鬼刑事が警察音楽隊に異動になり、第2の人生を歩んでいく心の成長を描く『異動辞令は音楽隊!』(8月26日公開)。主人公の鬼刑事・成瀬 司を阿部 寛が、刑事課時代の後輩である坂本祥太をブレイク真っ只中の磯村勇斗が演じる。
今回は磯村に、主演の阿部との2度目の共演を振り返ってもらうともに、脚本の覚え方や撮影現場の立ち振る舞いなどのメソッドを訊いた。また、『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』への愛も。
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脚本を読んだときに、刑事ドラマと音楽ドラマの見事な融合が面白いと思いました。刑事ドラマとして現実を反映したタイムリーな社会問題を扱っていて、そこに鬼刑事である成瀬(阿部 寛)が第2の人生を音楽隊として歩んでいく人間ドラマが絡み合う。観た人が勇気をもらえる作品になるのではないかと思いました。
──磯村さんは成瀬の部下・坂本を演じられたわけですが、どのようなイメージを持って撮影に臨みましたか?
ストレートな刑事ドラマの場合は、刑事側の情報を集めたりして役作りの参考にしますが、今回は脚本に書かれている坂本のセリフや行動を中心に彼の性格を読み解いていきました。坂本は大きな秘密を抱えています。それを心の奥にしまい込みながらも、秘密の入った箱が心の中で開閉してく度合いをどこまで表現するべきなのか……。その葛藤をうまく表すことができれば坂本という人物を立体的に見せられるのではないかと思って撮影に臨みました。
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──連続ドラマ『まだ結婚できない男』(2019)以来2度目となる阿部 寛さんとの共演はいかがでしたか?
阿部さんは真面目でストイックな方です。ワンテイクに注ぎ込む熱量がすごい。気持ちの部分で絶対に魂を抜かないというか、勢いが凄まじいです。僕らもそれに合わせて戦わなければいけないので、いいテンションで芝居をさせてもらうことができました。現場に入るごとに毎回襟を正しながら真摯に演じていた感覚があり、阿部さんに普段以上の力を引き出してもらいました。
自宅でひたすら音読して暗記して、口と体に馴染ませるイメージです。ドラえもんのひみつ道具「アンキパン」が現実にあったらどれだけ楽かと(笑)。セリフを覚える時間帯は夜で、寝る前にセリフを入れると記憶として脳内で整理されるらしいです。朝起きたらどこまでセリフを覚えることができたのかをチェックする。その繰り返しです。濃いキャラクターの場合は感情を乗せて声に出したりしますが、基本的には淡々と身振り手振りも感情もなく、フラットな感じで覚えています。
──クランクインしたばかりの現場では、どのように過ごしてチームの一員になっていくのでしょうか?
僕の場合は、一度全部を引いたところから見て周囲を観察しています。例えば部屋のシーンがあったとしたら、部屋の隅に行って現場全体をチェック。そこから徐々にスタッフの方々とお話をして、自分のパーソナルエリアを広げていく。部屋の隅で全体を把握するというのは、人間の本能的なものであるような気がします。住めそうな洞穴を探すときに原始人が行ったであろう感覚に近いかもしれません(笑)。
──どのような会話を交わしてパーソナルエリアを広げていくのですか?
カメラマンさんだったら「ここ映っていますか?」と質問したりするところからコミュニケーションが生まれやすいですし、音声さんだったらマイクをつけてもらうときに軽く会話を交わしたりして。「調子はどうですか?」「いい天気ですね」とか本当に他愛のない会話から広げます。撮影前に休憩スペースでコーヒーを飲みながら「以前はどんな作品をやっていましたか?」とか、そういう話をしていくうちに共通点が見つかって話の輪が広がったりもします。僕は会話を広げていくのは得意ですが、雑談と言えるほど中身はありません。雑談力というよりも、適当力です(笑)。
小学校の頃は目立ちたがり屋でお笑い芸人さんに憧れていました。『エンタの神様』世代だったので、番組で観たネタを真似したりして友だちをよく笑わせていました。中学時代になると、映画監督や俳優になりたいという夢が芽生えました。
──映画監督や俳優に憧れた理由とは?
