燃え殻が、新番組に対する意気込みを語り、漫画『あなたに聴かせたい歌があるんだ』(扶桑社)の制作エピソードを語った。
このトークをお届けしたのは、J-WAVEで放送中の新番組『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)。4月5日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。
燃え殻:こんばんは。燃え殻です。今月から毎週火曜、夜明け前のこの時間を担当することとなりました。僕は今、物を書く仕事を生業にしていまして、5、6年前になりますけど、人生で初めて自分の小説が本屋さんに並ぶ日、これまで経験したことがない緊張・不安・ワクワクを感じたんですね。今回、ラジオのブースに入って、久しぶりにその気持ちを思い出しました。
番組のスタートを飾る楽曲として、中村佳穂の『get back』がオンエアされた。
燃え殻:新しく始まる番組の1曲目、何を流そうかずっと考えていたんですけども、「この1年ぐらい部屋でぼんやり聴いている曲があったな」と思い、それを最初にみなさんと共有したいと感じました。
燃え殻:この小説は本当に人とタイミングに恵まれて、ありがたいことにNetflixで映画になって、講談社の『イブニング』で漫画化もされました。自分の手から離れて、遠くから手を振っている感じです。それによって世の中のいろんな方々に信用していただいて、エッセイの仕事、朗読劇の原作、次の小説『これはただの夏』(新潮社)を刊行させていただいたりしました。それをこなしながらなんとかやってきて、気付いたらJ-WAVEの深夜番組『BEFORE DAWN』に辿り着いておりました。
レギュラー番組を始めるにあたり、燃え殻はこれまでの経験を振り返りながら意気込みを語った。
燃え殻:小説の1冊目を書いたとき、最初は「1冊目を書いたらやめよう」と思っていたんですね。でもね、この仕事(小説家)は自分のなかで「ここでやめると決める仕事じゃないな」と体感として思ったんです。「こういうところが楽しいね」って言われる仕事なんだなっていうのを、やっていくうちに思ったんですね。今回のラジオも最初は「怖いです」と話していたんですけど、「もういいよと言われるまではやってみようかな。今までもそうやってきたじゃないか」と思って、引き受けることにしました。番組では僕が気になっていることを話したり、たまにゲストを呼んでみたり、リスナーからのメッセージを紹介したりとゆるゆるやっていきますので、みなさんもだらだらと聴いていただきたいです。こんな世の中なんでね、徹底的に“ぼんやり”としたラジオにしていきたいと思っております。よろしくお願いします。
燃え殻:僕が原作を書いて漫画をおかざき真里さんに描いていただいた『あなたに聴かせたい歌があるんだ』のお話をしようと思います。『週刊SPA!』(扶桑社)で連載していた、全10話の漫画です。元々僕は『週刊SPA!』でエッセイを書いていたのですが、(文章を)漫画にしてみたいという話をさせてもらったんですね。漫画家さんは誰がいいだろうという話になり、たしか僕がおかざき真里さんにお願いすることを提案したと思います。おかざきさんとは面識があり、一度、二度ご飯をご一緒したことがありました。
燃え殻は第1話のラフを見た当時を振り返った。
燃え殻:感動したのを覚えています。「このプロジェクトを始めて本当によかった」と思った瞬間でしたね。
本作は燃え殻の高校2年生の経験をベースとした内容となっている。映画監督・萩原健太郎との雑談のなかで企画がスタートし、Huluでは全8話のドラマが配信されている。
燃え殻:漫画だと学校の先生のヌード写真がエロ本に出ていて、それがクラスの掲示板に貼ってあったのですが、それに近しいことが現実でもあったんですよね。
その先生は、英語の非常勤講師だったという。掲示されていた本を片付けた後、授業で使うラジカセを使用し、彼女が聴いていたというビートルズの『Let It Be』を再生したそうだ。
燃え殻:僕らの高校って進学校でもなんでもなくて、少なくとも僕は『Let It Be』のフルをそこで初めて聴いたんですよ。トラウマになりました(笑)。ほとんど人たちは最初「どういうこと?」って思っていたんですけど、微動だにしない先生と『Let It Be』の楽曲が佳境を迎えていく状況のなかで、クラスがシーンとなっていったんです。不思議な空間でした。忘れられない、僕が17歳のときの出来事です。先生は「みなさんがあと10年経ったら27歳になります」っていうような話をして、学校を去っていきました。漫画の原作のディテールは僕がいろいろと作ったんですけども、根本的にはそういったことがありましたと。
監督と話しているうちに、当時のことを「かさぶたを剥がすように思い出してしまった」と話す燃え殻。そこで物語の執筆を決めたという。
