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篠原ともえ、ユーミンの衣装デザインを手がけたきっかけは? 創作の原点を辿る

篠原ともえ、ユーミンの衣装デザインを手がけたきっかけは? 創作の原点を辿る

デザイナーでアーティストの篠原ともえが、創作活動の原点や、最近ハマっている版画について語った。

篠原が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『ORIENT STAR TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。ここでは6月12日(土)のオンエアをテキストで紹介する。

デザイナーとして活躍! テキスタイルデザインを手がけることも

篠原は1995年、石野卓球のプロデュースでシンガーとしてデビュー。そのキャラクターが話題になり、一大ムーブメントを巻き起こした。シンガーのみならず、映画やドラマ、舞台、CMなどさまざまなジャンルで活躍し、衣装デザイナーとしての創作活動もスタート。さらに地方創生の地域ブランディングに参加するなど、自身の個性を存分に発揮し、さまざまな分野で活躍している。

市川:いろいろな活動をされていますが、いまはデザインの仕事が多いんですよね。
篠原:衣装デザイン以外の、たとえばパッケージのコラボデザインとかテキスタイルデザインとか。楽しいですよ。自分で描いた水彩画なんかをテキスタイルに落としていって。そうすると発売したテキスタイルを使って、みなさんが自分自身でモノづくりをされて、それを大切な宝物にしていくっていうのが、デザインのコラボレーションみたいで楽しいなあと思って。
市川:服のデザインはどういうプロセスで始めたんでしょうか。
篠原:自分のものを作る場合は、シチュエーションに合わせます。どういうセレモニーなのかとか、セットはどういう感じなのかとか、「その空間に合う」というのをまずはリサーチして。そこから色がパッと思い浮かんでくるんです。色が出てきたらシルエットをなんとなくデッサンして、そこからはトレンドなどをリサーチしますね。
市川:最初に色がくるんですね。篠原さんにはカラフルなイメージがもともとあるので、やっぱり色なんだと思いました。
篠原:自分のお洋服も自分で絵を描いて作っていました。アクセサリーも自分でこしらえたり。母が洋裁好きで、家でずっとミシンを踏んでいるイメージがあったので「作ること」がすごく身近にありましたね。
市川:アーティストの衣装もデザインされているんですよね。
篠原:松任谷由実さんや嵐さんからコンサートの衣装デザインのお話をいただいて。自分が好きで着るものとはまた違った、しっかりとした物語やコンセプトがあって、そのなかに自分がどういうふうにプレゼンテーションしていくかという、ある意味、自分のスキルを試すようなスペシャルなプロジェクトなので、やっぱり緊張もあります。

クリエイティブスタジオ「STUDEO」の名前に込めた想い

篠原は2020年に夫であるアートディレクターの池澤 樹とともに、クリエイティブスタジオ「STUDEO」を設立。その経緯について語った。

篠原:もともとプレゼン資料を作るとき、リサーチもサンプル集めもひとりでしていたので、もう本当に大変だったんです(笑)。「いつかチームでできたらな」と思っていたときに、アートディレクターの池澤 樹さんにお会いして。その話をしているうちに縁があって結婚したんですけど、その入籍と同時に「デザイン会社を一緒に作ろうか」と話が出て。それでデザイナーとマネージャーを入れて、私が副社長になって。
市川:かっこいい! それに向けてパターンを改めて学んだと伺っています。これはなぜですか?
篠原:より本格的にデザインの仕事を生業にしていく上で、自分はどんどん指導する側もメインになってくるので。もともと新宿にある文化学園大学に10代20代のときに大学生として通っていたんです。そこの夜間のオープンカレッジにもう一回通い直して、お洋服のパターンを学び直しました。会社を作ったときに「さあ、いまからデザイナー」というよりは、ちゃんと学んで挑みたかったので。会社の名前も夫が決めたんですけど「STUDEO」はラテン語で「学ぶ」という意味なんです。
市川:そうか、「STUDY」とかの語源ですね。
篠原:そうです。学んだことを自分でブラッシュアップして届ける会社にしていきたいねと思って、もう一回学校に行ったんですよね。