きっかけは中学2年生の頃に自主制作映画を撮ったこと。ゼロから1を作る楽しさを知ったこともそうですし、視聴覚室で全校生徒に観てもらって拍手をもらった感覚がとても新鮮でした。単純に嬉しかったんでしょうね。その瞬間にこれを仕事にしたいと。そういえば上映中も僕は視聴覚室の部屋の隅で全体を引いて観察していました。全体を把握するという行為は昔からやっていたようです(笑)。
【関連記事】磯村勇斗、俳優になるまでの道のり。中学時代にもらった“拍手”がきっかけに
──磯村さんは映画好きとしても有名ですね。定期的に観る映画はありますか?
明確な理由はわかりませんが、映画『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』は定期的に観ます。パート1でもパート3でもなく、パート2が一番面白い。初めて観たのは小学生の頃。ウルク=ハイの軍勢VSエルフ軍のバトルシーンはあまりにもカッコよくて、ストーリーを最初から追うというよりも、あのバトルシーンだけ観ることができればもう満足。高校受験が終わったその日に家に帰って自分へのご褒美としても観たくらいです。なぜそこまでハマるのか? 自分でも分析できていませんが、とにかくスカッとするんです(笑)。
──「J-WAVE NEWS」は、ラジオ局J-WAVEが運営するWEBメディアです。磯村さんもよくゲスト出演してくださいますが、普段ラジオを聴くことはありますか? 番組ナビゲーターへの興味は?
ラジオは受験の友として学生時代にBGM的に聴いていたことはありますが、今はドライブ中に聴くくらいです。もちろん、そのときの局はJ-WAVE! 僕は雑談力ではなく、適当力からくる身のない話ばかりをする男ですから、ラジオDJなんて恐れ多くてできません。いちリスナーとして聴く側で十分です!
映画『異動辞令は音楽隊!』の詳細は、公式サイト(https://gaga.ne.jp/ongakutai/)まで。
(取材・文=石井隼人、撮影:山口真由子、スタイリスト:笠井時夢、ヘアメイク:佐藤友勝)
映画『異動辞令は音楽隊!』本予告
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阿部 寛は「ワンテイクに注ぎ込む熱量がすごい」
──本作は犯罪捜査一筋30年の鬼刑事が、<はぐれ者集団>の警察音楽隊に異動になるというストーリー。まずは磯村さんの感想を教えてください!脚本を読んだときに、刑事ドラマと音楽ドラマの見事な融合が面白いと思いました。刑事ドラマとして現実を反映したタイムリーな社会問題を扱っていて、そこに鬼刑事である成瀬(阿部 寛)が第2の人生を音楽隊として歩んでいく人間ドラマが絡み合う。観た人が勇気をもらえる作品になるのではないかと思いました。
──磯村さんは成瀬の部下・坂本を演じられたわけですが、どのようなイメージを持って撮影に臨みましたか?
ストレートな刑事ドラマの場合は、刑事側の情報を集めたりして役作りの参考にしますが、今回は脚本に書かれている坂本のセリフや行動を中心に彼の性格を読み解いていきました。坂本は大きな秘密を抱えています。それを心の奥にしまい込みながらも、秘密の入った箱が心の中で開閉してく度合いをどこまで表現するべきなのか……。その葛藤をうまく表すことができれば坂本という人物を立体的に見せられるのではないかと思って撮影に臨みました。
©2022「異動辞令は音楽隊!」製作委員会
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──連続ドラマ『まだ結婚できない男』(2019)以来2度目となる阿部 寛さんとの共演はいかがでしたか?
阿部さんは真面目でストイックな方です。ワンテイクに注ぎ込む熱量がすごい。気持ちの部分で絶対に魂を抜かないというか、勢いが凄まじいです。僕らもそれに合わせて戦わなければいけないので、いいテンションで芝居をさせてもらうことができました。現場に入るごとに毎回襟を正しながら真摯に演じていた感覚があり、阿部さんに普段以上の力を引き出してもらいました。
©2022「異動辞令は音楽隊!」製作委員会
セリフは口と体に馴染ませて覚える
──出演作が相続く磯村さん。脚本はどのように覚えていくのでしょうか?自宅でひたすら音読して暗記して、口と体に馴染ませるイメージです。ドラえもんのひみつ道具「アンキパン」が現実にあったらどれだけ楽かと(笑)。セリフを覚える時間帯は夜で、寝る前にセリフを入れると記憶として脳内で整理されるらしいです。朝起きたらどこまでセリフを覚えることができたのかをチェックする。その繰り返しです。濃いキャラクターの場合は感情を乗せて声に出したりしますが、基本的には淡々と身振り手振りも感情もなく、フラットな感じで覚えています。
──クランクインしたばかりの現場では、どのように過ごしてチームの一員になっていくのでしょうか?
