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NUMBER GIRL・田渕ひさ子、13歳でギターを始めて…アユニ・Dが聞く音楽体験

NUMBER GIRL・田渕ひさ子、13歳でギターを始めて…アユニ・Dが聞く音楽体験

J-WAVE(81.3FM)×「MUSIC FUN !」連動企画である、深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』。“すごい”音楽をつくるクリエイターが“WOW”と思ういい音楽とは? 毎月1人のクリエイターがマンスリープレゼンターとして登場し、ゲストとトークを繰り広げる。

8月のマンスリープレゼンターは、BiSHと並行して、バンド形態のソロプロジェクト“PEDRO”としても活躍中のアユニ・Dが担当。8月7日(金)のオンエアでは、NUMBER GIRLのギターであり、PEDROのサポートメンバーでもある田渕ひさ子が登場。ここでは、田渕が音楽のルーツについて語った部分を紹介しよう。

アユニ・Dにとって田渕ひさ子は「自分の音楽の原点であり頂点」

アユニ・Dは田渕を「私の人生に革命を起こした人」と表現する。2018年、PEDRO『自律神経出張中』のミュージックビデオ撮影で2人は出会った。



田渕:すごく暑い日でした。(アユニ・Dは)しっかりしているイメージがありました。すごく若いのにキャッキャしてない、落ち着いている印象でした。
アユニ・D:暗いんですよ。すみません。当時のレーベルの方がNUMBER GIRLが大好きで、その方からひさ子さんと会う直前に「ひさ子さんは日本で一番キレのあるギタリストだよ」って教えられました。ライブ映像とかを観て、本当にそうだなって思ったんです。当時の私は、音楽に無知だったので、PEDROをきっかけにひさ子さんの存在と、やってらっしゃる音楽を知ったんです。ライブ映像を観ると、すごくキレのある、「日本刀で切られるんじゃないか」っていうような、轟音かつすごく繊細な音作りをされて、すさまじいギターを弾いてらっしゃっていて。だから話しかけたら切られるんじゃないか、みたいな(笑)。
田渕:あはは(笑)。でもわりとしゃべるのが遅くてボソボソしてる(笑)。すごくツンとした人だと思われることが多いかもしれないです。
アユニ・D:優しく話かけていただきました。
田渕:優しかったですか?
アユニ・D:優しいです!
田渕:よかった(笑)。
アユニ・D:あたたかくて、温度のある話し方で、笑顔がすごく多くて。ひさ子さんを知ってから、ひさ子さんのライブ映像や20年前のコラム、インタビュー記事、全部買いあさりました。
田渕:(笑)。
アユニ・D:がっつりひさ子さんの気持ち悪いファンみたいになってしまったんですけど、本当に自分の音楽の原点であり頂点である方なので、今日は本当にありがとうございます。
田渕:いいえ、なんとお返ししたらいいか。ありがとうございます。

制服のままギターを弾いた日々

アユニ・Dは、田渕の音楽のルーツを掘り下げた。

アユニ・D:ギターを始めたのは?
田渕:中学1年生の冬とか。私が冬生まれなので、13歳のはじめから。
アユニ・D:きょうだいの影響で?
田渕:そう。お姉ちゃんもお兄ちゃんもいて、私が小学校低学年のころから上のお姉ちゃんはユーミン(松任谷由実)、下のお姉ちゃんはTM NETWORKをよく聴いていて、音楽には常に触れていました。ギターを始めたのは私が通っていた中学校が空前のバンドブームで、先輩もバンドをやっているし、同じ学年にも7バンドぐらい男子のバンドが存在していて。
アユニ・D:すごいですね。
田渕:たまたまそういう中学校だった。それで「なんか楽しそうだな」「そういえばうちにギターがあったな」と思って。お兄ちゃんのボロボロのクラシックギターが押し入れのなかで眠っていたので、それを引っ張り出して弾き始めました。
アユニ・D:教わったんですか?
田渕:クラスに1人すごくギターがうまい男の子がいたんです。でも、私はとても暗かったので(笑)、あまり話しかけられないんだけど、わからないことがあると「〇〇ってどうなの?」みたいに、ボソボソって訊いてました。
アユニ・D:じゃあ、始めたときはほぼ独学。コピーはしていたんですか?
田渕:雑誌の付録の歌本みたいなものがあって、歌詞の上にGマイナー、とかDってコードが書いてあるのを見て。毎月その付録がついていて、ひと月に2曲ぐらいずつ、コードの押さえ方の絵も書いてあるっていう。巻頭2ページぐらいはそういう曲があったので、それをノートに写して(笑)。CからCマイナー、Cマイナー7とか。ありあまっている時間をそこに注いでいました。

