ミュージカル俳優・中井智彦がナビゲートするJ-WAVEの番組『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』(毎週金曜日22:30~23:00)の公開収録が、1月21日(火)、東京ミッドタウン日比谷のBillboard cafe & diningで行われた。ミュージカルを中心に活躍する原田優一とエリアンナが登壇し、貴重なミュージカルトークを繰り広げた。ここでは、オンエアできなかった部分も含めて、公開収録の模様をお届けする。
『WE/LIVE/MUSICAL』は、ダンス、歌、演技、ストーリー、歴史といったミュージカルの構成要素を、中井智彦が番組のハブとなって、ミュージカル楽曲の生演奏、ミュージカル作品の解説、ゲストを迎えてのトークなど、様々な音声表現でミュージカルの魅力を伝えるラジオ番組。2回目となったこの日の公開収録には、40組80名のミュージカルファンが集結した。
大きな拍手に迎えられステージに登壇した原田とエリアンナ。温かい歓迎にエリアンナは満面の笑みを浮かべ、原田は驚きの表情を浮かべる。普段から仲良しだというふたりは、4月から上演されるミュージカル『VIOLET』で初共演を果たす。「今日はずっと笑って、優ちゃまのトークを見ていようかな(笑)」(エリアンナ)、「アフタートークではMCを振られることが多く喋ることができないので、今日はここぞとばかりに準備運動をしてきました(笑)!」(原田)と、ふたりの人柄が窺える挨拶で公録が始まった。
■溢れ出るチャーミングさが魅力
エリアンナは、昨年11月から12月にかけて上演された『ファントム』に出演。オペラ座の支配人の妻であり、新プリマドンナのカルロッタ役を務めた。中井はこの役に対して「難しさを感じていた」というが、「技術的にも素晴らしい形で演じていた」と彼女の演技を絶賛する。エリアンナはカルロッタを演じるにあたり、優しさのかけらもない、自分のことしか考えない「とにかく悪役」という方向で役作りを行ったという。同作で主演・演出を務めた城田優と話し合い、あらゆるヴィランのエッセンスを取り入れ、技術的には多少の“遊び”も交えた。エリアンナは「オーディションのシーンでは、みんなが嫌だと思う音を全部出しました(笑)」と、カルロッタ役を振り返った。
これを受け中井が「城田さんが『悪役でいこう』といったのも、エリアンナさんのチャーミングさがあるからだと思います。あれだけいやらしいことをしているのに、溢れ出るチャーミングさがありました」と率直な感想を述べると、客席にいたファンも大きく首を縦に振っていた。
■世界中どこでもできないキャスティングが実現
エリアンナと中井は、1月25日(土)に開幕する『CHESS THE MUSICAL』に出演。同作は、米ソ冷戦時代を舞台に、米ソのチェスプレイヤーたちの人間模様を描く。エリアンナが演じるのは、スヴェトラーナ。ソビエト連邦のチェスプレイヤー、アナトリー(ラミン・カリムルー)の妻という役どころだ。中井が演じるのは、ヴィーガンド。最終的に、アナトリーと一戦を交えることになる。休憩中もラミンと実際にチェスで対戦しており、「ラミンはリアルな演技を求める方なので、駒を置く場所を間違えると『やり直した方がいい』と。まさにチェスがリアルで行われているんです」と、稽古場での裏話も明らかになった。
本作主演のラミンは、『オペラ座の怪人』や『レ・ミゼラブル』といった人気作に出演してきた、抜群の歌唱力を誇る人気スター。これまで何度も来日しており、日本での人気も高い。また、映画『レ・ミゼラブル』エポニーヌ役で一躍名を世界に知らしめたサマンサ・バークスも本作で初来日を果たす。イギリスでの活躍が目覚ましい期待の新星ルーク・ウォルシュも名を連ねており、エリアンナは「世界どこでもやれないキャスティング。奇跡です」と、本作への自信を見せた。
■アンジョルラス役「緊張でいっぱいいっぱいだった」
原田と中井の初共演は、2007年上演の『レ・ミゼラブル』。中井にとって初舞台だった本作で、原田はアンジョルラスを演じた。何もかもが初めての経験だった中井は、「優ちゃんの背中をみながら」初舞台に臨んだ。原田は9歳で劇団入り、11歳で『レ・ミゼラブル』ガブローシュ役を演じたが、革命のリーダーであるアンジョルラスを演じたのは2007年が初めて。「大きなミュージカルで役をいただいて、右も左もわからない状態でした。当時24歳でしたが、僕よりも年上の先輩方が学生たちを演じられました。最初の歌稽古のとき、『どういう風に歌うのか』と見られているようでした(笑)。そうは見ていないと思うんですけど、そうとしか見えないような圧がありましたね(笑)」と、アンジョルラスを演じるにあたり「緊張しきってやっていた記憶がある」と振り返った。