燃え殻:17歳と当時27歳だった先生。卒業する18歳でもない17歳と、世間からは大人だと言われているけどもまだどこかで子ども扱いをされる27歳という、中途半端な、ある人にとっては分岐点になる歳。中途半端な歳の10年後っていうのが僕のなかで引っかかったんですよね。先生をただぼんやりと“見殺し”にした17歳の男女は、先生と同じ27歳になったときに、いったいどんな大人になったんだろうっていう物語を書きたくなりました。
燃え殻は『あなたに聴かせたい歌があるんだ』を書くにあたり、意識した点を明かした。
燃え殻:内容はドラマや漫画で知ってほしいんですけど、「ほら見たことか」という悲劇にはしたくなかったんですよね。僕のなかでは、どんな道を選んだとしてもある一定の後悔をするだろうし、どんな道を選んだとしても、そこには“待っている人”がいると思っています。僕の人生がそうなんですけど、負けた先に大切な人がいるし、「あのとき負けてよかった」と思うことがあるんですね。どっちの道を選んだとしても、「あっちの道を選べばよかった」って常々思うんじゃないかなってことを、作品に込めたかった。誰にも“負け”はないし、“勝ち”もない。そんな物語ができたらいいなと思って書きました。
4月12日(火)の放送では、おかざき真里がゲストに登場。燃え殻と『あなたに聴かせたい歌があるんだ』にまつわるトークを繰り広げる。放送開始後から一週間、radikoで聞くことができる。
https://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20220413020000
燃え殻がお届けする『BEFORE DAWN』は、毎週火曜26時から。
このトークをお届けしたのは、J-WAVEで放送中の新番組『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)。4月5日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。
燃え殻がお届けするJ-WAVEの新番組がスタート
2月13日(日)、燃え殻がナビゲーターを務めた特別番組『J-WAVE SELECTION BEFORE DAWN』が、4月よりレギュラー番組として始動した。燃え殻:こんばんは。燃え殻です。今月から毎週火曜、夜明け前のこの時間を担当することとなりました。僕は今、物を書く仕事を生業にしていまして、5、6年前になりますけど、人生で初めて自分の小説が本屋さんに並ぶ日、これまで経験したことがない緊張・不安・ワクワクを感じたんですね。今回、ラジオのブースに入って、久しぶりにその気持ちを思い出しました。
番組のスタートを飾る楽曲として、中村佳穂の『get back』がオンエアされた。
燃え殻:新しく始まる番組の1曲目、何を流そうかずっと考えていたんですけども、「この1年ぐらい部屋でぼんやり聴いている曲があったな」と思い、それを最初にみなさんと共有したいと感じました。
番組に対する意気込みを語る
燃え殻が小説家としてデビューしたのは2017年。『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮社)はベストセラーとなり、2021年の秋にNetflixで映画化され話題を呼んだ。燃え殻:この小説は本当に人とタイミングに恵まれて、ありがたいことにNetflixで映画になって、講談社の『イブニング』で漫画化もされました。自分の手から離れて、遠くから手を振っている感じです。それによって世の中のいろんな方々に信用していただいて、エッセイの仕事、朗読劇の原作、次の小説『これはただの夏』(新潮社)を刊行させていただいたりしました。それをこなしながらなんとかやってきて、気付いたらJ-WAVEの深夜番組『BEFORE DAWN』に辿り着いておりました。
レギュラー番組を始めるにあたり、燃え殻はこれまでの経験を振り返りながら意気込みを語った。
燃え殻:小説の1冊目を書いたとき、最初は「1冊目を書いたらやめよう」と思っていたんですね。でもね、この仕事(小説家)は自分のなかで「ここでやめると決める仕事じゃないな」と体感として思ったんです。「こういうところが楽しいね」って言われる仕事なんだなっていうのを、やっていくうちに思ったんですね。今回のラジオも最初は「怖いです」と話していたんですけど、「もういいよと言われるまではやってみようかな。今までもそうやってきたじゃないか」と思って、引き受けることにしました。番組では僕が気になっていることを話したり、たまにゲストを呼んでみたり、リスナーからのメッセージを紹介したりとゆるゆるやっていきますので、みなさんもだらだらと聴いていただきたいです。こんな世の中なんでね、徹底的に“ぼんやり”としたラジオにしていきたいと思っております。よろしくお願いします。