人前に出る喜びを知ったバレエの発表会

篠原は、少女時代は人見知りで、人形の洋服を作り着せ替えたり、塗り絵をしたりなど、家遊びが好きだったそうだ。

市川:テレビでガンガン出ていたときより、いまのモノを黙々と作っている感じのほうが近いんですね。
篠原:まさにそうですね。でもあまりにおとなしかったので、私の母が「なにか習い事をさせよう」と、バレエのお稽古をやるようになって。バレエって1年に1回発表会があって、そのときに華やかな衣装を着て、たくさんの方に拍手をもらえて、その瞬間に「私にむいてる!」「みんな私に拍手をくれている」って思ったんです(笑)。
市川:味を占めて(笑)。
篠原:味を占めちゃって、そこからすごく明るい子に変わったんですよね。
市川:人が見てくれることをエネルギーに変えられるタイプだったんですね。
篠原:そうだったのかもしれない。でもそれと同時に、お針子ルームでチュールや髪飾りとか衣装を寸前まで作っているシーンもすごく覚えていて、「かっこいい!」と思ったんです。
市川:なるほど、裏側もかっこいいと。
篠原:子どもながらに「どっちもいいな」と思ったのをすごく覚えてるんですよね。
市川:デビューのときに自分の衣装もデザインされていたのは、本当にピッタリだったんですね。
篠原:「両方かなえたい」って贅沢に(笑)。

初めて衣装デザインを手がけたアーティストは?

篠原は中学生のときに歌手になりたいと思い、オーディションを受けて合格。電気グルーヴの石野卓球によるプロデュースでデビューするアーティストとして選ばれ、そこからはとんとん拍子にデビューが決まったという。デビュー時の篠原は高校生で、デザイン専攻の学校に通っていた。

篠原:そのときからデザイン画をいっぱい描いていたので、ディレクターさんに「自分でお洋服を作って着たいんですけど、いいですか?」って言ったら「むしろスタイリスト代がかからないから自分でお洋服やってください」って(笑)。
市川:そんな理由で(笑)。素晴らしい。
篠原:自分で作ったりアレンジしたりしたお洋服で写真を撮って、それをアルバムやシングルのジャケットに使って。だから当時から自分でお洋服をやっていましたね。

自身で衣装をデザインし、テレビや舞台に出演していた篠原は、その活動を続けているうちに、2015年に松任谷由実のラジオに出演したことがきっかけで、松任谷正隆から「じゃあ今度ユーミン(松任谷由実)のもやってみませんか?」と話が来たという。それがアーティストの衣装を手がけた最初の仕事だったそうだ。

裁縫道具を活用して紙凹版に挑戦中

続いて市川は、篠原がプライベートでハマっているものを尋ねる。すると、版画を習い始めたことを明かし、自身の作品をスタジオで披露した。

市川:素敵! これ、版画なんですか? 水墨画みたい。版画でこういうことができるんですね。本当に墨絵みたいな感じ。
篠原:これは紙凹版といいます。実は版画は銅板を掘って、その堀った溝のなかにアマニ油などを混ぜたインクをギュッと詰めて、それで拭いて、それを凹版していくんです。だけど私は紙で作っているんです。
市川:え、紙?
篠原:紙をお裁縫のときに使う目打ちっていう尖った道具で掘って、そのなかにインクをつけて。
市川:紙が柔らかいからインクが全部滲んじゃいそうだけど、すごい。面白いですね。
篠原:夢中になって作っちゃうんです。ボタンノミっていうボタンの穴を空ける道具があって、自分のお裁縫道具を版画に活かせないかなと思って、使い慣れた道具で版画をしています。もうすっごく楽しくてハマッちゃって。
市川:紙でやっているからいい感じの滲み具合が出て水墨画っぽいんですね。
篠原:そうなんですよ。インクを自分で染み込ませたら、拭くのも自分で加減ができるんですね。その加減を楽しみながら。
市川:面白い!
篠原:すっごく楽しいですよ、版画教室。
市川:でも版画教室で紙や裁縫道具でやるとは習わないですよね?
篠原:それは自己流ですね(笑)。
市川:教室で基礎を学んで、そこから自分の道具で自己流に。楽しそう。
篠原:楽しいですよ。大人の習い事です。

『ORIENT STAR TIME AND TIDE』では、革新的な活動によって各界をけん引している人物をゲストに迎えて、現在の活動はもちろん、これから先どのようなビジョンに向かって進んでいくのかをじっくりと伺っていく。放送は毎週土曜日の21時から。

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番組情報
ORIENT STAR TIME AND TIDE
毎週土曜
21:00-21:54