アンジョルラスは、リーダーとして広い視野をもって、学生たちを見ていくキャラクターだ。原田の演技を間近で見ていた中井は、「舞台の見え方」まで考えながら演じた原田の演技に感銘を受けたと述べる。原田は「本当ですか? あんなに、いっぱいいっぱいだったのに(笑)」と、驚きながらも笑みをこぼした。
■演出家としての楽しさとは
原田は、1月30日(木)から上演されるオフブロードウェイ・ミュージカル『bare‐ベア‐』で演出を務める。再再演となる本作は、出演者を変えて新たなカンパニーで臨む。原田にとって本作は、初めて演出したミュージカル作品だ。原田が構成・演出したコンサートを観たプロデューサーから声をかけてもらったことがきっかけだという。演出家として常に選択を強いられる状況に、始めは戸惑ったそう。「演出家は5秒に1回、10秒に1回、選択のときがやってくる。センタクって、ランドリー(洗濯)じゃないですよ(笑)。どちらを選ぶか。究極の選択が、1分に2回ぐらいくるんです。さっき5秒に1回って言っちゃったね(笑)。今だったら引き返しても、みんながついてきてくれるってわかっていますが、当時は夕飯のメニューを決めることすら嫌でしたね(笑)」。
演出をやる中で原田は、自身の俳優としての経験を活かしながら、キャストの身になって考えることができるようになったとも。舞台・映像作品において「キャスト同士の化学反応が……」とよく謳われることがあるが、演出家として原田は数々の化学反応を目にしてきた。「世間で『上手いね』と言われる人たちばかり集めたカンパニーでも、『あれ?』ってなることがある。化学反応で、ものすごく良い反応を起こすことがあるので、それを見ているのが演出家として楽しいなと思っています」。
■ファンからの質問に回答!
トーク終盤では、ゲストがファンからの質問に回答した。ここでは一部抜粋して紹介する。
●オフブロードウェイ作品の魅力は? 大規模な作品との違いは?
原田:どちらも良さはありますね。
エリアンナ:劇場の大きさの違いがあるので、観客との距離も違いますね。オフブロードウェイの方が近く、至近距離で空気を一緒に作り上げていく感じです。
原田:『bare‐ベア‐』に関して言えば、脚本家(ジョン・ハートメア)と作曲家(デイモン・イントラバートロ)のふたりが22歳のときに作った作品です。ものすごいことですよね。主人公は高校生で、全寮制高校が舞台です。制作側もキャストも若いので、印象としては全体的に青いイメージがあります。ちょっと未完成なところの良さ。大劇場ものはすべてが完成し尽くされていますね。派手さがよかったりします。オフブロードウェイものは、会場全体の熱気が、お客さんが入ってこそ高まっていくものだと思います。
●好きなミュージカルの歌(1曲)は?
原田・エリアンナ:1曲!?!?
(場内爆笑)
エリアンナ:いっぱいあるよー!
原田:『レ・ミゼラブル』から「One Day More」。役者人生を続けるきっかけになった作品なので、この歌は一生好きです。
エリアンナ:私もまさに同じ理由で、『レント』から「Seasons of Love」。ミュージカルの世界に入るきっかけになった曲だからです。イントロが始まった瞬間、胸がキュンってなります。
中井:僕は『レ・ミゼラブル』から「Empty Chairs at Empty Tables」。初めて受けたオーディションが『レ・ミゼラブル』で、マリウス役で受けました。オーディションでこの曲を歌って、「同じメロディの曲があるよ」といただいた役が司教でした(笑)。
原田:また随分、年の差が(笑)。僕も2007年のオーディションはマリウス役で受けて、アンジョルラスになりました。「どうしても(マリウスが)やりたい」と言ったら、演出家(ジョン・ケアード)から「お前はアンジョルラスだ」と言われました。飲み会で先輩方に「何飲みますか?」と訊いてまわっていたら、演出家の方が「あいつは場を仕切ってる!」って(笑)。
●オーディションの忘れられないエピソードは?
