フランスで研鑽を積んだシェフ・昆布智成氏が、現地での修行時代のエピソードを語った。
昆布氏が登場したのは、ゲストに様々な国での旅の思い出を聞く、J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』（ナビゲーター：葉加瀬太郎）。オンエアは5月28日（土）。
渡仏時、最初の修行の地として選んだのは南仏のエクス=アン=プロヴァンス。当時教わっていたフランス語の先生のツテで「パリは働きたい地ではあったけど、やっぱり地方でも働きたいという気持ちが強かった」ため選んだそう。
エクス=アン=プロヴァンスの土地柄は、「本当に気候も穏やかで、イタリアに近かったりするので、人もイタリア人気質な感じでけっこう陽気」「マルセイユのお隣なので、パリのことを『あいつらは俺らと違う』みたいな」感じなのだそう。日本の都市に例えるとマルセイユが大阪、エクス=アン=プロヴァンスは神戸に近いとのこと。
修業時代の思い出について聞くと、フランスの代表的な菓子・マカロンの作り方を逆に現地で伝授することになったエピソードが。
昆布氏はフランスに渡る前、日本では「ピエール・エルメ・パリ」で働いていた。マカロンで知られる有名店だ。エクス=アン=プロヴァンスでは「MOF・国家最優秀職人章という名誉のあるお店で働けたんですけど、そこで「『トモ、エルメにいたんだったらマカロンやってよ』って言われて」「マカロンをやったらもう本当に大絶賛されて、『明日からマカロン売ろう』みたいな感じになって」と振り返る。
「日本人の僕がフランスまで行って、フランスで修行したくて、有名なMOFのお店まで行って、フランス人にフランス菓子を僕が教えている」ことを「不思議でした」と語る。当時は入って１ヶ月ほどで“下っ端扱い”を受けていたそうだが、昆布氏の技術を知ると周囲の扱いは急変。「本当にコロッと変わる。でもそれが逆にフランスのいいところでもあるなと思う。実力を認めたらちゃんとそういう目で見てくれる」と話した。
「誰1人として知り合いがいないので、ミシュランの赤い本を買って、どうせ行くなら上からいってやろうと思って『三つ星から』みたいな感じで。セーベーと言って履歴書みたいなものを作るんですけど、それを持って直接レストランに行って『僕はここで働きたい、こういう経歴だからもし空きがあったら働かせてくれ』と何件も回って、二つ星のラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブションというお店で働かせてもらえることになりました」という。
葉加瀬が「ロブションはどうでしたか。学びがありましたか」と聞くと「行ったのはサンジェルマン・デ・プレのところの店舗、ロブションの第1号店なんですけど、やっぱり世界中の志高い人たち、イタリアとか北欧だったり他のヨーロッパから来て働いている人の集まりでしたね」という。
さらに「（裏側は）けっこうピリピリしてますね。ロブションってカウンターで全面見えるんですけどあれは本当に一部で、裏側に仕込み部屋があってもそこはもうずっと『ショー』って言うんですよ。フランス語で熱いって意味なんですけど、『ショーショーショー』と言うと『どいてどいて』みたいなニュアンスなんです。至る所で『ショーショーショー』と、本当に厨房はすごいことになっていましたね」と振り返る。
「（修行を）ロブションでできたのはよかったね」と葉加瀬。昆布氏は「そうですね。やっぱりそれも先人の人たちのおかげなんですよね。1960年代ぐらいから日本人が少しずつ行き出して、パティシエもそうだし、キュイジニエもそうなんですけど、最初は 『日本人なんて』という見方をされていたところが、何年もかけて日本人ってこれだけ仕事ができるんだよというのをずっと先人、先輩たちが繋げていってるんですよね。なので僕らのときとかは、仕事が探しやすかったりするんです。日本人ということだけでちょっと条件がよくなるんですよね」と語る。先人の積み重ねで「星付きのお店でも働けるチャンス」があったことを有り難いことだと振り返った。
葉加瀬太郎がお届けする『ANA WORLD AIR CURRENT』は、J-WAVEで毎週土曜の19:00-19:54オンエア。
昆布氏が登場したのは、ゲストに様々な国での旅の思い出を聞く、J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』（ナビゲーター：葉加瀬太郎）。オンエアは5月28日（土）。
マカロンをフランスで「逆に伝授」
