電話に出ようとしたり、通話対応中に恐怖を感じる「固定電話恐怖症」がメディアで取り上げられ話題となっている。仕事内容にもよるが、避けて通れない人も多いだろう。なぜ恐怖心を感じるのか、株式会社「人材研究所」の代表・曽和利光さんが解説した。
曽和さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ・増井なぎさ)。3月18日(水)のオンエア。
■電話対応に恐怖心を覚える理由は?
若者が固定電話に対して恐怖心を覚えるのは、テキストや写真でのコミュニケーションをメインにしてきたという世代的な理由がひとつ。さらに、新人特有の理由もある。
曽和:固定電話を新人さんが取ると、自分宛ではない場合がほとんどじゃないですか。見知らぬ人からの電話に必ず出なければいけないので、そこに恐怖心を抱いてしまうんですね。
増井:ちゃんと社内のルールに沿って対応しないと、怒られるかもしれないという恐怖もありそうですね。
曽和:そうですね。やらなければならない型があって、それがちゃんとできているのかを、先輩たちに聞かれるわけですからね。先輩としては変な敬語を使っていたら注意する必要があるわけですから、若手社員からすると“抜き打ちテスト”が始まったような感覚になるんですよね。
サッシャ:それも、予告なしでいきなりスタートしますしね。
「固定電話恐怖症」は「大人恐怖症」でもあると、曽和さんは語る。
曽和:昔だと、年上の人とのコミュニケーションって、小さい頃からけっこうあったと思うんです。現在の若い方は、同学年とばかり話してきたってケースがわりと多くて。たとえば、私立の学校に通っていると、地域の子どもたちと遊ぶ機会ってほとんどないじゃないですか。ですので、結果的にフラットな関係性である同年代とばかり遊ぶケースが増えてしまうんです。採用面接をしていると、リーダーシップがある人というのは、実は希少価値が高いんですね。目上の人や年上の人に対して、堂々とコミュニケーションを取れる人は減っているんです。固定電話をかけてくるのはだいだい目上か年上の方なので、恐怖を抱く背景は、そういう部分にもあると思います。
■会社の固定電話は本当に必要なのか
『STEP ONE』では、会社の固定電話が必要だと思うかどうか、アンケートを実施。結果、70パーセントが「必要」と答えた。業種によっては必須だと、曽和さんは具体例を挙げる。
曽和:日本は高齢化社会なので、高齢の方を相手にしたビジネスだと、電話は必要になりますね。たとえばお年寄り向けの旅行代理店だと、電話がないと商売が難しいですよね。
サッシャ:下請けの業者だったら、営業のチャンスを広げるために、電話を使った窓口を増やしておきたいという狙いもあるかもしれないですね。
曽和:そうですね。あとは取引先が電話対応中心だと、どうしても使わざるを得ない場面もありますよね。合理的でないけれど、固定電話を導入するしかない企業は多いと思います。
しかし最近は新型コロナウイルスの影響で、テレワークを導入する会社も増加。固定電話がない状況でも仕事を行えると体感している人も少なくないだろう。電話対応は仕事の中断を余儀なくされるというデメリットもあるため、「本当に必要か?」という見直しは進むかもしれない。曽和さんは、クレーマー対策としても、メールフォームから受け付けるのが有効ではないかと考えている。
曽和:電話に出たらいきなり怒鳴り声っていうのは、つらいじゃないですか。まずはメールで対応をして、クレーマーであった場合はクレーマー対策の人が電話をかける。その方法が一番合理的だと思います。
■克服するには「大人に慣れる」
今すぐ会社の固定電話がゼロになるわけではない。苦手意識を克服するために必要なことは?
曽和:ひとつは、大人に慣れることですね。抵抗はあるかもしれないですが、苦手意識がある年上の上司をランチに誘ってみたりするのは有効かもしれません。
サッシャ:誘われる側としては、うれしいと感じますね。
曽和:そうなんです。もうひとつの方法は、名刺や社内で共有されているデータを見て、どんなところから電話がかかってくるのか把握をすることです。事前に心の準備をしておけば、恐怖心は和らぐと思います。あとは、ビジネス用語を調べておくのもオススメです。リスケとか朝一とか、用語を本で調べておくだけでも不安の減少に繋がります。
慣れないうちはストレスもかかり、「時間の無駄だ」と感じる若手社員もいるかもしれない。しかし、メリットもある。
曽和:大人に慣れていくという、大切な機会にはなると思います。目上の人にイエスと言わせるリーダーシップを獲得する、第一歩にはなれるんじゃないかなと思っています。あとは、サラリーマン用語を話す練習だと思うのもオススメですよ。
J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースをその裏側から光を当て、様々な視点から紹介する。放送は月曜~木曜の10時10分頃から。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年3月25日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/stepone
曽和さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ・増井なぎさ)。3月18日(水)のオンエア。
■電話対応に恐怖心を覚える理由は?