原田:子どもの頃に受けた、『レ・ミゼラブル』ガブローシュ役のオーディションです。15時からだったのに、母が電話で夕方の5時と聞き間違えてしまったんです。行った頃にはオーディションが終わっていて。ただ、終わった直後だったので審査員の方に見ていただき、受かりました。すごい思い出深いです。
エリアンナ:私は『ウィズ ~オズの魔法使い~』。そのときは、ダンサーのオーディションに私が入ったんです。ひとつ前に『アイ・ガット・マーマン』で、演出家の宮本亜門さんとご一緒させていただいていたので、私のことはわかってくださっていました。だけど、ダンスに関しては、ダンサーに混じると私は明らかに下手だった。フリーで踊ることができなくて、思い切って歌ったんです。そうしたら、亜門さんに「もう歌はいいよ!」って言われて(笑)。でも、受かりました!
原田:踊りが苦手な方に、「フリーで」って言ったらダメなんです。すごい動きをする役者さんがいますね(笑)。
中井:僕も経験があります。『グリース』のオーディションがダンスからで。8小節フリーで、僕は最終的にその場で走っていました。最後、前転をキメたら振付の方が喜んでくれて、ダンスは受かったんです! でも、歌で落ちて(笑)。そんなエピソードがありましたね。
原田:(ダンスに)受かったことよりも、歌で落ちたことのほうが衝撃(笑)。
公開収録の第二部では、原田、エリアンナ、中井の3名が生歌を披露! 『サウンド・オブ・ミュージック』、『レ・ミゼラブル』、『BKLYN』、『カラフル』、『トップハット』といった作品からの名曲を響かせ、来場者は3名の美声に酔いしれていた。
【radikoで聴く】原田優一『スターズ』
【radikoで聴く】原田優一&中井智彦『色の溢れる世界で~SONG FOR DIVERSITY~』
【radikoで聴く】エリアンナ『カラスのように』
【radikoで聴く】エリアンナ & 中井智彦『Cheek To Cheek』
原田とエリアンナが共演するミュージカル『VIIOLET』は、4月7日(火)~4月26日(日)東京芸術劇場 プレイハウスで上演。
■原田優一(俳優・演出家) 子役からキャリアをスタートし、現在はミュージカルを中心に活躍。中井とは、2007年に『レ・ミゼラブル』で共演。中井は司教役、原田はアンジョラス役だった。2018年に『カラフル』で再共演。1月30日から上演されるオフブロードウェイ・ミュージカル『bare‐ベア‐』では、演出を手掛ける。中井は、原田を「視野の広さ、優しさが常にあふれる役者」と表現。
■エリアンナ(シンガー・ミュージカル女優) パワフルなボーカルの中にある、繊細で確かな技術で聴く人を圧倒するシンガー。原田とは普段から交友があり、4月に上演されるミュージカル『VIOLET』で初共演する。中井とは、1月25日より上演する『CHESS THE MUSICAL』で初共演。
■公演情報
◎「CHESS THE MUSICAL」
梅田芸術劇場メインホール 2020年1月25日(土)~1月28日(火)
東京国際フォーラムホールC 2020年2月1日(土)~2月9日(日)
キャスト: ラミン・カリムルー サマンサ・バークス
ルーク・ウォルシュ 佐藤隆紀
エリアンナ 増原英也
飯野めぐみ 伊藤広祥 大塚たかし 岡本華奈 柴原直樹 仙名立宗
染谷洸太 中井智彦 菜々香 二宮愛 則松亜海 原田真絢
武藤寛 森山大輔 綿引さやか 和田清香(五十音順)
料金: S席13,500円 A席10,000円(全席指定・税込)
B席7,000円(大阪のみ・全席指定・税込)
U-25チケット5,000円(25歳以下対象・税込)
お問い合わせ
【大阪公演】梅田芸術劇場メインホール 06-6377-3800
【東京公演】梅田芸術劇場 0570-077-039
◎「bare‐ベア‐」
青山一丁目 月草ホール 2020年1月30日(木)~2月9日(日)
キャスト:
ジェイソン:安井一真、小谷嘉一
ピーター: 田村良太、大久保祥太郎
アイヴィ:増田有華、茜屋日海夏
マット:神田恭兵、宮島朋宏
ナディア:谷口ゆうな
