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スガ シカオが漫画家・江口寿史に音楽遍歴を聞く。「軽やかさ」に衝撃を受けた歌手は?

スガ シカオが漫画家・江口寿史に音楽遍歴を聞く。「軽やかさ」に衝撃を受けた歌手は?

漫画家・イラストレーターの江口寿史が空想ドライブの曲をセレクト。加山雄三の歌の魅力や、沖縄の国道にまつわるエピソードを語った。

J-WAVEで放送中の『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』(ナビゲーター:スガ シカオ)。その時代、その場所で、どんな音楽を聴きたいか―――時代を越えて、国境を越えて、ナビゲーターのスガ シカオが旅好き・音楽好きのゲストと共に音楽談義を繰り広げる、空想型ドライブプログラムだ。

5月8日(日)の放送ではゲストに江口が登場し、スガとトークを繰り広げた。

1990年代初頭の国道58号を空想ドライブ!

スガと江口は今回が初対面。江口は空想ドライブの場所として「1990年代初頭の国道58号」を指定した。

江口:沖縄の、海側にずーっと伸びている国道です。
スガ:わかります。90年代の最初を選んだ理由は?
江口:いまってけっこう近代化されているじゃないですか。
スガ:リゾートもすごくたくさんできていますよね。
江口:国際通りも昔は味があったんだけど、いまはお土産さんがいっぱいある場所になりましたよね。
スガ:昔ってあの通り、もっと短かったですよね。
江口:個人店がいっぱいあって、レコードとかカセットテープ屋とか、ああいう感じのお店ばっかりあったんですよ。

沖縄県本島中部には1974年まで「コザ」と呼ばれる市が存在していたが、江口によると90年代の初頭まではコザの雰囲気が残っていたという。

江口:僕は那覇から名護の沖縄そばを食べに行ってたんですよ。けっこう遠いんだよね(笑)。
スガ:1時間ちょっとぐらいかかりますよね?
江口:そうそう。だけど行く途中に中古家具屋とかが点在しているから、飽きない。買いはしないんだけど、見るだけで楽しかったですね。
スガ:わかる! 僕もミッドセンチュリーのアメリカの家具がすっごく好きです。沖縄でめちゃくちゃ家具屋さんまわりました。軍の払い下げの家具とかが安いんですよね。でも、でっかくて持って帰れないっていう(笑)。
江口:運賃のほうが高くつくときがある(笑)。
スガ:僕も買えなかったんですけど、「こんなに安いの!?」って驚いていましたね。東京でもミッドセンチュリーのアメリカ家具を見ることはあるんですけど、高いんですよね。たしかに沖縄の家具屋さんは魅力的でした。
江口:僕は車の免許を持っていないので、嫁さんがいつも運転をしてくれるんですね。そこで音楽を聴くとね、やっぱり楽しい。
スガ:いいですねえ。
江口:その通りを車で走っていると免許が欲しくなってくるんだけど、取らずに終わりそうな感じ(笑)。
スガ:(笑)。助手席のほうが景色が見れるしいいと思いますよ。では、江口先生と僕とで交互に曲を選んで進めていきましょう。1曲目は何をかけましょう?
江口:喜納昌吉さんの最初のバンドかな? チャンプルーズのセカンドアルバムの曲なんですけども、聴くと沖縄の入り口にいる気持ちになります。『じんじん』という曲です。

江口が語る加山雄三の魅力

江口は、小学生時代に衝撃を受けた歌手に関するエピソードを語った。

江口:小学5年生の頃に加山雄三が出てきて、すごくカッコいいなって思ったんですね。
スガ:へええ!
江口:どこがカッコいいかっていうと、自分で作った曲を自分で弾きながら歌うところ。たぶん、それの走りだったんじゃないですかね? 曲もポップだし。『ザ・ベストテン』(TBS系)が好きで毎週観ていたんですけど、城 卓矢の『骨まで愛して』って曲がずっと1位でね。その1位をサッとさらったのが加山雄三でした。
スガ:そうなんだ!
江口:軽やかさがすごくカッコよかったですね。

スガは一度だけ加山雄三とコンサートで共演したことがあり、「こんなに大きい人なんだ!」と感じたのが第一印象だったと話す。

江口:話すと気さくな方だったんじゃないですか? 僕はお会いしたことがないからイメージだけど(笑)。
スガ:普通の感じで挨拶をして、「これが加山雄三なんだ!」って思いましたね。
江口:(加山雄三って)わりと新しいことをやった人なんですよね。テクノが流行った頃もテクノの曲を出したんですけど、知ってます(笑)?
スガ:知らない(笑)。マジですか!?
江口:もうね、YMOみたいな曲。Spotifyで聴いています。
スガ:いまも音楽フェスに出られるときは、若いアーティストをバンドに引き連れてやられていますね。すごいなあ。

女性のイラストにモデルは存在しない!?

