ドレスコーズ・志磨遼平が、幼少期に触れた音楽を振り返り、最新アルバムについて語った。
志磨が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。7月11日(日)のオンエア内容をテキストで紹介する。
吉岡:志磨さんとは映画で2回ニアミスをしていまして。映画『ゾッキ』のオリジナルサウンドトラックに志磨さんが参加されていましたよね。
志磨:そうでございます。実は映画には出演もしていて。
吉岡:そうなんですよね!
志磨:吉岡さんの回想シーンみたいなところでこっそり登場しました。
吉岡:「えっ、志磨さん!?」と観たとき驚きました(笑)。そして、映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』でも、お会いはしていないのですが別のシーンでそれぞれ出演したんですよね。やっとお会いできて、とても嬉しいです。
志磨:こちらこそ。よろしくお願いします。
吉岡:ご出身は和歌山県。どんな少年時代を過ごされましたか?
志磨:僕は一人っ子なんですけど、ずっと一人で遊ぶのが得意でしたね。漫画を描いたりだとか、野球が好きだったので壁相手にキャッチボールをしたり。住んでいるところは田舎だったので山も川もあったんですけど、アウトドアな遊びはそんなにしなかったです。ほとんど家で過ごしていました。
吉岡:インタビュー記事、すごく面白かったです。おうちで新しいおもちゃがあると友だちがワーッと遊びに来るんだけど、その姿を見ながら「はやく帰ってくれないかな」と思っていたらしいですね(笑)。
志磨:本当にそうなんですよ(笑)。
吉岡:おもちゃで遊ぶ順番を待っちゃうんですよね。
志磨:そう。買ったばかりのおもちゃで友だちが遊んでいるのに「嫌だ」って言えないんですよね。「どうぞどうぞ」って言っちゃう。結局、今もそういうところはあんまり変わっていないですね。
志磨は小学校の音楽の授業でジブリ映画『天空の城ラピュタ』の主題歌『君をのせて』を聴かせてもらったことが、音楽に興味を持ったきっかけだと話す。
志磨:授業中にその曲を聴いていたらポロポロと涙が出ました。はじめての経験でした。あの曲って歌詞が悲しいじゃないですか。
吉岡:『君をのせて』を子どもの頃に聴くと、なんであんなに胸がギューッとなるんでしょうね。
志磨:「お父さんとお母さんのもとを離れて、一人旅に出る。いつか会うべき人がこの地球のどこかにいる」みたいな歌詞なんですよね。
吉岡:そんな歌詞だったんだ!
志磨:そうそう。自分がいつか大人になることを予見している歌というか。(未来を)想像して嫌だなって思ったんですよね。
吉岡:すごい感受性ですよね。少年期からそこまで感じることができるのはすごいと思います。
志磨:今、言葉にすればそういうことなのかなって。小さい頃は「お父さんとお母さんと離れなきゃいけないのは嫌だ」みたいな思いだったと思います。
志磨:僕は当時野球少年で、プロ野球の試合をよく観に行っていたんですね。初めて観に行った試合は大阪だったのですが、目の前にスター選手が動いているんですよ。大興奮のなか、試合会場で流れていた曲が『もう恋なんてしない』だったんです。ふと。またその曲がどこかで流れていたときに、ワーッと試合のことを思い出してポロポロと泣きました(笑)。
吉岡:わあ! 音にすごく敏感な子どもだったんですね。
志磨:音楽に感情が揺さぶられて変なことになるのが、面白かったですね。「なんでこの曲を聴くと泣けるんだろう」みたいな。
吉岡:当時、周りのお友だちが志磨さんのことをどういうふうに見ていたのかはわからないんですけど、大人の私が子ども時代の志磨遼平さんに会ったら「すごい子を見つけたわ!」って気持ちになりそう(笑)。
志磨:ませていたのかなあ? 小学生の頃、あだ名ってありましたか?
吉岡:ありました!