シスター・シャンテル:北翔海莉
神父:林アキラ
クレア:伊東えり ほか
料金: 1階席9,000円(全席指定・税込)
2階席6,500円(全席指定・税込)
学生席2,000円(枚数限定・当日のみ)
◎「VIOLET」
東京芸術劇場 プレイハウス 2020年4月7日(火)~4月26日(日)
キャスト:唯月ふうか(Wキャスト) 、優河(Wキャスト)、白洲迅、吉原光夫 / spi、横田龍儀、森山大輔、エリアンナ、谷口ゆうな、稲田ほのか(Wキャスト)、モリス・ソフィア(Wキャスト) / 原田優一、島田歌穂
会員先行
2019/12/20(金)11:00 ~ 2020/1/7(火)11:00【抽選】
2020/1/29(水)10:00 ~ 2020/1/30(木)23:59【先着】
一般発売日
2020/2/1(土)
料金
全席 12,000円 (税込)
学生シート 5,000円(税込)[学生のみ対象 ※要学生証提示・枚数限定・当日引換・座席選択不可]
お問い合わせ
東京 0570-077-039
◎中井智彦コンサート 「I Live Musical! 5」
日程:2020年5月4日(月・祝)17:00 開場 17:30開演
会場:渋谷PLEASURE PLEASURE(東京・渋谷)
出演:中井智彦 / 長濱司BAND ゲスト:岡 幸二郎
料金:前売り:¥6,600 (指定席/税込) 当日:¥7,150 (指定席/税込)
※入場時1DRINK代¥600必要
チケット一般発売:2020年 1月11日 (土) 10:00〜
主催:J-WAVE
企画制作:upcoming
制作協力・運営:ウドー音楽事務所
協力:ぴあ / 中井智彦オフィシャルファンクラブ「ブルートレイン なかい号」
お問い合わせ
ウドー音楽事務所 電話:03-3402-5999 (平日10:00~18:00)
WEB:https://udo.jp
【番組情報】
番組名:『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』
放送日時:毎週金曜 22時30分-23時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/musical/
『WE/LIVE/MUSICAL』は、ダンス、歌、演技、ストーリー、歴史といったミュージカルの構成要素を、中井智彦が番組のハブとなって、ミュージカル楽曲の生演奏、ミュージカル作品の解説、ゲストを迎えてのトークなど、様々な音声表現でミュージカルの魅力を伝えるラジオ番組。2回目となったこの日の公開収録には、40組80名のミュージカルファンが集結した。
大きな拍手に迎えられステージに登壇した原田とエリアンナ。温かい歓迎にエリアンナは満面の笑みを浮かべ、原田は驚きの表情を浮かべる。普段から仲良しだというふたりは、4月から上演されるミュージカル『VIOLET』で初共演を果たす。「今日はずっと笑って、優ちゃまのトークを見ていようかな(笑)」(エリアンナ)、「アフタートークではMCを振られることが多く喋ることができないので、今日はここぞとばかりに準備運動をしてきました(笑)!」(原田)と、ふたりの人柄が窺える挨拶で公録が始まった。
■溢れ出るチャーミングさが魅力
エリアンナは、昨年11月から12月にかけて上演された『ファントム』に出演。オペラ座の支配人の妻であり、新プリマドンナのカルロッタ役を務めた。中井はこの役に対して「難しさを感じていた」というが、「技術的にも素晴らしい形で演じていた」と彼女の演技を絶賛する。エリアンナはカルロッタを演じるにあたり、優しさのかけらもない、自分のことしか考えない「とにかく悪役」という方向で役作りを行ったという。同作で主演・演出を務めた城田優と話し合い、あらゆるヴィランのエッセンスを取り入れ、技術的には多少の“遊び”も交えた。エリアンナは「オーディションのシーンでは、みんなが嫌だと思う音を全部出しました(笑)」と、カルロッタ役を振り返った。