コードを覚えた田渕は、小遣いを貯めて本屋でコードブックを購入。その本を見ながら、知っている曲をとりあえず弾く、という方法で少しずつギターに慣れていった。

田渕:でも、クラシックギターだったので、音もモノもデカい。私は熱中するとそればっかりになっちゃうので、家族から「寝られない」「うるさい」「テレビが聴こえない」と言われました。学校から帰ってきたら「ごはんよ」って言われるまで、制服のままジャカジャカやる毎日。

田渕いわく「そのころは女子がバンドをやっていると言ったらミーハーかオタクと思われる。今みたいに『ギターをかついでいる女の子がかわいい』という文化は皆無だった(笑)」とのこと。

田渕:男子はバンドをやったらモテるかもしれないけど、女子はまったくない。まあそれは私個人の問題ですけどね(笑)。ひとつ上の学年に男の子が組んでるバンドが7つくらいあったけど、女の子は2つくらい。私がギターを弾いているってだけで、学年のかわいい女の子から「バンドをやろう」って言われて。「え、いいの?」「この人と話したことない」みたいな(笑)。それで女の子バンドを組んでいました。

「ビビりながら、それでも」どんなライブでも観に行った

アユニ・Dが田渕に好きなアーティストを訊くと「中学3年生ぐらいからすごくすかんちが好き」と回答。

田渕:すかんちって曲のいたるところに60年代70年代のバンドのオマージュやフレーズがあって、それを見つけるのが楽しくて、よく聴いていました。あとはクイーンとかツェッペリンとかを聴くんだけど、中学生がそんなのを部屋で流していると「異国感」がすごい。かっこいいとかかっこわるいとかがまるでわからない感じのまま、ずっと聴いていました。70年代のバンドとかを聴き漁ってました。
アユニ・D:ライブも行っていたんですか?
田渕:中2くらいからなんでもかんでも観に行っていました。地元の福岡県って自分の好きなバンドがしょっちゅうツアーをしに来るわけじゃないし、1人で行く勇気もないから、友だちが「このライブを観に行きたい」と言っていたら「ついて行くよ!」って。そういう「誰にでもついていく人」みたいな。
アユニ・D:そんなに知らなくても?
田渕:熱心なファンというバンドじゃなくても、なんでも観に行ってました。
アユニ・D:私が学生のときは、ライブハウスに行くっていう行為、文化が自分の中になかったです。怖くなかったですか?
田渕:めちゃくちゃ怖い(笑)。
アユニ・D:狭いライブハウスだともみくちゃになったり。
田渕:当時のライブハウスはタバコ臭くて、なかに入ったら全部真っ黒だし、受付の人もみんな怖いし、そういう時代で、今みたいに「ライブハウスの人とお客さん」じゃなくて、ただただ怖い店員さん、みたいな。ビビりながら、それでも観に行ってました。

アユニ・Dがマンスリーナビゲーターを務める8月の『WOW MUSIC』。8月14日(金)は、yonigeのギターボーカル・牛丸ありさと音楽談義を繰り広げる。放送は24時30分から。

深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』はJ-WAVEと、MUSIC FUN !のコラボ。『MUSIC FUN !』のYouTubeページには、同番組のトーク動画のほか、ミュージシャンやプロデューサーによる音楽の話が数多く配信されている。

・『MUSIC FUN !』のYouTubeページ
https://www.youtube.com/c/musicfun_jp

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番組情報
『WOW MUSIC』
毎週金曜 24時30分-25時
24:30-25:00