志磨:みんなはあだ名で呼ばれているのに、僕だけ「志磨さん」と言われていました(笑)。
吉岡:(笑)。
志磨:敬語で話しかけられていましたね。子どもの頃の自分は、音楽を聴いて思い出してはジーンとなるっていうのが、好きな遊びでした。だから、楽器には未だに興味が向かないんです。演奏は今もセンスや才能がなくて。ただ、音楽を聴いて変な気持ちになる特技は、今もあると思います。
吉岡:子どものときの独特な感性の多くが、大人になるにつれて薄れていくと思うんですよ。それがご自身のなかで変わらず特技として残っていると聞いて、納得がいきました。私は志磨さんの曲を聴いているとはじめに「カッコいい」と感じるんです。志磨さんが作り上げる世界に連れて行ってもらう感覚になるんですよ。
志磨:ここ何年も「あとあと歴史の教科書に載るんだろうな」と感じるような、時代の変わり目に僕らは生きていると思うんですよ。新しく変わる時代のなかで、ルールやマナーなど感覚を改めて学ばないといけないんだけど、昔からあるもののなかには、「置いていっていいもの」と「置いていっちゃだめなもの」がたぶんあると思うんです。だから、そのことについても勉強しないといけない。昔のこと・新しいことをとにかく勉強しないとだめだと思ったんですよ(笑)。なので、「学んで成長する」ことをアルバムのテーマにしました。
吉岡:学びと成長。制作期間中に新しい発見はありましたか?
志磨:「一人ではバンドはできない」という、当たり前のことに気付きました。今まで、「こうやればうまくいく」みたいな、自分なりの制作のメソッドがあったはずなんです。それが、まったく通用しなくって。バンドみたいな音楽にしようと思って作ってみても、どうも“嘘”っぽくなってしまう。それはたぶん、しばらく誰とも会っていないし、家を出ていないから。いつもみたいにワーッと賑やかな演奏が、自分の曲にまったく合わなくなってしまったんです。「これは一人で作るしかないな」と思って、家で毎日コソコソとピアノで作り溜めた曲がアルバムになった感じですね。
吉岡:とても丁寧でかわいい間取り図が届きました。
志磨:ほええ。
吉岡:(笑)。本棚が多いですね。
志磨:そうですね。床から天井につくぐらいまでの大きな本棚を4つ並べました。壁一面が本棚っていうのに憧れていたんですよ。
吉岡:いいですよね。
志磨:最初は本を入れても入れても埋まらないから「これはいいな」って思っていたんですよ。だけど、今度は埋まっていないことが気になっちゃって。前にも増してたくさん本を買うようになりました。今は本で溢れています。
志磨に「ライフスタイルにまつわることで苦手なことは?」と質問すると、「ほとんどすべてが苦手」との答えが返ってきた。
志磨:家に家電がないんですよ。引っ越してずいぶんと経つんですけど、いまだに電子レンジも炊飯器もなくて。でも、なんとなく成り立ってしまっているんですよね。
吉岡:「まあいいかな」という感じなんですね。私も志磨さんには生活感がないイメージがあるので、家事ができないと知ってちょっと嬉しいです。
志磨:本当ですか。自分でササッと料理を作れる男の人とか、カッコいいなって思ったりはするんですけどね。
吉岡:私にとっての志磨さんのイメージは、電子レンジのボタンを「これでいいのかな?」ってきょろきょろしながら押してほしいです(笑)。
志磨:見られているのかと思うぐらい、イメージ通りです(笑)。
志磨:YouTubeで面白い動画を観ていたりする時間がおうち時間かもしれないですね。あとはラジオを聴いたりとか。
吉岡:やっぱり、「観て、聴いて」が常って感じですね。
志磨:観て聴いたものが知らないあいだに自分のなかに蓄積されていて、何かのタイミングでコーヒーのドリップのようにポロっと出る。ドリップのようにゆっくりで、ちょっとしか出ないんですよ(笑)。だから、ジャバジャバと本をたくさん買って家を埋めて、何年か経ったあとにポトンと一滴ぐらい落ちる。その一滴が、自分の作品になっています。
吉岡:すごくいい例えですね。一滴に凝縮されたものが、アルバムとして出ているわけですね。ぜひ、みなさんもその一滴を感じていただけたらなと思います。
志磨遼平の最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。
『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、より良いライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。
志磨が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。7月11日(日)のオンエア内容をテキストで紹介する。
初対面だけど、共演していた
志磨は2006年にロックバンド・毛皮のマリーズでメジャーデビュー後、2011年にバンドを解散。2012年にドレスコーズを結成したが、2014年以降はライブやレコーディングのたびにメンバーが入れ替わるソロプロジェクトとして活動している。この日が初対面である吉岡と志磨だが、過去に間接的な関わりがあった。吉岡:志磨さんとは映画で2回ニアミスをしていまして。映画『ゾッキ』のオリジナルサウンドトラックに志磨さんが参加されていましたよね。
志磨:そうでございます。実は映画には出演もしていて。
吉岡:そうなんですよね!
