「第18回ショパン国際ピアノコンクール」で2位を獲得した反田恭平さんが、オーケストラとの出会いや自身が手掛けるオーケストラ、人生の最終目標などを語った。
反田さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『~JK RADIO~TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」。ここでは、1月21日(金)のオンエアをテキストで紹介する。
【前回のオンエア】ピアニスト・反田恭平が語る、“ショパンの音楽を奏でるために大切なこと”は?
反田:僕は12歳までサッカー少年でした。ワールドカップに出たい一心でサッカーをずっとやっていましたけど、試合中に腕を骨折してしまって、ものすごい激痛だったので、「痛い職業は無理だわ」と思って(笑)。怪我をしない職業はないかなと思ったときに、当時から趣味でやっていたピアノがあったので、「ピアノなら骨折しないからピアニストになろう」と思ったのが、ひとつのきっかけです。でも腕がすべってグランドピアノの屋根が左手の指に落ちちゃって、結局ピアノでも怪我をしました(笑)。
反田:たまたま音楽教室の先生からもらったチラシに「指揮者は何者だ」っていうワークショップがありました。その最終回で「(指揮棒を)振ってみたい人」って言われて、母に半ば強制的に上げさせられて、指揮台に立ってみて、腕を振り下ろした瞬間のあの感動は何にも言い換えられなかったです。そのとき、初めてクラシック音楽がかっこいいって思えた瞬間でもあったんですよね。指揮者の先生に「ピアニストよりも指揮者になりたい、どうしたらなれますか?」と訊いたら、「とりあえず楽器をひとつ極めなさい。ピアノをやっているならオーケストラにすごく作用があるから、ピアノをやりなさい。極められるところまで極めてから指揮を勉強すると、すごくピアノが助けてくれる」と言われて、極めようと思ってここまで来た感じですね。
反田:あるとき福島県でのレコーディングから帰郷してきて、24時くらいに僕がチャプチェを作っていたんですよ。やっと席について食べようと思った瞬間に、マネージャーから連絡が来て、「明日、ドイツに旅立てますか?」と言われて。「明日」って言っても「9時間後の9時」みたいな感じで。場所を訊いたらドイツの田舎だと。ベルリンやミュンヘンをイメージしていたら知らないところで。「DMG森精機から(依頼が)きてるんだけど」と言われて。株主コンサートに出演するアーティストが決まっていたんですけど、怪我をされたから代役を探していて、たまたま僕のことを知っていてオファーをいただいたという感じです。
DMG森精機から依頼を受けてドイツへ飛び、演奏した反田さんは、その後の会食で思わぬ転機があった。
反田:改めてコンサート後の会食で、森(雅彦)さんと「初めまして」をして。「ありがとう、DMGと森精機が合併してDMG森精機になった株主コンサートだった。田舎ではあるけれども、この場所は共同の工場などがあり、すごく昔から親しくしている土地で、大切なコンサートだったから、何かお礼として代わりにできることはないかね」と言われて。「ちょうどオーケストラを作ろうと思っているんですけど、学校も作りたいんですよね」と、エレベーターピッチみたいなプレゼンをしたらすごく気に入ってくださって、「じゃあオーケストラを作ってみようか」ってなったのが4年前でした。
反田:日本にはたくさんのオーケストラがあるんですけど、あえてなぜ日本で作るかという理由が僕にとってはあります。世界で呼ばれてツアーをするオーケストラになりたいなとも思いますし、僕が20代で思い描いている人生の最終目標が、学校を作ることです。形態は、小さいかもしれないし大きいかもしれない。とりあえず学び舎を作れたらなと思っています。そのためにはオーケストラが必要なんじゃないかなと思って、今回立ち上げたわけです。プロでありながら、未来の音楽家たちのサポートもしていけるオーケストラ。オーケストラが世界で有名になれば、このオーケストラと共演したいと思ってもらえるし、「じゃあそのオーケストラはどこにあるの?」っていわれたら「あの学校のなかにあるんだ」と学生も集まります。そういう世界から日本に留学してくる環境を作りたいです。
夢は学校を作ることだという、現在27歳の反田さん。その挑戦は今後も続いていく。
反田:2016年に学校を作りたいなと思い始めてから、それを基準に考えること、マインドや思考が増えてきたので、学校を作ることに向かってずっと走っています。学校を建てるって言っている人、オーケストラを作るって言って作った人として、キャプテンが有名じゃなかったら人は来ないと目に見えていたので、だからこそ僕は「ショパンコンクール」に出て賞を取る必要がありました。いろいろ考えること、背負っているものは大きかったですね。
ジャパン・ナショナル・オーケストラの公式サイトはこちら。
『~JK RADIO~TOKYO UNITED』のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」では、トップセラーからモノづくりにかける夢を聞く。放送は毎週金曜の10時40分から。
反田さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『~JK RADIO~TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」。ここでは、1月21日(金)のオンエアをテキストで紹介する。
【前回のオンエア】ピアニスト・反田恭平が語る、“ショパンの音楽を奏でるために大切なこと”は?