これを受け中井が「城田さんが『悪役でいこう』といったのも、エリアンナさんのチャーミングさがあるからだと思います。あれだけいやらしいことをしているのに、溢れ出るチャーミングさがありました」と率直な感想を述べると、客席にいたファンも大きく首を縦に振っていた。
■世界中どこでもできないキャスティングが実現
エリアンナと中井は、1月25日(土)に開幕する『CHESS THE MUSICAL』に出演。同作は、米ソ冷戦時代を舞台に、米ソのチェスプレイヤーたちの人間模様を描く。エリアンナが演じるのは、スヴェトラーナ。ソビエト連邦のチェスプレイヤー、アナトリー(ラミン・カリムルー)の妻という役どころだ。中井が演じるのは、ヴィーガンド。最終的に、アナトリーと一戦を交えることになる。休憩中もラミンと実際にチェスで対戦しており、「ラミンはリアルな演技を求める方なので、駒を置く場所を間違えると『やり直した方がいい』と。まさにチェスがリアルで行われているんです」と、稽古場での裏話も明らかになった。
本作主演のラミンは、『オペラ座の怪人』や『レ・ミゼラブル』といった人気作に出演してきた、抜群の歌唱力を誇る人気スター。これまで何度も来日しており、日本での人気も高い。また、映画『レ・ミゼラブル』エポニーヌ役で一躍名を世界に知らしめたサマンサ・バークスも本作で初来日を果たす。イギリスでの活躍が目覚ましい期待の新星ルーク・ウォルシュも名を連ねており、エリアンナは「世界どこでもやれないキャスティング。奇跡です」と、本作への自信を見せた。
■アンジョルラス役「緊張でいっぱいいっぱいだった」
原田と中井の初共演は、2007年上演の『レ・ミゼラブル』。中井にとって初舞台だった本作で、原田はアンジョルラスを演じた。何もかもが初めての経験だった中井は、「優ちゃんの背中をみながら」初舞台に臨んだ。原田は9歳で劇団入り、11歳で『レ・ミゼラブル』ガブローシュ役を演じたが、革命のリーダーであるアンジョルラスを演じたのは2007年が初めて。「大きなミュージカルで役をいただいて、右も左もわからない状態でした。当時24歳でしたが、僕よりも年上の先輩方が学生たちを演じられました。最初の歌稽古のとき、『どういう風に歌うのか』と見られているようでした(笑)。そうは見ていないと思うんですけど、そうとしか見えないような圧がありましたね(笑)」と、アンジョルラスを演じるにあたり「緊張しきってやっていた記憶がある」と振り返った。
アンジョルラスは、リーダーとして広い視野をもって、学生たちを見ていくキャラクターだ。原田の演技を間近で見ていた中井は、「舞台の見え方」まで考えながら演じた原田の演技に感銘を受けたと述べる。原田は「本当ですか? あんなに、いっぱいいっぱいだったのに(笑)」と、驚きながらも笑みをこぼした。
■演出家としての楽しさとは
原田は、1月30日(木)から上演されるオフブロードウェイ・ミュージカル『bare‐ベア‐』で演出を務める。再再演となる本作は、出演者を変えて新たなカンパニーで臨む。原田にとって本作は、初めて演出したミュージカル作品だ。原田が構成・演出したコンサートを観たプロデューサーから声をかけてもらったことがきっかけだという。演出家として常に選択を強いられる状況に、始めは戸惑ったそう。「演出家は5秒に1回、10秒に1回、選択のときがやってくる。センタクって、ランドリー(洗濯)じゃないですよ(笑)。どちらを選ぶか。究極の選択が、1分に2回ぐらいくるんです。さっき5秒に1回って言っちゃったね(笑)。今だったら引き返しても、みんながついてきてくれるってわかっていますが、当時は夕飯のメニューを決めることすら嫌でしたね(笑)」。
演出をやる中で原田は、自身の俳優としての経験を活かしながら、キャストの身になって考えることができるようになったとも。舞台・映像作品において「キャスト同士の化学反応が……」とよく謳われることがあるが、演出家として原田は数々の化学反応を目にしてきた。「世間で『上手いね』と言われる人たちばかり集めたカンパニーでも、『あれ?』ってなることがある。化学反応で、ものすごく良い反応を起こすことがあるので、それを見ているのが演出家として楽しいなと思っています」。
■ファンからの質問に回答!