昆布氏は1981年、福井県生まれ。200年以上の歴史を持つ老舗和菓子店「昆布屋孫兵衛」の家に生まれるもパティシエの道に進み、2012年に渡仏。南仏のパティスリーでガトーグラッセや地方菓子を学び、バリの二つ星レストランでデザートを担当。帰国後。2015年からは「アン グラン」で、スーシェフ、パティシエとして活躍。繊細な技と味覚で、新たな食材の組み合わせをひとつまみサイズのお菓子で表現している。渡仏時、最初の修行の地として選んだのは南仏のエクス=アン=プロヴァンス。当時教わっていたフランス語の先生のツテで「パリは働きたい地ではあったけど、やっぱり地方でも働きたいという気持ちが強かった」ため選んだそう。
エクス=アン=プロヴァンスの土地柄は、「本当に気候も穏やかで、イタリアに近かったりするので、人もイタリア人気質な感じでけっこう陽気」「マルセイユのお隣なので、パリのことを『あいつらは俺らと違う』みたいな」感じなのだそう。日本の都市に例えるとマルセイユが大阪、エクス=アン=プロヴァンスは神戸に近いとのこと。
修業時代の思い出について聞くと、フランスの代表的な菓子・マカロンの作り方を逆に現地で伝授することになったエピソードが。
昆布氏はフランスに渡る前、日本では「ピエール・エルメ・パリ」で働いていた。マカロンで知られる有名店だ。エクス=アン=プロヴァンスでは「MOF・国家最優秀職人章という名誉のあるお店で働けたんですけど、そこで「『トモ、エルメにいたんだったらマカロンやってよ』って言われて」「マカロンをやったらもう本当に大絶賛されて、『明日からマカロン売ろう』みたいな感じになって」と振り返る。
「日本人の僕がフランスまで行って、フランスで修行したくて、有名なMOFのお店まで行って、フランス人にフランス菓子を僕が教えている」ことを「不思議でした」と語る。当時は入って１ヶ月ほどで“下っ端扱い”を受けていたそうだが、昆布氏の技術を知ると周囲の扱いは急変。「本当にコロッと変わる。でもそれが逆にフランスのいいところでもあるなと思う。実力を認めたらちゃんとそういう目で見てくれる」と話した。
ロブションでの修行
その後はパリでの修行へ。フランスに行く目的として「星付きのレストランで働きたい」「アシェットデセールという皿盛りのデザートがあるんですけど、それを本場で学びたい」と思っていた昆布氏。「誰1人として知り合いがいないので、ミシュランの赤い本を買って、どうせ行くなら上からいってやろうと思って『三つ星から』みたいな感じで。セーベーと言って履歴書みたいなものを作るんですけど、それを持って直接レストランに行って『僕はここで働きたい、こういう経歴だからもし空きがあったら働かせてくれ』と何件も回って、二つ星のラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブションというお店で働かせてもらえることになりました」という。
葉加瀬が「ロブションはどうでしたか。学びがありましたか」と聞くと「行ったのはサンジェルマン・デ・プレのところの店舗、ロブションの第1号店なんですけど、やっぱり世界中の志高い人たち、イタリアとか北欧だったり他のヨーロッパから来て働いている人の集まりでしたね」という。
さらに「（裏側は）けっこうピリピリしてますね。ロブションってカウンターで全面見えるんですけどあれは本当に一部で、裏側に仕込み部屋があってもそこはもうずっと『ショー』って言うんですよ。フランス語で熱いって意味なんですけど、『ショーショーショー』と言うと『どいてどいて』みたいなニュアンスなんです。至る所で『ショーショーショー』と、本当に厨房はすごいことになっていましたね」と振り返る。
「（修行を）ロブションでできたのはよかったね」と葉加瀬。昆布氏は「そうですね。やっぱりそれも先人の人たちのおかげなんですよね。1960年代ぐらいから日本人が少しずつ行き出して、パティシエもそうだし、キュイジニエもそうなんですけど、最初は 『日本人なんて』という見方をされていたところが、何年もかけて日本人ってこれだけ仕事ができるんだよというのをずっと先人、先輩たちが繋げていってるんですよね。なので僕らのときとかは、仕事が探しやすかったりするんです。日本人ということだけでちょっと条件がよくなるんですよね」と語る。先人の積み重ねで「星付きのお店でも働けるチャンス」があったことを有り難いことだと振り返った。
葉加瀬太郎がお届けする『ANA WORLD AIR CURRENT』は、J-WAVEで毎週土曜の19:00-19:54オンエア。
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