橘:何だろうな……小学生の頃からダンスをやっていたので、その時点でヒップホップの英才教育を受けていたというか。毎週新しい曲を何曲も聴いていたので。でもカルチャーとして意識し始めたのは中学校に入ったくらいかな。スケボーを始めたんです。ヒップホップを聴いて、スケボーを始めて、というのをきっかけに、取り巻くカルチャーを意識し始めました。そこからは今もずっとブレていないような気がしますね。
──では最後に「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO~Best Music & Market」出演への意気込みを聞かせてください。
矢部:ほかに出演されるのは、今まで僕らが出ていたフェスの共演者とはまた違った先輩方。そのファンの方々にも刺さるようなライブをしたいと思っています。
橘:音楽偏差値の高い方々もたくさん来ると思うので、気合い入れて頑張ります!
矢部:DISH//にはいろいろな楽曲があるので、そこにハマるような曲をセットリストに入れるつもりです。ほかのフェスはけっこう王道のセットリストで攻めているんですが、「INSPIRE TOKYO」ではちょっとハズした選曲も考えていて。
橘:変わり種をね。
矢部:そう。また新しいDISH//を見せられたらと思います。
(取材・文=小林千絵)
■都市フェス「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO〜Best Music & Market」公式サイト
https://www.j-wave.co.jp/special/inspire2022/
日々進化し続けるバンドについて、メンバーの橘柊生(DJ/Key)と矢部昌暉(Gt/Cho)はどう思っているのだろうか。バンド結成当初を振り返って見えてくる、「今」のDISH//とは? 9月17日(土)に出演する「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO~Best Music & Market」への意気込みも訊いた。
(J-WAVE NEWS編集部)
持ち曲で意外性を発揮できるのは、今だけの強み
──「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2022」や「JOIN ALIVE」など、今年は夏フェスに引っ張りだこですね。今のところの手応えはいかがですか?橘柊生(DJ/Key):自分たちのライブに集まってくれるお客さんの数がすごいですね。昔はフェスに出させてもらっても、お客さんが前2列くらいだったんです。でも、今は後ろのほうまでいてくれて、みんなが手を上げて楽しんでくれていて、ありがたいです。
矢部昌暉(Gt/Cho):ワンマンのお客さんもどんどん増えてきてはいるのですが、改めてDISH//という名前を知ってもらえているんだなという実感が湧きますね。柊生が言ったように、昔は本当に2列くらいしかお客さんがいなくて。後ろのほうには、人がいたとしても休憩しているのがわかるくらいだったんですが、今は後ろまでお客さんがいてくれて。
──見られ方としても“ボーイズグループ”から“ロックバンド”に変化してきているように感じます。ご自身たちではそのあたりどう捉えていますか?
矢部:以前と比べたら、確かにロックバンドとして見てもらえるようになってきているのかなと。でも、まだ曲先行というか、「この曲DISH//だったんだ」という反応がたくさんあるので、僕らが満足できるほど浸透はしていないのかなと思います。フェスも去年くらいからたくさん出させてもらえるようになったので、これからかなと。焦らず1回1回良いライブをしていければと思っています。
橘:やっぱりバラードのイメージがついているので、ロック色の強い曲を演奏すると「そういう曲もあるんだ」という反応があったりしますね。
矢部:でも「こういう曲もあるんだ」と思わせられるのは、今だけの強みなのかなとも思うので、そこは活かしていきたいですね。
──フェスでは、普段共演しないアーティストと一緒になることも多いと思います。その中で感じたことや受けた刺激はありますか?
橘:いろいろなアーティストのライブを見られるのが楽しいですね。でも袖で見るよりもお客さんのいる場所のほうが圧倒的に良い音なので、フェスキッズのように自分もいろいろ回りたいなと。フェス飯とかも食べたいし! フェスを楽しんでいるお客さんを見ながら「夏の思い出作ってるんだろうな。楽しそうだな、いいな〜」と思ってます(笑)。
矢部:フェスって、現地でのリハーサル時間が普通のライブと比べて短いことも多くて。僕らはまだフェス慣れしていないから、リハーサルの時間いっぱい調整に使ってしまうんです。でも、ほかのアーティストさんは「あっちのステージの音が止んだらやります」と言っていたりして、余裕があってカッコいいなと思います。この間出演したフェスでは、MY FIRST STORYの皆さんがリハーサルで僕らの「猫」をやってくださったんですよ。リハの時間もお客さんを楽しませられる先輩方は本当にすごいなと思いました。
矢部昌暉
10年を経て「ようやくスタートラインに立った」
──DISH//は現在10周年イヤー。6月にライブツアー「今」を開催し、現在は過去楽曲のリテイク版を毎月配信する「再青」プロジェクトを実施中です。この10周年イヤープロジェクトを経て、おふたりは“今のDISH//”をどのように捉えていますか?橘:昔の音源は自分たちが演奏していない音でもあるので、「再青」プロジェクトでそれを自分たちの音に変えられるのがうれしいです。曲自体も昔とは全く違いますね。同世代のアーティストに比べて、僕らは歴も長いですし、ライブの本数も曲数も多いほうだと思います。当時と比べて、楽曲がようやく今のDISH//の年齢に合ったサウンドになってきているなと思います。
──特に今の年齢に合っていると感じる曲はありますか?