サッカー少年だったものの「痛い職業は…」
まずはオーケストラとの出会いについて話を聞いた。反田:僕は12歳までサッカー少年でした。ワールドカップに出たい一心でサッカーをずっとやっていましたけど、試合中に腕を骨折してしまって、ものすごい激痛だったので、「痛い職業は無理だわ」と思って(笑)。怪我をしない職業はないかなと思ったときに、当時から趣味でやっていたピアノがあったので、「ピアノなら骨折しないからピアニストになろう」と思ったのが、ひとつのきっかけです。でも腕がすべってグランドピアノの屋根が左手の指に落ちちゃって、結局ピアノでも怪我をしました(笑)。
クラシック音楽をかっこいいと感じた瞬間
反田さんは、本格的な指導を受けられる音楽教室に12歳で入会。小林愛実さんなどと同期になった。反田:たまたま音楽教室の先生からもらったチラシに「指揮者は何者だ」っていうワークショップがありました。その最終回で「(指揮棒を)振ってみたい人」って言われて、母に半ば強制的に上げさせられて、指揮台に立ってみて、腕を振り下ろした瞬間のあの感動は何にも言い換えられなかったです。そのとき、初めてクラシック音楽がかっこいいって思えた瞬間でもあったんですよね。指揮者の先生に「ピアニストよりも指揮者になりたい、どうしたらなれますか?」と訊いたら、「とりあえず楽器をひとつ極めなさい。ピアノをやっているならオーケストラにすごく作用があるから、ピアノをやりなさい。極められるところまで極めてから指揮を勉強すると、すごくピアノが助けてくれる」と言われて、極めようと思ってここまで来た感じですね。
「株主コンサート」のあとで、思わぬ転機
反田さんは、2021年に世界最大手の工作機械メーカー・DMG森精機とタッグを組んでジャパン・ナショナル・オーケストラを株式会社にした。そもそもDMG森精機と反田さんには、どういう接点があったのだろうか。反田:あるとき福島県でのレコーディングから帰郷してきて、24時くらいに僕がチャプチェを作っていたんですよ。やっと席について食べようと思った瞬間に、マネージャーから連絡が来て、「明日、ドイツに旅立てますか?」と言われて。「明日」って言っても「9時間後の9時」みたいな感じで。場所を訊いたらドイツの田舎だと。ベルリンやミュンヘンをイメージしていたら知らないところで。「DMG森精機から(依頼が)きてるんだけど」と言われて。株主コンサートに出演するアーティストが決まっていたんですけど、怪我をされたから代役を探していて、たまたま僕のことを知っていてオファーをいただいたという感じです。
DMG森精機から依頼を受けてドイツへ飛び、演奏した反田さんは、その後の会食で思わぬ転機があった。
反田:改めてコンサート後の会食で、森(雅彦)さんと「初めまして」をして。「ありがとう、DMGと森精機が合併してDMG森精機になった株主コンサートだった。田舎ではあるけれども、この場所は共同の工場などがあり、すごく昔から親しくしている土地で、大切なコンサートだったから、何かお礼として代わりにできることはないかね」と言われて。「ちょうどオーケストラを作ろうと思っているんですけど、学校も作りたいんですよね」と、エレベーターピッチみたいなプレゼンをしたらすごく気に入ってくださって、「じゃあオーケストラを作ってみようか」ってなったのが4年前でした。
日本に留学してくる環境を作りたい。そのために…
2021年5月、森精機創業の地でもある奈良県にジャパン・ナショナル・オーケストラ株式会社を設立。オーケストラの活動が本格的に始まっている。反田:日本にはたくさんのオーケストラがあるんですけど、あえてなぜ日本で作るかという理由が僕にとってはあります。世界で呼ばれてツアーをするオーケストラになりたいなとも思いますし、僕が20代で思い描いている人生の最終目標が、学校を作ることです。形態は、小さいかもしれないし大きいかもしれない。とりあえず学び舎を作れたらなと思っています。そのためにはオーケストラが必要なんじゃないかなと思って、今回立ち上げたわけです。プロでありながら、未来の音楽家たちのサポートもしていけるオーケストラ。オーケストラが世界で有名になれば、このオーケストラと共演したいと思ってもらえるし、「じゃあそのオーケストラはどこにあるの?」っていわれたら「あの学校のなかにあるんだ」と学生も集まります。そういう世界から日本に留学してくる環境を作りたいです。
夢は学校を作ることだという、現在27歳の反田さん。その挑戦は今後も続いていく。
反田:2016年に学校を作りたいなと思い始めてから、それを基準に考えること、マインドや思考が増えてきたので、学校を作ることに向かってずっと走っています。学校を建てるって言っている人、オーケストラを作るって言って作った人として、キャプテンが有名じゃなかったら人は来ないと目に見えていたので、だからこそ僕は「ショパンコンクール」に出て賞を取る必要がありました。いろいろ考えること、背負っているものは大きかったですね。
ジャパン・ナショナル・オーケストラの公式サイトはこちら。
『~JK RADIO~TOKYO UNITED』のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」では、トップセラーからモノづくりにかける夢を聞く。放送は毎週金曜の10時40分から。
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