志磨:吉岡さんの回想シーンみたいなところでこっそり登場しました。
吉岡:「えっ、志磨さん!?」と観たとき驚きました(笑)。そして、映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』でも、お会いはしていないのですが別のシーンでそれぞれ出演したんですよね。やっとお会いできて、とても嬉しいです。
志磨:こちらこそ。よろしくお願いします。
『天空の城ラピュタ』の主題歌で音楽に目覚めた
吉岡は志磨の音楽のルーツを探るべく、幼少期のエピソードとはじめて買ったCDについて訊いた。吉岡:ご出身は和歌山県。どんな少年時代を過ごされましたか?
志磨:僕は一人っ子なんですけど、ずっと一人で遊ぶのが得意でしたね。漫画を描いたりだとか、野球が好きだったので壁相手にキャッチボールをしたり。住んでいるところは田舎だったので山も川もあったんですけど、アウトドアな遊びはそんなにしなかったです。ほとんど家で過ごしていました。
吉岡:インタビュー記事、すごく面白かったです。おうちで新しいおもちゃがあると友だちがワーッと遊びに来るんだけど、その姿を見ながら「はやく帰ってくれないかな」と思っていたらしいですね(笑)。
志磨:本当にそうなんですよ(笑)。
吉岡:おもちゃで遊ぶ順番を待っちゃうんですよね。
志磨:そう。買ったばかりのおもちゃで友だちが遊んでいるのに「嫌だ」って言えないんですよね。「どうぞどうぞ」って言っちゃう。結局、今もそういうところはあんまり変わっていないですね。
志磨は小学校の音楽の授業でジブリ映画『天空の城ラピュタ』の主題歌『君をのせて』を聴かせてもらったことが、音楽に興味を持ったきっかけだと話す。
志磨:授業中にその曲を聴いていたらポロポロと涙が出ました。はじめての経験でした。あの曲って歌詞が悲しいじゃないですか。
吉岡:『君をのせて』を子どもの頃に聴くと、なんであんなに胸がギューッとなるんでしょうね。
志磨:「お父さんとお母さんのもとを離れて、一人旅に出る。いつか会うべき人がこの地球のどこかにいる」みたいな歌詞なんですよね。
吉岡:そんな歌詞だったんだ!
志磨:そうそう。自分がいつか大人になることを予見している歌というか。(未来を)想像して嫌だなって思ったんですよね。
吉岡:すごい感受性ですよね。少年期からそこまで感じることができるのはすごいと思います。
志磨:今、言葉にすればそういうことなのかなって。小さい頃は「お父さんとお母さんと離れなきゃいけないのは嫌だ」みたいな思いだったと思います。
「音楽に感情が揺さぶられて…」豊かな感受性
志磨が初めて買ったCDは槇原敬之の『もう恋なんてしない』だった。志磨:僕は当時野球少年で、プロ野球の試合をよく観に行っていたんですね。初めて観に行った試合は大阪だったのですが、目の前にスター選手が動いているんですよ。大興奮のなか、試合会場で流れていた曲が『もう恋なんてしない』だったんです。ふと。またその曲がどこかで流れていたときに、ワーッと試合のことを思い出してポロポロと泣きました(笑)。
吉岡:わあ! 音にすごく敏感な子どもだったんですね。
志磨:音楽に感情が揺さぶられて変なことになるのが、面白かったですね。「なんでこの曲を聴くと泣けるんだろう」みたいな。
吉岡:当時、周りのお友だちが志磨さんのことをどういうふうに見ていたのかはわからないんですけど、大人の私が子ども時代の志磨遼平さんに会ったら「すごい子を見つけたわ!」って気持ちになりそう(笑)。
志磨:ませていたのかなあ? 小学生の頃、あだ名ってありましたか?
吉岡:ありました!
