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「ライナーノーツ」の魅力─自由な“音楽旅行”を後押しする、揺るぎない価値

画像素材:PIXTA

「ライナーノーツ」の魅力─自由な“音楽旅行”を後押しする、揺るぎない価値

「ライナーノーツ」の魅力について、音楽ライターの中原 仁さんと門脇綱生(かどわきつな)さんが語った。

2人が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『KURASEEDS』(ナビゲーター:山中タイキ)。番組パートナーは小学館のWebマガジン『kufura(クフラ)』の編集長・佐藤明美が務める。オンエアは8月23日(火)。2人のトークと、山中のコメントをテキストで紹介する。

ライナーノーツはどう変化したか

主に洋楽CDの国内盤についてくる解説冊子であるライナーノーツは、ここ20年で書き方が大きく変わったという。今回のオンエアでは、ライナーノーツの解説と魅力について2人の音楽ライターが語った。

門脇さんは、インターネットの普及がライナーノーツの大きな転換点であったと分析する。

門脇:インターネットが普及するまでは情報がなくて、シーンや界隈を語ることしかできなかったライナーノーツがたくさんあったと思うんです。今はライター側がインターネットによってより自覚的になって、ライナーノーツの質全体が上がっているというか、資料的価値が高まっているなと感じています。

山中:アーティストのSNSやブログから直接情報を収集できるようになり、資料的なライナーノーツが増えたとのことです。以前は、レコード会社からプレスリリースをいただいたり、直接アーティストにインタビューをしたりすればさらに情報を得られるけれど、新人アーティストだとまったく情報がないなかで書かないといけない、ということがあったのではないでしょうか。

インターネットから膨大に情報が得られる時代だからこそ、CDやレコードを手に取ったファンが満足する情報を精査してまとめ、深い解説をすることがライナーノーツの役割の1つと門脇さんはコメントした。

“モノ体験”という魅力

デジタル全盛の時代、国内盤のCDやレコードに付属されるライナーノーツの魅力は何だろうか。

門脇:ある意味、ライナーノーツも“モノ体験”だと思うんです。実際に手に取って読みたいから電子書籍でなく紙の本を買うのと同じで、ライナーノーツもプロダクトとしてすごく重要なものだと思うんですよ。(国内盤CDで)2、300円上乗せして付いてくる小さなオマケとは言え、そこに懸けられたライターさんの思い、熱量、蓄積してきた知識と解釈の集大成みたいなものなので。

門脇さんはライナーノーツを介して世界の広がりを感じ、音楽の新しい知識を得られたそうだ。

文章を通じて、ワクワクをリスナーと分かち合う

J-WAVEの番組『NX NIPPON EXPRESS SAUDE! SAUDADE』のラジオディレクターも担当する中原さん。ライターとしては、ブラジル音楽、アシッドジャズ、ユーロポップなど、40年以上に渡ってライナーノーツを手掛けてきた。カエターノ・ヴェローゾが約9年ぶりにリリースした新作『MEU COCO』のライナーノーツも中原さんが担当した。

中原:80歳を迎えた大御所のカエターノ・ヴェローゾは4、50枚アルバムを出しているんですけども、ライナーノーツの9割5分ぐらいは僕が書いています。2021年に『MEU COCO』が出たんですけど、未だに音楽的にクリエイティブなんですよ。リスナーに説明したほうがこの曲が好きになれるってことも多いので、普段4000字のところをレコード会社のディレクターにお願いして6000字書きました。大ベテランの方でも、書くことがそれだけあるんですね。書いているとワクワクしてくるので、僕がこれだけ音楽を楽しんでいて刺激を受けているってことをリスナーの方に分かち合ってもらえたら嬉しいなと思います。

山中:アーティストの歴史や情報はもちろん、音楽をもっと好きになるアイディアを詰め込み、手に取ったリスナーと楽しさを分かち合う。音楽って楽しいよねって気持ちが中原さんのお話から伝わってきました。誰でもアクセスできるウェブの情報ではなく、手に取った人に向けたものがライナーノーツです。門脇さんがお話されていたライターの情熱、モノを手に取った体験に通じるお話だったのではないでしょうか。

ライナーノーツで“音楽の旅行”を

続けて中原さんは、ライナーノーツが持つ役割について語った。

中原:主役であるアーティストがどんな人でどういう位置付けでどういう魅力なのか、それから曲について、共演しているミュージシャンやスタッフなどをある程度整理して書く。そうすれば「この曲の背景にはこういうのがあるんだ」「この人のバックグラウンドはこういうのがあるんだ」といった、いろんな音楽の楽しみに出会うことができます。サブスクの「あなたにおすすめ」みたいなAIに与えられるものじゃなくて、もっと自由な“音楽の旅行”を続けていける、1つの手助けになることがライナーノーツの役割かなと思っています。

山中:ライナーノーツは能動的な音楽旅行を楽しむための道しるべでもあるというお話でした。リリースの形も時代とともに変わってきていますし、ライナーノーツの形も変わってくるのかなと感じるところではあります。ライナーノーツという存在があるからこそCDを買う楽しみがありますし、インターネットが普及してきてもそこは変わらないところなのではないでしょうか。音楽の向こう側を知ることができるメディアの1つがライナーノーツですよね。

『KURASEEDS』のInstagramでは、裏話も含めて、このオンエアのテキストを公開中だ。



あなたの今日が最高1日になるように、暮らしを豊かにしてくれるヒント=種をあなたと一緒に見つけて育てていく番組『KURASEEDS』の放送は、月曜から木曜の朝5時から。

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2022年8月30日28時59分まで

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月・火・水・木曜
5:00-6:00