『あなたに聴かせたい歌があるんだ』に込めたメッセージ
燃え殻は、3月24日に発売した漫画『あなたに聴かせたい歌があるんだ』の制作エピソードを語った。燃え殻:僕が原作を書いて漫画をおかざき真里さんに描いていただいた『あなたに聴かせたい歌があるんだ』のお話をしようと思います。『週刊SPA!』(扶桑社)で連載していた、全10話の漫画です。元々僕は『週刊SPA!』でエッセイを書いていたのですが、(文章を)漫画にしてみたいという話をさせてもらったんですね。漫画家さんは誰がいいだろうという話になり、たしか僕がおかざき真里さんにお願いすることを提案したと思います。おかざきさんとは面識があり、一度、二度ご飯をご一緒したことがありました。
燃え殻は第1話のラフを見た当時を振り返った。
燃え殻:感動したのを覚えています。「このプロジェクトを始めて本当によかった」と思った瞬間でしたね。
本作は燃え殻の高校2年生の経験をベースとした内容となっている。映画監督・萩原健太郎との雑談のなかで企画がスタートし、Huluでは全8話のドラマが配信されている。
燃え殻:漫画だと学校の先生のヌード写真がエロ本に出ていて、それがクラスの掲示板に貼ってあったのですが、それに近しいことが現実でもあったんですよね。
その先生は、英語の非常勤講師だったという。掲示されていた本を片付けた後、授業で使うラジカセを使用し、彼女が聴いていたというビートルズの『Let It Be』を再生したそうだ。
燃え殻:僕らの高校って進学校でもなんでもなくて、少なくとも僕は『Let It Be』のフルをそこで初めて聴いたんですよ。トラウマになりました(笑)。ほとんど人たちは最初「どういうこと?」って思っていたんですけど、微動だにしない先生と『Let It Be』の楽曲が佳境を迎えていく状況のなかで、クラスがシーンとなっていったんです。不思議な空間でした。忘れられない、僕が17歳のときの出来事です。先生は「みなさんがあと10年経ったら27歳になります」っていうような話をして、学校を去っていきました。漫画の原作のディテールは僕がいろいろと作ったんですけども、根本的にはそういったことがありましたと。
監督と話しているうちに、当時のことを「かさぶたを剥がすように思い出してしまった」と話す燃え殻。そこで物語の執筆を決めたという。
燃え殻:17歳と当時27歳だった先生。卒業する18歳でもない17歳と、世間からは大人だと言われているけどもまだどこかで子ども扱いをされる27歳という、中途半端な、ある人にとっては分岐点になる歳。中途半端な歳の10年後っていうのが僕のなかで引っかかったんですよね。先生をただぼんやりと“見殺し”にした17歳の男女は、先生と同じ27歳になったときに、いったいどんな大人になったんだろうっていう物語を書きたくなりました。
燃え殻は『あなたに聴かせたい歌があるんだ』を書くにあたり、意識した点を明かした。
燃え殻:内容はドラマや漫画で知ってほしいんですけど、「ほら見たことか」という悲劇にはしたくなかったんですよね。僕のなかでは、どんな道を選んだとしてもある一定の後悔をするだろうし、どんな道を選んだとしても、そこには“待っている人”がいると思っています。僕の人生がそうなんですけど、負けた先に大切な人がいるし、「あのとき負けてよかった」と思うことがあるんですね。どっちの道を選んだとしても、「あっちの道を選べばよかった」って常々思うんじゃないかなってことを、作品に込めたかった。誰にも“負け”はないし、“勝ち”もない。そんな物語ができたらいいなと思って書きました。
4月12日(火)の放送では、おかざき真里がゲストに登場。燃え殻と『あなたに聴かせたい歌があるんだ』にまつわるトークを繰り広げる。放送開始後から一週間、radikoで聞くことができる。
https://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20220413020000
燃え殻がお届けする『BEFORE DAWN』は、毎週火曜26時から。
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2022年4月12日28時59分まで
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番組情報
- BEFORE DAWN
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毎週火曜26:00-27:00
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燃え殻