僕の場合は、一度全部を引いたところから見て周囲を観察しています。例えば部屋のシーンがあったとしたら、部屋の隅に行って現場全体をチェック。そこから徐々にスタッフの方々とお話をして、自分のパーソナルエリアを広げていく。部屋の隅で全体を把握するというのは、人間の本能的なものであるような気がします。住めそうな洞穴を探すときに原始人が行ったであろう感覚に近いかもしれません(笑)。
──どのような会話を交わしてパーソナルエリアを広げていくのですか?
カメラマンさんだったら「ここ映っていますか?」と質問したりするところからコミュニケーションが生まれやすいですし、音声さんだったらマイクをつけてもらうときに軽く会話を交わしたりして。「調子はどうですか?」「いい天気ですね」とか本当に他愛のない会話から広げます。撮影前に休憩スペースでコーヒーを飲みながら「以前はどんな作品をやっていましたか?」とか、そういう話をしていくうちに共通点が見つかって話の輪が広がったりもします。僕は会話を広げていくのは得意ですが、雑談と言えるほど中身はありません。雑談力というよりも、適当力です(笑)。
映画好きな磯村が繰り返し観る作品は?
──磯村さんは、昔から俳優を志していたのでしょうか。子どもの頃に憧れていた職業を教えてください。小学校の頃は目立ちたがり屋でお笑い芸人さんに憧れていました。『エンタの神様』世代だったので、番組で観たネタを真似したりして友だちをよく笑わせていました。中学時代になると、映画監督や俳優になりたいという夢が芽生えました。
きっかけは中学2年生の頃に自主制作映画を撮ったこと。ゼロから1を作る楽しさを知ったこともそうですし、視聴覚室で全校生徒に観てもらって拍手をもらった感覚がとても新鮮でした。単純に嬉しかったんでしょうね。その瞬間にこれを仕事にしたいと。そういえば上映中も僕は視聴覚室の部屋の隅で全体を引いて観察していました。全体を把握するという行為は昔からやっていたようです(笑)。
【関連記事】磯村勇斗、俳優になるまでの道のり。中学時代にもらった“拍手”がきっかけに
──磯村さんは映画好きとしても有名ですね。定期的に観る映画はありますか?
明確な理由はわかりませんが、映画『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』は定期的に観ます。パート1でもパート3でもなく、パート2が一番面白い。初めて観たのは小学生の頃。ウルク=ハイの軍勢VSエルフ軍のバトルシーンはあまりにもカッコよくて、ストーリーを最初から追うというよりも、あのバトルシーンだけ観ることができればもう満足。高校受験が終わったその日に家に帰って自分へのご褒美としても観たくらいです。なぜそこまでハマるのか? 自分でも分析できていませんが、とにかくスカッとするんです(笑)。
──「J-WAVE NEWS」は、ラジオ局J-WAVEが運営するWEBメディアです。磯村さんもよくゲスト出演してくださいますが、普段ラジオを聴くことはありますか? 番組ナビゲーターへの興味は?
ラジオは受験の友として学生時代にBGM的に聴いていたことはありますが、今はドライブ中に聴くくらいです。もちろん、そのときの局はJ-WAVE! 僕は雑談力ではなく、適当力からくる身のない話ばかりをする男ですから、ラジオDJなんて恐れ多くてできません。いちリスナーとして聴く側で十分です!
映画『異動辞令は音楽隊!』の詳細は、公式サイト(https://gaga.ne.jp/ongakutai/)まで。
(取材・文=石井隼人、撮影:山口真由子、スタイリスト:笠井時夢、ヘアメイク:佐藤友勝)
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