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フランスの漫画「バンド・デシネ」とは? 現地の漫画事情を翻訳家が解説

フランスの漫画「バンド・デシネ」とは? 現地の漫画事情を翻訳家が解説

J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。12月5日(土)のオンエアには、翻訳家の原正人氏が登場。フランスの漫画「バンド・デシネ」を中心に翻訳を手がける原氏に、「バンド・デシネ」とは何か、そして現地での漫画の盛り上がりについて訊いた。

フランスの漫画を指す「バンド・デシネ」とは?

そもそも「バンド・デシネ」とは、英語のコミック・ストリップという言葉の翻訳と言われており、1930年代くらいに生まれ、1950年代以降に普及した言葉だという。「日本の『Manga』という言葉も、今入ってきているので、特にフランス語圏の漫画を指す」と原氏。

「典型的なバンド・デシネ」だというフォーマットは、「大体48ページくらいしかないんです。オールカラーで、ハードカバーで、A4判くらい」だという。

「(一般的な)漫画に比べると絵画的。絵が“ピクチャー”な感じ」という葉加瀬の感想に対し、「アートっぽいところもあれば、絵本に近いと言えるかもしれないですね」と原氏。さらには「今では日本の漫画がすごく翻訳されているので、日本の漫画の影響を受けている人たちもたくさんいます」と話した。

年に一度行われる漫画のフェスティバル

原氏は、フランス・アングレームで年に一度行われているフェスティバル「アングレーム国際漫画祭」についても語った。

アングレームは、フランスの南西部に位置する街。TGVという新幹線で、パリから3時間ほどで行くことができる。

1974年から始まったこのフェスティバル。「1960年代末は世界中で色々なカウンターカルチャーがあった時期。(漫画を読んだ)子どもたちが成長していくと、漫画がその人たち向けに青年化するということが世界中で起きるわけですね。漫画はアートとしてはちょっと下に見られるわけじゃないですか。でもその頃、『俺たちが愛したバンド・デシネはいいものなんだよ』ということを言う人が結構出てくるわけです。(そこで)バンド・デシネのフェスティバルを地方の活性化とともにやろうと。(さらに)フランスは外国の文化に寛容じゃないですか。そういった面もあり、バンド・デシネだけじゃなく世界中の漫画を盛り上げていこうということがあると思いますね」と原氏は解説した。

毎年1月末から2月ごろに4日間行われ、街そのものがフェスティバル一色になるという。原氏は「公称では世界中から20万人のお客さんがくるそうです。展覧会やコンサート、ライブペインティングなど、色んなイベントが行われています」と続けた。

このフェスティバルでは、毎年グランプリが決定される。

「世界中の漫画シーンの中でいい仕事をしたという人への賞で、2015年には大友克洋さんがグランプリを受賞しました。受賞した人は翌年呼ばれ、そこで展覧会を行ったり講演を行ったりします。大友さんは講演を行うということで、そのときにコーディネーターとしてご一緒させていただきました」と原氏。

原氏は「日本の漫画が世界で評価されるのが1990年代頃のことでしたが、ちょうど『AKIRA』の最後の方がその時期に出るというタイミングにありました」という背景に触れつつ、「大友さん自身がバンド・デシネに影響を受けたと公言されている。(文化の)循環が起きているのが美しいと思います」と語った。

最近ではサウザンコミックスというレーベルから出版された、ダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』の訳を手がけた原氏。一方で、YouTubeチャンネル「海外マンガch」でも活動をスタート。「世界中の漫画は日本ではまだまだ知られていないので、知ってほしい」という思いで始めたそうだ。

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2020年12月12日28時59分まで

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19:00-19:54