トーク終盤では、ゲストがファンからの質問に回答した。ここでは一部抜粋して紹介する。
●オフブロードウェイ作品の魅力は? 大規模な作品との違いは?
原田:どちらも良さはありますね。
エリアンナ:劇場の大きさの違いがあるので、観客との距離も違いますね。オフブロードウェイの方が近く、至近距離で空気を一緒に作り上げていく感じです。
原田:『bare‐ベア‐』に関して言えば、脚本家(ジョン・ハートメア)と作曲家(デイモン・イントラバートロ)のふたりが22歳のときに作った作品です。ものすごいことですよね。主人公は高校生で、全寮制高校が舞台です。制作側もキャストも若いので、印象としては全体的に青いイメージがあります。ちょっと未完成なところの良さ。大劇場ものはすべてが完成し尽くされていますね。派手さがよかったりします。オフブロードウェイものは、会場全体の熱気が、お客さんが入ってこそ高まっていくものだと思います。
●好きなミュージカルの歌(1曲)は?
原田・エリアンナ:1曲!?!?
(場内爆笑)
エリアンナ:いっぱいあるよー!
原田:『レ・ミゼラブル』から「One Day More」。役者人生を続けるきっかけになった作品なので、この歌は一生好きです。
エリアンナ:私もまさに同じ理由で、『レント』から「Seasons of Love」。ミュージカルの世界に入るきっかけになった曲だからです。イントロが始まった瞬間、胸がキュンってなります。
中井:僕は『レ・ミゼラブル』から「Empty Chairs at Empty Tables」。初めて受けたオーディションが『レ・ミゼラブル』で、マリウス役で受けました。オーディションでこの曲を歌って、「同じメロディの曲があるよ」といただいた役が司教でした(笑)。
原田:また随分、年の差が(笑)。僕も2007年のオーディションはマリウス役で受けて、アンジョルラスになりました。「どうしても(マリウスが)やりたい」と言ったら、演出家(ジョン・ケアード)から「お前はアンジョルラスだ」と言われました。飲み会で先輩方に「何飲みますか?」と訊いてまわっていたら、演出家の方が「あいつは場を仕切ってる!」って(笑)。
●オーディションの忘れられないエピソードは?
原田:子どもの頃に受けた、『レ・ミゼラブル』ガブローシュ役のオーディションです。15時からだったのに、母が電話で夕方の5時と聞き間違えてしまったんです。行った頃にはオーディションが終わっていて。ただ、終わった直後だったので審査員の方に見ていただき、受かりました。すごい思い出深いです。
エリアンナ:私は『ウィズ ~オズの魔法使い~』。そのときは、ダンサーのオーディションに私が入ったんです。ひとつ前に『アイ・ガット・マーマン』で、演出家の宮本亜門さんとご一緒させていただいていたので、私のことはわかってくださっていました。だけど、ダンスに関しては、ダンサーに混じると私は明らかに下手だった。フリーで踊ることができなくて、思い切って歌ったんです。そうしたら、亜門さんに「もう歌はいいよ!」って言われて(笑)。でも、受かりました!