1977年、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で掲載された『すすめ!!パイレーツ』(集英社)で漫画家デビューを果たした江口。当初、漫画家という職業を長く続けられると思っていなかったそうだ。

スガ:『すすめ!!パイレーツ』って何歳の頃に描いていた作品ですか?
江口:21歳から23歳まで。
スガ:若い! 漫画家のデビューとしては早いほうでは?
江口:早い人はもっと早いですよ。高校生で漫画家デビューなんて珍しくないからね。
スガ:ええ~!
江口:少女漫画家さんだと15歳とかでデビューしてますからね。
スガ:そうなんだ。
江口:デビューの年齢としては普通です。ただね、こんなに長く漫画家をやっているとは思わなかった(笑)。デビューして45年かな?
スガ:すげえ(笑)!
江口:自分でもびっくりしています(笑)。
スガ:女の子のイラストを描こうと思ったときに、頭のなかにあの絵が浮かんでくるんですか?
江口:まだ出るんですよ。「お爺ちゃん、ズレてるわよ」って言われるようになったら辞めるしかないですけど(笑)。
スガ:言われない言われない(笑)。まだ絵が出てくるんだあ。
江口:出るっていうか、見ているからね。いま歩いている人たちを。
スガ:広瀬すずさんを描かれたとき、あったじゃないですか。広瀬すずさんなんだけど、江口さんの作風がちゃんと出るじゃないですか。
江口:そうですね。
スガ:ああいう感じの顔が出るのがすごいなあ。江口さんはいままでいろんな女の子を描いてきていますけども、みんな魅力的なんですよね。
江口:「自分もこうなりたいな」っていう理想じゃないですかね(笑)?
スガ:そうか、理想なのか。なるほどねえ。絵を見ていると、モデルがいるのかなって思うときがあるんですよね。
江口:モデルはいないですね。友だちに頼むことはあるけれど、その人をそっくりに描くっていうよりも形を知りたいからお願いしている感じ。顔は全部僕の頭のなかから出てきたものだからね。
スガ:僕が中学生とか高校生時代の頃に描かれていた顔からいま描かれている顔まで、ずっとストライクゾーンなんですよ。それが不思議なんです。

『ストップ!! ひばりくん!』(集英社)の主人公・大空ひばりにも、モデルとなった人物はいなかったそうだ。

スガ:モデル、いないの!?
江口:いないいない(笑)。ひばり君は当時の僕の技量で“最高にかわいい女の子”を描いた。『ストップ!! ひばりくん!』って漫画は、ひばり君を全力でかわいく描くだけでよかったんですよ。そうすると、周りがぐじゃぐじゃになっていくから(笑)。そういう漫画の構造だったんですね。
スガ:なるほどねえ! やたらおしゃれでしたよね。
江口:やっぱり、「こういう風に生まれたらよかったろうな」っていう理想なんでしょうね。

ステーキハウスが沖縄に多いのはなぜ?

ふたりは沖縄の“食”についてトーク。スガは沖縄そばがお気に入りで、東京の沖縄料理店でもよく食べていると話す。

江口:おいしいところ、あります?
スガ:「あれ、こんなんだったっけ?」って思うことが多いですね。俺、紅ショウガが好きなんですよ。
江口:僕もです。(沖縄そばと)合いますよね。
スガ:あの味が好きで、いっぱい入れちゃう。
江口:那覇だと、その辺にある安いところでもおいしいんだよね。
スガ:そうですよね!

スガは「夜遅くまでやってるステーキハウス、多くないですか?」とコメントする。

江口:特に「ジャッキーステーキハウス」が多いですよね。
スガ:ジャッキー(笑)!
江口:ものすごく敷地面積が多いお店。僕、あのお店が好きなんですよ。並ぶのは嫌だけど、いまはインバウンド客が減ったからそれほど混んでいないらしいです。
スガ:ステーキハウスが多いの、不思議なんですよね。「なんでこんなにあるんですか?」って聞いたことがあるんですけど、飲んで終電をなくした人が帰りにステーキを食べて帰るらしいです。
江口:締めにね(笑)。
スガ:「締めでステーキを食べるの!?」って思いますけども(笑)。
江口:その話、僕も聞いたことがあります。
スガ:すごい文化だなあって思いますね。

ギターや車を描くのも大好き

江口の描くイラストにはギターが頻繁に登場するため、スガは「マニアックに描かれてて『わざわざこのギターを選ぶのか』みたいなのがあったりして、見ているとニヤニヤしちゃうんですよね」とコメント。ところが、江口はギターを弾けないのだとか。

スガ:弾けないんですか!?
江口:ジャガジャガコードで弾くぐらいですよ。ギターも“色っぽい”じゃないですか。
スガ:色っぽいですねえ。
江口:女性を描くのと一緒なんですよ。車もです。
スガ:たしかに、車のイラストも多いですね!
江口:旧車の曲線とか、たまんないですよね。
スガ:へええ!
江口:楽器を描くときもね、女の子を描くときの気持ちと変わんないんですよ。
スガ:すごい丁寧に描かれているもんなあ(笑)。
江口:へへへ。「この塗装の剥げ具合がいいな」とか思ってね(笑)。傷まで描きたいんですよ。
スガ:ヴィンテージ感がまたいいんですよねえ。
江口:そうそう。ギターの打痕まで描きたいんです(笑)。
スガ:すごい(笑)。面白いですねえ。

スガが空想ドライブをナビゲートする『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』のオンエアは、毎週日曜21時から。

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2022年5月15日28時59分まで

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番組情報
Mercedes-Benz THE EXPERIENCE
毎週土曜
21:00-21:54