橘:「Loop.」かな。リリースした当初(2016年)は全然グルーヴ感が出せなかったんですが、ライブを経た今はいい感じに育って。今は全員寝起きで演奏しても、パンっと揃うんじゃないかな(笑)。すごく“今のDISH//の音”になっていると思います。
──“エアーダンスロックバンド”だったグループが、自分たちで演奏した音源を出せるようになるというのは努力の賜物ですよね。
矢部:結成当初は「何を無茶なこと言ってるんだ」と思ってましたけどね(笑)。でも、どんどん担当楽器のことを好きになって、グループのことを好きになって、成長して、今があるので。まだまだこれからです!
──同世代にしては経験が長いというお話もありました。DISH//はバンドとしてのスタートは遅いかもしれないですが、そのぶん他のバンドにはないものもたくさん持っていると思います。ご自身たちでは、そういう面での強みは何だと思っていますか?
橘:バンドと俳優という二足のわらじでやっているメンバーが2人(北村匠海と矢部昌暉)いるのは、ほかにない強みなんじゃないかなと。匠海が役者をやっているからこそ伝わる歌詞があるし、ライブでも1本の作品を見ているような気持ちになれるというのはすごく強いなと思います。
矢部:スタートの仕方がほかの皆さんと違うぶん、遅れを取っていたと思います。でも、ほかのバンドでは経験できないような経験を積んでいると思います。それこそ匠海と僕が俳優の仕事をしているのもそうだし、メンバーみんな小学生から芸能界にいて、子どもの頃から社会に揉まれてきたので、考え方も多様だったりして。圧倒的に場数が多いのでとっさの対応力もあるし、がむしゃらに「この一瞬、この1秒にかける」という想いもすごく強いような気がします。
泉大智
「僕」じゃなくて「俺」―ラジオは一番素が出る場所
──J-WAVEでは今年4月からレギュラー番組『THE KINGS PLACE』(通称:キンプレ)が毎週水曜日に放送中です。聞いていても毎回楽しさが伝わってきます。実際いかがですか?橘:ラジオ好きなメンバーが揃っていることもあって、楽しくやらせてもらっています。ね?
矢部:うん!
橘:ラジオって直近で起こったことを話せる場じゃないですか。というか、むしろそれ以外ない。だから自分の周りで起こったことを話したり、最近自分が気に入っている音楽を流したりできて楽しいですね。自分たちの新曲が出たとき、毎週流せる番組があるというのもありがたいです。
矢部:自由度も高いですしね。本当にギリギリのラインまで攻められるので(笑)。最近はテレビにも出させてもらうようになって、いろいろな仕事をさせてもらっていますが、一番自由にやっているのがこのラジオという印象です。
──番組の中での出来事やリスナーの反響で、特に印象的だったものはありますか?
橘:……印象に残ってない(笑)。いや、それがラジオだと思うんですよ。気負わずに適当にしゃべるというのがラジオの良さでもあると思っていて。「テレビと違ってきっちり台本が決まっているわけじゃないので、最近あったことを適当にしゃべるのがラジオなんだよ」と古坂大魔王さんに教わって。僕は昔からラジオをよく聞くのですが、先人たちにも「ラジオは嘘がバレるから素でしゃべらないと」と教わりました。うん、だからキンプレも特に印象に残ってないです(笑)。それくらいがいいんです。
橘柊生
橘:J-WAVEでラジオができているというのは、純粋にうれしいよね。
矢部:そうそう!
──橘さんはラジオ好きと公言もされています。リスナーとしては普段ラジオをどのように楽しんでいますか?
橘:知らなかったアーティストや最新の曲との出会いがある、というのが大きいですね。ラジオを聞いていて「何、この曲!」とピンとくることも多いので、車に乗っているときにラジオをかけながら「Shazam」(曲検索アプリ)をつけっぱなしにしておいたり、目的地についてから聞いていたラジオ番組のサイトを見て流れていた曲をチェックしたり。あとは渋いおじさまが一人語りするタイプのラジオが好きなんです。ところどころに豆知識が散りばめられていて、面白いんですよね。地方に行ったときに、その地方の情報が入ってくるのも面白い。
──深夜ラジオだけではなくて、日中のラジオもお好きなんですね。
橘:はい、日中も聞きますね。昼に「今日何食べようかな〜」って話をしているラジオとかすごく好き。「知らねーよ!」っていう(笑)。夜はラジオ聴きながら寝たりしますし。
──矢部さんはラジオとはどのような付き合いをしていますか?