原田:踊りが苦手な方に、「フリーで」って言ったらダメなんです。すごい動きをする役者さんがいますね(笑)。
中井:僕も経験があります。『グリース』のオーディションがダンスからで。8小節フリーで、僕は最終的にその場で走っていました。最後、前転をキメたら振付の方が喜んでくれて、ダンスは受かったんです! でも、歌で落ちて(笑)。そんなエピソードがありましたね。
原田:(ダンスに)受かったことよりも、歌で落ちたことのほうが衝撃(笑)。
公開収録の第二部では、原田、エリアンナ、中井の3名が生歌を披露! 『サウンド・オブ・ミュージック』、『レ・ミゼラブル』、『BKLYN』、『カラフル』、『トップハット』といった作品からの名曲を響かせ、来場者は3名の美声に酔いしれていた。
【radikoで聴く】原田優一『スターズ』
【radikoで聴く】原田優一&中井智彦『色の溢れる世界で~SONG FOR DIVERSITY~』
【radikoで聴く】エリアンナ『カラスのように』
【radikoで聴く】エリアンナ & 中井智彦『Cheek To Cheek』
原田とエリアンナが共演するミュージカル『VIIOLET』は、4月7日(火)~4月26日(日)東京芸術劇場 プレイハウスで上演。
■原田優一(俳優・演出家) 子役からキャリアをスタートし、現在はミュージカルを中心に活躍。中井とは、2007年に『レ・ミゼラブル』で共演。中井は司教役、原田はアンジョラス役だった。2018年に『カラフル』で再共演。1月30日から上演されるオフブロードウェイ・ミュージカル『bare‐ベア‐』では、演出を手掛ける。中井は、原田を「視野の広さ、優しさが常にあふれる役者」と表現。
■エリアンナ(シンガー・ミュージカル女優) パワフルなボーカルの中にある、繊細で確かな技術で聴く人を圧倒するシンガー。原田とは普段から交友があり、4月に上演されるミュージカル『VIOLET』で初共演する。中井とは、1月25日より上演する『CHESS THE MUSICAL』で初共演。
■公演情報
◎「CHESS THE MUSICAL」
梅田芸術劇場メインホール 2020年1月25日(土)~1月28日(火)
東京国際フォーラムホールC 2020年2月1日(土)~2月9日(日)
キャスト: ラミン・カリムルー サマンサ・バークス
ルーク・ウォルシュ 佐藤隆紀
エリアンナ 増原英也
飯野めぐみ 伊藤広祥 大塚たかし 岡本華奈 柴原直樹 仙名立宗
染谷洸太 中井智彦 菜々香 二宮愛 則松亜海 原田真絢
武藤寛 森山大輔 綿引さやか 和田清香(五十音順)
料金: S席13,500円 A席10,000円(全席指定・税込)
B席7,000円(大阪のみ・全席指定・税込)
U-25チケット5,000円(25歳以下対象・税込)
お問い合わせ
【大阪公演】梅田芸術劇場メインホール 06-6377-3800
【東京公演】梅田芸術劇場 0570-077-039
◎「bare‐ベア‐」
青山一丁目 月草ホール 2020年1月30日(木)~2月9日(日)
キャスト:
ジェイソン:安井一真、小谷嘉一
ピーター: 田村良太、大久保祥太郎
アイヴィ:増田有華、茜屋日海夏
マット:神田恭兵、宮島朋宏
ナディア:谷口ゆうな
シスター・シャンテル:北翔海莉
神父:林アキラ
クレア:伊東えり ほか
料金: 1階席9,000円(全席指定・税込)
2階席6,500円(全席指定・税込)
学生席2,000円(枚数限定・当日のみ)
◎「VIOLET」
東京芸術劇場 プレイハウス 2020年4月7日(火)~4月26日(日)
キャスト:唯月ふうか(Wキャスト) 、優河(Wキャスト)、白洲迅、吉原光夫 / spi、横田龍儀、森山大輔、エリアンナ、谷口ゆうな、稲田ほのか(Wキャスト)、モリス・ソフィア(Wキャスト) / 原田優一、島田歌穂
会員先行
2019/12/20(金)11:00 ~ 2020/1/7(火)11:00【抽選】
2020/1/29(水)10:00 ~ 2020/1/30(木)23:59【先着】
一般発売日
2020/2/1(土)
料金
全席 12,000円 (税込)
学生シート 5,000円(税込)[学生のみ対象 ※要学生証提示・枚数限定・当日引換・座席選択不可]
お問い合わせ
東京 0570-077-039
◎中井智彦コンサート 「I Live Musical! 5」
日程:2020年5月4日(月・祝)17:00 開場 17:30開演
会場:渋谷PLEASURE PLEASURE(東京・渋谷)
出演:中井智彦 / 長濱司BAND ゲスト:岡 幸二郎
料金:前売り:¥6,600 (指定席/税込) 当日:¥7,150 (指定席/税込)
※入場時1DRINK代¥600必要
チケット一般発売:2020年 1月11日 (土) 10:00〜
主催:J-WAVE
企画制作:upcoming
制作協力・運営:ウドー音楽事務所
協力:ぴあ / 中井智彦オフィシャルファンクラブ「ブルートレイン なかい号」
お問い合わせ
ウドー音楽事務所 電話:03-3402-5999 (平日10:00~18:00)
WEB:https://udo.jp
【番組情報】
番組名:『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』
放送日時:毎週金曜 22時30分-23時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/musical/
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