志磨:みんなはあだ名で呼ばれているのに、僕だけ「志磨さん」と言われていました(笑)。
吉岡:(笑)。
志磨:敬語で話しかけられていましたね。子どもの頃の自分は、音楽を聴いて思い出してはジーンとなるっていうのが、好きな遊びでした。だから、楽器には未だに興味が向かないんです。演奏は今もセンスや才能がなくて。ただ、音楽を聴いて変な気持ちになる特技は、今もあると思います。
吉岡:子どものときの独特な感性の多くが、大人になるにつれて薄れていくと思うんですよ。それがご自身のなかで変わらず特技として残っていると聞いて、納得がいきました。私は志磨さんの曲を聴いているとはじめに「カッコいい」と感じるんです。志磨さんが作り上げる世界に連れて行ってもらう感覚になるんですよ。
アルバムに込めたテーマは「学びと成長」
6月16日、ドレスコーズは2年ぶりとなる最新アルバム『バイエル』をリリースした。今回のアルバムのテーマは「学んで成長する」とのことだが、志磨はアルバムに込めた思いについて語った。志磨:ここ何年も「あとあと歴史の教科書に載るんだろうな」と感じるような、時代の変わり目に僕らは生きていると思うんですよ。新しく変わる時代のなかで、ルールやマナーなど感覚を改めて学ばないといけないんだけど、昔からあるもののなかには、「置いていっていいもの」と「置いていっちゃだめなもの」がたぶんあると思うんです。だから、そのことについても勉強しないといけない。昔のこと・新しいことをとにかく勉強しないとだめだと思ったんですよ(笑)。なので、「学んで成長する」ことをアルバムのテーマにしました。
吉岡:学びと成長。制作期間中に新しい発見はありましたか?
志磨:「一人ではバンドはできない」という、当たり前のことに気付きました。今まで、「こうやればうまくいく」みたいな、自分なりの制作のメソッドがあったはずなんです。それが、まったく通用しなくって。バンドみたいな音楽にしようと思って作ってみても、どうも“嘘”っぽくなってしまう。それはたぶん、しばらく誰とも会っていないし、家を出ていないから。いつもみたいにワーッと賑やかな演奏が、自分の曲にまったく合わなくなってしまったんです。「これは一人で作るしかないな」と思って、家で毎日コソコソとピアノで作り溜めた曲がアルバムになった感じですね。
たくさんの本に囲まれた暮らし
『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、ゲストのライフスタイルに注目。志磨が手描きした間取り図を見ながら、吉岡は自宅の様子を訊いた。吉岡:とても丁寧でかわいい間取り図が届きました。
志磨:ほええ。
吉岡:(笑)。本棚が多いですね。
志磨:そうですね。床から天井につくぐらいまでの大きな本棚を4つ並べました。壁一面が本棚っていうのに憧れていたんですよ。
吉岡:いいですよね。
志磨:最初は本を入れても入れても埋まらないから「これはいいな」って思っていたんですよ。だけど、今度は埋まっていないことが気になっちゃって。前にも増してたくさん本を買うようになりました。今は本で溢れています。
志磨に「ライフスタイルにまつわることで苦手なことは?」と質問すると、「ほとんどすべてが苦手」との答えが返ってきた。
志磨:家に家電がないんですよ。引っ越してずいぶんと経つんですけど、いまだに電子レンジも炊飯器もなくて。でも、なんとなく成り立ってしまっているんですよね。
吉岡:「まあいいかな」という感じなんですね。私も志磨さんには生活感がないイメージがあるので、家事ができないと知ってちょっと嬉しいです。
志磨:本当ですか。自分でササッと料理を作れる男の人とか、カッコいいなって思ったりはするんですけどね。
吉岡:私にとっての志磨さんのイメージは、電子レンジのボタンを「これでいいのかな?」ってきょろきょろしながら押してほしいです(笑)。
志磨:見られているのかと思うぐらい、イメージ通りです(笑)。
たくさんの知識と経験が凝縮されて音楽作品が生まれる
最後に志磨は、お家時間の楽しみ方を語った。シンガーソングライターである志磨にとって、音楽や読書は仕事の延長だと感じるそうだ。志磨:YouTubeで面白い動画を観ていたりする時間がおうち時間かもしれないですね。あとはラジオを聴いたりとか。
吉岡:やっぱり、「観て、聴いて」が常って感じですね。
志磨:観て聴いたものが知らないあいだに自分のなかに蓄積されていて、何かのタイミングでコーヒーのドリップのようにポロっと出る。ドリップのようにゆっくりで、ちょっとしか出ないんですよ(笑)。だから、ジャバジャバと本をたくさん買って家を埋めて、何年か経ったあとにポトンと一滴ぐらい落ちる。その一滴が、自分の作品になっています。
吉岡:すごくいい例えですね。一滴に凝縮されたものが、アルバムとして出ているわけですね。ぜひ、みなさんもその一滴を感じていただけたらなと思います。
志磨遼平の最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。
『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、より良いライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。
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