矢部:僕は車に乗っているときにずっとラジオを聴いています。柊生と似ていますが、僕はもともと自分から音楽をディグるみたいなことがないので、ラジオで「この曲いいな」と思うことが多くて、音楽との出会いの場になっています。ラジオは出演するときも聴いているときも、テレビと違ってフリーダムな感じがあって素敵だなと思います。聞いているほうも気を張らずに聞けちゃうから。
──では『THE KINGS PLACE』で気をつけていることや意識していることはありますか
橘:うーん、メッセージをよく読むようにしているくらいかな。
矢部:柊生はそうだね。台本に「ここでメッセージを読む」と書いてあるんですけど、そこ以外でも結構読んでるよね。
橘:DISH//のことを知らない人が聞いていて飽きないのって、リスナーからのメッセージと、それに対してのやりとりだったりすると思うんですよね。僕らのことを知らない人からしたら、身内ノリの会話って面白くないじゃないですか。だったらメッセージ読んだほうが、全員が楽しめるのかなって。……と言っていますが、大して意識せずにやってます(笑)。単純にメッセージもらえるのがうれしいからですね。
矢部:僕はたぶん、仕事の中で一番何も気をつけていないのがこの仕事です(笑)。ほかの仕事だと、例えば「柊生がツッコミ役に回ってるからボケよう」とか「これは言っちゃいけない」とか考えながら話すんですけど、キンプレは何も考えずにしゃべっています。収録だし、ダメだったらカットされるだろうって(笑)。そのくらい一番素に近い状態でやっているのがキンプレです。
橘:匠海は、テレビに出てるとき自分のこと「僕」って言うらしいんですよ。
──でもラジオだと「俺」?
橘:確かそうです。
矢部:俺もそうだ。
──じゃあ、おふたりの「俺」が聞けるのもラジオだけなんですね(笑)。
矢部:たぶんそうです(笑)。
北村匠海
「INSPIRE TOKYO」は“変わり種”のセットリストで
──9月には「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO~Best Music & Market」への出演が決定しています。これにちなんで、おふたりが「INSPIREされたもの」を教えてください。橘:「インスパイア」と聞くとラーメン二郎しか出てこない……(笑)。
矢部:あはは(笑)。僕はインスパイアと言っていいかはわからないのですが、中3か高1のときに見たONE OK ROCKのライブですね。当時、すでにDISH//は組んでいたのですが、まだ楽器が弾けなくて。練習しても全然うまくならなくて怒られてばっかりで「バンドつまんない」と思っていたんです。そんなときにONE OK ROCKのライブを見て、めちゃくちゃ衝撃を受けて。バンドや楽器が一気に好きになりました。
──橘さんはラーメン二郎以外だと……?
橘:ヒップホップカルチャーですかね。自分でラップを書いたり、DJをしたりしているので影響を受けていると思います。
──そもそもヒップホップカルチャーに触れるきっかけは何だったのでしょうか?
橘:何だろうな……小学生の頃からダンスをやっていたので、その時点でヒップホップの英才教育を受けていたというか。毎週新しい曲を何曲も聴いていたので。でもカルチャーとして意識し始めたのは中学校に入ったくらいかな。スケボーを始めたんです。ヒップホップを聴いて、スケボーを始めて、というのをきっかけに、取り巻くカルチャーを意識し始めました。そこからは今もずっとブレていないような気がしますね。
──では最後に「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO~Best Music & Market」出演への意気込みを聞かせてください。
矢部:ほかに出演されるのは、今まで僕らが出ていたフェスの共演者とはまた違った先輩方。そのファンの方々にも刺さるようなライブをしたいと思っています。
橘:音楽偏差値の高い方々もたくさん来ると思うので、気合い入れて頑張ります!
矢部:DISH//にはいろいろな楽曲があるので、そこにハマるような曲をセットリストに入れるつもりです。ほかのフェスはけっこう王道のセットリストで攻めているんですが、「INSPIRE TOKYO」ではちょっとハズした選曲も考えていて。
橘:変わり種をね。
矢部:そう。また新しいDISH//を見せられたらと思います。
(取材・文=小林千絵)
■都市フェス「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO〜Best Music & Market」公式サイト
https://www.j-wave.co.jp/special/inspire2022/
この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。