若者が固定電話に対して恐怖心を覚えるのは、テキストや写真でのコミュニケーションをメインにしてきたという世代的な理由がひとつ。さらに、新人特有の理由もある。
曽和:固定電話を新人さんが取ると、自分宛ではない場合がほとんどじゃないですか。見知らぬ人からの電話に必ず出なければいけないので、そこに恐怖心を抱いてしまうんですね。
増井:ちゃんと社内のルールに沿って対応しないと、怒られるかもしれないという恐怖もありそうですね。
曽和:そうですね。やらなければならない型があって、それがちゃんとできているのかを、先輩たちに聞かれるわけですからね。先輩としては変な敬語を使っていたら注意する必要があるわけですから、若手社員からすると“抜き打ちテスト”が始まったような感覚になるんですよね。
サッシャ:それも、予告なしでいきなりスタートしますしね。
「固定電話恐怖症」は「大人恐怖症」でもあると、曽和さんは語る。
曽和:昔だと、年上の人とのコミュニケーションって、小さい頃からけっこうあったと思うんです。現在の若い方は、同学年とばかり話してきたってケースがわりと多くて。たとえば、私立の学校に通っていると、地域の子どもたちと遊ぶ機会ってほとんどないじゃないですか。ですので、結果的にフラットな関係性である同年代とばかり遊ぶケースが増えてしまうんです。採用面接をしていると、リーダーシップがある人というのは、実は希少価値が高いんですね。目上の人や年上の人に対して、堂々とコミュニケーションを取れる人は減っているんです。固定電話をかけてくるのはだいだい目上か年上の方なので、恐怖を抱く背景は、そういう部分にもあると思います。
■会社の固定電話は本当に必要なのか
『STEP ONE』では、会社の固定電話が必要だと思うかどうか、アンケートを実施。結果、70パーセントが「必要」と答えた。業種によっては必須だと、曽和さんは具体例を挙げる。
曽和:日本は高齢化社会なので、高齢の方を相手にしたビジネスだと、電話は必要になりますね。たとえばお年寄り向けの旅行代理店だと、電話がないと商売が難しいですよね。
サッシャ:下請けの業者だったら、営業のチャンスを広げるために、電話を使った窓口を増やしておきたいという狙いもあるかもしれないですね。
曽和:そうですね。あとは取引先が電話対応中心だと、どうしても使わざるを得ない場面もありますよね。合理的でないけれど、固定電話を導入するしかない企業は多いと思います。
しかし最近は新型コロナウイルスの影響で、テレワークを導入する会社も増加。固定電話がない状況でも仕事を行えると体感している人も少なくないだろう。電話対応は仕事の中断を余儀なくされるというデメリットもあるため、「本当に必要か?」という見直しは進むかもしれない。曽和さんは、クレーマー対策としても、メールフォームから受け付けるのが有効ではないかと考えている。
曽和:電話に出たらいきなり怒鳴り声っていうのは、つらいじゃないですか。まずはメールで対応をして、クレーマーであった場合はクレーマー対策の人が電話をかける。その方法が一番合理的だと思います。
■克服するには「大人に慣れる」
今すぐ会社の固定電話がゼロになるわけではない。苦手意識を克服するために必要なことは?
曽和:ひとつは、大人に慣れることですね。抵抗はあるかもしれないですが、苦手意識がある年上の上司をランチに誘ってみたりするのは有効かもしれません。
サッシャ:誘われる側としては、うれしいと感じますね。
曽和:そうなんです。もうひとつの方法は、名刺や社内で共有されているデータを見て、どんなところから電話がかかってくるのか把握をすることです。事前に心の準備をしておけば、恐怖心は和らぐと思います。あとは、ビジネス用語を調べておくのもオススメです。リスケとか朝一とか、用語を本で調べておくだけでも不安の減少に繋がります。
慣れないうちはストレスもかかり、「時間の無駄だ」と感じる若手社員もいるかもしれない。しかし、メリットもある。
曽和:大人に慣れていくという、大切な機会にはなると思います。目上の人にイエスと言わせるリーダーシップを獲得する、第一歩にはなれるんじゃないかなと思っています。あとは、サラリーマン用語を話す練習だと思うのもオススメですよ。
J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースをその裏側から光を当て、様々な視点から紹介する。放送は月曜~木曜の10時10分頃から。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年3月25日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/stepone
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